4年に一度の地球一周ヨットレース、ヴァンデ・グローブ開幕…白石康次郎3度目の挑戦

単独無寄港無補給世界一周ヨットレース、ヴァンデ・グローブが2024年11月10日、フランス大西洋岸のレサーブルドロンヌを出発する。日本の白石康次郎も参加し、地球を一周して再びレサーブルドロンヌのゴールを目指す。

2020ヴァンデ・グローブのスタートシーン ©Vendée Globe – Alea – JL.Carli

海を帆走するというより、時速80kmで海の上を飛ぶレース

4年に一度の地球一周ヨットレース。世界中から40人が参加し、単独・無寄港・無補給。「80日間世界一周」の書籍の世界を上回る74日が最高記録(2016-17年優勝者)。140日かけて完走した人も勝者として迎えられる。最新艇はフィンが付いていて、時速80kmで海の上を飛ぶ。当然海面に落ちるので操舵するセーラーは常にヘルメットをかぶっているという。

ヴァンデ・グローブに参加する最先端ヨット ©DMG MORI

鎌倉育ちの第一人者、白石は8年前の初挑戦時はNHKで壮絶なリタイア特集が報じられたが、4年前は完走。今回は3回目の挑戦となる。

白石康次郎(DMG MORI SAILING TEAM)©Hikaru Ogawa

男女や身体ハンデに関わらずチャレンジ…完走した全員が勝者

ヴァンデ・グローブのジェネラルディレクター、ローラ・ルゴフは、このヨットレースについて、「ひとつの海、ひとつの船、ひとりのスキッパー、それだけで構成される単純明快なコンセプトで、誰もが理解できるレースだ」と説明。その一方で、「海のエベレストと呼ばれるほど苛酷なレースでもあり、これまで完走できた人の数は宇宙に行った人の数より少ない」とレースの厳しさについて言及した。

「外洋航海のあらゆる困難をたった一人で克服せねばならない状況は、まさにスキッパーを中心としたヒューマンアドベンチャーであり、男女の差や身体のハンディキャップの有無に関わらず、誰もが同じ条件とカテゴリーで戦う世界で最もインクルーシブなスポーツ大会のひとつである」とも述べた。

ヴァンデ・グローブに参加する最先端ヨット ©DMG MORI

白石は、「ヴァンデ・グローブを日本で例えるなら箱根駅伝。観客がトップから最終走者までを同じ熱狂度で応援する醍醐味がある。レースを通じて感動を共有したい」と2024年大会への意気込みを語っている。

2005年のツール・ド・フランスゴール後、宿への抜け道として通ったパッサージュ・デュ・ゴワ。次第に潮が満ちてきて心が落ち着かない

ヴァンデ県は干潮時にしか通行できないパッサージュ・デュ・ゴワがあって、ツール・ド・フランスでも2回コースになっている。2024年1月に来日したヴァンデ・グローブの関係者によると「地中海は内海で、潮の満ち引きもなければ波もない」と西海岸の誇りを強く語っていた。

●ヴァンデ・グローブのホームページ

東京2025世界陸上に大会ボランティアとして参加してみたい

東京2025世界陸上財団が2025年9月に東京・国立競技場で開催する「東京2025世界陸上競技 選手権大会」の運営をサポートするボランティアの募集を開始した。

東京2025世界陸上ボランティアに支給されるウエア。シューズデザインは今後決定

東京2025世界陸上は、2025年9月13日(土)から21日(日)までの9日間に渡って開催され、 世界中の約200の国や地域から約2000人のアスリートと大会関係者が参加し、世界中から多くの観客が来場する。

ボランティア経験が豊富、語学スキルや陸上競技の知識を活かしたい、ボランティア活動の第一歩を踏み出したいなどの熱意がある人はぜひ。

募集期間は11月1日10時から12月16日正午まで

■募集人数:3000人程度
■募集期間:2024年11月1日 (金)10:00から12月16日(月)12:00(正午)まで
■応募要件 ※以下のすべてを満たすこと
○2025年4月1日時点で満18歳以上 ※応募時に18歳未満である場合は、保護者の承諾が必要
○活動期間中において、日本国籍または日本に滞在する資格を有する
○各種研修への参加が可能であること
■活動期間:2025年8月30日から9月23日までのうち7日間程度
1日8時間程度(休憩時間を含む)、連続での活動は5日以内
■活動場所:国立競技場、ロード競技会場、練習会場、都内ホテル、羽田・成田空港

