【ツール・ド・フランス旅日記 episode2】世界のサイクルシティで2連泊

本降りです( ; ; ) フランスは気温40度超えって聞いていたんですが、20度以下です。大会2日目はブローニュ・シュル・メールへ。パリ郊外にもブローニュがありますが、フランスでは同じ地名の場合はsur(シュル)のあとに識別する意味の県名などがつきます。陸前高田みたいな感じです。この日のゴールは海(メール)沿いなのでブローニュ・シュル・メール。フランス最北部でブドウが育たないのでオランダやベルギー同様にビール!

2025ツール・ド・フランス第2ステージ ©A.S.O.

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カレー市内の生活道路。日本で自転車通行レーンを作ると違法駐車車両で埋まるというが、自転車レーンが四輪通行レーン側にレイアウトされている

自転車フレンドリー度が世界最高レベルのカレー

大会3日目のゴールが最北端のダンケルクなので、この日から2日間はその中間にある、英仏海峡の港町カレー。ホテルはワングレード上がってカンパニールです。クルマからアクセスしやすい部屋、運がよければバスタブ付き、広い室内。初日は日曜なので併設レストランが営業していませんが、明日は予約しました。お手頃な価格で、ビュフェ形式のメニューセットがあるんですよ。

カレーの場末にあるカンパニールホテル。日本人にとってはそれなりの値段だが、フランスのブルーカラーの人たちがよく泊まっている
レストランにはなかなか行けないので、部屋飲みに慣れていく

フランスにはミシュランの格付けのような、それぞれの町の自転車フレンドリー度を表彰する制度があります。ミシュランは星の数ですが、自転車なのでその台数。最高ランクの自転車4台は首都パリ、世界のサイクルシティであるコペンハーゲン。そしてこのカレーが君臨しています。

カレーのフェリー乗り場近く

自転車レーンが立体交差していたり、生活道路では四輪駐車スペースの方が歩道側にあったり。パリは欧州の歴史が形成した特別な街なので自転車道路通行の視察としては参考にならないと思うので、日本の関係者が行くならカレーです。カモメがこよなく歓迎してくれるはずです♪

カレー市庁舎が見える鉄道沿いに素晴らしい自転車・歩行者専用橋が。眼下の運河沿いにも自転車道が!

フランス人が旅行で出せる金額は日本人の比じゃない

翌朝はようやく朝5時半まで目覚めなかったので、明るくなってから冬の格好でランへ。一度は雨で部屋に戻りましたが、走ってからシャワーを浴びていただく朝食をおいしくするため、フェリー乗り場まで。朝食はホテルがワングレード上がったのでタンパク質がつきました。料金は2000円です(泣 高速道路のサービスエリアで目撃したレッドブルの473ml缶が1150円でしたからね。

今年になって気づいたのは、この価格の違和感って円安だからではなく、フランス人の所得が日本よりはるかに高いからなのでは。フランスフランの時代は逆だった記憶がします。もはやリッチな旅はできません。

カンパニールホテルでプチ・デジュネ(朝食)

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感想(1件)

【ツール・ド・フランス旅日記episode1】27回目の全日程取材スタート

いざ、フランス!
すでに地球を何周したんでしょうかね。

ツール・ド・フランス開幕地はフランス北部のリールメトロポール。都市名の後にメトロポールと付くときは日本の政令指定都市と考えればほぼ適当 ©A.S.O.

「移動距離が長ければそれがそのまま経験値になる」。その言葉を半信半疑ながら胸に刻みつつ、道を間違えたり、「休日なのに全然休日にならない」大移動でヘトヘトになりながら続けてきました。これまでのことはたいてい記憶にあって、思い返せばそれは自分にしかできない貴重な経験で、すべてがいい思い出です。もちろん当時はその都度大変でしたけど、都合のいいことに覚えていません。

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すべての関係者はバッジと呼ばれるIDカードを入手してツール・ド・フランスが動き始める

まずはクルマの購入、そして現地で記者証ゲット

ボンジュール! まだ外が暗いです。7月3日夜10時羽田発のフライトは飛行機の中で眠れないボクでもちょっとウトウトできたようで、15時間のフライトさえ長く感じられませんでした。

ツール・ド・フランスの広告キャラバン隊が開幕に先駆けて、胸骨圧迫とDAE(自動体外式除細動器)の研修を受けていた

日付が変わって4日早朝5時にはパリに。熱波で気温40度というニュースを見たので猛暑グッズを持ち込みましたが、まさかの気温15度。厚手の上着を持ってこなかったです。6時にオープンするカーディーラーでかれこれ26台目の免税車を受け取りました。メーカー都合でC3エアクロスが納車できないというので、同じ価格で中型SUVのC5エアクロスにアップグレードしてくれました。C3の車両価格は2万4258ユーロで、これを25日間乗り回して2万3038ユーロで売るので、その差額がボクの経費となります。

