専用サイクリングアプリを使って日本各地に設定された1周コースを走る「サイクルボール Season6 -グランボール制覇の旅-」が2025年4月26日に6シーズン目のスタートを切る。参加費は無料で、各地の1周を達成するごとにアプリ上で1つの「サイクルボール」を獲得。期間終了までに指定した数のサイクルボールを集めると、賞品がもらえる。無料なのにどうして地域の特産品や自転車関連各社の商品などがもらえるのか?

期間型サイクリングイベントは現在のトレンド
自転車・サイクリングを活用した観光振興事業をサイクルツーリズム事業というそうだが、全国各地でこれを展開する一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンが考案した新しいサイクリングイベントだ。きっかけは新型コロナウイルス感染症拡大により多くの人が集まるスポーツイベントが開催できなくなったこと。
コロナ禍の新たなイベント様式として企画されたのである。おおまかに期間は設定するが、参加者それぞれがその期間内で走る日を決めていい。これならコロナ禍の「密」を回避できる。受け付けもないので、完走を認定するのはアプリ起動で取得するデータだ。その町の観光協会が運営する施設などが発着となり、画面のスタートボタンを押して走り始める。コース上の道の駅などがチェックポイントで、アプリでこれをチェックインしていく。完走したら走行記録が認定されるだけでなく、協賛社の賞品や地元特産物が当たる抽選にも応募できる。

これまでの参加型スポーツイベントは参加料ありきのものだった。今回なぜ無料化できたかといえば、イベント催行する地域が新たなビジネスモデルを構築したからだ。参加料を徴収するリアル大会は1〜2日で終わってしまうが、期間分散型なら1〜2カ月、定着すれば通年でサイクリストがその土地を訪れてくれる。都合がつく日に走ればいいから参加者数も増える見込みがある。
リアル大会を運営するよりコストは抑えられ、事前準備の人的負荷も大幅に下がる。だから費用対効果は確実に高まる。コロナ禍による観光産業の大打撃を逆手に取った、まさに起死回生の一手だった。
2024年度に開催したサイクルボール Season5の実績は、年間参加者数8046人、参加者1人・1ステージ走行あたりの域内直接消費額平均は9569円だったという。
6シーズン目のグランボールは現在11ステージ
それぞれの1周コースは「ステージ」と呼ぶ。今季は「秋田県大館市1周」「男鹿半島1周」「牡鹿半島1周」「宮城県大和町1周」「霞ヶ浦1周」「筑波山1周」「房総半島1周」「伊豆大島1周」「伊豆半島1周」「狩野川1周」「富士山1周」の計11ステージから開始。「秋田県大館市」「男鹿半島」は今シーズンが初めての開催で、ステージ数は順次増加予定という。

全ての1周コースを制覇したい強者から、一部のコースを走りたい人まで、幅広い層のサイクリストに1年を通してニッポン全国のサイクリングを楽しむ機会を提供してくれる。さらにステージ各地でサポート付きで参加者全員で走れるイベント「チャレンジDAY」も開催され、大勢の仲間と走れる従来型の大会も用意されている。

「この取り組みを通して、開催地域には1DAY 型イベントでの地方誘客にとどまらない、長期間にわたるサイクリストの来訪機会を提供します。各地での交流人口・関係人口の増加と地域活性化に貢献したい」と同社。

開催地域は増加。現在も新規コースを募集中
サイクルボールはこうして地域のサイクルツーリズム施策」として活用できる。サイクルボールのステージとして参画すると、長期間にわたるサイクリストの来訪機会を創出し、観光消費額・交流人口・関係人口の増加、地域活性化が期待できる。地域を1周するサイクリングコースを活用し、新規造成によるサイクルツーリズムの推進を検討する地方自治体・観光団体はちょっとしたチャンスかも知れない。
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