ツール・ド・フランス期待のジェガット先生が中学生230人に特別授業

ツール・ド・フランスさいたまに出場する自転車界のトッププロ選手がさいたま市内の中学校で先生として授業を行う「ドリームティーチャー」が11月7日に行われ、2025ツール・ド・フランスでいきなり総合10位になった26歳の若手フランス選手、ジョルダン・ジェガット(トタルエネルジー)が日本の生徒たちに夢を語った。

さいたまの中高一貫校の中学1年から3年生まで230人が集まった

フルーム、キッテルの大物とは異なる、将来性のある若手先生

大会は11月9日にさいたま新都心で開催されるが、授業はその2日前に行われた。ジェガットが訪問したのはさいたま市浦和区にあるさいたま市立浦和中。これまではクリストファー・フルーム(2019)とマルセル・キッテル(2022、2023)というスーパースターが先生役を務めていたが、今回ツール・ド・フランス主催者が指名したのは若いジェガット。これまでの実績は少ないが、フランスでは最も期待されている選手だ。

2025ツール・ド・フランス第8ステージを走るジョルダン・ジェガット(左)、その右はマイヨジョーヌのポガチャル ©A.S.O.

ジェガットはとりわけ山岳コースでの強さと安定感から、今後のツール・ド・フランスでの活躍が期待されている。若手ながらも着実に実力をつけていて、プロ勝利はまだないが、2度目の出場となった7月のツール・ド・フランスで期待以上の成績を残している。

美術部が羽子板の絵を、書道部が題字を担当して、A.S.O.の担当(左から3人目)とジェガットにプレゼント

「5歳の頃から自転車に乗り始めて、プロになって4年目のシーズンを経験したよ」というジェガットは来日4回目。2024年にツール・ド・九州に出場し、同年に初めてさいたまへ。そして2025年も同じ2大会への出場を果たした。

「大阪と九州はクルマを使って移動したので、途中で立ち寄った広島で原爆ドームなどを見て感慨深いものを感じた。大阪は東京とは違ってまたひとつの日本を体験できてうれしかった。初めて寿司を食べてとてもおいしくてびっくりした。ラーメンも好きだよ」とすでに日本通だ。所属チームはフランス勢ばかりで、これまでのレースもフランスを舞台としたものがほとんどだが、英語も得意で、生徒たちとは英語でやり取りした。

2025ツール・ド・フランス第18ステージを走るジョルダン・ジェガット ©A.S.O.

自転車に乗ることが好き、練習の成果が現れるレースも幸せ

この日はさいたま市の中高一貫校で学ぶ中学1年生から3年生まで230人が熱心にツール・ド・フランスを学ぶとともに、期待のフランス選手に素朴な質問を向けた。

「どうしたらプレッシャに打ち勝てますか?」という質問が。

「プレッシャーのあるなかで集中力を維持するのはなかなか難しいよね。そんなとき、自分のゴールはなんなのかを再確認してみるんだよ。やっぱりボクはレースに勝つことなんだとそこで確認することができる。そのために目標を立てて計画的に準備を進めていければと思っている」

ジェガットが中学生たちに、ツール・ド・フランスのコースを示す黄色い看板やジャージなどをプレゼント

「プロになる決心をしたのは勇気がいりましたか?」

「最初は自転車に乗るのが楽しくて、それだけだった。次第にレースに出場するようになり、レースで勝ったりした。そうなると、やはりツール・ド・フランスが夢で、父にそれを打ち明けた。家族で応援してくれることでプロの世界に飛び込む決心がついたんだ」

「賞金をもらったり実績をつかめてうれしいこともあるが、ボクは本当に自転車に乗るのが好き。これまでも厳しい練習を積み重ねてきたが、その成果を発揮できたことが確認できることが幸せ。もっと強くなるためにこれからも努力していきたい」と夢なかばの今の気持ちを語った。

ジョルダン・ジェガットは「如流男」と書く

日本の中学生の将来に確実に足跡を残した!