●東京2025世界陸上公式サイト内ボランティアページ

ヒマラヤ未踏峰に初登頂した学生プンギ遠征隊が帰国

日本山岳会学生部プンギ遠征隊が2024年11月1日、成田国際空港に到着した。ヒマラヤにある標高6524mの未踏峰「プンギ」を目指し、9月5日に羽田国際空港を出発。10月12日に登頂した。メンバーは、総隊長・井之上巧磨(青山学院大学体育会山岳部)、登攀隊長・尾高涼哉(東京大学運動会スキー山岳部)、装備全般・中沢将大(立教大学体育会山岳部)、渉外・会計・記録・横道文哉(立教大学体育会山岳部)、会計・芦沢太陽(中央大学山岳部)の5人。

成田空港に到着した芦沢太陽、井之上巧磨、横道文哉、中沢将大。取材記者の到着遅れで尾高涼哉はすでに帰路に

アタックの日に見た朝焼けが怖くてきれいだった…横道文哉

「6200mに設営したハイキャンプ(最終キャンプ地点)からいよいよ頂上にアタックする日の朝。そこで見た景色がとても印象に残っています。ヒマラヤ山脈がきれいに遠くまで見えて、朝焼けで少しオレンジがかっていてこの世の景色じゃないみたいで美しかった。ハイキャンプを出発してアタックしたのは2回ですが、登頂を断念して引き返した1回目のほうが強く印象に残っています。とても怖くてきれいな景色でした」

成功の秘訣は間違いなくチームワーク…芦沢太陽

「登頂へのプロセスも困難の連続でしたが、長距離の車移動がネパールでは一番しんどかったです。舗装路じゃないところが多かったので、ガタンガタンと大きく揺れ続けて、吐き気と戦いながら移動しなければいけなかったのがしんどかったです。成功の秘訣は間違いなくチームワークのよさです」

初登頂から戻った夜、ライターの火が灯ったことに感激…中沢将大

「ライターがつかなかったことが一番の思い出です。アタックして登頂を果たし、ハイキャンプに戻った日の夜でした。ライターの火がなかなかつかず、やっと火がついたときは感激しました。日本に無事に帰ってきたことよりもうれしかったです。今はもうすでにネパールが恋しくて」

後輩たちにどんなことをしたのかをしっかりと伝えたい…井之上巧磨

「ネパールの未踏峰遠征において自分自身がいい経験を積めた。自己研鑽ももちろんなんですが、これから大学山岳部に入部してくる後輩たちに、どういうふうに遠征をやったのかを伝えていくのがこれからの任務なのかなと思います。

帰国した現在は次のチャレンジをまだ見据えられていません。ネパールのヒマラヤもよかったんだけど、逆に日本の雪山のよさを再認識することができました。日本の山岳も悪くないなと思うので、国内でまたトレーニングを積んで、そして海外に行きたくなったら真剣に考えてみます」

パリ五輪開催時期の国別・競技別ドーピング…日本はゼロ、多かったのは

第32回オリンピック競技大会(2024パリ)の開催時期において各競技、各国スポーツ選手のドーピング(不正薬物使用)と不正行為の件数がどれだけ公表されたかをThe Movement for a Credible Cycling(MPCC)が2024年10月11日に明らかにした。

スポーツ別のドーピング件数

五輪では6000件が採取され、ドーピング違反は6件

MPCCによると、トップレベルのスポーツはドーピング撲滅のために相当なリソースを投入する必要性を無視できないと指摘している。今回の五輪では、全参加者の約40%にあたる4150人の選手から約6000のサンプルが採取された。これらの検査で明らかになった ADRV(アンチドーピング規則違反)はわずか6件で、すぐに暫定的な資格停止処分となった。

6000サンプルで薬物陽性を突き止めたのは6という数字は馬鹿げているように思えるかもしれないが、分析研究所の調査員とスタッフは、まだ何千件ものケースを処理中で、今後数カ月でさらに新たなケースが明らかになる可能性が高い。

五輪期間中、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は検査官の仕事に加え、フランスの首都に2つの臨時事務所を設置した。そのうちの1つは、発覚したドーピング事件に迅速に対処することに専念していた。強い政治的意志、十分な資源、そしてドーピングに対する妥協のない姿勢があれば、不正行為を抑制できるという意思を感じさせた。

競技別で最もドーピングが多いのは陸上、国別ではインド

とはいえ、2024年は数々の事件で特徴づけられる年となった。2021年の陽性検査が世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によって隠蔽されたとされる中国水泳選手事件、この事件について連邦捜査を開始した米国の政治的反応、そして関係国が自国の法律を世界規程に沿わせようと奮闘する中、いくつかの国家アンチ・ドーピング機関が資格停止となった事件などである。

