ファンデルプール北の地獄を制す…宿敵ファンアールトは痛恨のパンク

「北の地獄」と呼ばれる石畳の悪路が待ち構える伝統レース、第120回パリ〜ルーベが4月9日、フランスのコンピエーニュからルーベまでの257kmで行われ、アルペシン・ドゥクーニンクのマチュー・ファンデルプール(28)=オランダ=が独走で初優勝した。ライバルのワウト・ファンアールト=ベルギー、ユンボ・ビスマ=は先頭に立ちながら痛恨のパンクで3位に終わった。

勝負どころ、アランベールの石畳を走るファンデルプール(左)とファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

優勝候補ばかり7選手が北の地獄の終盤に結集

ファンデルプールがモニュメントと呼ばれる伝統あるワンデーレースでの強さを証明した。3月18日にイタリアで開催されたミラノ〜サンレモに続く優勝。2020年と2022年にはベルギーのツール・デ・フランドルを制していて、3つ目のタイトルを獲得した。

路面が荒れているほど観客が集まる ©A.S.O. Pauline Ballet

この日はファンデルプールの波状攻撃によってファンアールトや他の有力選手で構成された7人に第一集団が絞り込まれた。この中にチームメートのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がいたこともファンデルプールにとってはラッキーだった。優勝候補のジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSM)は勝負を仕掛けた終盤の石畳区間でファンデルプールと接触して落車。

ファンアールト(先頭から2人目)はこの日好調だったが… ©A.S.O. Pauline Ballet

ファンデルプールが後方を気遣っていたすきを突いてファンアールトがアタックした。ところがここで不運のパンクで失速。ファンデルプールがライバルを追い抜いてゴールまで独走した。

「最初はファンアールトがパンクしたとは知らなかった。でも、追い越した時はペースが遅くて、彼に問題があるのが分かった」というファンデルプール。

ファンデルプール(右)とファンアールト(中央)の両雄がバトル ©A.S.O. Pauline Ballet

「悪夢のようなパンクだったが、これも人生だ。自転車を交換してあきらめずに前を追ったが、ファンデルプールのような強い選手までの20秒を詰めるのは困難だった。今日は彼のアタックに反応できていたので、2人のゴール勝負になれば自信はあった」とファンアールト。最後はマークに付いたフィリプセンにもゴール勝負でかわされて3位になった。

ゴールのルーベ競技場で絶叫して喜びを表すファンデルプール ©A.S.O. Pauline Ballet

「これまでで最高の1日を過ごしたと思う。私は本当に強いと感じていて、数回の攻撃を試みたが、有力選手らを落とすのは困難だった。勝負どころの石畳区間は、デゲンコルプのクラッシュとファンアールトのパンクがあって、私は先頭に立っていることに気づき、フィニッシュラインまで全力で走った」とファンデルプール。

落車で勝利を逃したデゲンコルプがゴール後に倒れ込んだ ©A.S.O. Pauline Ballet

「フィニッシュラインまでファンアールトと一緒に行くことになれば、レースは違ったものになっていたかもしれない。彼の身にふりかかった不幸は残念だけど、それもレースの一部だ。パリ~ルーベで優勝するにはいい脚と幸運が必要なんだ」

優勝のファンデルプールを中央に、左が2位フィリプセン、右が3位ファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet

新兵器エア調整システムが実戦使用された

DSMとユンボ・ビスマがパリ〜ルーベでタイヤ空気圧管理システムを使用した。ハンドルのリモートボタンを使用して、バイクに乗りながらタイヤの空気圧を増減できる。石畳と舗装路が交互に連続する同レースでは有利になる。

タイヤ空気圧を走行中に変えることができるスコープアトモス

ボタンを押すとワイヤレス信号により車輪ハブ部のバルブが開閉する。タイヤ内側にエアコンプレッサーがあって、走行中でも空気を抜いたり膨らませたりできる。路面状況に応じて最適なグリップ力と転がり抵抗にすることにより、選手は自信を持ってバイクを操作できるようになり、パフォーマンスと安全性が向上する。石畳ばかりでなく突然の雨でもメリットを発揮する。

すでに一般販売されていて、価格はこのシステムだけで約58万円。

孫崎大樹がマンセボとの力勝負を制して伝統の東日本で優勝

Jプロツアー・東日本ロードクラシックDay-1が4月29日、 群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター6kmサーキットコースで、25周回・150kmのレースが行われ、KINAN Racing Teamの孫崎大樹が優勝した。

