サイモン・イェーツが最終日前日に大逆転でジロ・デ・イタリア優勝をほぼ確実に

第108回ジロ・デ・イタリアは最終日前日となる2025年5月31日、ベレス〜セストリエーレ間の203kmで第20ステージが行われ、チーム ヴィスマ・リースアバイクのサイモン・イェーツ(英国)が首位のイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)、総合2位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)に差をつけてゴール。総合成績で首位に立ち、初優勝をほぼ確実にした。

最終日前日に大逆転したサイモン・イェーツ(英国) ©Fabio Ferrari/LaPresse

サイモン・イェーツは2018ジロ・デ・イタリア第6ステージで首位に立ち、マリアローザを着用しての区間2勝で総合優勝に向かっていた。ところが最終日2日前の第19ステージでクリストファー・フルームの大逃げにより首位を陥落。総合優勝をさらわれていた。38分51秒も遅れてフィニッシュしたが、大ブレーキを起こしたのがこの日のフィネストレ峠。イェーツはコースが発表されてすぐに、このフィネストレ峠でリベンジすることを目標に準備してきたという。▼過去記事はこちら

2025ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©LaPresse

前方で逃げていたファンアールトがイェーツを待った

前日までの総合成績で1分21秒遅れの3位にいたサイモン・イェーツは残り15kmのコッレ・デッレ・フィネストレで、レースリーダーのデルトロと総合2位のカラパスを引き離した。イェーツのチームメイトであるワウト・ファンアールトが逃げ集団に加わっていて、イェーツがアタックすることが伝わると峠の手前の谷間で待機した。イェーツは区間3位に入り、区間9位のデルトロに5分13秒の差をつけた。さらに3位のボーナスタイム4秒も獲得し、ローマでのグランドフィナーレ前夜にイェーツは3分56秒のリードを奪い、第108回ジロ・デ・イタリアの首位に立った。

2025ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

2018年に苦戦したのと同じ場所でアタックしたかどうかは分からない

「最後の数百メートルで、自分がなにをしてしまったのかを実感し、脚の感覚が戻ってきた。後続と大きな差はあったけど、ジロ・デ・イタリアで勝てるとは思っていなかった。2018年に苦戦したのと同じ場所でアタックしたかどうかは分からない。今日はハイペースを維持できると分かっていたので、逃げ切ろうとしていた」とイェーツ。

「今日は本当に調子がよく、頂上までプッシュし続けることができた。峠の手前の谷からチームメートのワウト・ファンアールトが引っ張ってくれ、頂上に着いてからは自分のペースで走るしかなかった。ジロ・デ・イタリアのルートが発表されて以来、これまでのキャリアを決定づけるこの上りでなにかを試したいという思いが常にあった。レース中ずっと調子はよかったが、自分を信じなければならなかった。そしてついに、そこでなにかを成し遂げることができた。この瞬間、それがなにを意味するのかを言葉で表現するのは難しいが、これは私のキャリアのピークであり、これを超える瞬間は他にないと思う。選手として晩年の私は、長年目標にしながらも今日まで達成できなかったジロ・デ・イタリアで優勝するために死力を尽くした」

サイモン・イェーツが加速し、カラパスとデルトロが追いかける ©Fabio Ferrari/LaPresse
中南米大陸選手の闘い。エクアドルのカラパスがアタックし、メキシコのデルトロが追いかける ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©LaPresse
最難関フィネストレを驚異的タイムで走るサイモン・イェーツ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリアの最高峰フィネストレは山頂部が未舗装路 ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリアの最高峰フィネストレは山頂部が未舗装路 ©LaPresseFabio Ferrari/LaPresse

ハーパーがツアー・オブ・ジャパン総合優勝以来となるプロ2勝目

ステージ優勝はチーム ジェイコ・アルウラーのクリス・ハーパー(オーストラリア)で、逃げ集団から抜け出し43kmの単独走行の後、優勝を果たした。2019ツアー・オブ・ジャパンの総合優勝以来となるプロ2勝目。欧州でのプロ初勝利。2023年と2024年にはジェイコ・アルウラーにいたサイモン・イェーツのアシスト役だった。

「逃げ集団を狙うつもりだったが、実際にそれが現れるかどうかは分からなかった。自分の総合優勝争いは終わったので、たとえフィネストレ峠を大きな差で駆け上がったとしても、総合優勝候補の誰かがステージ優勝したとしても驚きはしなかった。あの登り坂が始まると、リドル・トレックはハードなペースで走った。レミ・ロシャスが抜け出すと、僕は彼を追いかけた。すると別の集団が現れ、そこから飛び出した。追いつけるのはアレッサンドロ・ヴェレ一人だけだったが、僕は自分のペースで登り続けた。爆発的に走らないよう、ペースをコントロールし、フィニッシュまで持ちこたえられるようにした。スポーツディレクター経由で常に状況を把握していて、サイモン・イェーツとの差は十分にありました。彼とワウト・ファンアールトが並んでいることも知っていた。谷底でファンアールトに追いかけられていると知って、少し緊張した。でも、最後まで粘り強く耐えてよかった・最高のレースだった。ジロ・デ・イタリアでこれ以上のフィニッシュは望めない。サイモンのアシストとして多くのレースでチームメイトとして共に戦ってきた。彼がどれほど才能があり、グランツールを制覇できる力を持っているか、私は知っている。ジロ・デ・イタリアで彼が優勝することを心からうれしく思う。優勝できると分かっていた。彼がまだチームメイトでいられたらよかったのにと思う。彼は当然の結果を手にしたのだから」(ハーパー)