MPCCの国別・競技別不正リストは3回目。2024年1月1日から9月30日までの件数だ。競技別のトップは陸上競技で、重量挙げ、パワーリフティング、ラグビー、MMA(総合格闘技)、テニス、柔道、ボクシングと続く。国別ではインド、ロシア、ケニアの順。日本は0。

クリーンな自転車競技を目指す団体「MPCC=信頼ある自転車競技のための運動」公式リリースより。

●MPCCのホームページ

人類未踏峰のヒマラヤ・プンギに初登頂…日本山岳会学生部遠征隊

日本山岳会学生部プンギ遠征隊が2024年10月12日、ヒマラヤにある未踏峰「プンギ」に初登頂したと山岳関係者に連絡が入った。プンギはネパールのアンナプルナ山域、ペリヒマール山群に属する標高6524mの未踏峰。同山には2022年秋に、日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊が南西尾根から初トライしたが、6150mで敗退。その頂に立った者はこれまでいなかった。

プンギ本峰。写真提供:ヒマラヤキャンプ登山隊2022プンギ

メンバーは、総隊長・井之上巧磨(青山学院大学体育会山岳部)、登攀隊長・尾高涼哉(東京大学運動会スキー山岳部)、装備全般・中沢将大(立教大学体育会山岳部)、渉外・会計・記録・横道文哉(立教大学体育会山岳部)、会計・芦沢太陽(中央大学山岳部)の5人。

中沢将大、横道文哉、井之上巧磨、尾高涼哉、芦沢太陽。羽田空港にて

2024年9月5日、5人が羽田国際空港を出発。シンガポール経由でネパールのカトマンズに向かった。ネパールからは5回にわたって現地情報が送られてきたが、通信環境が途絶えてから学生隊員のコラム配信が途切れていた。無事に登頂して、今後はバックカントリーを開始。通信環境が整い次第、その詳報をアップしていく予定。


【ヒマラヤ未踏峰に挑む】Episode 4/スリリングな悪路を走行してアンナプルナ拠点へ

日本山岳会学生部プンギ遠征隊は活動6日目の9月11日、「キャラバン」と呼ばれる陸路移動の2日目。初日は首都カトマンズから大型バスを使ってベシサハールまで移動したが、ここからコトまでジープ3台で6時間ほどかかる旅となった。

ベシサハールからコトまではこんな道が続く

崖際の未舗装路を6時間かけてアンナプルナ直近のコトへ

キャラバン2日目。距離自体はカトマンズ〜ベシサハール間の方が長いですが、そこから先は道がかなりの悪路で舗装はもちろんされていません。部分的に道が細くなり崖ギリギリを走るなんてシーンもありました。

ベシサハールのホテルからジープまで大量の荷物を運ぶ
3台のジープに隊員5人と荷物を分乗して出発
編集部がGoogle上でキャラバンを含めた移動ルートを作成

運転手がなぜかそれなりに広い道でも崖側を走るので意味が分からなかったです。ただ日本では見られない規模の大渓谷を横目にジープで走るのはすごく楽しく、あっと言う間でした。また走れば走るほど、街より「村」という言葉が相応しい景色へと変わりました。

100mを超える大滝。わりと頻繁にこの規模の滝があり、全て未登
道路の横に滝が流れてる箇所も

この先は電波がなくなる可能性も…エピソードは続けられるか?

到着したコトはネパールに来て一番快適な村です。アンナプルナサーキットがありそれなりにトレッキング客が多いからか電波の繋がりもよく、フリーWIFIまで完備されていました。また部屋も小さなロッジで、ほのかに木の香りがします。なによりシーツや部屋のなかの全てに清潔感があります。気温も2600mあるため寒冷で、朝方は冷え込みますがとても過ごしやすいです。この村で1日停滞して順化を図りつつ休憩します。

コトの村
牛や馬、鶏もいるがやっぱり野良犬がいる

遠征7日目の9月12日は停滞日で、朝から3000mまで散歩に行く予定でしたが、朝から雨が降っているためお昼まで延期になりました。この後晴れたら行ってきます。

コトの宿。右の青い建物3棟で、2人・2人・1人で泊まる
部屋の中は清潔で快適

コトを過ぎると通信のための電波がなくなることが想定されます。

ヒマラヤ未踏峰に挑む特集サイト(Contents一覧)

中沢将大、横道文哉、井之上巧磨、尾高涼哉、芦沢太陽。羽田空港にて