オマケじゃない! 女子をメインにしたQリーグ始動

日本国内で走る女子選手を対象とした「Q(クイーン)リーグ」、中学生や高校生といったジュニア選手の「N(ニューエイジ)リーグ」が2020年にスタートする。ポイント制でランキング化して、首位選手にはリーダージャージが与えられる。運営や審判にも多くの女性を起用していく構想があり、女性ならではの細やかなレース運営を目指していく。

エリート女子ロードのスタート © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

華やかな女子クラスをメインレースに

女子とジュニアを対象とした新リーグ制度。ランキングによってどんな選手が活躍しているか、だれがレースに一生懸命取り組んでいるかなどを一目で分かるようにするのがねらいだという。

国内各地で週末ごとに多くの自転車レースが開催されているが、18歳以上の男子選手エリートクラスが大会の中心。女子やジュニア選手が出場できるレースは参加選手が少ないこともあり、いわゆる「オマケ扱い」の状況が長く続いている。運営において参加費収入が見込めないことや、広報活動が少なく注目してもらえないことが原因だ。

一方で女子にはレースを華やかにする効果、そしてジュニアにはフレッシュなイメージがある。男子エリートとは一味違う「自転車レースの面白さ」を備えている。

これまで女子ランキング制度の企画や女子チーム運営をしてきた須藤むつみさんが、そういった蓄積をつぎ込んで2つのリーグを始動させた。ランキングを見ればだれが強いのか、自分がどのぐらいの位置にいるのかが分かるとともに、自転車レースを楽しむ層の拡大、自転車強化や育成に関わる人の参考資料にも活用できると考えた。

最初の年はロードレースの運営が中心となるが、将来はトラックやシクロクロス、マウンテンバイクなどの種目をリーグ対象大会として増やしていきたいという。また、運営側や審判員にも女性に多く関わってもらい、女性ならではの細やかなレース運営も実施していきたいという。

エリート女子ロードのスタート © Benjamin Hundsbichler

リーグ発足を広く知ってもらうためにプレ大会を3月20日に千葉県成田市の下総フレンドリーパークで開催する。大会参加や観戦を通して、新リーグに注目してもらうためだ。当日は男子マスターズロードレース、2時間耐久も開催されるが、国内では単独開催の難しい女子とジュニアクラスのレースをメインとして実施。十分なレース距離が設定でき、同じクラスの選手たちと直接対決することで明確な目標を持ってもらうことに意義があるという。

トレーニングの蓄積により均整の取れたボディをもつ女性選手はとても魅力的だ。持久系スポーツだから脚が太くなることはないので、ぜひ参加を。あるいは知り合いの女性を誘ってみよう。

リーグ実行委員会事務局の須藤むつみ代表
女子およびジュニア選手の強化・育成を目的とし、さらなる女子とジュニア選手の自転車レース出場機会を促すことで、女子やジュニアだけで単独スタートできるレースを数多く実現したい。本来の「ロードレース」を戦い、勝ち抜く日本女子選手と日本ジュニア選手を応援するために立ち上げたシリーズ制度です。
レースに「華」として咲くことは、選手だけの努力だけでは足らないこともあります。新リーグのランキング制度を通じて、日本の自転車選手の可能性と将来性をさらに発展させたいと考えています。

リーダージャージー

Qリーグの個人ポイントランキング首位選手には「アメジストジャージ」、Nリーグでは「バトルマリンジャージ」が与えられる。

●Qリーグの公式ホームページ

実走感が味わえる室内トレーナーに人気YouTuber試乗

雨の日や夜間によくやる、あのツラくてつまらないインドアトレーニングが楽しくなる。画面に映し出されたコースの起伏変化とペダルを踏む負荷が同調するシステムはすでに常識だが、今度は実走しているように自転車を前後左右に動かしながらトレーニングできる。そんな夢のような新製品を人気YouTuberらに試してもらった。

サドルから腰を上げてダンシングするとマシンを乗せた板が前後左右に小気味よく動く

アクティブなのに静かなので気分はアウトドア

屋内で自転車をこぐためには、安全性のため室内トレーナーとよばれるマシンに固定する必要があった。だから車体は微動だにせず、立ちこぎしてダンスのようにリズミカルにペダルをこいでも自転車は直立しているだけ。これでは乗り物とは感じられないし、ひたすらペダルを踏み続けるだけなので、飽きてしまって長続きしなかった。

そんな退屈さを改善しようと目の前に置いたモニター画面とペダルの重さを連動させたサービスが登場。画面のコースが上り坂になれば、スマートローラーと呼ばれる負荷制御システム搭載のマシンがペダルを重くさせた。これで相当楽しくなったが、それでも自転車は直立のままだった。

後輪を外して自転車をそのまま設置するので騒音と振動がほとんどない

今回試乗したサリス社のシステムはプラットフォームと呼ばれる板面が前後左右に揺れ動くもの。これにほとんど雑音が生じない同社のスマートローラーを設置する。スマートローラーは他社製品でも搭載できるという。

室内トレーナーに自転車走行本来の動きを再現した体験会が2月4日にワイズロード渋谷本館で開催された。動画クリエイターのけんたさん、2019年に日本女性で最も獲得標高を稼いだブロガーの篠さん、富士ヒルクライム女子総合優勝者の増田菜穂子さんが参加した。

本格派クライマーの篠さんはゲーム感覚の楽しさを味わった。

実走感を楽しむ本格ヒルクライマーの篠さん

「画面が上りになると負荷がかかってくるのが脚の重みで分かります」という。「思ったほど揺れることもなく、実際の道路で走っているのと同じで、ちょうどいい感じで動くのがスゴいです」

さすがの篠さんも5分ほどの試乗でうっすらと汗。でも「とても楽しい」と満足そうだ。

けんたさんは「上級者向けの3本ローラー台のように転倒する危険がないので、ペダルをこぐことに集中できます。実走で使う筋肉がそのままの動きで再現されるから、とてもいい練習になる」と語った。

モニター画面とペダルの重さが連動する。乗っているのは会社員ながら上りに強い増田さん

増田さんはスマートローラーの静かさにびっくりしたと語っている。

「回転音が全くなくて、チェーンが動く音しか聞こえません。騒音も振動もないので、マンション住まいの私でもお隣に気を遣わないで夜間練習できそうですね」

自転車のロードバイクは氷面を滑るように、さっそうとアウトドアを走るのが魅力。これまでの室内練習では乗車姿勢は変えられず、タイヤの摩擦音や振動も気になるものだったが、これなら継続的に室内トレできそう。春になったら人知れず強くなっているのは間違いない?

自転車チェーン店のワイズロードが輸入発売

米国製スマートトレーナー、サリスは自転車チェーン店のワイズロードを展開するワイ・インターナショナルが総代理店。今回試乗したスマートトレーナーH3は12万8000円(以下すべて税別)、プラットフォームは15万8000円。画像連動型オンラインシステムの代表はズイフト。利用にはインターネット接続されたパソコンなど、ズイフト月間利用料1500円が別に必要。

左から篠さん、司会を務めた歌手でトライアスリートの水越ユカさん、増田さん、けんたさん

●SARIS公式ホームページ
●H3動画の動画
●MP1動画