2025ツール・ド・フランスは北部のリールメトロポールで開幕

2025年の第112回ツール・ド・フランスは、フランス北部のリールメトロポールとそれを取り囲むオードフランス地域圏で開幕することが明らかになった。その詳細は11月30日に発表される。

リールの観光名所グランプラス ©HelloLille_Nablezon

2024年の第111回大会は史上初めてイタリアで開幕し、そして2024パリ五輪の影響で地中海沿岸のニースにゴールする。今回はその1年後、2025年大会の開幕地とそのコースが明らかになるものと思われる。

ベルギーに接し、ユーロトンネルでロンドンにもつながるリールメトロポール

リールは首都パリの北250kmに位置する交通の要衝で、TGV、ユーロスターなどの鉄道、高速道路、空路を利用してパリ、ブリュッセル、ロンドン、アムステルダムといった首都にアクセスできる。

日本では馴染みがないが、フランス独自の地方行政に関わる法律(2014年施行)によって「メトロポール」という独自の共同体を形成。拠点となる大都市を中心に周囲の市町村が密接に結びついて発展していくことを目的としている。リールメトロポールもその一つ。

リールメトロポールはオードフランス地域圏の首府でもあり、2025ツール・ド・フランスはリールメトロポールとそれを含むオードフランス地域圏が開幕地とされた。詳細は11月30日に発表されるが、開幕からの3日間ほどのコースが発表される見込み。

リールメトロポールの観光はストリートアートめぐり

グランプラス © HelloLille_Samuel Baba

リールとその周辺部ではあちこちでストリートアートを目にする。しかも、しばしば予想外の場所で! メトロポール・ユーロペエンヌ・ド・リールと観光局は、メトロポールを構成する95の市町村のファサードを飾る約800のアート作品を鑑賞できるよう、無料でアクセスできる20のコースを設けた。
https://hellolille.eu/je-visite/mes-envies/hellostreetart/

【ツール・ド・フランス現場雑感】全日程を完走して共有できることがある

ビンゲゴーがポガチャルに圧勝して2年連続の総合優勝

第110回ツール・ド・フランスは最終日となる7月23日、サンカンタン・アン・イブリーヌ〜パリ・シャンゼリゼ間の115.5kmで第21ステージが行われ、ユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)が2年連続で総合優勝した。

2023ツール・ド・フランス総合優勝のビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet
サンカンタン・アン・イブリーヌのベロドロームナシオナルが最終ステージのスタート地点。2024年、ツール・ド・フランスの5日後に開幕するパリ五輪の自転車トラック競技会場だ ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランスの主役はタデイ・ポガチャルだったかもしれない ©A.S.O. Pauline Ballet
シャンパングラスを持って撮影に応じるビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランスの4賞ジャージ ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランス総合優勝のビンゲゴーを中央に、左が2位ポガチャル、右が3位アダム・イェーツ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランスの4賞ジャージ ©A.S.O. Pauline Ballet

34歳で始めた一人旅。まさか60歳まで続けているとは

最終日はパリまで377kmの距離を残してブズールという町に当宿。朝に体温が上昇する程度のランニングに出かけると、ホテル周辺は総合病院などが林立するエリアでした。丘の上に尖塔がありましたが、そこまで上ると体力を消耗してしまいそうなので断念。パリへの最後の移動、そして日本への長時間移動など、この後のことを考えると、どのくらい疲れていて、どのくらい体力が残っているのかわからないので。

コンコルド広場に到着しました

パリ行きの道は順調でした、およそ80kmほどのどかなN国道をノンビリと走り、スピードに慣れたあたりでA5高速へ。序盤はとても空いていて、時速130kmを出してもドキドキすることなく、堅実に距離を稼いでいきました。

パリまで377kmほどの田舎町のホテルで最後の朝ごはん

前日に、今回のフランス取材で初めて進行方向に「パリ」の標識を発見。この日はパリまでの残り距離をにらみながらの運転。数字が小さくなっていくと、「ツール・ド・フランスもあとこの距離で終わってしまうんだな」と感慨深くなりました。