2025ジロ・デ・イタリア第20ステージはハーパーが優勝 ©Marco Alpozzi/LaPresse
サイモン・イェーツが2025ジロ・デ・イタリア最終日前日に逆転首位 ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)サイモン・イェーツ(英国、チーム ヴィスマ・リースアバイク)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
マリアアッズーラ(山岳賞)ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDS・アスタナチーム)
マリアビアンカ(新人賞)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)

2025ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Marco Alpozzi/LaPresse

【ジロ・デ・イタリア】プロドム初優勝。デルトロがカラパスを逃さず総合優勝に王手

第108回ジロ・デ・イタリアは2025年5月30日、ビエッラ〜シャンポルク間の166kmで第19ステージが行われ、デカトロン・AG2Rラモンディアール チームのニコラ・プロドム(フランス)が初優勝。

プロドムが2025ジロ・デ・イタリア第19ステージで独走勝利 ©LaPresse

総合成績では首位のマリアローザを着るイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)がEFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパス(エクアドル)の連続アタックを封じ込めて区間2位でフィニッシュ。ボーナスタイムを獲得し、ライバルとの差をさらに開いて初の総合優勝に近づいた。

2025ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
カラパスのアタックに付いけいけたのはデルトロだけだった。2025ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©LaPresseFabio Ferrari/LaPresse
プロドムが2025ジロ・デ・イタリア第19ステージで独走勝利 ©LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
マリアアッズーラ(山岳賞)ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDS・アスタナチーム)
マリアビアンカ(新人賞)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)

プロドムが2025ジロ・デ・イタリア第19ステージで独走勝利 ©LaPresse

【ジロ・デ・イタリア】デンツが独走勝利…両エース棄権のチームで一矢

第108回ジロ・デ・イタリアは2025年5月29日、モルベーニョ〜チェザーノモデルノ間の144kmで第18ステージが行われ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエのニコ・デンツ(ドイツ)が独走し、2年ぶり3度目のステージ優勝。総合1位のマリアローザを着用するイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)は同2位リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)らと一緒にゴールして首位を守った。

ニコ・デンツが2025ジロ・デ・イタリア第18ステージで独走 ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第18ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
デンツが2025ジロ・デ・イタリア第18ステージ優勝 ©LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
マリアアッズーラ(山岳賞)ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDS・アスタナチーム)
マリアビアンカ(新人賞)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)

マリアローザを着るデルトロ ©Marco Alpozzi/Lapresse

シェアサイクルの使用済みタイヤチューブを再利用したバッグ

アップサイクルブランド「SEAL」がシェアサイクル「ダイチャリ」を運営するシナネンモビリティPLUSと協働し、自転車の使用済みタイヤチューブを再利用した特別モデルのショルダーバッグを発売。5月29日からSEAL表参道本店で数量限定で販売を開始。

オーガナイザーショルダーバッグ cycle model
サイズ : W240×H140×D60mm
素材  :タイヤチューブ(自転車)/ナイロン/止水ファスナー
価格  : 19,800円(税込)
「SEAL」は、全ての作業を国内職人の高い技術によって作られているMADE IN JAPANのバッグブランド

大型トラックの使用済みタイヤチューブを再利用してバッグや小物を展開する「SEAL」では、タイヤに限らず本来は廃棄されるはずの素材を活用して、新たな形に生まれ変わらせるアップサイクルの取り組みを続けている。今回の取り組みではシェアサイクル「ダイチャリ」などで実際に使われている自転車のタイヤチューブを再利用するショルダーバッグの開発を行った。

シナネンモビリティ PLUSでは自転車の定期的なメンテナンス(他のシェアサイクル事業者が運営する自転車も含む)を行うなかで、経年劣化による交換が必要な部品が発生する。タイヤチューブもそのうちの一つで、使われなくなったものは通常は廃棄されている。こうした素材を無駄にせず有効活用したいという想いから、今回のアップサイクルが実現したという。