孫崎大樹が東日本ロードクラシックDay-1優勝 © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

フィニッシュ直前の上り区間で抜け出し、最後は2選手での争いを制した。チームとしてこれまで数勝を挙げ、相性のいい群馬サイクルスポーツセンターで、再びのタイトル獲得。孫崎個人としては、これがJプロツアーでは初めての勝利となった。

KINAN Racing Teamにとって待望の2023年初勝利

国内各地を転戦する同シリーズの第6戦。今回で57回目となる伝統の東日本ロードクラシックは、過去にも数々の好勝負が演じられてきた。群馬のコースは細かなアップダウンや左右に連続するコーナーが特徴。1周6kmを25周回、150kmで競うレースは、コース変化の多さも関係しタフな展開になることが見込まれた。同時に、シリーズにおける格付けも上から2番目のゴールドに設定。優勝者は500ポイントが付与され、年間の個人ランキングでも重要な位置づけとなっている。

KINAN Racing Teamはこのレースの直前まで群馬県内でのトレーニングキャンプを行い、選手・チームそれぞれの強化とコンディションアップに努めてきた。先々に待つ目標レースを見据え、今節は仕上がりを確かめる意味合いも込められた。出走は、孫崎、山本元喜、白川幸希、トマ・ルバ、新城雄大、津田悠義、畑中勇介の7人。

レーススタートから集団前方に構えたKINANメンバーは、序盤の動きに津田や白川が反応し、プロトンの活性化を図る。しばしアタックと吸収が繰り返されたが、5周目に入って畑中を含む7人の先頭グループが形成。主要チームがそれぞれ選手をこの中に送り込んだことによって逃げの態勢が整った。

その後もメイン集団では追走狙いのアタックが散発し、一時は新城や津田が数人のパックに加わる場面も。出入りが続いた中から、10周目に山本が6人の追走グループにジョイン。脚のあるメンバーがそろい、前を行く7人を追いかけ始めると11周目後半には先頭に合流。この時点で、KINAN勢は畑中と山本が先行する形になった。

快調に飛ばした先頭グループは、メイン集団に対して最大3分のリードを得る。ただ、フィニッシュまで10周回を残したあたりから愛三工業レーシングチーム、チームブリヂストンサイクリングなどが集団のペースを上げて差を縮めていく。やがて、その差は数十秒に。

集団が迫る中、残り5周となったところで先頭グループから畑中がアタック。これは決まらなかったものの、次の周回で山本が仕掛けると、チェックに動いた2選手とともに先行を開始。それまで一緒に逃げてきた他のメンバーを引き離し、メイン集団にも1分ほどの差で残り周回へ。

しかし、残り3周となったところでチームブリヂストンサイクリングが一気に集団のペースを引き上げると、山本らとの差はあっという間に縮まって約20秒差に。この態勢で最終周回の鐘が鳴った。

東日本ロードクラシックDay-1 © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

懸命に逃げてきた山本だったが、集団のペースが勝って周回半ばまでに吸収される。代わって、集団に待機してきたメンバーがチームブリヂストンサイクリングの後ろを固めて勝負どころを見定める。

そして、残り3kmから始まる最後の上りでトマがアタック。これをフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が追随し、さらには孫崎も続く。トマの牽きによって集団が崩れると、俄然前の3人が優勢に。トマがフィニッシュ前200mまで牽引を続けると、いよいよ勝負は孫崎とマンセボのマッチスプリントに。マンセボをマークした孫崎は、満を持して最後の100mで加速。後続の追撃もかわして、一番にフィニッシュラインを通過した。

1月のシーズンイン以来、上位入りを繰り返しながらもあと一歩勝ち星には届いていなかったチームだったが、その状況を打破する会心のレース。チームに今季初勝利をもたらしたのは、エーススプリンターとして2023年に加わった孫崎だった。個人としては2022年8月以来、Jプロツアーでは初めてとなる優勝となった。

また、この結果により孫崎はシリーズの個人ランキングで6位にジャンプアップ。トップとの差は大きいが、ここからポイントを重ねてさらに上を目指していく。アシストした選手たちもそれぞれに役目を果たし、次につなげている。

孫崎大樹が東日本ロードクラシックDay-1優勝 © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

お待たせしました!という感じです! やっと勝てました! 