得意の英語で、「強くなるためには何時間練習するんですか」と質問したのは2年生の嶋田晴日さん(14)。「弓道の練習や勉強などで私自身がどのくらい時間を当てたらもっとうまくなったり、勉強できるようになるのかを知りたいので、ツール・ド・フランスで活躍する選手に聞く機会を得られて思い切って質問してみました。とてもていねいに応えてくれて、これからの目安になりました」

「何時間練習したら強くなりますか?」と質問した嶋田晴日さん(中央)とジェガット、左は神田剛広校長

これまで自転車は単なる移動手段としか見ていなかったという嶋田さんだが、「わたしなんかよりとても背が高かった」と感じたフランス選手とコミュニケーションできたことで、知ることもなかったフランス文化やスポーツへの関心も高まったはずだ。

「日本の自転車レース環境はもちろんフランスと比べたらまだまだだと思うが、頑張る選手らがいれば必ずその道は開けていくと思う」と大好きな日本へのエールもジェガットは忘れなかった。

2025ツール・ド・フランス第14ステージのジョルダン・ジェガット ©A.S.O.

2026ツール・ド・フランスは革命記念日の第10ステージで勝ちたい

山岳コースでの強さと安定感から、今後のツール・ド・フランスでの活躍が期待されているジェガット。選手としての特徴は以下の通りだ。

登坂力:厳しい山岳ステージでの高いパフォーマンスが持ち味であり、グランツールで求められる持久力と爆発力を兼ね備えている。

レース戦略:冷静な判断力と集団内でのポジショニングのうまさが光り、チーム戦略においても重要な役割を担う。

若さと成長性:まだ若い選手でありながら、経験を積むごとに成長を遂げていて、今後さらに力を伸ばしていくことが期待される。

ツール・ド・フランスは世界最大の自転車ロードレースで、多くの選手にとって夢の舞台だ。ジェガットはそのタフなコース設定や多様なステージに適応できる能力があり、総合成績や山岳賞争いに絡むことができると考えられている。特にフランス人選手として地元ファンからの注目も高く、将来的にはチームのエース格としての活躍も期待されている。

「2026年のツール・ド・フランスは今年の総合10位よりもいい成績を収める必要はあるけど、いきなり総合優勝を目指して走るものではないし、頑張って走った結果が総合5位だったりすればいいかな。まずはステージ優勝を飾りたい。7月14日(革命記念日)に中央山塊のオーリャック〜ル・リオラン(第10ステージ、167km)がターゲット。山岳ステージだけどアルプスやピレネーよりも厳しいわけではなく、ボクの脚力に向いているからね」

ジョルダン・ジェガット ©A.S.O.

ただしツール・ド・フランスで上位を狙うためには、さらなる経験の蓄積と、タイムトライアルやスプリント能力の強化が鍵となる。すでに高い登坂力を武器にしているため、今後の成長次第では総合優勝や表彰台も夢ではないという。チームやファンからのサポートを受けつつ、世界のトップ選手との競争の中で自身の存在感をさらに発揮していくはずだ。

さいたま市のドリームティーチャー

ツール・ド・フランスさいたまがおいしい! やわらかゴールドプレーン発売

埼玉県熊谷市の梅林堂がツール・ド・フランスさいたまクリテリウムとコラボした商品を2025年10月17日から梅林堂7店舗とECサイトで販売する。

2025ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムやわらかゴールドプレーン 4枚入

外箱はツール・ド・フランスのイメージカラーで彩られ、個包装も人気のオリジナルフィルムで仕上げた特別仕様。お菓子は埼玉県物産観光協会主催「あの人に贈りたい埼玉県のお土産プロジェクト」でグランプリを受賞した「生サブレ やわらかゴールドプレーン」を採用した。

2025ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムやわらかゴールドプレーン 4枚入
商品:やわらかゴールドプレーン×4枚
価格:650円(税込)
2025ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム やわらかゴールドプレーン 12枚入
2025ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム やわらかゴールドプレーン 12枚入
商品:やわらかゴールドプレーン×12枚
価格:1900円(税込)
〇梅林堂ECサイ 
https://www.bairindo.co.jp/category/25TOUR_DE_FRANCE/
〇2025さいたまるしぇ in さいたまクリテリウム 会場での販売
【日程】 2025年11月8日(土)9日(日)
【会場】 さいたま新都心けやきひろば 2階(さいたまクリテリウムオフィシャルスイーツブース)

ツール・ド・フランスさいたまを無料のJテレとJ SPORTSが生中継

世界最高峰の自転車ロードレースの名を冠した観戦型イベント、2025ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムが2025年11月9日(日)に、さいたま新都心駅周辺で開催されるが、当日のレースの模様が、プレゼンティングパートナーであるJCOMが運営するオリジナルチャンネル「Jテレ」(無料)とJ SPORTSで生中継される。