パリ・シャンゼリゼは暑さもなくさわやかな天候だった ©A.S.O. Pauline Ballet

そしていつものようにエッフェル塔が見えてくるとパリ。環状線がかなり渋滞していましたが、南から右回りに半周してツール・ド・フランスの推奨コースに沿ってパリの北からコンコルド広場にアクセス。ツール・ド・フランスを追いかける旅が終わりました。

フランスのイメージはこれかなと思う

プレスセンターで知り合いにあいさつしてお別れ。毎年、「それじゃあ来年」と声をかけあっていましたが、今年はちょっと説明が増えました。もちろん来年もこの夏祭りの現場に戻ってきたいという気持は強いです。

購入したフランス車の納車場所まで、あらかじめアポイントした時間よりも1時間半も遅れて到着。さらに後部トランクの荷物の整理をしていなかったので、その場で2つのバッグに収納。各地でいただいた瓶詰めのお土産は申し訳なかったですが捨てました。

日本のみなさんが選手の健闘と大会の成功を祈って作った千羽鶴とともにパリに凱旋

原稿を書き上げ、あとは画像のアップを待って、メール添付して送るだけ。明日の朝は早いですが、今夜はホテルのレストランに繰り出しますかね。

初めて全日程を単独で駆け巡ったのは34歳のときでし。正直なところ、60歳になっても駆け巡っているとは思いませんでした。選手とともにパリに到着するのは、コロナ禍で現地取材を断念した2年を差し引いて25回目となりました。

新車で購入したシトロエンC3エアクロスは3997km走った

雑誌編集部時代の10年は会社員だったのでスポット参戦でした。機会があってフリーになってからは全日程を選手とともにフランスを一周することを最低限のこととして駆け巡っています。23日間という長い日程の果てに、パリ・シャンゼリゼに到着した選手の感慨を共有したいという思いがあったからです。

原稿をと切らせないという最低限のルーティーンをこなして、終盤はちょっとバテてしまいましたがあなんとか完走しました。つたなく殴り書きの現地日記にお付き合いいただき、ありがとうございました。

2023ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

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【ツール・ド・フランス現場雑感】ごほうびは美しい村々を最後に目撃できたこと

最後に魅せたポガチャルの意地、そしてビンゲゴーが連覇に王手

第110回ツール・ド・フランスは7月22日、ベルフォール〜ル・マクルスタイン・フェレルリン間の133.5kmで第20ステージが行われ、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)がユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)らをゴール勝負で制して優勝。

新人賞のポガチャル ©A.S.O. Charly Lopez

区間3位のビンゲゴーは2年連続の総合優勝をほぼ確実にした。

最後のツール・ド・フランスとなるピノの応援がすさまじかった ©A.S.O. Charly Lopez
ベルフォールを出発 ©A.S.O. Pauline Ballet
ジャイ・ヒンドレー ©A.S.O. Charly Lopez
2023ツール・ド・フランスはボージュ山系へ ©A.S.O. Charly Lopez
最後にステージ優勝を狙いにいったピノ ©A.S.O. Charly Lopez

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

マイヨジョーヌのビンゲゴー ©A.S.O. Charly Lopez

絵葉書のような景色を楽しみ、翌日はいざパリ!

23日間の長丁場で争われるツール・ド・フランスもいよいよ22日目。最終日はパリの凱旋パレードという位置づけがすべての選手にあって、この最終日前日で事実上の総合成績の行方が決着します。ゴール後のプレスセンターで総合1位の選手が各国同時通訳者を横に配置しながら、コメントするのが恒例でもあるからです。

最終日前日のスタート前、選手全員と監督らが記念写真をせがむ

最後の勝負どころはボージュ山系。最近はプランシュデベルフィーユのゴールがよく設定されているエリアです。ドイツ国境にも近く、牧歌的な美しい村々が点在しています。プランシュデベルフィーユにゴールしたあとは、近くの大都市ブザンソンまで田舎道をつないで目指すのですが、どこを切り取っても絵葉書のような景観が楽しめます。

この日は前日のステージとちょっと離れたところにあるので、スタートまでが200kmの大移動。序盤は真っ直ぐなN国道を高速で飛ばしていけましたが、ブザンソンから北は村々をつなぐ細い道路の連続で、かなり苦労しました。それでも絵葉書のような景色を楽しめたのは幸いです。

