安床ブラザーズが氷上のクロススポーツでも果敢なメイクで会場を沸かせる

インラインスケート・ハーフパイプのアスリートでXゲームズをはじめとして数々の国際大会で優勝している安床エイト(34)と安床武士(31)の安床ブラザーズが「ATSX レッドブル・クラッシュドアイス・ワールドチャンピオンシップ」に初挑戦。決勝進出を果たしたレース以外にもフリースタイルのデモンストレーションが行われ、インラインスケートで培った確かな技術を安床ブラザーズが披露。スタイルあふれるトリックの数々で来場した多くの観客を沸かせた。

フリースタイルコンペティションに参戦した安床武士 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、スノーボードクロスの要素を取り入れたアイスクロス・ダウンヒル競技。安床ブラザーズが出場したのは3月10日にカナダのエドモントンで開催された最終戦だ。

前日の予選では、決勝進出が確定する上位32人には入れなかったものの、敗者復活戦を勝ち抜き、初参戦ながら見事に決勝進出を果たした。女子の山本純子も手堅い走りで予選を突破していて、史上初めて日本人3選手が決勝に進出。しかし、終日晴天に恵まれた決勝日は日中の最高気温が冬のエドモントとしては予想外に暖かい8度に達し、会場になっている公園の雪が解けて水がコースに流れ込むハプニングで大会の開始が遅延。これにより決勝トーナメント1回戦「Round of 64」が急きょ中止になり、その結果安床ブラザーズの決勝レースが残念ながらなくなってしまった。

フリースタイルコンペティションに参戦した安床エイト ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

兄エイトは大会について「本当は決勝戦に出られたのですが、天候の影響で今日は氷の状態が悪く、ボクらが出るはずのレースがなくなり、歯がゆい気持ちが残るレースでした」とコメント。弟武士は「インラインスケートでXゲームズを優勝しているから、その期待のまなざしで見られるのはすごいプレッシャーでした。ただ大会自体は全て最高で、メチャクチャ大好きになりました」とコメントしている。

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Xゲームをはじめとするインラインスケートの第一人者で、兄弟合わせて世界大会100勝以上をマークしている安床エイト(34)と安床武士(31)の安床ブラザーズがレッドブル・クラッシュドアイスに初参戦した。同じスケート競技とはいえ、2人が初めて氷の上を滑ったのは2週間前。その手応えは? そしてどんな目標を見すえるのか? 最終戦の現地、カナダのエドモントンでインタビューした。

レッドブル・クラッシュドアイス最終戦に初参加の安床武士(左)と安床エイト

「すごく楽しい経験をしている」 兄・安床エイト
「競技としてはもちろん、すべてが初めてのことなんですよ。クラッシュドアイスのアスリートとして、スタートに向かう際の気持ちの作り方も。今は経験をひとつずつ積んでいく段階」

25年もアスリート生活を送っているので大会に臨む緊張というのはないという。それでも技術面において「あのカーブはどう曲がりたい」とか、「姿勢はこうする」とか頭の中を整理するのが忙しくて、それが想像以上に大変だという。「ジャンプやったらすぐにカーブだとか頭の中で必死に整理しながら滑っている。まだ直感的にやれていないなあ」

人工セクションを使用するインラインスケートの場合は滑走面の変化はない。ところがクラッシュドアイスは路面変化が常にある。気温の変化によってコンディションが刻々と変わっていくし、前走者が走った溝がいきなり出現するなど状況が常に変化していくから難しい。ジャンプ台をうまくこなしてスピードに乗るという感覚はインラインスケートでつちかった武器で、それを生かしながらも戸惑いばかりだ。

安床エイト ©Mark Roe / Red Bull Content Pool

初出場のクラッシュドアイスの雰囲気はとても気に入っている。この世界のトップアスリートが「なんでも聞いてくれ」と声をかけてくれる。安床兄弟がインラインスケート界でこれまでやって来たことを彼らも知っているので、お互いをリスペクトする環境でいられるからこの世界にすぐに入り込めたという。

