レッドブル・アイスクロス横浜に安床武士、山本純子ら参戦

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、スノーボードクロスの要素を取り入れたレッドブル・アイスクロスが2020年2月15日(土)に横浜で開催される。海外からのトップ選手が来日するのをはじめ、日本からはX-GAMESで幾度も優勝しているインラインスケート・ハーフパイプ界トップアスリートの安床武士らが参戦する。

横浜を象徴するビル群を背に猛スピードで駆け抜ける選⼿たち © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

今シーズンは2019年12月28日(土)にオーストリアのユーデンブルクで開催したATSX 500を皮切りに、2020年1月11日(土)にフランスのプラルー、そして1月18日(土)に米国ウィスコンシン州モンデュラックで3戦続けてATSX 500を開催している。

そしてATSX 250を2月1日(土)にペルセ(カナダ)、2月1日(日)に長野 県小諸市のスキー場アサマ2000で開催。2月8日(土)にATSX 500をラウタランピ(フィンランド)で開催した後、2月15日(土) に横浜でカテゴリー最高峰となるATSX 1000を今シーズン初開催する。

ATSX 1000 / Red Bull Ice Cross World Championship Yokohama 2020(アイスクロス横浜)に出場するのは、男子は ワールド チャンピオンのキャメロン・ナーズ(米国)をはじめ、往年のチャンピオンであるカイルとスコットのクロクソール兄弟(カナダ)、元ワールドチャンピオンのマルコとその弟ルカのダラーゴ兄弟(オーストリア)。

女子は2シーズン連続してワールドチャンピオンに輝いているアマンダ・トルンゾ(米国)とリベンジに燃えるジャクリーン・レジェール(カナダ)、そしてワールドチャンピオンを狙うミリアム・トレパニエ(カナダ)などの強豪選手の来日を予定している。

横浜の観客と写真に納まる参加選手たち(2 018年) ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

日本からはインラインスケートの安床、 昨シーズン初参戦ながらボストン大会のジュニア部門で日本人初表彰台(3位)を獲得した山内斗真、同じく昨シーズンから参戦しているアイスホッケー選手の鈴木雅仁ら、女子は表彰台のみならず初優勝を狙う山本純子などの出場を予定している。

インラインスケートの元世界チャンピオンとしての意地を見せた安床武士 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool
山内⽃真 © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
山本純子。写真は2018年12月に開催された開幕戦の横浜大会 ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
レッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会の鈴木雅仁

アイスクロス大会日程
12月28日(土)ATSX 500 ユーデンブルク(オーストリア)…終了
1月11日(土)ATSX 500 プラルー(フランス)…終了
1月18日(土)ATSX 500 モンデュラック(米国)…終了
2月1日(土)ATSX 250 ペルセ(カナダ)
2月2日(日)ATSX 250 長野(ASAMA 2000)
2月8日( 土)ATSX 500 ラウタランピ(フィンランド)

ATSX 1000 / Red Bull Ice Cross World Championship Yokohama 2020 ATSX 1000 / レッドブル・アイスクロス・ワールドチャンピオンシップ横浜2020
会場:臨港パーク特設会場(神奈川県横浜市西区みなとみらい1丁目1-1)
日時:2020年2月15日(土)
OPEN 15:00
START 18:00
※雨天決行・荒天中止 ※予告なく変更になる場合あり
内容:アイスクロス・ダウンヒル世界選手権(Red Bull Ice Cross World Championship)のATSX 1000クラスの大会。
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あとに続く道を作っておきたい…レッドブル・クラッシュドアイスに挑んだ鈴木雅仁

元プロアイスホッケー選手、35歳の鈴木雅仁がレッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会に参戦。83位という成績を残し、2018-19世界選手権シリーズで男子総合35位になった。

レッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会で場進出を阻まれた鈴木雅仁

高校時代はインターハイ3連覇、大学でインカレ4連覇。アジアリーグでは日本、中国、韓国のチームに所属し、12シーズンで4回の優勝、米国NHLのトライアウト経験があるアイスホッケー界のエリートだ。昨シーズンまで韓国のアニャンハルラに所属していたが、一時は歩行困難になるほどのケガによりチームを離脱。新たな活躍の場としてレッドブル・クラッシュドアイスに挑戦した。

ボストン大会に日本からは、横浜で決勝に進出した山本純子、安床武士、山内斗真、吉田安里紗に加えて、横浜大会後にヨーロッパで開催されたATSX500、ATSX250、ATSX100の大会を転戦し、ポイントを獲得して出場権を獲得した鈴木が加わる。

