KINAN AACA CUP最終戦は山本元喜が快勝、シリーズ王座は孫崎大樹

東海地区のロードレースシリーズ「iRC Tire Presents KINAN AACA CUP」の2023年シーズン最終戦となる第10戦が12月9日、岐阜県海津市・国営木曽三川公園長良川サービスセンター特設コースで開催された。メインレースの1-1カテゴリーは5.1km×20周・102kmで競われ、KINAN Racing Teamの選手たちを中心にレースを展開。終盤に生まれた逃げ集団から山本元喜が勝利。

KINAN AACA CUP 2023年最終戦は山本元喜が快勝 ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

シリーズは4つのカテゴリーとキッズカテゴリーのレースで構成され、ステップアップ方式で競技力を向上できるイベント。最上級カテゴリーである1-1クラスにはKINAN Racing Teamより宮崎泰史、津田悠義、山本元喜、トマ・ルバ、そして、年間ランキングトップの孫崎大樹の5名が参加した。この日は各カテゴリーの勝者を決めるだけでなく、拮抗する年間ランキングにも決着がつくため、実力者が集う激しいレースとなった。

スタートが切られると、KINAN Racing Teamは積極的に前で展開する。宮﨑、津田、山本は数秒飛び出す場面もあり、集団に揺さぶりをかける。高活性の集団はなかなか逃げを容認せず、集団一つのまま、レース中盤に差し掛かかった。

KINAN AACA CUP 2023年最終戦 ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

10周目、イナーメアロマ周回賞を孫崎と津田が争うと、集団は縦に伸びる。するとその直後に山本元喜が抜け出しに成功。山本裕昭(BONDS静岡サイクル)と協力して逃げを打つ。

これを追いたい集団から、孫崎、松島龍之介(愛知産業大工業高)、柚木伸元(日本大)、石田智大(中京大)の4名がさらに飛び出すと13周目に合流を果たし、6名の先頭集団が形成された。

KINAN AACA CUP 2023年最終戦 ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

メイン集団でも、トマや津田、有力選手たちが懸命にタイム差を縮めるが、キャッチには至らない。やがて30秒ほどの先行を許したまま、最終局面を迎えてしまう。先頭メンバーは十分なリードを持って最終局面へ。ファイナルラップへ差しかかった直後、山本元喜が渾身のアタック。山本、遅れて孫崎が反応。残り3km地点で山本が追いつくが、フィニッシュ目前で山本元喜が再び腰を上げて振り切る。力強い独走で走り抜くと、最後は両手を上げて勝利をつかんだ。

また、3位でフィニッシュした孫崎はシリーズポイントをさらに加点し、年間ランキングトップを確定。ホストチームとしての責務を果たした。

KINAN AACA CUPシリーズ王座には孫崎大樹が輝く ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

毎回恒例のキッズスクールでは、レース中の集団走行をテーマにレッスンが行われた。KINAN Racing Teamの選手たちが講師役となり、こどもたちに集団走行の極意を伝える。徐々に難易度が高くなるも、選手たちのアドバイスを聞き入れながら対応し、その後のレースに活かせる技術を磨いた。

このほか、チームサプライヤーであるシリーズ協賛のiRC Tire、FUSIONが出展。タイヤの試乗ができるなど、選手たちが実際に扱う製品を手に取ってもらえる機会が設けられた。

毎レース熱戦となった2023年のKINAN AACA CUPは閉幕。2024年も全10戦でのレースを予定し、第1戦は2月18日を予定している。(Text: 小玉凌、Edit: 福光俊介)

孫崎大樹がマンセボとの力勝負を制して伝統の東日本で優勝

Jプロツアー・東日本ロードクラシックDay-1が4月29日、 群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター6kmサーキットコースで、25周回・150kmのレースが行われ、KINAN Racing Teamの孫崎大樹が優勝した。

孫崎大樹が東日本ロードクラシックDay-1優勝 © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

フィニッシュ直前の上り区間で抜け出し、最後は2選手での争いを制した。チームとしてこれまで数勝を挙げ、相性のいい群馬サイクルスポーツセンターで、再びのタイトル獲得。孫崎個人としては、これがJプロツアーでは初めての勝利となった。

KINAN Racing Teamにとって待望の2023年初勝利

国内各地を転戦する同シリーズの第6戦。今回で57回目となる伝統の東日本ロードクラシックは、過去にも数々の好勝負が演じられてきた。群馬のコースは細かなアップダウンや左右に連続するコーナーが特徴。1周6kmを25周回、150kmで競うレースは、コース変化の多さも関係しタフな展開になることが見込まれた。同時に、シリーズにおける格付けも上から2番目のゴールドに設定。優勝者は500ポイントが付与され、年間の個人ランキングでも重要な位置づけとなっている。