「これを日本でやったら盛り上がるでしょう。インラインスケートのハーフパイプはルール解説が難しいんですが、クラッシュドアイスは見たまんま。ジャンプもあって激しいクラッシュもあるけど、レースは速かった人が勝つというシンプルなもの。見て分かりやすい競技は絶対に人気が出ると思う」

氷の上に立ったのが2週間前で、これまでのインラインスケートのテクニックと照らし合わせて練習してきた。これからはスケートリンクに通いながら氷上ステーティングの基本的なこと、曲がり方や止まり方をどんどん練習していきたいという。

「これまでやってきたこととは使う筋肉も体力面も全然違う。インラインスケートは足を止めてパンピングという屈伸運動をしながらスピードをつけたりジャンプをするんですけど、クラッシュドアイスの場合は走り込みが重要。走るために駆動する筋肉をつけていくトレーニングが必要です。上半身で誘導する動きが多いと感じたので、上半身の筋肉をつけていく必要も」

自由に滑れるようになりたい。頭では分かっているけど動けない歯がゆさがある。もっとイメージしたように自分が動けるようになりたい。今は悔しさと歯がゆさが入り交じっているけれど、その面白さはたった2週間の練習ですでにヒシヒシと感じている。

「どうすれば強くなるかはもう頭の中にある」 弟・安床武士
兄弟の両親はプロスケーターだ。とりわけ父は1970年代に一世を風靡したローラーゲーム、あの「東京ボンバーズ」の練習生だった。だから2人は物心ついたころからローラーのついたスケート靴を履いていた。

「クラッシュドアイスは、競技そのものはかなり前から知っていて、面白そうだなあという話をよくしていました」

インラインスケート界からクラッシュドアイスに参加している選手が何人かいたり、逆にオフのトレーニングでインラインスケートをやっているという映像を見つけると、これは「もしかして自分たちが普段やっていることと近いスポーツなのかなあと感じて、クラッシュドアイスに参加する決断をしました。

アールと呼んでいるバンク、路面の凹凸が連続するウェーブはまったくインラインスケートと同じ。
「だからその部分は楽しく笑顔で滑れるんだけど、氷の上は全体的にスピードがかなり出る。そのスピードのままターンをしなくちゃいけないとか。アイススケートの技術がまだ自分たちにはないので、これは簡単ではないとすぐに分かりました」
スピードが乗った状態で出現するセクションの前になると、怖くなって減速してしまったりする。エッジングなど足の操作はインラインスケートとはまったく違うものだった。

安床武士 ©Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool

クラッシュドアイスに出場するためには、「ライダーズカップ」と呼ばれる格下の大会に出場することは必要。初めての大会はさすがに百戦錬磨の2人でもかなり緊張はした。こうしてエドモントンに乗り込み、最終戦に間に合ったのだが、ショーアップされたクラッシュドアイスの規模はライダーズカップとは比べものにならないくらいに大きい。Xゲームで数々の修羅場を経験している2人にとっては本大会のほうが地に足がついていた。

「怖いというよりかテンション上がりました。普段やっていることとサイズ感が同じだったんです。これやったらいいタイムがねらえるかもと思いました。ライダーズカップは走りがメインなのでアイススケートの技術が求められているけど、クラッシュドアイスのほうがチャンスあるかな」

こういったパフォーマンスショーの運営も手がけるだけに、日本での開催を熱望する。日本の人たちが一目見れば確実に盛り上がるスピードやジャンプのアクション。見ていても純粋に楽しめるはずだ。
「20年も競技をやってきたけど新鮮な気持ちです。一からチャレンジするという楽しさがあるんです。今は下だけど上をねらっていくという気持ちが楽しい」

