ジロ・デ・イタリア10月3日開幕…UCIが大会日程再調整

新型コロナウイルス感染拡大により、通常の日程で開催できなくなった自転車ロードレースのUCIワールドツアーが改めて日程を変更して開催されることになった。5月5日に国際自転車競技連合(UCI)が発表した。

ジロ・デ・イタリアは10月3〜25日、ブエルタ・ア・エスパーニャは10月20日〜11月8日の開催で、重複する日がある。すでに主催者から変更日程が発表されているツール・ド・フランスは8月29日〜9月20日の開催。スイスで行われる世界選手権ロードは9月20〜27日。

2019ジロ・デ・イタリア第12ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

2020 UCIワールドツアー
8月1日 ストラーデビアンケ(イタリア)
8月5〜9日 ツール・ド・ポローニュ(ポーランド)
8月8日 ミラノ〜サンレモ(イタリア)
8月12〜16日 クリテリウム・デュ・ドーフィネ(フランス)
8月16日 プルデンシャルライドロンドン・サーリークラシック(英国)
8月25日 ブルターニュクラシック・ウェストフランス(フランス)
8月29〜9月20日 ツール・ド・フランス(フランス)
9月7〜14日 ティレーノ〜アドリアティコ(イタリア)
9月11日 グランプリシクリスト・ド・ケベック(カナダ)
9月13日 グランプリシクリスト・ド・モントリオール(カナダ)
9月29〜10月3日 ビンクバンクツアー(オランダ、ベルギー)
9月30日ラ・フレーシュワロンヌ(ベルギー)
10月3〜25日 ジロ・デ・イタリア(イタリア)
10月4日リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(ベルギー)
10月10日 アムステルゴールドレース(オランダ)
10月11日 ヘント〜ベベルヘム(ベルギー)
10月14日 トラベルス・ラフランドル(ベルギー)
10月15〜20日 グリー・ツアー・オブ広西(中国)
10月18日 ロンド・ファン・フラーンデレン(ベルギー)
10月20〜11月8日 ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)
10月21日 ドリダースブルージュ〜デパンヌ(ベルギー)
10月25日 パリ〜ルーベ(フランス)
10月31日 イル・ロンバルディア(イタリア)


グランツールの日程重複は避けられず

ジロ・デ・イタリアなどを主催するRCSスポルトは、「UCIによる新日程は、関係するすべての利害関係者がシーズンを再プログラムするのに役立つ重要な前進だ。この困難な再調整に貢献した機関、組織、チーム、その他の人々がかつてない広範な作業の結果だ」と評価。

一方で、「自転車レースの重要な遺産を保存し保護するためには、シーズンの全レースを短い期間に再構築させるために、いくつかの犠牲を払わなければならなかった」とコメント。

ジロ・デ・イタリア側の意見では、新日程内のレースの重複を減らすためのいくつかの代替案を提示した。しかし提案は採用されなかったという。

「今回の結果は、私たちの生活のあらゆる分野に影響を与えている健康状況を考えると、現時点ではとにかく再起動することが重要である」

ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ ©Photogómez Sport

ブエルタ・ア・エスパーニャは3区間減の18ステージ

ブエルタ・ア・エスパーニャはツール・ド・フランス(8月29日〜9月20日)の1カ月後、スイスで開催される世界選手権ロード(9月20〜27日)の3週間後に開催されることになった。

ブエルタ・ア・エスパーニャの主催者であるユニパブリックは、オランダのユトレヒトなどを走るはずだった2020年大会の最初の3ステージ開催を断念した。そのためUCIは、通常の21ステージではなく、18ステージという例外的なグランツールとしてサイクリングカレンダーの再編成に取り組むことができた。1986年以降のブエルタ・ア・エスパーニャは常に、少なくとも21日間のステージレース形式を取っていた。

大会ディレクターのハビエル・ギレンは新しい日付に満足感を表明した。「カレンダーは最適なポジションとなった。この新しいパラダイムが提供する機会を活用しなければならない」とギレン。

1935年に始まったブエルタ・ア・エスパーニャはもともと4月、5月、6月の間に開催されていた。ユニパブリックが夏の終わりにレースを移動することを決めたのは1995年。これまでは2001年が最も遅い開催日程で、9月8日にサラマンカでの個人タイムトライアルで始まり、9月30日にマドリードの集団スタートステージで終了した。

●国際自転車競技連合のホームページ

2020東京五輪ロードのパレード区間を実走…公開データはGPSデバイスに転送可

2020東京五輪の自転車競技ロードレース。府中市にある都立武蔵の森公園をスタートし、10kmのパレードを経て、多摩川にかかる是政(これまさ)橋で競技開始となる。途中には由緒ある大國魂(おおくにたま)神社の参道を貫通するなど、日本情緒あふれる景観を世界中にアピールする。そんなルートを実走してご紹介。

