室屋義秀がフィナーレとなるレッドブル・エアレース優勝

レッドブル・エアレース最後の大会となる2019年シーズン最終戦、レッドブル・エアレース千葉大会は9月8日(日)にマスタークラスの競技が千葉県立幕張海浜公園で行われ、室屋義秀が優勝。千葉大会の優勝は3回目。総合優勝はこの日3位に入ったオーストラリアのマット・ホール。

2日間で10万人の観衆が室屋義秀のフライトに声援を送った ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

台風の接近でスケジュールが大幅に前倒しになったファイナルレース。94戦目のエアレースは14年の歴史に幕を下ろすという最後の大会だった。奇しくもこの日、9月8日はエアレース黎明期の第一人者、オーストリアのハンネス・アルヒが墜落死した命日でもあった。

会場となった千葉県立幕張海浜公園は季節外れの猛暑にもかかわらず、7日(土)に約4万人、8日(日)に約6万人、2日間でのべ10万人が集まった。日本のファンが大声援を送る室屋は1回戦となるラウンド・オブ・14でまさかの敗退を喫した。

レッドブル・エアレース千葉大会を飛ぶ室屋義秀 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool
レッドブル・エアレース千葉大会 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

14人のエリートパイロットが出場する最高峰のマスタークラスは、1対1の対戦でタイムの速かった7選手がラウンド・オブ・8に進出。唯一残された1枠は敗者の中で最もタイムが速かったパイロットが救済される。室屋はこの最後の1枠に滑り込むことができた。それがファイナルにふさわしいドラマチックなフィナーレにつながっていく。

ションカはラウンド・オブ14で敗退し、ワールドチャンピオンを逃した ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

ラウンド・オブ・8を勝ち上がった室屋は決勝レースであるファイナル4へ。最後の戦いはここまで勝ち残った4選手が順番に飛び、最速ラップを記録したパイロットが千葉大会の優勝者となる。さらにはシリーズ総合のワールドチャンピオンも決定する。室屋が2年ぶりにワールドチャンピオンとなれる条件は室屋自身が優勝すること、そしてホールが4人の中で4位になることだった。

2番手で登場した室屋は冷静でスムーズなフライトを披露し、58.636秒をマーク。最終パイロットのホールを前にトップに立っていた。ここでホールは離陸前にチームスタッフと戦略を検討。あえてリスクを犯さず、確実に3位までにまとめて総合優勝をつかみにいく判断をしてテイクオフ。その作戦通りにうまくまとめて3位になり、千葉大会の優勝は同期である室屋に譲ったが、わずか1ポイント差で悲願のワールドタイトルを手中にした。

ファンの後押しで敗者最速から勝ち上がれた(室屋)

最後のレッドブル・エアレース、千葉大会を制した室屋義秀 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

「レースに勝ち、ベストパフォーマンスが発揮できたので、結果に満足しています」と室屋。
「これが今年の自分の実力です。マット・ホールにはわずか1ポイント届きませんでした。長年一緒に戦ってきましたし、彼のことをうれしく思っています。ホームファンの前で優勝するのはこれで3回目です。フィニッシュラインを越える前に初めてファンの皆さんの姿を確認したのですが、皆さんからのエナジーを感じました。皆さんのおかげで敗者最速から優勝できました」

レッドブル・エアレース千葉大会の結果
1.Yoshihide Muroya (JPN)
2. Kirby Chambliss (USA)
3. Matt Hall (AUS)
4. Pete McLeod (CAN)
5. Nicolas Ivanoff (FRA)
6. Mika Brageot (FRA)
7. François Le Vot (FRA)
8. Ben Murphy (GBR)
9. Michael Goulian (USA)
10. Juan Velarde (ESP)
11. Cristian Bolton (CHI)
12. Matthias Dolderer (GER)
13. Martin Šonka (CZE)
14. Petr Kopfstein (CZE)

ラストチャンスでプレッシャーを感じた(ホール)

マット・ホールが悲願の、そして最後のワールドチャンピオンに ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