クラッシュドアイスはアイスホッケー経験者が8割。他のスポーツから転向してきたアスリートは少ない。2人が初練習をしたときは、クラッシュドアイスの出場選手はエッジの使い方を教えてくれたり、アイススケートリンクを貸し切りにしてくれた。
「フレンドリーに接してくれたのがよかった。アイススケートリンクでしかできない練習もあるけど、クラッシュドアイスに生かせるような練習をインラインスケートでどうしたらいいか、というのはもうすでに頭のなかにあります」

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山本純子がレッドブル・クラッシュドアイス最終戦に…安床ブラザーズ初参戦

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、スノーボードクロスの要素を取り入れたアイスクロスダウンヒル競技の世界選手権、「ATSX Red Bull Crashed Ice(レッドブル・クラッシュドアイス)World Championship」が2017-18シーズン最終戦となる第4戦決勝を3月10日(土)=日本時間の3月11日(日)=にエドモントン(カナダ)で開催される。シーズン全戦に出場している山本純子(35=北海道在住、会社員)に加えて、インラインスケート・ハーフパイプのアスリートで、数々の国際大会で優勝を果たしている安床エイト(34)と安床武士(31)の安床ブラザーズがレッドブル・クラッシュドアイスに初参戦。

米国セントポール大会で果敢に戦った山本純子 ©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

全戦出場の山本は最終戦に向けて「いよいよ今季最終戦を迎えます。各大会を転戦する中で身に着けた技術や改善してきたことをしっかりレースにつなげて、勝ち抜いていきたいと思います。ご声援よろしくお願いします!」とコメントしている。

安床ブラザーズは、最終戦エドモントン大会でレッドブル・クラッシュドアイス初参戦を果たすが、3月3日にカナダのケベック州ラサールで開催されたレッドブル・クラッシュドアイス下位カテゴリー大会「ライダーズカップ」に参戦し、本戦前のシミュレーションを行った。ライダーズカップ出場後、兄のエイトは「アイススケートを履いてするジャンプ、スピード感など全てが初めの体験でした。カーブテクニックはもっともっと追求していく必要があることを実感できたので、エドモントンではそれを少し改善しながら、勝つという気持ちも込めて走りたいと思います」とコメント。

弟の武士は「当初はもっと悪い結果をイメージしていましたが、思っていたよりもいい結果でちょっと自信がつきました。また自分の課題がはっきり見えました。エドモントン大会は計算できないので全力で挑戦し、来シーズンにつなげたいと思います」とコメントしている。

インラインスケート・ハーフパイプで数々の国際大会で優勝を果たしている安床エイト、武士の安床ブラザーズがレッドブル・クラッシュドアイスに初参戦 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

ワールドチャンピオンシップの行方も興味深い。男子は2015年チャンピオンのスコット・クロクソール(カナダ)と2014年チャンピオンのマルコ・ダラーゴ(オーストリア)の戦いに、2016年、2017年チャンピオンのキャメロン・ナーズ(米国)がなんとか食らいつく展開。女子はアマンダ・トルンゾ(米国)の初チャンピオン獲得を、2016年、2017年チャンピオンのジャクリーン・レジェール(カナダ)が大逆転で阻止できるかが見どころ。

また年々総合順位を上げている山本が、どこまで順位を上げられるか? そして大会初参戦を果たすインラインスケート・ハーフパイプ界トップアスリートの安床ブラザーズが、どのようなパフォーマンスを見せるかにも期待。大会決勝の様子は3月11日(日)の昼12:00よりインターネットスポーツメディアのスポーツブルで生中継する。
インターネットスポーツメディア・スポーツブル

■レッドブル・クラッシュドアイス エドモントン大会のライブ中継
スポーツブルのiOS/Androidアプリ、ブラウザ(PC/スマホ)で無料で生中継を観戦できる。アプリはApp Store、Google Playで入手できる。
日時:3月11日(日)の昼12:00より (日本語解説付き)
見逃した場合はRed Bull TVでオンデマンド視聴が可能。(オンデマンドも日本語解説付き)
Red Bull TV レッドブル・クラッシュドアイス エドモントン大会

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