KINAN Racing Teamはこのレースの直前まで群馬県内でのトレーニングキャンプを行い、選手・チームそれぞれの強化とコンディションアップに努めてきた。先々に待つ目標レースを見据え、今節は仕上がりを確かめる意味合いも込められた。出走は、孫崎、山本元喜、白川幸希、トマ・ルバ、新城雄大、津田悠義、畑中勇介の7人。

レーススタートから集団前方に構えたKINANメンバーは、序盤の動きに津田や白川が反応し、プロトンの活性化を図る。しばしアタックと吸収が繰り返されたが、5周目に入って畑中を含む7人の先頭グループが形成。主要チームがそれぞれ選手をこの中に送り込んだことによって逃げの態勢が整った。

その後もメイン集団では追走狙いのアタックが散発し、一時は新城や津田が数人のパックに加わる場面も。出入りが続いた中から、10周目に山本が6人の追走グループにジョイン。脚のあるメンバーがそろい、前を行く7人を追いかけ始めると11周目後半には先頭に合流。この時点で、KINAN勢は畑中と山本が先行する形になった。

快調に飛ばした先頭グループは、メイン集団に対して最大3分のリードを得る。ただ、フィニッシュまで10周回を残したあたりから愛三工業レーシングチーム、チームブリヂストンサイクリングなどが集団のペースを上げて差を縮めていく。やがて、その差は数十秒に。

集団が迫る中、残り5周となったところで先頭グループから畑中がアタック。これは決まらなかったものの、次の周回で山本が仕掛けると、チェックに動いた2選手とともに先行を開始。それまで一緒に逃げてきた他のメンバーを引き離し、メイン集団にも1分ほどの差で残り周回へ。

しかし、残り3周となったところでチームブリヂストンサイクリングが一気に集団のペースを引き上げると、山本らとの差はあっという間に縮まって約20秒差に。この態勢で最終周回の鐘が鳴った。

東日本ロードクラシックDay-1 © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

懸命に逃げてきた山本だったが、集団のペースが勝って周回半ばまでに吸収される。代わって、集団に待機してきたメンバーがチームブリヂストンサイクリングの後ろを固めて勝負どころを見定める。

そして、残り3kmから始まる最後の上りでトマがアタック。これをフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が追随し、さらには孫崎も続く。トマの牽きによって集団が崩れると、俄然前の3人が優勢に。トマがフィニッシュ前200mまで牽引を続けると、いよいよ勝負は孫崎とマンセボのマッチスプリントに。マンセボをマークした孫崎は、満を持して最後の100mで加速。後続の追撃もかわして、一番にフィニッシュラインを通過した。

1月のシーズンイン以来、上位入りを繰り返しながらもあと一歩勝ち星には届いていなかったチームだったが、その状況を打破する会心のレース。チームに今季初勝利をもたらしたのは、エーススプリンターとして2023年に加わった孫崎だった。個人としては2022年8月以来、Jプロツアーでは初めてとなる優勝となった。

また、この結果により孫崎はシリーズの個人ランキングで6位にジャンプアップ。トップとの差は大きいが、ここからポイントを重ねてさらに上を目指していく。アシストした選手たちもそれぞれに役目を果たし、次につなげている。

孫崎大樹が東日本ロードクラシックDay-1優勝 © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

お待たせしました!という感じです! やっと勝てました! 

早くもトレーニングキャンプの成果が出たチームと選手たち。完全に流れをつかみ、この勢いのまま次戦に向かう。翌30日のDay-2は、同じコースを10周回する60km。距離は大幅に短くなるものの、このレース同様に逃げとスプリント双方を視野に入れて連勝を狙う。

孫崎大樹のコメント
最後の局面は、(山本)元喜さんたちの逃げが捕まってすぐにトマが上りで動いて、自分もそれに続く形だった。一緒に来たマンセボ選手が牽引に加わってくれたことも逃げ切りにつながった。脚を残すことができていたので、もし後ろの選手たちに追いつかれていてもスプリントで勝てていたと思う。それくらい自信があった。  
チームとしては序盤から逃げに入って、他チームの消耗を誘うつもりだった。畑中さん、元喜さんが長く逃げてくれて、プラン通りのレース展開にできた。今日のような流れであれば、逃げ切りでも良かったし、スプリントになった場合は自分が狙うことも決まっていた。さすがに今日の最終局面はプレッシャーがかかったが、勝ち切れて本当に良かった。すべて、メンバーひとりひとりが役割を理解してレースを進めた結果だと思っている。  
この勝利は自分やチームだけでなく、日頃から支えてくださるスポンサー企業やサプライヤー企業のみなさん、ファンの方々のおかげだと感じている。時間はかかってしまったけど、最高の報告ができてうれしい。ここから勝利を積み重ねて、チームの強さを証明していきたい」

●キナンレーシングのホームページ