ただし予選となるタイムトライアルでは2本ともミスでタイムが伸びない。LCQと呼ばれる敗者復活戦に最後の望みをかけて出走。最初のスタートはうまく決められたが、エッジが氷面に嫌われて後退。最後まで挽回できずに4人同走の4着で1回戦敗退した。

「やはりちょっと悔しいですけど、これが今の現実です。条件が整えばまた参加したいですが、フェンウェイパークという100年以上の歴史がある野球場で走れたということがいい思い出になると思います。ありがとうございます」と鈴木は公式インタビューで感謝の言葉を伝えた。

鈴木雅仁は2019年1月のATSX250オーストリア大会で4位になった ©Red Bull Content Pool

完敗の原因を「筋肉が弱いですね」と冷静に分析する。しかしそれは仕方ないことだ。プロのアイスホッケー選手として韓国リーグで戦っているときに、太ももの内側にある内転筋を断裂。普通の生活ができるようになったのは直前のことだ。

内転筋が切れてからも無理やりプレーをしていたというが、失意のうちに韓国から帰国し、リハビリに専念することを余儀なくされた。ところがリハビリの途中に今度は坐骨神経痛に見舞われ。歩行も困難になってしまう。

そんなとき、以前から興味があったレッドブル・クラッシュドアイスが横浜で開催されるニュースが舞い込んだ。

「いいタイミングでした。まあチャレンジしてダメだったらスポーツはあきらめようと思っていました」

練習会に参加し、徐々にアスリートとしてのキレを取り戻し、本大会の出場を果たすことになる。ただし初挑戦の横浜大会は本人としてふがいない成績に終わる。

アイスクロス・ダウンヒルは数年前から知っていたし、結構早い段階から興味もあった。

「ですけれど、アイスホッケー選手としてチームと契約していたし、やはりハイリスクです。もしケガをしたら企業もチームもそんな選手を雇うわけにはいかないですから」

ボストン大会の直前に行われた大会では日本勢男子で初めてファイナルに進出し、4位という好成績を修めた。だから最終戦のボストンにかける意気込みは強かった。それだけにファイナルを逃したことが悔やまれる。メジャーリーグの伝統ある野球場はファイナルが行われた大会2日目は盛り上がっていた。こんな最高の雰囲気の中を走りたかったのはいうまでもない。

「走りたかったですね。スタートがいいのは何戦か参加していくうちにまずまずだと分かっていた。あとは安定した走れないのが課題です」

練習時間がやはり強豪選手に比べて圧倒的に少ないという。練習できる環境に自分の生活を持っていけていない。アイスホッケー時代の貯金で遠征費を捻出し、スポンサー探しをするがそう簡単にはいかない。

「他選手は定職についてる人ばかりですが、ボクは無職。現実としてこのスポーツでプロアスリートとなれないのはわかっています」

鈴木雅仁はLCQ(敗者復活戦)で敗退し悲願のファイナル進出ならず

アイスホッケーほどスタミナが必要ではない。重要なのはそれよりもスキル、そしてそれを磨き上げる練習環境だ。当然、日本に常設アイストラックはない。

日本でアイスホッケーをやっている選手たちの現状も厳しいという。大学アイスホッケー部の所属選手も行き先を失い、社会人としては競技と離れた道を選択せざるを得ない。

「でも、これからの生き方ってもしかしたら違うかもしれません。クラッシュドアイスで若いうちからこれだけ世界中の選手と仲良くなれば、もしかしたらまた違ったチャンスに出会うことができ、これまでにない可能性がある。ボクは絶対そう思っています」

2018年10月に長男が誕生。ボストン大会の時点でまだ4カ月だ。 「父親として夢をあきらめたって言いたくはないですよ。ただ選手としてのボクはこの先、それほど長くないので、今は後身にいろんなこと残してあげられるように頑張っていきたい」

鈴木雅仁 ©Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

山本純子がファイナル進出…レッドブル・クラッシュドアイス最終戦ボストン大会

アイスクロス・ダウンヒルの世界選手権の最上位カテゴリー大会であるレッドブル・クラッシュドアイスは全3戦で展開するシーズン最終戦が2月8日に米国ボストンで開幕。山本純子が翌日のファイナル進出を果たした。

ファイナルに進出した山本純子

山本は予選タイム8位で、ファイナル一発進出のベスト4には入れなかったが、LCQと呼ばれる敗者復活戦では、1回戦(クォーターファイナル)で安定感のある走りを見せて1着フィニッシュ。翌日のファイナルのゲート選択権をめぐるセミファイナルも2着で通過。この日の女子ファイナルに登場し、4位でゴールした。