早くもトレーニングキャンプの成果が出たチームと選手たち。完全に流れをつかみ、この勢いのまま次戦に向かう。翌30日のDay-2は、同じコースを10周回する60km。距離は大幅に短くなるものの、このレース同様に逃げとスプリント双方を視野に入れて連勝を狙う。

孫崎大樹のコメント
最後の局面は、(山本)元喜さんたちの逃げが捕まってすぐにトマが上りで動いて、自分もそれに続く形だった。一緒に来たマンセボ選手が牽引に加わってくれたことも逃げ切りにつながった。脚を残すことができていたので、もし後ろの選手たちに追いつかれていてもスプリントで勝てていたと思う。それくらい自信があった。  
チームとしては序盤から逃げに入って、他チームの消耗を誘うつもりだった。畑中さん、元喜さんが長く逃げてくれて、プラン通りのレース展開にできた。今日のような流れであれば、逃げ切りでも良かったし、スプリントになった場合は自分が狙うことも決まっていた。さすがに今日の最終局面はプレッシャーがかかったが、勝ち切れて本当に良かった。すべて、メンバーひとりひとりが役割を理解してレースを進めた結果だと思っている。  
この勝利は自分やチームだけでなく、日頃から支えてくださるスポンサー企業やサプライヤー企業のみなさん、ファンの方々のおかげだと感じている。時間はかかってしまったけど、最高の報告ができてうれしい。ここから勝利を積み重ねて、チームの強さを証明していきたい」

●キナンレーシングのホームページ

山歩きと普段使いが両方できるリックサックがほしかった

英国発祥のアウトドアブランド、karrimor(カリマー)が2023年春夏コレクションとして、山行スタイルを選ばず、さまざまなシーンや人に対応できるシームレスなリュックサック2型を発売した。

2023年春夏シーズンは、BEYOND the LINE(ビヨンドザライン)、いまいる場所、いまできることから、もう一歩前へ。これをシーズンテーマとし、これまで培ってきたモノ作りのノウハウと、新たなコンセプトを融合させ、新たな提案をする。

山行時に活躍する豊富な機能と、山帰りにそのまま買い物に行けるシャープなルックス

発売されたaltairシリーズは、山行時に必要とされる耐久性、豊富な機能を備えるとともに、リュックサックの形状はよりシャープで、公共交通機関などを利用して山に登る人にもシームレスで使いやすいルックスの2型。

フロントポケット&オーガナイザー

altair 25 (アルタイル 25)

軽量ながらも高い強度を誇るリップストップナイロン生地を使用し、表面はマットな質感で落ち着いた印象のある耐摩耗性に優れた特殊コーティング仕様で、シンプルなデザインながら止水ジッパーを採用したフロントポケットやポールキャリアなどの豊富な装備でデイハイクから日常使いまで幅広く対応するリュックサック。

altair 25(アルタイル 25)
止水ジッパーフロントポケット

商品番号:501146
価格:¥19,800(税込)
容量:25L
サイズ:H52×W28×D22cm
背面長:49cm
重量:770g
カラー: Coyote / Silver / Olive / Black
素材情報:210D 4×4 R/S NY (ナイロン100%)

コード用ループ

altair 20 (アルタイル 20)

軽量ながらも高い強度を誇るリップストップナイロン生地を使用し、表面はマットな質感で落ち着いた印象のある耐摩耗性に優れた特殊コーティング仕様で、シンプルなデザインながらフロントに大きく配したポケットやバンジーコード付属などの豊富な装備で、デイハイクから日常使いまで幅広く対応するリュックサック。

altair 20(アルタイル 20)
本体内部にオーガナイザー

商品番号:501147
価格:¥17,600(税込)
容量:20L
サイズ:H47×W28×D20cm
背面長:44cm
重量:710g
カラー: Coyote / Silver / Olive / Black
素材情報:210D 4×4 R/S NY (ナイロン100%)

フロントセンターポケット

これから登山を始める人のファーストリュックサックとしても使いやすい、スマートな収納性とシンプルな機能を搭載したこれら新作2アイテムは、カリマーストア原宿店と公式オンラインストア、取り扱い店舗で発売中。

●カリマーのホームページ

8580円の自転車ヘルメットに街でも似合う新色追加される

オージーケーカブトがトレイルライドやクロスバイクなどのサイクリングシーンにマッチするヘルメット、「FM-X(エフエム・エックス)」に新色G-1カラーを追加して発売した。新色3カラーはG-1 マットディープターコイズ、G-1 マットグレーミント、G-1 マットベリー。

G-1 マットグレーミント

FM-Xはフィールドやジャンルの垣根を越えて多目的に使えるスタイリッシュなヘルメット。
本格的なライドを楽しむ人から、日々の移動で使用する人など幅広いユーザーに使いやすいモデル。