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム ©A.S.O. Thomas Maheux

地域情報アプリ「ど・ろーかる」(無料)、J SPORTSオンデマンドでも生配信される。

さいたまスーパーアリーナを貫通するレースコース ©A.S.O. Thomas Maheux
放送媒体/日時
Jテレ/地域情報アプリ「ど・ろーかる」
2025年11月9日(日)14時30分から17時30分まで(予定)
J SPORTS/J SPORTSオンデマンド
2025年11月9日(日)14時30分から17時30分 まで (予定)

●ツール・ド・フランスさいたまのホームページ

東京五輪金、ツール・ド・フランスポイント賞のミランがさいたまに

東京五輪トラック種目の金メダリスト、2025ツール・ド・フランスで区間2勝とポイント賞を獲得したリドル・トレックのジョナタン・ミラン(イタリア)が2025年11月9日にさいたま新都心駅周辺で開催されるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに初出場する。

ミランが2025ツール・ド・フランス第17ステージ優勝 ©A.S.O.

ミランはツール・ド・フランス2025で区間2勝したことに加え、ポイント賞である緑色のリーダージャージ、マイヨヴェールを初めて獲得した。ツール・ド・フランスと並んで世界三大ステージレースの一つと言われるジロ・デ・イタリアでも2023年、2024年にポイント賞を2年連続獲得している。

ポイント賞のミラン。2025ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O.

トラック競技では、東京五輪でチームパシュート金メダル、パリ五輪でも同種目で銅メダルを獲得した。2024年のトラック世界選手権では個人パシュートで金メダルを獲得し、世界記録を樹立した。若手選手でありながら、ロードとトラックの両競技で輝かしい戦績を残す注目のスプリンターが、さいたまクリテリウムに初出場する。

ミランがポイント賞を獲得 ©A.S.O.

その他の出場選手は、決定次第発表されるという。

ミランがティレーノ~アドリアティコ第7ステージ優勝 ©LaPresse

●ツール・ド・フランスさいたまのホームページ

垣田真穂…全日本トラック5冠も目標はツール・ド・フランス

「いつかはツール・ド・フランスで走りたいけど…」。パリ五輪自転車競技トラック代表。全日本トラック五冠。3000mの日本記録保持者。順風満帆で飛躍してきた早稲田大2年、垣田真穂に迷いが生じている。ロード代表で2028ロサンゼルス五輪を目指すが、その種目でメダルは獲得できるのか? 世界の強さを痛感した19歳が揺れている。

垣田真穂。12月14日に20歳の誕生日を迎える

五輪で金メダルを目指すのならトラックの方が近い

福岡でサッカーをしていた少女が県のアスリート発掘事業でさまざまなスポーツを体験。風を切って走る自転車に魅力を感じてこの競技を選んだ。科学的な能力測定で抜群の数値を連発し、2022世界選手権ジュニアロードで2位のゴール勝負に加わった。あっという間に世界中の女子ロードチーム関係者が注目する存在になった。

「ロードレースのほうが好き。でも五輪で金メダルを目指すのならトラックの方が近いとは思う」と、当時高校3年生ながらその道を冷静に見据えていた。だからパリはトラック選手として出場した。

パリ五輪では落車もあって思うような結果は残さなかったが、大会後に女子ロードチームのEFエデュケーションに入るのは決まっていた。「高校生で始めた自転車はロードが基本。パリに向けて3年生の最後からトラックに専念した。パリが終わって、ロードに戻ろうと決めていた」

陸上競技に例えれば中距離では世界レベルにある田中希実がフルマラソンに挑戦するようなチャレンジだ。加えてトラック日本代表チームで大切に育成された逸材が、いきなり多言語必須のプロロードチームに放り込まれるという環境変化もあった。五輪直後にロードレースでデビューするのだが、チーム最年少の垣田には不安なことばかりだった。

「英語さえ全然話せません。まだ加入したばかりで、役割もそれほどなかったけど、レース中の指示は理解できなかった」

11月2日に開催されたツール・ド・フランスさいたまにエリート女子日本代表として参戦

長距離が走れなくなってしまいロードから逃げていた

トラック日本代表ならチームが米などの和食具材を持ち込んでくれる。しかしロードレースはホテル転々。「ロードで行くって決めたら海外で単身全てしないといけないから、早く慣れる必要がある。でもそれってちょっと楽しみです」

