広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」はサイクリングコースが完備された巨大な橋が連続する。瀬戸内海に浮かぶ島々を満喫できるルートは、日本のみならずアジア諸国からもサイクリストが走りにやってくる。尾道駅から最初の向島までは渡船を使うのだが、その後は6つの大橋を走って今治駅まで約80kmだ。
推奨サイクリングコースの道路脇には水色のラインが塗装してあって、「今治まで76km」などと案内がある。コースのほとんどはこの水色ラインがあるので、それをなぞっていけば迷うことなく四国に到着できるというわけだ。ちなみに道路の反対側にも水色ラインがあって、こちらのほうは「尾道」までの残り距離が表示されている。
特筆すべきなのは、尾道市と今治市の両方に世界最大の自転車メーカー、ジャイアントのショップがあること。ここでは最新のカーボンバイクを含むスポーツ自転車がレンタルでき、しかも借りた自転車を乗り捨てることも可能だという。貸し出しや乗り捨てにはお金がかかるが、手ぶらでサイクリングできるというのも魅力だ。
しまなみ海道サイクリングデータ
●スタート=JR山陽本線尾道駅/ゴール=JR予讃線今治駅
●走行距離=77.5km
●所要時間=5時間
●駐車場=尾道駅周辺に駐車場あり(有料)
●コース状況
難易度 やさしい★★★★★むずかしい
起伏 平たん★★★☆☆キツい
交通量 少ない★★☆☆☆多い
コンビニ・売店=公園、道の駅など要所にあり
トイレ=サイクリングコースなどにあり
①尾道駅=7.5km=②向島・立花臨海公園=8.0km=③因島フラワーセンター=19.6km=④生口島サンセットビーチ=5.9km=⑤大三島・多々羅しまなみ公園=9.0km=⑥伯方島・マリンオアシスはかた=14.3km=⑦大島・吉海サイクリングターミナル=6.7km=⑧今治・サンライズ糸山=6.5km=⑨今治駅
コースの特徴
●整備されたしまなみ海道サイクリングロードをメインとして走る。いろいろなスポットで無料のサイクリングマップを配布しているうえに、コース上の案内標識も多く、迷うことなく安心して走れる。
●しまなみ海道沿線の各自治体ではレンタサイクルを運営しているので、気軽に自転車の旅が楽しめる。
コースガイド
①尾道駅〜向島・立花臨海公園
尾道から渡船で向かい側に見える向島(むかいしま)に渡る。自転車をそのままの状態で船に持ち込むことができる。所要時間は約4分。立花臨海公園は因島大橋のふもとにある。
②向島・立花臨海公園〜因島フラワーセンター
およそ50mの高低差がある因島大橋を渡って因島(いんのしま)へ。サイクリングロードの標識に従い、島の北側を走ってフラワーセンターへ。
③因島フラワーセンター〜生口島サンセットビーチ
生口橋を渡って、島全体が美術館となって美術作品が点在する生口島(いくちしま)へ。島の北側を走ればサンセットビーチへ。南側を走るルートもある。
④生口島サンセットビーチ〜大三島・多々羅しまなみ公園
多々羅大橋で大三島(おおみしま)へ。島々を結ぶ橋の途中からは大小さまざまな船や島が見える。多々羅しまなみ公園には「しあわせの鐘」がある。鐘を鳴らすとだれでも「しあわせ」になれるという。
⑤大三島・多々羅しまなみ公園〜伯方島・マリンオアシスはかた
大三島橋を渡って伯方島(はかたじま)へ。製塩業が盛んなところ。伯方(はかた)の塩ソフトクリームが有名。
⑥伯方島・マリンオアシスはかた〜大島・吉海サイクリングターミナル
伯方・大島大橋を渡って大島へ。島の中央をまっすぐに進むこともできるが、北側を行くことも可能。ただし上りが厳しい。3kmの激坂を上って亀老山展望公園に行けば、絶景を見ることができる。
⑦大島・吉海サイクリングターミナル〜今治・サンライズ糸山
長さ6.2kmの来島海峡大橋を渡れば愛媛県今治市に到着。サンライズ糸山にはサイクリングターミナルや宿泊施設がある。
⑧今治・サンライズ糸山〜今治駅
下り基調の道を走って今治市内へ。
世界に誇れる自転車の楽園作りを目指している愛媛県は、自転車マナー先進県を打ち出し、2013年7月には「ヘルメット着用義務」条例を施行した。もちろん万一に備えて自らの身を守るためには広島県内でもヘルメットを着用すべきだが、しまなみ海道を走る際には必ずヘルメットを携行するか、ジャイアントストアでレンタルしよう。
宅配便で送る
愛車で走りたいけど、輪行していくのはイヤだなあという人にとって都合がいいのは、出発地となる尾道市の「サイクル専用ホテル」に宿泊すれば、宅配でホテルまでロードバイクを送れること。宅配料金関東地方在住で往復1万円程度で、しかも「サイクル専用ホテル」では移送用の段ボールを預かってくれる。
配送用段ボールや緩衝材がついた自転車配送システムを利用すれば、目的地に手ぶらで行くことができる。ネットでカンタン申し込み、自宅に届いた段ボールに自転車を入れれば、集荷と配達はおまかせでやってくれる。
まず自宅に配送キットを送ってもらい、その自宅と広島県尾道市のホテルを往復で配送してもらった。配送キットは3400円。キットは何度か使えるので、2回目以降は不要。すでに段ボールやハードケースを持っているのなら往復の配送料のみでいい(追加料金が必要なモデルもある)。
●自転車専用宅配便「シクロエクスプレス」
輪行で行く
輪行袋に車輪を外した自転車を収納すれば、手数料なしで電車とバスに持ち込める(バスは不可)。薄手の輪行袋は傷つけないように収納するテクニックが必要なので、今回はクッション性のある輪行バッグを使用した。両輪を外してバッグの両サイドにあるポケットに収納。フレームは中央に突っ込むだけ。これならだれでも比較的短時間で輪行することができる。新幹線に輪行袋やバッグを持ち込んだときは、できるだけ車両最後尾の座席を確保し、背もたれと壁の間に置きたい。
尾道駅前の輪行スペース
JR山陽本線の尾道駅が本州側の起点となる。駅コインロッカーの隣には屋根付きの「自転車組立場」が用意されている。さすがしまなみ海道のスタート地点だ。取材日も遠くから来たサイクリストが何人か自転車を組み立てていた。駅周辺のスポットでは無料のサイクリングマップが配布されるので必ずもらっておこう。それぞれの区間の距離や、トイレとコンビニの場所も掲載されている。
瀬戸内海トライアングルサイクリングも面白い。尾道でロードバイクをピックアップして初日は今治までの90km。市内のホテルに泊まって、名物の焼き鳥を食べ、2日目は渡船を使って「とびしま海道」へ。このルートも広島本土まで大橋でつながっているので、別の景色を楽しみながら戻ることになる。尾道に戻る国道2号は交通量が多そうだが、なんとかなるかな?
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