春から初夏にかけて田んぼや道端に咲くオレンジ色のかわいい花が年を追うごとに増えていることに気づいている人も多いはず。欧州地中海由来のケシ科・ケシ属の植物「ナガミヒナゲシ」で毒があり、強い繁殖力を持つため各自治体が注意喚起を始めた。
全国の自治体が危険外来種として注意喚起を始めた
地中海沿岸原産の一年草は高さ20~60cm、4月ごろから6月ごろに道端や空き地などで直径3cmほどの薄いオレンジ色の花を咲かせる。花はポピーと似ていて、葉はヨモギと似ているのでカメラを向けたり、食用として収穫したりする人もいるが要注意。
現在のところ特定外来生物には指定されていないが、他の植物の育成を妨げる成分を含んだ物質を根から出すことから、特定外来生物と同様に日本の生態系に大きな影響を与える植物であることは間違いない。
1つの花から1600粒の種が取れる。1つの個体が100個の花をつけることもあるため合計で16万の種が発生する。クルマのタイヤや人間の靴底に付着して運ばれるので、道路脇などに群生することが多い。かわいい花なのでたいていの人はほほえましく見届けるだけだ。
かわいいのだが、実は毒がある。黄色い汁の中にアルカイド性の有害物質が含まれ、素手で触るとかぶれる恐れがある。また根には他の植物を攻撃する成分が含まれ、在来植物の生育に影響が出る可能性がある。
毒があるため駆除は慎重に行う。できれば種ができる前に抜き取り、ビニール袋などに密封して可燃ゴミとして処分するのがベスト。たいていはオレンジの花が咲いて初めて気づくので、ゴム手袋などをして根から抜き取って処分する。種ができている場合は、種が飛ばないよう十分注意する。
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