LCQ(敗者復活戦)で勝ち上がりの2着にわずかに届かなかった安床武士

昨シーズンから参戦している安床武士はLCQとインラインスケートXゲーム王者の技を見せる「フリースタイル」コンテストとタイトなタイムスケジュールをこなしたが、LCQ1回戦で勝ち上がりとなる2着に写真判定の結果敗退。

鈴木雅仁はLCQ(敗者復活戦)で敗退し悲願のファイナル進出ならず

横浜大会から参戦している元プロアイスホッケー選手の鈴木雅仁はLCQで敗退。「これがいまの実力。メジャーリーグのスタジアムでレースできて最高の気分だったが、翌日のファイナルに出場できなくて残念」と悔しさをにじませた。

LCQ(敗者復活戦)でミスから3着に沈んだ山内斗真

同志社大アイスホッケー部所属の山内斗真はLCQで2位をキープしながら、終盤に逆転されてまさかの敗退。「2着を確保すれば決勝に進出できたけど、トップをねらって攻めたのが裏目に出てしまった。まだまだです」とゴール後にコメント。

決勝進出にタイムトライアル順位でひとつ届かなかった吉田安里沙

そして安床の愛弟子で現役高校生の吉田安里沙は予選となるタイムトライアルのタイムで順位ひとつ及ばず敗退した。

クラッシュドアイス・ユバスキュラ大会で山本純子10位

アイスクロス・ダウンヒルの世界選手権の最上位カテゴリー大会であるレッドブル・クラッシュドアイスは今シーズン第2戦を2月2日にフィンランドのユバスキュラで開催し、決勝進出した山本純子が10位になった。

レッドブル・クラッシュドアイスのユバスキュラ大会、決勝で強豪に挑む山本純子(左奥) ©Samo Vidic/Red Bull Content Pool

北欧開催の第2戦に日本からは5選手が出場。男子は日本勢の決勝進出はならなかったが、日本歴代最多出場の山本は女子の決勝トーナメントに進出。準々決勝で強敵ばかりと当たり、ファイナルには駒を進められなかった。

男子ファイナルは現ワールドチャンピオンの弟と元ワールドチャンピオンである兄のクロクソール兄弟対決が実現。兄が2015年以来となる勝利を修めた。

ジュニア部門8位と健闘した山内斗真 ©Daniel Grund/Red Bull Content Pool

2018年12月にアジアで初めて開催された横浜大会に続くシリーズ戦。日本からは歴代最多出場の山本、昨シーズンから参戦している安床武士に加え、横浜大会から参戦している元プロアイスホッケー選手の鈴木雅仁、同志社大アイスホッケー部所属の山内斗真、そして安床の愛弟子で現役高校生の吉田安里沙の計5名が出場。

予選上位16名が決勝進出する女子では吉田が25位で敗退するも、山本が順当に決勝トーナメントに進出。しかし準々決勝で前ワールドチャンピオンのジャクリーン・レジェールと好敵手タマラ・カジャと当たり、惜しくも敗れて10位に。

予選上位64名が決勝進出する男子は、安床86位、鈴木88位、山内92位と、残念ながら日本勢は決勝進出できなかった。ジュニア枠である山内はジュニアで8位と健闘。

男子ファイナルの序盤は弟のスコットが先行したが ©Samo Vidic/Red Bull Content Pool

男子のファイナルは、2018年のユバスキュラ大会に続いてカイル・クロクソール(2012年ワールドチャンピオン)とスコット・クロクソール(昨シーズンと2015年ワールドチャンピオン)の兄弟対決が実現。兄カイルはスタートで出遅れたものの、途中で弟が転倒し2位に浮上。最終コーナーのイン側を回って先行するミルコ・ラティをかわして、大逆転で2015年以来の優勝を修めた。

女子クラスで横浜大会に続き2連勝を飾ったアマンダ・トルンゾ(中央) ©Samo Vidic/Red Bull Content Pool
カイル・クロクソール(カナダ)を中央に、右が2位ミルコ・ラティ(フィンランド)、左が3位ルカ・ダルラーゴ(オーストリア) ©Andreas Schaad/Victor Engström/Red Bull Content Pool

■Red Bull Crashed Ice第2戦ユバスキュラ大会結果
男子
1位 カイル・クロクソール(カナダ)
2位 ミルコ・ラティ(フィンランド)
3位 ルカ・ダルラーゴ(オーストリア)
86位 安床武士(やすとこたけし)
88位 鈴木雅仁(すずきまさひと)
92位 山内斗真(やまうちとうま)
女子
1位 アマンダ・トルンゾ(アメリカ)
2位 アナイス・モラン(スイス)
3位 ミリアム・トレパニエ(カナダ)
10位 山本純子(やまもとじゅんこ)
25位 吉田安里沙(よしだありさ)

大会の様子はRed Bull TVで。