ツール・ド・とちぎは最終日となる3月25日、栃木県北部の那須町から中部の真岡市まで147kmの第3ステージが行われた。
コース途中にスプリントポイントが1カ所、3級山岳が2カ所設定された。3級山岳以外にもうねるようなアップダウンが続く一方、コース終盤は平坦になるため、集団ゴールになる可能性が高かった。リアルスタート直後のアタック合戦に、キナンサイクリングの新城雄大、椿大志らが参戦。飛び出しと吸収を何度か繰り返したのち、新城とホセ・ヴィセンテ・トリビオ・アルコレア(スペイン、マトリックスパワータグ)、キム・クンス(韓国、LXサイクリングチーム)の3人が先行する。
メイン集団との差は30秒ほどまで開くが、それ以上差は広がらず、49km地点のスプリントポイントを前に吸収される。そこから再びアタック合戦が始まるが、抜け出せる選手がいないまま、61km地点にあるこの日最初の3級山岳に向けた登りに集団のまま入る。
この登りと頂上からの下りで集団が大きく割れ、30人ほどの集団が先行。その中から4人の逃げ集団が形成される。メイン集団との差は最大で2分近くまで開くが、リーダーチームのオーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコーストと、スプリント勝負に持ち込みたい愛三工業レーシングチームが協力して逃げを追走する。
残り20km、逃げ集団とメイン集団との差が1分を切ったところで、逃げ集団にいた岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が単独アタック。メイン集団との差を1分まで広げる。しかしゴールに向けてメイン集団も加速。残り5kmを過ぎたところで岡はメイン集団に吸収される。最後は集団でのスプリント勝負となり、レイモンド・クレダー(チームUKYO)が優勝。キナンからは雨乞竜己がスプリント勝負に加わり、タイム差なしの6位に食い込んだ。中島康晴、塚本一樹もタイム差なしの集団ゴール。序盤に逃げた新城は9秒差の50位で完走。椿は残念ながら途中リタイアとなった。
1月のシャールジャ・ツアーから好調のまま今大会に臨んだキナンだったが、2017年のツール・ド・とちぎ個人総合2位だったエース、ジャイ・クロフォードを直前の怪我で失い、他チームと比較して数的不利な状況に立たされた。しかし残るメンバーが明確な役割と意識のもと、できうる限りの走りを見せ、一定の成果を残した。最終日の新城の果敢に逃げる姿は、厳しい局面でも攻める姿勢を忘れずに戦うチームスピリットの片鱗を見せた。
これに応えるように雨乞もゴール争いの数的不利な中、埋もれながらもスプリントに挑み6位と、今後のシーズン中に数多く控えるゴールスプリントへ向けてしっかりと手応えをつかんだ。
次戦の国際レースは4月1〜6日のツアー・オブ・タイランド。その後もUCIヨーロッパツアーへの出場が控えていて、引き続き春のシーズンでの活動を強化していく。
ツール・ド・とちぎ第3ステージ結果(147km)
1 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) 3時間16分6秒
2 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) +0秒
3 黒枝咲哉(シマノレーシングチーム)
6 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
24 中島康晴(KINAN Cycling Team)
26 塚本一樹(KINAN Cycling Team)
50 新城雄大(KINAN Cycling Team) +9秒
DNF 椿大志(KINAN Cycling Team)
個人総合
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 5時間46分16秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +14秒
3 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +20秒
21 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分38秒
43 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +3分29秒
44 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分30秒
59 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +4分39秒
椿大志のコメント
すごく厳しいステージというわけではなかったものの、個人的にはDNFという結果に終わり、最終局面の雨乞のアシストができなかった。肝心のところで何もできず、非常に残念。雨乞はしっかりと集団スプリントをもがいて6位に入って、スプリンターとしての役割を果たした。一緒に練習をしていて世界レベルのスプリント力を持っているのを知っているし、彼を軸にしたレースというのも増えていくはずなので、その場面での動きにしっかり対応できるようにしたい。多くの方に期待と応援をしていただいたが、今回のレースでは思うような動きやアピールができずに終わってしまった。次回のレースでは、しっかりと応援に応えられる走りをしたい。
新城雄大のコメント
チームとして前日のような消極的なレースはしないということと、個人的にも攻めたいというのもあり、スタート直後からかなりトライしていった。結果、前半で数回の逃げに乗ることができたが、集団に容認されず捕まってしまった。後半は、雨乞さんのスプリントへ向けての動きに集中したが、最終局面でアシストができなかった。個人的な動きとしては悪くなかったと思うが、後半もう一仕事が必要だと感じた。今回は数的不利があるなかで中島さんの動きもあり、最終局面でのポジショニングはできていたので、うまくはまれば勝ちも遠くはないと感じている。個人的には、得意とする逃げの展開に磨きをかけていきたい。チームとしては、やはり雨乞さんのスプリントを成功させるような動きができるように連携を図っていきたい。
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