ボトル投棄の即時失格をUCIが返上も環境保全の姿勢は不変

国際自転車競技連合(UCI)と男女それぞれの自転車競技選手団体が4月14日に会合を持ち、4月1日に発効されたボトル投げ捨てによる即時失格などの厳しい処分を緩和することで合意した。地球環境保全と選手や沿道の観客の安全確保は今後も継続していくという。

©A.S.O. / Pauline Ballet

ボトル投げはファンサービスと選手側が主張

問題の発端は厳格ルール発効直後の4月4日に開催されたツール・デ・フランドルだった。AG2Rシトロエンのミハエル・シャール(スイス)が飲み終わったボトルを沿道で応援するファンのグループの足もとに投げ捨てたことで、レース途中での失格が宣告された。プロ選手が沿道のファンにボトルを投げることは伝統的なファンサービスのひとつで、それを心待ちにするファンも少なくない。シャールと所属チームはその点を主張する声明を発表した。

一方で、自転車レースが行われるコース脇に堆積するゴミ問題は近年、改善すべき課題となっていた。選手らが沿道に捨てるボトルや補給物包装紙などのプラスチック製品は分解されることなく、それが景観を損なう。地球環境の保全に反する行為だと指摘されていた。

また、投げたボトルがはね返って集団走行している選手らの前に転がることで落車が発生した事象も多い。さらにボトルを拾おうと道路に飛び出してくる子供たちが選手や関係車両に接触するという事故例もある。今回のUCIの罰則厳格化はその問題を是正することが出発点だった。

複数回の投棄は失格対象に

これまでの対策としては、ボトルや補給食の包装紙などを捨てていいエリアをコース上に確保し、それ以外で投棄した場合は180〜900ユーロの罰金を科した。しかしそれは抑止力にはならなかった。UCIは毅然とした姿勢を見せるため、2021シーズンの4月1日からワンデーレースに関しては違反選手を即時失格に、ステージレースでは所定のペナルティタイムと最終的な失格を命じた。

今回のUCIと選手団体による話し合いの結果、UCIは1度の違反による即時失格を返上。ワンデーレースでは2度目、ステージレースでは3度目の違反で失格にするなどの緩和策を近く発表する。それでも環境保全と沿道の安全を確保するために毅然とした態度は曲げないという。

●国際自転車競技連合のホームページ

アジア選手権ロードが4月23日開幕…別府史之や梶原悠未参戦

2019ロードアジア選手権大会が4月23日(火)から4月28日(日)までウズベキスタンのタシケントで開催され、日本からエリート9選手、 U23が5選手、ジュニア6選手が参戦する。監督は浅田顕(日本自転車競技連盟選手強化コーチ)。

2018アジア選手権エリート男子ロード。ゴール勝負で別府史之が2着 ©Kenji NAKAMURA/JCF

●エリート(9名)
別府史之(トレック・セガフレード)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)
小石祐馬(チーム右京)
牧瀬翼(IKEUCHI EXIT)
樫木祥子(オーエンス)
金子広美(イナーメ信濃山形)
唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング)
上野みなみ(シエルブルー鹿屋)

●U23(5名)
松田祥位(EQADS)
大前翔(愛三工業)
渡辺歩(レザブルヴァンデ)
大町健斗(ユーラシアIRCタイヤ)
梶原悠未(筑波大)

●ジュニア(6名)
津田悠義(愛知・三好高)
山田拓海(長野・飯田風越高)
寺田吉騎(静岡・磐田北高)
川崎三織(埼玉・栄北高)
岩元杏奈(日本体育大)
内野艶和(福岡・祐誠高)