自転車のタイヤチューブから生まれる1点物のショルダーバッグ

今回発売される特別モデルのバッグはSEALの人気アイテム「オーガナイザーショルダーバッグ」をベースに、表面の素材に自転車のタイヤチューブを使用した。細長い形状を活かし、1本1本ていねいに縫い合わせることで個性豊かな表情のデザインに仕上がった。タイヤチューブ素材の特性である高い耐久性・防水性に加え軽量性も備えていて、サイクリングやアウトドアシーンでも活躍。

●モンドデザインのホームページ

ローマ教皇レオ14世をジロ・デ・イタリア最終日の選手ら謁見

ジロ・デ・イタリア最終日となる6月1日、レオ14世教皇がバチカン市国を通過する最終ステージの選手たちを出迎えることになった。

2024ジロ・デ・イタリア第21ステージ ©Gian Mattia D’Alberto/Lapresse

文化教育省長官のジョゼ・トレンティーノ・デ・メンドンサ枢機卿の提案を受け入れ、バチカン市国政府とバチカン市国のスポーツ公式団体「アスレチカ・バチカーナ」と共同で故・フランシスコ教皇の功績を称えるために行われる。

バチカンでのジロ・デ・イタリア最終ステージは、6月14日と15日に予定されているスポーツの聖年(ジュビリー)に先駆けて行われるイベント。2021年10月28日にアスレチカ・バチカーナがUCI(国際自転車競技連合)加盟を受けて計画されてきた。4月29日、ローマ教皇庁文化教育省長官のポール・ティゲ司教によって正式発表された。

第108回ジロ・デ・イタリアの最終ステージはローマのカラカラ浴場からスタート。選手たちはペトリアーノ入口からバチカン市国に入国。バチカン城壁内のルートは全長3km。

【ジロ・デ・イタリア】マリアローザのデルトロがグランツール初優勝

第108回ジロ・デ・イタリアは2025年5月28日、サンミケーレ・アッラディージェ〜ボルミオ間の154kmで第17ステージが行われ、総合1位のマリアローザを着用するイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)がグランツールで初優勝。EFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパス(エクアドル)が4秒遅れの区間3位に入り、総合成績で41秒遅れの2位に浮上した。

マリアローアのデルトロが2025ジロ・デ・イタリア第17ステージで初優勝 ©LaPresse

記録ずくめとなった若きマリアローザの勝利

デルトロはグランツール初優勝。ジロ・デ・イタリアでのメキシコ選手の勝利はフリオ・ペレス(2001年に1勝、2002年に2勝)に続く2人目。今大会のジロ・デ・イタリアでは第2ステージの個人タイムトライアルを制したジョシュア・ターリングに続く21歳という年少勝利記録。UAEチームエミレーツ・XRGは今季40勝目。2番目の記録はリドル・トレックの22勝。

デルトロはこれでマリアローザを9日間着用したが、大会史上61番目の記録。ボルミオでマリアローザを着用してステージ優勝したのは2000年のダミアノ・クネゴ以来2人目。21歳の若さでマリアローザを着用しての区間優勝は、1971年の個人タイムトライアルで勝ったジュゼッペ・サロンニ以来の記録。

2025ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©LaPresse

ミラノ〜トリノと同じ闘牛士のポーズでフィニッシュ

「昨日は悪い日だったが、自転車レースでは誰にでもそんなときもある。みんな非常に厳しかった。正直に言うと、グランツールをリードする立場になるのは初めてで、昨日は脚が100%ではなかった。でもそれは言い訳にはならない。あまり不平を言わないようにしなければならない。私たちは人間だからだ。そう思ったことで今日の結果がよくなった」というデルトロ。

「カラパスは、今日も以前と同じように危険な存在だった。私たちはただ、進み続けて仕事を終えたいだけだ。チームは常に私のためにいるので、今日はこの立場の中で勝つことができるチャンスがわずかに見えた。だから、最後に積極的に出て下りでプレッシャーをかけた。今日、最後のコーナーと天候が私に有利に働いた。私は傲慢になりたくはない。ただベストを尽くしただけだ。後続との差が開いたので、フィニッシュラインに向かって全力を尽くした」

UAEチームエミレーツとEFエデュケーションが集団をコントロール。2025ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

最後のウイニングポーズは3月19日にイタリア北部で開催されたミラノ〜トリノで初優勝したときと同じ。闘牛士が大観衆に最後に見せるあいさつのように、腕を振って頭を下げるもので、「兄が冗談で言ったことから来ている」という。ミラノ〜トリノではジッパーが壊れていて、胸をはだけてのポーズだった。

「今、私を支えてくれるすべての人に感謝するしかない。私は特別な人間だとは感じていないけど、村を通り過ぎるときの群衆の応援は素晴らしい。みんなに感謝している」

2025ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
2025ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
マリアアッズーラ(山岳賞)ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDS・アスタナチーム)
マリアビアンカ(新人賞)イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)

デルトロがバルデとカラパスから逃げ切って2025ジロ・デ・イタリア第17ステージ優勝 ©LapresseMassimo Paolone/Lapresse