モネ・ド・フランス(フランス造幣局)がシャンゼリゼ凱旋50年を記念したコインを作った

今回の開幕地はパリから210kmしか離れていないリールメトロポールなので、開幕前日の午前中には現地に到着。ツール・ド・フランスの広告キャラバン隊が開幕に先駆けて、胸骨圧迫とDAE(自動体外式除細動器)の操作方法の研修を受けていました。だれかが救われるかもしれません。

27台目の免税で買ったフランス車。メーカー都合でC3エアクロスが納車できないので、同じ価格で中型SUVのC5エアクロスにアップグレードしてくれた

まずはペルマナンスと呼ばれる大会本部で手続きを済ませ、軽く原稿の下準備をしてホテルへ。フランス人は日本よりも所得が高いので、レストランの価格設定は日本人には厳しく、今年も週に一回のごほうびとしています。だからスーパーでせっせと買い出しして部屋飲みするのがここ数年のトレンドです。

日本の零時に相当する午後5時には寝てしまったので、開幕日の7月5日深夜1時に目が覚めました。ようやく外が明るくなってきたので、ランニング行きます。月間200kmを走りたいので、フランスでも堅実にやっていきます。

山岳賞の協賛社であるスーパーマケット。レジ係が全員赤玉のTシャツを着ていた

日本で生活しているスタンスでフランスの旅を続けていければ

フランスの中でもかなり北に位置するのがリール。日没は22時01分ですが、日の出は5時42分なのでランニングの格好に着替えてホテルのドアを開けたら真っ暗でした。相変わらず午前3時には起きてしまうので走るくらいしかやることがないのに。

©A.S.O.

フランスの各都市はインターチェンジ付近にサントルコメルシアル(ショッピングモール)とサントルオテリエ(郊外型ホテル群)があり、クルマを使った旅行者には便利です。でもここでランニングするとなると、クルマ社会なので不便。バルセロナ五輪のマラソン日本代表チームが高速道路にあるホテルを取ってしまって、練習に出かけたら警察に捕まったという話と似ています。

そんなときはエリア内で交通量の少ない道を周回するハメになります。それでも早朝ランをするようになって訪れた町をよく知ることができるようになりました。日本では月に200km以上、ケガをしないように250kmを超えないように走っているので、フランスでも継続していきます。日本で生活しているスタンスでフランスの旅を続けることがストレスやトラブルもなくやっていける秘訣だと、経験上。

フランスはパンじゃなくてバターがおいしいのだと信じている

そしてまたこの生活が始まりました。ランの後にシャワーを浴びて朝ごはん。フランスはパンがおいしいのではなく、バターがおいしい。そしてさわやかな空気に包まれて朝ごはんを食べたいので、あえてお外に。気温は10度台なのでフリースとウインドブレーカーを着込みます。他のホテル利用者はみんな建物の中ですw

フランス食肉振興協会がフィニッシュ地点で、地場食材を使った肉料理をふるまってくれる

第1ステージはリール発着で、前日に訪れているプレスセンターに行けばいいので、ホテルから10kmほどの自動車通勤。昨年あたりからフランス食肉推進協会が地場食材を使った肉料理をふるまってくれます。パリまでいるの?と期待して聞いたら、残念ながらその前日までとのこと。彼らはパリのグランドフィナーレを目撃することなく役目を終えるんです。

食文化を知ることもツール・ド・フランスのシゴト。きょうは最北端のブローニュシュルメールやダンケルクに向かい、カレーに宿泊します。

郊外型ホテルエリアでは交通量が少ない道を選んで周回するしかない
スーパーや飲食店まで歩いていけるので宿泊客にとっては便利だ
日本にいるときと同様に地道に練習していくことが無事に最後までやり通す秘けつ

27回目の全日程取材はこれまでの集大成にすべく

このシゴトがあまりにも非日常的で、極めて特殊なので、積み重ねた経験値をなにかの形として残せていないのが唯一の心残り。本は2冊書きましたけど、ツール・ド・フランスを追いかける旅の一部始終は語り継げていません。

2025年の最終日はパリ・シャンゼリゼ。どんな気持ちでそこにたどり着くのか。あるいはたどり着けないのか…。いずれにしても1日ずつを大切にしてフランスの大地のにおいをかみしめていきます!

2025ツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O.

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