今回追加する「G-1」カラーは、FM-Xでは初のグラフィックカラー。頭頂部から放射状に広がるアースカラーをベースに、側頭部のカラーの切り替わり部分にはグランジ加工を施したグラフィックとし、自然な風合いや山岳地帯の雰囲気を表現しているという。

G-1 マットベリー

価格は税込み8580円。サイズ(頭周のめやす/参考重量):M/L(57-59cm/280g)。JCF(公財)日本自転車競技連盟推奨なのでレースでも使用できる。

・フィールドを選ばないマルチパーパスデザイン。
・上下5段階の可動式バイザー。
・ゴーグルが干渉しにくいフロント形状。
・アイウェアをホールドしやすいエアホール形状を採用。
・適度にしなるサポート部分により頭部を包み込むフィット感を実現するXF-8アジャスターを採用。
・こめかみへ汗が流れやすいフロント用インナーパッド。

●オージーケーカブトの詳細ページ

ジロ・デ・イタリアにエベネプール、ログリッチ…出場選手発表

第106回ジロ・デ・イタリアが5月6日から28日まで開催され、現世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(23)=ベルギー、スーダル・クイックステップ=、プリモシュ・ログリッチ(33)=スロベニア、ユンボ・ビスマ=らが出場する。4月27日に主催者が出場選手リストを公表した。

2022ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

前年の覇者ヒンドレーは欠場、日本勢なし

前年の覇者ジャイ・ヒンドレーは欠場。過去の総合優勝者は2020年大会を制したテイオ・ゲイガンハートのみ。イネオスグレナディアーズはゲラント・トーマスも加わった。

2013年と2014年に総合2位となったリゴベルト・ウラン、2017年総合4位のティボー・ピノ、2020年に15日間首位を守ったハオ・アルメイダらがマリアローザをねらう。

2023ジロ・デ・イタリア日程

5月6日(土) 第1ステージ コスタデイトラボッキ 19.6km(個人タイムトライアル)★
5月7日(日) 第2ステージ テラーモ〜サンサルボ 201km
5月8日(月) 第3ステージ バスト〜メルフィ 216km★★
5月9日(火) 第4ステージ ベノーサ〜ラーゴラチェーノ 175km★★
5月10日(水) 第5ステージ アトリパルダ〜サレルノ 171km★
5月11日(木) 第6ステージ ナポリ〜ナポリ 162km★
5月12日(金) 第7ステージ カプーア〜グランサッソ・ディタリア 218km★★★
5月13日(土) 第8ステージ テルニ〜フォッソンブローネ 207km★★
5月14日(日) 第9ステージ サビニャーノ・シュルルビコーネ〜チェゼナ 35.0km(個人タイムトライアル)★★★
5月15日(月) 休養日
5月16日(火) 第10ステージ スカンディアーノ〜ビアレッジョ 196km★
5月17日(水) 第11ステージ カマイオーレ〜トルトーナ 219km★
5月18日(木) 第12ステージ ブラ〜リボーリ 179km★★
5月19日(金) 第13ステージ ボルゴフランコ・ディブレア〜クランモンタナ 207km★★★
5月20日(土) 第14ステージ シエッレ〜カッサーノマニャーゴ 193km★
5月21日(日) 第15ステージ セレーニョ〜ベルガモ 195km★★★
5月22日(月) 休養日
5月23日(火) 第16ステージ サッビオキエーゼ〜モンテボンドーネ 203km★★★
5月24日(水) 第17ステージ ペルジーネバルスガーナ〜カオルレ 195km
5月25日(木) 第18ステージ オデルツォ〜バルディゾルド 161km★★★
5月26日(金) 第19ステージ ロンガローネ〜トレチメディラバレド 183km★★★
5月27日(土) 第20ステージ タルビジオ〜モンテルッサーリ 18.6km(個人タイムトライアル)★★★
5月28日(日) 第21ステージ ローマ〜ローマ 135km

★は難易度

キャノンデールが期間限定のアーリーサマーセールを実施

キャノンデール・ジャパンが4月26日から6月30日までの期間、キャノンデールの一部のモデルを対象とした 「Early Summer Sale」を実施する。

ひとりでも多くのサイクリストにキャノンデール製品のよさを知ってもらい、サイクリングに最適な季節を新しいバイクとともに楽しんでもらえるように購入しやすい価格を打ち出した。

Early Summer Sale 概要
内容:一部のモデルを対象に最大30%OFF
期間:2023年4月26日(水)~ 2023年6月30日(金)

●キャノンデールの詳細ページ