山本純子が7位入賞で世界ランキング6位に浮上…レッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会

アイスクロス・ダウンヒル世界選手権の最上位カテゴリー大会であるレッドブル・クラッシュドアイスは全3戦で展開するシーズン最終戦を2月8、9日に米国ボストンで開催し、男女を含めて日本勢で唯一ファイナルに進出した山本純子が7位に。世界ランキングを6位に浮上させた。

女子セミファイナルで山本純子は最後尾からアマンダ・トルンゾらを追撃 ©Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

前日に予選のタイムトライアルで8位、LCQと呼ばれる勝ち上がりトーナメントを順当に通過して、この日のファイナル進出を決めた山本。4選手が一斉スタートし、2着までが次に進めるという競技で、この日はクォーターファイナル(準々決勝)で前年の世界チャンピオン、アマンダ・トルンゾ(米国)と同組になりながら、手堅くトルンゾに続く2着で勝ち上がる。セミファイナルで3位に沈んだもののスモールファイナル(5〜8位決定戦)で3着となり、今大会の成績として7位になった。

前年の世界ランキングで10位の山本はこの大会でさらにポイントを積み上げ、総合6位に浮上。ポイントが獲得できる大会はこのあとも規模の小さいレースが3大会あって、山本は欠場するものの「10位まで落ちることはまずない」と手応えを感じている。この競技は胸のワッペンに世界ランキングの数字をつけて次シーズンを走るので、山本がシングルナンバーをつけるのは確実。

100年以上の歴史を持つフェンウェイパーク野球場にクラッシュドアイスの選手たちが集結 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

「たくさんの観衆の中でハイレベルな戦いができたのでいい大会だったと思います。ずっとレースに集中していたので会場を見ることがなかったんですけど、スモールファイナルで自分の滑りが終わって、最後のファイナルを観る立場になった時、アマンダとキャメロン選手がこれだけの観客の中でゴールする姿を見で胸が熱くなりました」と山本。

スタートして数十秒で決着する。メジャーリーグの中でも歴史的な価値のあるフェンウェイパーク野球場に設営されたテクニカルなコース。その中でいかに仕掛け、先行されたとしたらどこでタイムを稼いで前との差を詰めることができるかを考えていた。弱点だったスタートもシーズン終盤になって修正ができていた。

それでも世界の強豪はそれ以上だ。予選のタイムトライアルで好成績の選手からスタート台の位置を選択できるルールで、強豪選手は常に主導権を握りやすい内側を選択。山本はアウトサイドからのスタートを余儀なくされる。結果としてセミファイナル以上になるとスタートダッシュで強豪選手に先行される。

最初のターンが終わったときにどこまで詰められるかが勝負だ。後半のドロップ(落差)のところまで追いかけるが、前を抜いて2着以上を取るのは簡単ではない。「そのへんが力不足です」という。

「やっぱりトップ4あたりの選手との実力差は、一緒に走っていても感じています。どうしても前を走る選手のアクシデント待ちになってしまう。気持ちだけではなくて技術だと思いますね。それでも練習時や昨日のレースのときよりできないことが減らせた」と笑顔を見せる。

今シーズンの世界ランキングに関わる大会は残り3戦あるが、日本で会社員として働く身として簡単には休暇を取って出場はできない。周到に計画した海外遠征で着実にポイントを獲得でき、「今回取るべきポイントは取れたかなと思います」という。

女子スモールファイナルでジャクリーヌ・ルジェールらを追う山本純子(後ろ) ©Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

2月23日には長野県の菅平でだれでも参加できるアイスクロスダウンヒル大会が日本で初開催される。

「その目的は女子選手を含めて国内の普及のため。この競技の楽しさを知ってもらうための大会です」

これまで単身で世界を相手に戦ってきた山本も、このスポーツの日本の第一人者として会場入りする予定だ。

キャメロン・ナーズ(左から2人目)がスコット・クロクソール(同3人目)を制して母国で優勝 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool
キャメロン・ナーズがスコット・クロクソールを決勝で振り切った ©Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool
山本純子。写真は2018年12月に開催された開幕戦の横浜大会 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

室屋義秀がレッドブル・エアレース開幕戦を0.003秒差で優勝

2019年レッドブル・エアレースの開幕戦、アブダビ大会がUAEで2月8、9日に開催され、2017年の総合優勝者である室屋義秀が優勝した。2位は2018年の総合優勝者マーティン・ションカ(チェコ)でその差は0.003秒。千葉大会は第5戦。9月7〜8日に開催される。