2023ツール・ド・フランス ©A.S.O. Charly Lopez

最終日のパリまではA5高速をひた走ることになるので、のんびりと景色を楽しむのもこれが最後です。

スタートを見届けてから一路パリ方向へ。終盤に来てやはり疲れがたまってきたのを自覚していること、すこし風邪気味なことがあってここはいったんホテルでおとなしくしていたほうがいいかなと。最終日前夜はワイワイやりたかったんですが、クスリを服用することにしたので、ホテからすぐのマクドナルドでテイクアウトのみ。

最後にこののどかな道を走れたのはごほうびかな

ホテルは勝手知ったるイビスです。ホテル予約サイトの10泊で1泊無料のリワードで予約しました。ちなみにこの旅で3回リワードがたまったので、最後のシャルル・ド・ゴール空港のイビスもリワードで予約してから、従来の予約をキャンセル。イビスのフロントに為替相場が表示されていて、日本円は167円と出ていたのは心がざわつくので見なかったことにしました。

町の真ん中には必ず教会がある

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【ツール・ド・フランス現場雑感】美食のブルゴーニュから恐竜のジュラへ

写真判定でモホリッチが涙のステージ優勝

第110回ツール・ド・フランスは7月21日、モワラン・アンモンターニュ〜ポリニー間の173kmで第19ステージが行われ、バーレーンビクトリアスのマテイ・モホリッチ(スロベニア)が写真判定にもつれ込む僅差でスーダル・クイックステップのカスパー・アスグリーン(デンマーク)を制した。

モホリッチがアラフィリップと抱き合う ©A.S.O. Charly Lopez

モホリッチは2021年の2勝に続く3勝目。アスグリーンは前日に続く勝利を逃した。

総合成績では首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)がその座を難なく守った。

2023ツール・ド・フランス第19ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
アレクセイ・ルツェンコがアタック ©A.S.O. Pauline Ballet
涙ぐむモホリッチ ©A.S.O. Charly Lopez
ポガチャルが新人賞ジャージを獲得 ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第19ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

朝のランニングは滞在地の素顔を知るのにちょうどいい

第19ステージの朝は前日のゴール、ブールカンブレスから北に20kmほど、モントルベルアンブレスという小さな町で迎えました。夜遅くまでにぎわっていたバーの2階にある部屋でしたが、深夜には酔客も散会したこと、部屋そのものが気持ちよかったことも幸いして、前日に感じた疲れも消えました。

ブーランジュリーはパン屋、パティスリーはケーキ屋、フロマジュリーはチーズ屋さん

いつもの午前6時の目覚まし時計で起きて、水分補給をしてから朝のランニング練習に。街道筋は走りにくいのでホテルの裏から郊外に出る道を見つけて走っていくと、シュマンと呼ばれる未舗装の小径を発見。1台だけMTBとすれ違いましたが、それ以外の人の姿はなく、用水路沿いの道を気分よく走ることができました。

この小径はサッカーとラグビー場がそれぞれ3面ずつあるグラウンドを取り囲むように伸びていくんですが、これだけプレーがのびのびできるんだからフランスは強くなるはずです。朝からスプリンクラーが稼働していて、グラウンドの芝(というより草)を養生していました。

バーとは異なるフロアに朝食会場があって、これが意外と落ち着いて過ごすことができた

フランス各地の草地のことで一つ気づいたのは、家庭の庭やグラウンドはもちろん道路沿いの草地まで定期的に草刈りしているんですね。自治体が乗用芝刈り機を駆動させてきれいにしているみたいです。無造作に伸び放題というのが少ないなあとフランスに来て感じるようになりました。

ジュラ産の白の発泡ワイン

レースは美食のブルゴーニュからジュラへ。ジュラ紀やジュラシックパークの語源で、大昔は恐竜がいっぱいいたはずです。 翌日は一気に200km以上も北上してボージュ山系で最後の山岳ステージとなりますが、ホテルが予約できなかったのでさきほど迂回路で通過したはずのロンスルソニエへ逆戻り。

ホテル予約サイトの「10泊すると1泊無料」の条件を使って、ちょっといいホテルに宿泊しました。カジノが併設されていて、その隣りにあるレストランのテラスで食事。服装規定があるとネットに出ていたので、裏起毛のジャケットを着ていったのですが、他のお客さんは短パンなど。でもテラス席は裏起毛のジャケットを着込んでボクにはちょどいい感じでした。