大國魂神社の参道が2020東京五輪のパレードコースとなった
2020東京五輪自転車競技ロードレース・パレード区間。クリックすると拡大します

●2020東京五輪ロードのスタート&パレードコース【公開データ】
GPSデバイスに転送できます。

●東京オリンピック自転車競技ロードレース(男子)コース詳細
●2020東京五輪最初の決勝種目、自転車競技男子ロードレースのコースを走ってみた

いにしえの神社境内を貫通する驚きのパレード区間

府中市にある都立武蔵の森公園のこのあたりから東京五輪はスタートする

自転車ロードレースはマラソンのように一斉スタートし、ゴールの着順を競う競技だが、スタートが込み入った市街地となる場合は、パレード区間が設定される。郊外に出たところに設定された「0km地点」まで選手たちはゆっくりと走行し、そこから正式なレースが始まるというのが特徴だ。

東京五輪男子ロードレースは開会式翌日の7月25日(金)、女子は26日(土)に武蔵の森公園をスタートする。是政橋で競技開始となり、富士山を目指す。パレード区間を含めて男子244km、女子147kmの長丁場だ。

都立武蔵の森公園内のパレードコースは2019年4月の段階で路面改修中
都立武蔵の森公園の出口を左折し、人見街道に向かう
人見街道を鋭角的に左折して野川公園の脇を走る東八道路へ

スタート地点となる都立武蔵の森公園は調布飛行場をはさんで南と北に分かれるが、五輪で使われるのは府中市にある北地区。調布市にある南地区はバドミントン、近代五種のフェンシング、パラリンピックの車いすバスケットボールが開催される。また隣接する味の素スタジアムではサッカーとラグビーの一部試合、近代五種のうち4種目が行われる。

今回はGPSデバイスを起動してパレード区間を実際にサイクリングしてみた。舗装路と出口が改修中の公園を抜けて人見街道へ。野川公園の脇を走る東八道路、府中の森公園横の小金井街道、そして桜並木の桜通りへ。道路は比較的走りやすく、序盤を除けば下り基調で、スイスイと走れる。多磨霊園を含めて周辺に緑が多いのも特徴だ。

野川公園の脇を走る東八道路。写真奥から選手団がやってくる
東八道路を西に進んで多磨霊園脇を通過する
東八道路に別れを告げて小金井街道へ
片側1車線の小金井街道を進んで府中市街地へ
小金井街道の脇にある府中の森公園
小金井街道から桜並木の桜通りへ
桜通りを通過するといよいよ大観衆が待ち構えるはずの府中駅が近づいてくる

京王線府中駅近くの「馬場大門のケヤキ並木」からがパレード区間の見どころ。真夏でも涼しさを感じさせるこの並木道は大國魂神社の参道でもあるが、今回のパレードコースは直進し、神社大鳥居の下をくぐって、普段は歩行者しか通行できない境内の参道を行くのだ。

五輪のときはもちろん、選手は乗車しながら参道を走るが、一般のサイクリストがコース試走する際は自転車を押し歩きする必要がある。あるいは周囲に配慮して側道を走るのがいい。

桜通りから馬場大門のケヤキ並木へ
京王線府中駅近くの「馬場大門のケヤキ並木」
馬場大門のケヤキ並木を直進し、神社大鳥居の下をくぐる

パレードコースは随神門の前で右折。境内から府中街道に出て、多摩川に架かる是政橋に向かう。この橋の中ほどに「0km地点」が設定される予定だ。

大國魂神社の参道
自転車は押し歩きすれば参道も行けるが、場所をわきまえて試走する際は迂回することを推奨
写真奥の本殿前を右折し、この鳥居をくぐって外に出る
神社の西にある通りを抜けて府中街道に向かう

レガシーとしてこのコースを活用したい

2019年7月21日には五輪テストイベントが開催される。ツール・ド・フランス期間中であることもあり、参加は国内外のナショナルチーム。それでもメダルをねらう強豪国はコース状況の確認のために有力選手を送り込んでくることが想定される。

「東京五輪自転車ロードレースの開催を契機に、市民に自転車の魅力を知ってもらい、大会のレガシーとして自転車を活用した市民の健康増進を推進していきたい」と府中市の高野律雄市長。

大國魂神社の猿渡昌盛宮司も、「参道が五輪コースとなることに驚きましたが、世界中からやってくる選手たちをどう応援するか、いろいろと考えています」と大歓迎。例大祭に引っぱり出される大太鼓の演武などが考えられている。

府中街道に出ればいよいよ正式スタートも目前
府中街道を道なりに進むと多摩川にかかる是政橋が見えてくる
是政(これまさ)橋

東京五輪観戦チケットの申し込みは5月から始まるが、ロードレースはゴールとなる富士スピードウェイでの観覧席のみが有料。スタート地点は一般入場できないエリアが設営されることが想定されるが、パレード区間を含めてコース途中は原則的に無料観戦できる。どこでどう見るかは事前下見が肝心。駅至近のポイントは人だかりとなりそうなので、自転車を使って絶好の応援拠点を見つけておこう。

是政橋の中ほどに「0km地点」が設定される予定