「大きな安堵感を得ている。史上最高の脇役になってしまう可能性を心配していたので、チャンピオンになることができてほっとしている」とホール。
「非常にフラストレーションがたまる展開だったが、ふさわしい結果が得られた。今日はプレッシャーを感じていた。過去にタイトル決定戦を4回経験してきたが、今回はラストチャンスだったので、プレッシャーはこれまで以上に高かった。カメラの前では冷静で順調そうに振る舞っていたが、内心はずっとツラかった。今日は感情面で難しい1日だった。自分にはチャンピオンがふさしいと言うつもりはないが、参戦を続け、上位陣にプレッシャーをかけ続けてきた。年間総合トップ3に5回も入ったのに一度もチャンピオンを獲れなかったら、一生悔いが残っただろう。ようやく自分はワールドチャンピオンだと言えるようになった」

2019レッドブル・エアレース ワールドチャンピオンシップ最終順位
1. Matt Hall (AUS) 81 pts
2. Yoshihide Muroya (JPN) 80 points
3. Martin Šonka (CZE) 68 points
4. Ben Murphy (GBR) 48 pts
5. Kirby Chambliss (USA) 48 pts
6. Pete McLeod (CAN) 48 pts
7. Nicolas Ivanoff (FRA) 47 pts
8. Mika Brageot (FRA) 44 pts
9. Michael Goulian (USA) 42 pts
10. Juan Velarde (ESP) 39 pts
11. François Le Vot (FRA) 34 pts
12. Cristian Bolton (CHI) 27 pts
13. Petr Kopfstein (CZE) 10 pts
14. Matthias Dolderer (GER) 6 pts

レッドブル・エアレース千葉の決勝時間が大幅に変更

レッドブル・エアレース最後の大会となる2019年シーズン最終戦、レッドブル・エアレース千葉大会は9月8日(日)にマスタークラスの競技が千葉県立幕張海浜公園で行われるが、大会プログラム(スケジュール)は天候を考慮のうえ、安全な競技実施を最優先に時間調整された。

レッドブル・エアレース千葉大会 © Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

8日の開場時間は午前9時に変更。マスタークラスの競技は午前10時〜13時頃まで実施。閉場が15時となった。

マスタークラスの競技(Round of 14)は午前10時からスタートし、Round of 8およびFinal 4を12時から実施する。なおチャレンジャーズクラスの順位は7日の予選結果をもとに決定される。

なお最新情報はtwitterのレッドブル・エアレース千葉大会アカウントを確認のこと。

Round of 14の組み合わせ(午前10時スタート)

  • Juan Velarde (ESP) vs. Kirby Chambliss (USA)
  • Martin Šonka (CZE) vs. Nicolas Ivanoff (FRA)
  • Matt Hall (AUS) vs. Michael Goulian (USA)
  • Yoshihide Muroya (JPN) vs. Ben Murphy (GBR)
  • François Le Vot (FRA) vs. Cristian Bolton (CHI)
  • Pete McLeod (CAN) vs. Matthias Dolderer (GER)
  • Mika Brageot (FRA) vs. Petr Kopfstein (CZE)

千葉大会の予選結果
1. Juan Velarde (ESP) 56.760,
2. Martin Šonka (CZE) 56.879,
3. François Le Vot (FRA) 57.052,
4. Matthias Dolderer (GER) 57.159,
5. Yoshihide Muroya (JPN) 57.570,
6. Petr Kopfstein (CZE) 57.777,
7. Matt Hall (AUS) 58.056,
8. Michael Goulian (USA) 58.060,
9. Mika Brageot (FRA) 58.389,
10. Ben Murphy (GBR) 58.663,
11. Pete McLeod (CAN) 59.015,
12. Cristian Bolton (CHI) 59.298,
13. Nicolas Ivanoff (FRA) 59.317,
14. Kirby Chambliss (USA) 1:00.549