久しぶりのロードはもちろんきつかったが、それ以上に楽しかった。

「ずっとトラックをやっていたのでロードがこれまでより走れなくなっているのを実感していて、実はロードから逃げていた。ほんとはメチャメチャ大好きなのに。たくさんの人がトラックでサポートしてくれているのもわかっていたから、内心ではどうしようとずっと悩んでいた」という。久々のロードで、それにいきなり欧州の大きなレースに起用されたのだから厳しい展開となったが、「距離は長いし、上りの練習はできていなかったけど、楽しかったです!」

欧州でロード2レースを経験した後に全日本選手権で5冠を取ってさらに揺れ動く。

さいたまスーパーアリーナを駆け抜ける垣田

世界のトップはトラックもロードも強いから負けずに頑張る

「来年は現時点で所属するロードチームは決まっていない。ロードに専念するか、トラックも兼任するか。次のロス五輪でメダルを取ることが目標ですが、トラックとロードでどちらがメダルに近いかを考えながら、自分で選択して頑張りたい」

垣田が自転車に転向した高校1年のとき、ツール・ド・フランスに女子クラスはなかったが、2022年に開幕。「やっぱりツール・ド・フランスはいちばん大きな大会で、ずっと出てみたいと思っていた。2025年に出場するのは厳しいと思うけど、世界のトラックで活躍している選手はロードでも結構ガツガツやっているので、負けずにチャレンジしていきます」

垣田真穂プロフィール

2004年12月14日、福岡県北九州市生まれ。10歳で福岡県のタレント発掘事業に合格。14歳でスポーツ庁やJOCなどが推進するジャパンライジングスタープロジェクトに参加して自転車競技を選択。地元に自転車部のある高校がなく、ロード練習を主に取り入れている愛媛・松山学院高に進学。

杭州アジア競技大会・トラック女子チームパシュート優勝、トラック女子マディソン優勝
2024ネーションズカップ・女子マディソン優勝
自転車アジア選手権では通算4冠
2024全日本選手権トラック・個人パシュート、スクラッチ、マディソン、オムニアム、チームパシュート優勝

逃げるログリッチをギルマイがゴール直前で逆転…ツール・ド・フランスさいたま

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの第10回記念大会が2024年11月2日にさいたま新都心駅周辺で行われ、7月のツール・ド・フランスでポイント賞を獲得したアンテルマルシェ・ワンティのビニヤム・ギルマイ(エリトリア)が初優勝した。

ギルマイ(中央)が逃げ続けたログリッチ(右)を逆転して優勝 ©A.S.O. Yuzuru Sunada

レースは終盤にレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのプリモシュ・ログリッチ、DSMフィルメニッヒ・ポストNLのロマン・バルデ(フランス)、バーレーンビクトリアスの新城幸也が抜け出した。降りしきる雨のなかでログリッチが独走へ。しかし後続集団がフィニッシュ目前までに追い上げ、最後はギルマイが得意のスプリントで勝利した。

さいたまスーパーアリーナ ©A.S.O. Thomas Maheux
カベンディッシュが日本を走る ©A.S.O. Thomas Maheux
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム ©A.S.O. Thomas Maheux
さいたまスーパーアリーナを貫通するレースコース ©A.S.O. Thomas Maheux
ベン・オコーナー ©A.S.O. Yuzuru Sunada
ツール・ド・フランス最多勝を更新したカベンディッシュのナンバーカードは35 ©A.S.O. Thomas Maheux
さいたま市の清水勇人市長がスターター ©A.S.O. Thomas Maheux
ログリッチのファンが待ち受ける ©A.S.O. Thomas Maheux
毎回恒例のさいたま市内交流会は埼玉大学で合気道と邦楽琴を体験 ©A.S.O. Yuzuru Sunada
杉浦佳子が個人タイムトライアルを走る ©A.S.O. Yuzuru Sunada
合気道を真剣に学ぶログリッチ
埼玉大学合気道部に入門した新城幸也、プリモシュ・ログリッチ、マーク・カベンディッシュ
パリパラリンピックの金メダルを首からかけてパレード走行に参加した杉浦佳子