心地よい外気の中でのディナーはフランスならではのもの

ツール・ド・フランス取材も最終日前日のスタートまでと、そして最終日パリまでの370km移動を残すのみとなりました。プレスセンターの取材陣も、大勢がビンゲゴーの圧勝で収束していることもあり、もう最後のまとめに入っています。

駆け出しのころは最年少でした。当時は名物記者がいて、電話をかけて口述筆記させているクロード・シュドルとか、タイプライター記者とかユニークな年長者がたくさんいて、それはもうプレスセンターになくてはならない存在でした。

2023ツール・ド・フランス第19ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

欧州は世襲的なところがあるので、そのうちに息子たちが役割を引き継ぐようになり、ボクの知るベテラン勢は1年ごとに姿が見えなくなっていき、いまはもう誰も残っていません。年寄はボクだけになってしまった感があります。

パリに入ってしまうとそんな感傷は怒涛の喧騒で消しさられてしまうので、郊外にいるうちに過去の記憶を思い返しておきました。

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【ツール・ド・フランス現場雑感】思いつきの変更は必ずうまくいかない

スタート直後から逃げたアスグリーンがゴールまで逃げ切った

第110回ツール・ド・フランスは7月20日、ムーティエ〜ブールカンブレス間の185mで第18ステージが行われ、スーダル・クイックステップのカスパー・アスグリーン(デンマーク)が背後に迫る大集団をわずかに振り切って初優勝した。

アスグリーンが初優勝 ©A.S.O. Charly Lopez

総合成績では首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)がその座を難なく守った。

表彰式を待つ間にクールダウンするポガチャル ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランス第18ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
アスグリーンら4選手が逃げに逃げる ©A.S.O. Charly Lopez
マイヨジョーヌのビンゲゴー ©A.S.O. Charly Lopez

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第18ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

広告キャラバン隊に引っかかったのがつまづきの始まり

アルプス最後の朝は軽いランニングから始めました。この町は温泉施設があり、そして温泉施設があるところには必ずカジノがあります。アルプスから流れてくる石灰で白濁した川は激流で、川沿いをランニングしているだけで肌寒さを感じます。

広告キャラバン隊の出陣に引っかかった

シャワーを浴びてから、朝食へ。朝8時には教会の鐘が鳴り響きました。ボクの部屋は隣りにある教会の鐘楼に手が届くくらいに近く、前日夜の鐘の音はものすごくうるさかったのですが、朝食会場にいてよかった。

ブリドレバンという温泉地を夕食後に散歩

ホテルにはブラジルからサイクリングツアーでやってきた団体がいて、そのうちの一人が日系人。たまたま国内旅行に来ていたフランス人の女性が日本語ができるようで、話しかけていました。日本語、久しぶりに聞きましたが、実は日本人ではないという…。

2023ツール・ド・フランス第18ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

スタート地点に顔を出しましたが、暑くなりそうで、しかもこの日は迂回距離も240km以上あるので、早めに出発を決めました。前夜まで周到に動きを考えていましたが、その場で臨機応変に変更できるのが単独取材のいいところ。反面、思いつきなので失敗することも。

エビはフランス語でガンバ

スタート地点の関係車両の複雑な導線はチェックしていたはずなのに、フェンス一つの違いで広告キャラバン隊の出動に切っかかりました。こうなると30分はチーム車両も大会運営車両も足止めを喰らいます。

フランスのアイスはかわいい。ミコはかつて自転車チームもスポンサーしていた

さらにアルベールビルでは高架道路でレースルートをパスできると思ったのに、これが不可能。その結果下道を走ってのどかにゴールに向かうという作戦が頓挫。しかたないので推奨迂回コースである時速130kmの高速道路をリヨンに大きく迂回していくハメに。高速道路はスピードが高いので緊張して疲れ果てます。

千羽鶴が各ステージのプレスセンターで大会を見守っている

フランスの旅もあとすこし。今日は郵便局さえ歴史を感じさせる田舎町へ。宿はバーの2階です。でも落ち着ける雰囲気で、部屋もきれいなので居心地はいいです。

フランスは郵便局さえ歴史的建造物
バーの2階がホテル。部屋にはサーキュレーターがあるだけだが、まずまずの居心地

この日はかなりハードな移動だったので、そしてこの旅で1回は食べておきたかったのでケバブ屋でテイクアウト。もちろん宗教面からアルコールは販売していないので、モンブランでもらったジンの小瓶を炭酸ジュースで割って飲んだらおいしいこと。

