いざ、フランス!
すでに地球を何周したんでしょうかね。
ツール・ド・フランス開幕地はフランス北部のリールメトロポール。都市名の後にメトロポールと付くときは日本の政令指定都市と考えればほぼ適当 ©A.S.O.
「移動距離が長ければそれがそのまま経験値になる」。その言葉を半信半疑ながら胸に刻みつつ、道を間違えたり、「休日なのに全然休日にならない」大移動でヘトヘトになりながら続けてきました。これまでのことはたいてい記憶にあって、思い返せばそれは自分にしかできない貴重な経験で、すべてがいい思い出です。もちろん当時はその都度大変でしたけど、都合のいいことに覚えていません。
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まずはクルマの購入、そして現地で記者証ゲット
ボンジュール! まだ外が暗いです。7月3日夜10時羽田発のフライトは飛行機の中で眠れないボクでもちょっとウトウトできたようで、15時間のフライトさえ長く感じられませんでした。
ツール・ド・フランスの広告キャラバン隊が開幕に先駆けて、胸骨圧迫とDAE(自動体外式除細動器)の研修を受けていた
日付が変わって4日早朝5時にはパリに。熱波で気温40度というニュースを見たので猛暑グッズを持ち込みましたが、まさかの気温15度。厚手の上着を持ってこなかったです。6時にオープンするカーディーラーでかれこれ26台目の免税車を受け取りました。メーカー都合でC3エアクロスが納車できないというので、同じ価格で中型SUVのC5エアクロスにアップグレードしてくれました。C3の車両価格は2万4258ユーロで、これを25日間乗り回して2万3038ユーロで売るので、その差額がボクの経費となります。
モネ・ド・フランス(フランス造幣局)がシャンゼリゼ凱旋50年を記念したコインを作った
今回の開幕地はパリから210kmしか離れていないリールメトロポールなので、開幕前日の午前中には現地に到着。ツール・ド・フランスの広告キャラバン隊が開幕に先駆けて、胸骨圧迫とDAE(自動体外式除細動器)の操作方法の研修を受けていました。だれかが救われるかもしれません。
27台目の免税で買ったフランス車。メーカー都合でC3エアクロスが納車できないので、同じ価格で中型SUVのC5エアクロスにアップグレードしてくれた
まずはペルマナンスと呼ばれる大会本部で手続きを済ませ、軽く原稿の下準備をしてホテルへ。フランス人は日本よりも所得が高いので、レストランの価格設定は日本人には厳しく、今年も週に一回のごほうびとしています。だからスーパーでせっせと買い出しして部屋飲みするのがここ数年のトレンドです。
日本の零時に相当する午後5時には寝てしまったので、開幕日の7月5日深夜1時に目が覚めました。ようやく外が明るくなってきたので、ランニング行きます。月間200kmを走りたいので、フランスでも堅実にやっていきます。
山岳賞の協賛社であるスーパーマケット。レジ係が全員赤玉のTシャツを着ていた
日本で生活しているスタンスでフランスの旅を続けていければ
フランスの中でもかなり北に位置するのがリール。日没は22時01分ですが、日の出は5時42分なのでランニングの格好に着替えてホテルのドアを開けたら真っ暗でした。相変わらず午前3時には起きてしまうので走るくらいしかやることがないのに。
©A.S.O.
フランスの各都市はインターチェンジ付近にサントルコメルシアル(ショッピングモール)とサントルオテリエ(郊外型ホテル群)があり、クルマを使った旅行者には便利です。でもここでランニングするとなると、クルマ社会なので不便。バルセロナ五輪のマラソン日本代表チームが高速道路にあるホテルを取ってしまって、練習に出かけたら警察に捕まったという話と似ています。
そんなときはエリア内で交通量の少ない道を周回するハメになります。それでも早朝ランをするようになって訪れた町をよく知ることができるようになりました。日本では月に200km以上、ケガをしないように250kmを超えないように走っているので、フランスでも継続していきます。日本で生活しているスタンスでフランスの旅を続けることがストレスやトラブルもなくやっていける秘訣だと、経験上。
フランスはパンじゃなくてバターがおいしいのだと信じている
そしてまたこの生活が始まりました。ランの後にシャワーを浴びて朝ごはん。フランスはパンがおいしいのではなく、バターがおいしい。そしてさわやかな空気に包まれて朝ごはんを食べたいので、あえてお外に。気温は10度台なのでフリースとウインドブレーカーを着込みます。他のホテル利用者はみんな建物の中ですw
フランス食肉振興協会がフィニッシュ地点で、地場食材を使った肉料理をふるまってくれる
第1ステージはリール発着で、前日に訪れているプレスセンターに行けばいいので、ホテルから10kmほどの自動車通勤。昨年あたりからフランス食肉推進協会が地場食材を使った肉料理をふるまってくれます。パリまでいるの?と期待して聞いたら、残念ながらその前日までとのこと。彼らはパリのグランドフィナーレを目撃することなく役目を終えるんです。
食文化を知ることもツール・ド・フランスのシゴト。きょうは最北端のブローニュシュルメールやダンケルクに向かい、カレーに宿泊します。
郊外型ホテルエリアでは交通量が少ない道を選んで周回するしかない
スーパーや飲食店まで歩いていけるので宿泊客にとっては便利だ
日本にいるときと同様に地道に練習していくことが無事に最後までやり通す秘けつ
27回目の全日程取材はこれまでの集大成にすべく
このシゴトがあまりにも非日常的で、極めて特殊なので、積み重ねた経験値をなにかの形として残せていないのが唯一の心残り。本は2冊書きましたけど、ツール・ド・フランスを追いかける旅の一部始終は語り継げていません。
2025年の最終日はパリ・シャンゼリゼ。どんな気持ちでそこにたどり着くのか。あるいはたどり着けないのか…。いずれにしても1日ずつを大切にしてフランスの大地のにおいをかみしめていきます!
2025ツール・ド・フランス第1ステージ ©A.S.O.
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