千葉大会予選を終えての世界ランキング
1. Martin Šonka (CZE) 67 points,
2. Matt Hall (AUS) 61 pts,
3. Yoshihide Muroya (JPN) 55 points,
4. Ben Murphy (GBR) 37 pts,
5. Michael Goulian (USA) 37 pts,
6. Juan Velarde (ESP) 35 pts,
7. Nicolas Ivanoff (FRA) 33 pts,
8. Mika Brageot (FRA) 31 pts,
9. Pete McLeod (CAN) 30 pts,
10. Kirby Chambliss (USA) 26 pts,
11. Cristian Bolton (CHI) 24 pts,
12. François Le Vot (FRA) 22 pts,
13. Petr Kopfstein (CZE) 10 pts,
14. Matthias Dolderer (GER) 4 pts

レッドブル・エアレース、いよいよファイナル…千葉大会

レッドブル・エアレース最後の大会となる2019年シーズン最終戦、レッドブル・エアレース千葉大会が9月7日(土)、8日(日)に千葉県立幕張海浜公園で開催される。

レッドブル・エアレース、マスタークラスのパイロットが全員集合 ©Red Bull Media House GmbH/ Red Bull Content Pool

レッドブルエアレースは2003年に始まり、これまで90以上のレースを世界各国で開催してきた。世界で最も卓越したパイロットが究極の操縦技術を駆使して、高速飛行するレースは空のF1とも呼ばれていた。2019年がラストイヤーとなり、この千葉大会が最後の大会となる。

9月7日(土)予選

時間RED BULL AIR RACE
(幕張の浜 海上)
MARINE
(幕張の浜 海上)
FAN ZONE
(ZOZOマリンスタジアム横)
10:00開場開場開場
10:10チャレンジャークラス (Free Practice)
10:30フリースタイルフットボール
10:40BMX PARK STYLE
11:25海上自衛隊曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」
11:35FMX(フリースタイルモトクロス)
11:50千葉市消防航空隊「おおとり」
12:10マスタークラス (Free Practice)
13:20フリースタイルフットボール
13:30BMX PARK STYLE
13:50チャレンジャークラス (Qualifying)
15:00マスタークラス (Qualifying)
16:30海上自衛隊 救難飛行艇「US-2」
16:40マスタークラス (DHL Fastest Lap Award Ceremony)FMX(フリースタイルモトクロス)
18:00閉場閉場閉場

9月8日(日)決勝

時間RED BULL AIR RACE
(幕張の浜 海上)
MARINE
(幕張の浜 海上)
FAN ZONE
(ZOZOマリンスタジアム横)
10:00開場開場開場
10:20フリースタイルフットボール
10:30BMX PARK STYLE
11:00FMX(フリースタイルモトクロス)
12:40チャンレジャークラス (Challenger Cup Race)
13:50オープニング・セレモニー(国歌斉唱)
14:00マスタークラス (Round of 14)
15:00フリースタイルフットボール
15:05海上自衛隊曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」BMX PARK STYLE
15:20FMX(フリースタイルモトクロス)
15:35チャレンジャークラス (Award Ceremony)
15:50千葉市消防航空隊「おおとり」
16:00マスタークラス (Round of 8)
16:30マスタークラス (Final 4)
16:55マスタークラス (Award Ceremony)
16:59マスタークラス (World Champion Award Ceremony)
17:05海上自衛隊 救難飛行艇「US-2」
17:20FMX(フリースタイルモトクロス)
17:35CELEBRATION OF THE WINNERS
18:00閉場閉場閉場

レッドブル・エアレース千葉のレーストラック発表

レッドブル・エアレース最後の大会となる2019年シーズン最終戦、レッドブル・エアレース千葉大会が9月7日(土)、8日(日)に千葉県立幕張海浜公園で開催される。フィナーレとなるラストレースのレーストラックが発表された。

2019年のレーストラック

新しいレーストラックは1往復半するもので、観覧ポイントから見やすい設定。大会は9月6日(金)が練習(一般観覧はなし)。7日(土)が予選、8日(日)が決勝。

レッドブルエアレースは2003年に始まり、これまで90以上のレースを世界各国で開催してきた。世界で最も卓越したパイロットが究極の操縦技術を駆使して、高速飛行するレースは空のF1とも呼ばれていた。2019年がラストイヤーとなり、この千葉大会が最後の大会となる。