開幕戦のアブダビを制してガッツポーズの室屋義秀 ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

2003年に第1回大会、2005年に世界選手権となり、12シーズン目を迎えたレッドブル・エアレースは、2005年以来毎年アブダビで開幕戦を開催している。今大会は、8日(金)の予選、9日の決勝を合わせてのべ 5万人が会場で観戦。室屋がアブダビで優勝したのは初めて。

開幕戦のアブダビを飛ぶ室屋義秀 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

2009年の初参戦以来、2019年で参戦8シーズン目を迎えた室屋のアブダビでの戦績は、2009年13 位、2010年10位、2011年〜2013年の中断期間を経て再開した 2014年9位、2015年6位、2016年7位(オーバーG)、ワールドチャンピオンに輝いた2017年も13位(オーバーG)とあまり振るわず。しかし2018年に初の表彰台(2位)を獲得し、そして2019年に念願の開幕戦アブダビ大会での優勝を手に入れた。

今大会で室屋は終始安定し、3回のフリープラクティスのタイムは3位、1位、3位、そして予選は1位(自身4度目のポールポジション)。これにより2019年から導入された予選ポイントを獲得した。その後の決勝も危なげなく勝ち進み、決勝のファイナル4を1番手で飛んだ室屋は、 最終コーナーからゲート14に侵入する際に機体の体勢を崩しかけたが持ちこたえ、ペナルティを得ることなく53秒780のタイムでゴール。

残る3選手は、ニコラス・イワノフ(フランス)がエンジントラブルで離陸できず DNS(Did Not Start)で不戦敗に。2018年のアブダビ大会で優勝し、2018シーズンのワールドチャンピオン争いを繰り広げたマイケル・グーリアン(米国)が54秒009で終わると、最後に現ワールドチャンピオンのションカが登場。

第一セクター0.007秒、第二セクターでも0.005秒と室屋を先行し、2回目の VTM(Vertical Turn Manuva)中に0.212秒遅れたものの、最終コーナーで再び追い上げたものの、わずか0.003秒室屋に届かなかった。ゴール通過時のおおよその速度は時速300kmなので、その距離はわずか30cmという決勝戦まれにみる僅差で室屋が勝利した。

開幕戦のアブダビを飛ぶ室屋義秀 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

レース後に室屋は「FP1(フリープラクティス 1)からファイナルまで非常に安定して飛べていたので、それで予選も首位で3ポイントを取ることができましたし、ファイナルもギリギリでしたけど勝ち抜くことができ、最終的に最大28ポイントを獲得できたので非常にいいスタートを切れたと思います」と語った。

「2017年の(最終戦)インディアナポリスから今まで1年以上勝ちがなかった。1位は非常にハッピーなんですけど、2位だとどうしても『こうしたら勝てた』『ああしたら勝てたんじゃないか?』という思いが出てくるので、1位は別格ですね。今はこの1位を味わいたいと思います」と喜びをコメントしている。

●レッドブル・エアレース大会日程
第1戦 2月8〜9日 アブダビ(UAE)
第2戦 ヨーロッパ(未定)
第3戦 6月15〜16日 カザン(ロシア)
第4戦 7月13〜14日 ブダペスト(ハンガリー)
第5戦 9月7〜8日 千葉(日本)
第6戦 アジア(未定)
第7戦 10月19〜20日 インディアナポリス(米国)
第8戦 11月8〜9日 サウジアラビア

室屋義秀の使用するチームファルケンの機材 ©Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

2019シーズン マスタークラスパイロット
クリスチャン・ボルトン:Cristian Bolton Racing(チリ)
ミカ・ブラジョー:#11 RACING Team Eyetime(フランス)
カービー・チャンブリス:Team Chambliss(米国)
マティアス・ドルダラー:Mathias Dolderer Racing(ドイツ)
マイケル・グーリアン:Team Goulian(米国)
マット・ホール:Matt Hall Racing(オーストラリア)
ニコラス・イワノフ:Team Hamilton(フランス)
ペトル・コプシュタイン:Team Spielberg(チェコ)
フランソワ・ルボット:FLV Racing Team 12(フランス)
ピート・マクロード:Cashback World Racing Team(カナダ)
室屋義秀:Team Falken(日本)
ベン・マーフィー:Blades Racing Team(英国)
マーティン・ションカ:Red Bull Team Šonka(チェコ)
フアン・ベラルデ:Team Velarde(スペイン)