ヒマラヤにある標高6524mの未踏峰プンギに2024年10月12日午後12時09分、日本山岳会学生部の5人全員、井之上巧磨(青山学院大)、尾高涼哉(東京大)、中沢将大(立教大)、横道文哉(立教大)、芦沢太陽(中央大)が初登頂した。国内トレーニング時からさまざまなギアを使いこなして厳選し、本番となるヒマラヤに持ち込んだテント、ザック、ハーネス、食品類を尾高が紹介。
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ヒマラヤでも有効だが、日本の山でも使いやすいものばかり
こんにちは! 前回投稿から大分時間が空きました、ヒマラヤ遠征隊の尾高です。私たちは、昨秋のヒマラヤ遠征にあたり、ありがたいことにたくさんの企業に支援いただきました。今回の連載ではセレクトしたギア、食品類を紹介していきます。日本の山でも使いやすいものもありますので、ぜひご興味があれば使ってみてくださいね!
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カミナドーム4(finetrack社)のテント
今回の遠征ではメインのテントとしてfinetrack社製のカミナドーム4を使用しました。国内での、普段の山行でも非常によく使うテントです。僕らは4人用のものを工夫して5人で使用していました。
カミナドームシリーズはなんと言っても、軽量さと耐久性の両方を非常に高い次元で両立しており、軽量化が至上命題であると同時に、激しい気象条件にさらされる可能性のあるヒマラヤ遠征にまさしくピッタリのテントでした!
私はこのテントで合計50泊程度はしていますが、国内の登山で使うテントを考えた際にも、夏冬ともにベストなテントの一つだと思います。
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ワーソッグ30L(Blue iceケンコー社)のアタックザック
冬山登山で30L程度のザックに求めるすべての機能を必要十分に備えていながら、シンプルで使いやすく、非常に軽量であり、理想的なアタックザックです。
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加えて、高い拡張性もこのザックの優れているポイントです。僕らは軽量化のため、サイドベルトやウエストハーネスを取り外して使用していました。一方で、付属のバンジーコードを使用すればアイゼンを外付けすることも可能であったり、形状がシンプルゆえにマットなどを外付けすることも容易です。
この高い拡張性と癖のない形状のおかげで、30Lという限られた容量ながら、アタック用の3日分の食料、テント、シュラフ、マット類、ジェットボイル、登攀具を十分に持ち運ぶことが可能で、工夫次第では泊まりの冬山でもこのザックのみでも十分であると感じました。
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私のイチオシポイントとしては、ポケットの位置があります。
このザックは雨蓋がなく、ポケットはザック本体に付いているのですが、ポケットの配置が絶妙で、他の同様なザックと比較しても、物を取り出しやすく、また、ポケットのみがふくらんでやや飛び出すといったことがあまりない点が個人的に非常に気に入ってます。
国内でもクライミング、冬山はもちろんのこと、夏山登山や低山ハイキングなどあらゆる山に関係するアクティビティで使用できると思います。デザインも非常にシンプルでカッコよくてオススメのザックです!
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コーカスプロ(Blue iceケンコー社)のハーネス
このハーネスの最大の特徴はとにかく軽量な点です。ハーネス単体では履いているのを忘れてしまうほどです。
また、設計も優れていて、足上げなどにも全くストレスがかかることはないので、軽量さも相まって、冬山での行動中ずっと着けていても一切ストレスがありません。
また登攀中の快適もさることながら、軽量なアルパインハーネスで犠牲になりがちな体重をかけた際の快適性(ハーネスの紐が腿に食い込んで痛いなど)に関しても想像以上に優れており、懸垂下降も快適にこなせました。
また、アイゼンを履いた状態からも履きやすく、背中側のバックルを外せるため、用を足す際にもハーネスを脱ぐ必要がないのも魅力ですね!
国内で使うシチュエーションはある程度限られる道具ではありますが、冬山で軽量化をしたい際などには強力な武器になると思います!
アルファ米(尾西食品)
尾西食品のアルファ米も国内でずっと食べ続けた馴染みのアイテムです。
アルファ米というのは、普通の米を炊き上げた後に乾燥させてアルファ化した米のことで、お湯を注ぐだけですぐできるのが最大の魅力です。
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非常に軽量かつ、温かくて馴染みのあるお米を食べられるというのは、長期間慣れない環境に滞在する海外遠征では特にありがたい点でした。
アタック中のメインの食事として朝夜食べていました。
尾西食品のアルファ米は、五目や赤飯などさまざまな味があり、飽きずに食べ続けられるのが特徴です。みなさんもぜひ、山登りに取り入れてみてはいかがでしょうか?
以上、今回の遠征で使用したギア類のレポートでした! 興味のあるものがあったら、ぜひ使ってみてくださいね。今回紹介したギア類は、どれも過酷なアウトドアフィールドにおいても全幅の信頼をおけると思います。
チャレンジを終えて…尾高涼哉
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ネパールでの遠征を振り返った際に、最も印象的なのは、アタック翌日のBCで迎える朝日でしょうか。現在という時間は、過去と未来に区切られてしか存在し得ません。つまり、僕らのあのアタックというのは、まさしくこうして日が昇ることによって完結するのではないでしょうか。
こんなことを、紅茶を飲みながらぼんやりと思っていたのがやけに印象深く思い出に残っています。
これまでのバックナンバーは下記PHUNGI 6524特集トップページにもくじがあって確認できます。
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