2018年のレッドブル・エアレース千葉大会 ©Jason Halayko/Red Bull Content Pool

●レッドブルのホームページ

最後のレッドブル・エアレース千葉は航空ショーとしても注目

9月7日と8日の2日間にわたって開催される「レッドブル・エアレース千葉」はレース観戦だけではなく、航空ショーとしての盛り上がりも醍醐味のひとつ。毎年好評を博している空のサイドアクトに2019年は3つのプログラムが決定した。

世界最高性能を持つ水陸両用の救難飛行艇「US-2」

■東京湾初!海上自衛隊曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」がやってくる!
東京湾上空において「WHITE ARROWS」が編隊飛行や曲技飛行を披露するのは今回が初!

海上自衛隊曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」

海上自衛隊練習機T-5型航空機、4機による曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」は2018年9月に新たに編成、白い機体が大空を飛び回る姿から「白い4本の矢」をイメージして命名された。

機体には第201教育航空隊の飛行教官2名がそれぞれ乗組み、飛行に合わせてナレーションや音楽を担当する飛行教官や整備員の4名で編成。東京湾上空において「WHITE ARROWS」が編隊飛行や曲技飛行を披露するのは今回が初めて。飛行教官たちによる妙技をお見逃しなく。

デモンストレーション実施日は9月7日と8日の2日間を予定。すべての観戦エリア(幕張の砂浜側)から観戦できる。ZOZOマリンスタジアム側と会場外からは見られないので注意。悪天候などの場合、中止することもある。

■東京湾初フライバイ!海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」登場
世界最高性能を持つ、水陸両用の飛行艇が東京湾で初のフライバイ(展示飛行)を披露する。

「US-2」は着水時の波の衝撃を緩和するため、時速約100kmという極低速域でも安定した飛行が可能。民間機の着陸時は時速約200kmが最低速度なので「US-2」はその半分の速度でも飛行できる高い性能を保有していることになる。

デモンストレーション実施日は9月7日と8日の2日間を予定。

■千葉市消防航空隊の消防ヘリコプター「おおとり」2機そろって登場
消防ヘリコプターはホバリング(空中停止)状態で活動することから、高度な操縦技術と救助技術が求められる。

千葉市消防航空隊の消防ヘリコプター「おおとり」2機

その厳しい訓練で身に付けられた千葉市消防航空隊の救難デモンストレーションの模様、900リットルの水を投下する空中消火など、高度な技術で飛行する消防ヘリコプター「おおとり」の勇ましい姿を見られる。

デモンストレーション実施日は9月7日と8日の2日間を予定。

千葉大会のチケットは絶賛発売中
●レッドブルのホームページ

レッドブル・エアレースは今季限り…千葉大会がラストレース

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップは2019年を最後に継続しないことをレッドブルが決定し、5月29日に公式サイトで発表した。2019年がラストイヤーとなり、6月15〜16日に開催されるカザン(ロシア)、7月13〜14日に開催されるバラトン湖(ハンガリー)、9月7〜8日に開催される千葉大会を残すのみとなった。

レッドブル・エアレース千葉大会 © Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

レッドブルエアレースは2003年に始まり、これまで90以上のレースを世界各国で開催してきた。世界で最も卓越したパイロットが究極の操縦技術を駆使して、高速飛行するレースは空のF1とも呼ばれていた。

「レッドブル・エアレースは最高品質のスポーツエンターテイメントを提供してきたが、世界中で開催されているレッドブルイベントと同じような関心は得られなかった」と今季限りでの打ち切り理由を説明。

2019シーズンはこれまで全8戦で開催されるとされ、千葉大会は第5戦として準備されていた。第6戦は開催日未定でアジア圏で、第7戦は10月19〜20日にインディアナポリス(米国)で、第8戦は11月8〜9日でサウジアラビアでの開催が予定されていたが、発表の内容からキャンセルとなるようだ。

「レッドブルはパイロットとそのチーム、パートナー、ホスト都市だけでなく、エアレースの楽しい記憶を作るために精力を注いでいたレッドブルのスタッフに感謝の意を示したい」と主催者。

●室屋義秀のコメント