ピッツェリア。店頭に掲げられたメーニューを見るとそこそこの値段が

あ、ケバブ屋のポイントカードをもらいました。あと10回はこないような気がしますが。

ケバブ屋のポイントカード

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【ツール・ド・フランス現場雑感】アルプス滞在最後の夜くらいは

ポガチャル、最悪のバッドデー…ビンゲゴーに総合で7分35秒差

第110回ツール・ド・フランスは7月19日、サンジェルベ・モンブラン〜クーシュベル間の166mで第17ステージが行われ、AG2Rシトロエンのフェリックス・ガル(オーストリア)が独走し、初出場で金星をつかんだ。

ポガチャル、プロ生活で最悪の1日 ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績では首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が、総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)に5分45秒の大差をつけてゴール。総合成績では7分35秒差となり、大会2連覇に大きく前進した。

アルプスでのし烈な戦い ©A.S.O. Pauline Ballet
ユンボ・ビスマがマイヨジョーヌ集団をコントロール ©A.S.O. Pauline Ballet
ポガチャルがビンゲゴーについていけたのはここまでだった ©A.S.O. Pauline Ballet
山岳賞ジャージを着るチッコーネ ©A.S.O. Pauline Ballet
フェリックス・ガルが初出場で初優勝 ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

マイヨジョーヌを確実に守ったビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet

ホテルは値段相応…そして早めに予約するのが正解

街道筋のエアコンもない古びたホテルで一泊。明け方になってクルマの通行が増えてきたころには窓も閉めようと思えるほど外気も冷えてきました。さすがに連日の高地ラン練習で身体が消耗しているため、この日は散歩。街道ではない方向に歩いていくと、オートバイのダートコースがあり、その横の川沿いに気持ちよさそうなサイクリングコースが通っていました。

これまでで最もプレスセンターらしくないプレスセンター

こんなところを自転車で走れたらいいですよね。おそらくアルベールビルからシャンベリーまで、反対側に行けばアヌシー湖まで走っていけるはずです。周囲は林間部なので夏でも太陽光がさえぎられ、熱中症にもならないと思います。

街道筋の、かつては栄えていたかもしれないホテル

すでにこの日のコースの半分まで来ているので、いったんアルベールビルまで戻り、そこからもう何度もクルマで走ったことのあるN90号線を南下。つまりアルプスの奥、ムーティエへ。ここからコースとなりますが、このコース沿いにこの日のホテルがあるので、予約確認のためにいったんフロントに顔を出しておきました。

2023ツール・ド・フランス第17ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

フランス入りするまで日程終盤のホテルを取っていなかったので、すでに手ごろなホテルは満室。この日は宿泊費1万7000円ですが、遠いところまで行くのも大変だろうとお金で解決しました。外見は古びていますが、水回りはきれいに改装されいるのが金額の高いホテルの特徴。とりわけシャワースペースがカーテンではなく、ガラスで覆われているのがありがたいです。カーテンって肌にまとわりつくので気持ちいいものではないですからね。

コース途中にこの日のホテルがあったので、念のため顔を出して予約確認

プレスセンターはスキーのジャンプ競技場。ノルディックではないですが、クーシュべルは2023年2月にアルペンスキーの世界選手権を開催したところです。レースも中盤のまったりしているころ、ジャンプ会場の人工芝にスプリンクラーで水が撒かれ、女子選手が練習を始めたので、取材陣も興味津々。まさにスキーリゾートでの夏場の戦いです。

今年はアルプスでの滞在が長く、かれこれ6日目。酷暑の日本のみなさんには申し訳ないですが、昨日をのぞいてほぼ快適に過ごしています。

練習が始まったんですけど…

ホテルにはプールがあって、その横のテラス席がレストラン。これまでスペイン、ポツンと一軒宿の夕食、ムール貝のレオン・ド・ブリュッセル、来来軒、、ベトナム料理の外食でしたが、アルプス最後にようやくフランス料理。

フランス料理の定義は、食後に「チーズは?」と聞かれればフランス料理です。

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