死ぬまでに泊まってみたいホテル。庶民価格の掘り出し物編

1万円以下でも最高の気分にひたれるフランスの宿泊施設ベスト3。前回はカルカッソンヌ郊外のプライベートプール付きの部屋を紹介したが、今回はミシュラン2つ星併設レストランを備えた天空のホテルを紹介。お金をかければいいってもんじゃない。これぞフランス旅行の醍醐味。

テラスのディナーレストランはミシュラン掲載だ

フランスには一般的なホテルをはじめ、オーベルジュ(旅籠)、ジット(貸別荘)、シャンブルドット(民宿)などのカテゴリーがあって、統括団体がその伝統と格式をコントロールしている。2つめに紹介したいのはこのうちオーベルジュと呼ばれる、いわば旅籠に区分される地方ホテルだ。

ジットという団体に登録して、農家の貸し別荘風なスタイルだ。地元食材を使った料理が自慢のレストランが必ず併設される。庶民的な価格で宿泊できるので、宿泊予約サイトで部屋を確保してホテルに到着してみると玄関ドアにミシュランのステッカーが貼ってあるなんてことは何回も体験している。今回もミシュラン2つ星のレストランをホテルがかかえていた。

天空の城コルドシュールシエル

2013年の第7ステージはモンペリエ〜アルビ間。街全体が世界遺産というアルビのゴール地点でシゴトをすませ、コルドシュールシエル(Cordes-sur-Ciel)という町を目指した。フランスでも人気のある町で、その景観から「天空の城」と呼ばれ、実際にアニメ「天空の城ラピュタ」のモデルになったとも言われる。河川によって四方をえぐられた小高い丘に石造りの道と集落が作られ、その真ん中にオステリエ・デュ・ビューコルド(Hostellerie du Vieux Cordes)がある。

石畳の急坂をクルマで上り、城門をくぐってホテル前の狭い道に乗りつけて荷物を降ろすと、集落の端にある駐車道にクルマを駐めるように案内された。それほどこの町はこぢんまりとしていて、ネコが石畳でのんびりと昼寝をしている。クルマなんてめったに走らないのである。

フロントの奥に中庭があるのだが、樹齢300年の藤(ウィステリア)が屋根のように天井を覆い、夏でもしっとりとしている。ここが朝食会場のようで、シェフをはじめとした料理人が働く厨房の窓もみえる。古城のような、それでいて真新しい石造りのらせん階段を上って部屋に上がる。

朝食会場は別にあり、樹齢300年の藤棚が頭上をおおう

最高なのは丘陵地が見渡せるテラスにあるディナーテーブルだ。絶景を見ながらミシュラン掲載の料理をいただく。

天空の城の景観を楽しむためには、谷の向こうにある尾根の上まで歩かなければダメ。日没時と翌朝にそれぞれ1時間かけて尾根に立ってみたが、おもわず仁王立ちして「地上の楽園を手に入れたぞ!」と叫びたくなるほど雄大だった。

ホテルの入口

料金は89ユーロで、そのうち25ユーロはデポジットとして予約時にクレジットカード引き落とし。つまり1万円程度で、2人で泊まれば単価は半額に。欧文表記も書いておいたので、ホテル予約サイトで検索すればだれでも予約できるはずなので、ぜひたずねてみてね。

⚫関連記事

死ぬまでに泊まってみたいホテル…天文台で満天の星空を見る

死ぬまでに泊まってみたいホテル。聖地巡礼の宿で欧州文化も実体験

ホテル予約ならHotels.com