【ツール・ド・フランス現場雑感】フランスの小さな田舎町で過ごす

カベンディッシュが落車骨折…最多勝利記録更新はできず

第110回ツール・ド・フランスは7月8日、リブルヌ〜リモージュ間の201kmで第8ステージが行われ、リドル・トレックのマッズ・ピーダスン(デンマーク)が大集団のゴール勝負を制し、2022年の1勝に続いて2度目の勝利を挙げた。

ポガチャル(左)とビンゲゴー ©A.S.O. Charly Lopez

総合成績ではユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)が首位を守った。

2023ツール・ド・フランス第8ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

大会最多勝利タイの34勝をマークしているアスタナ・カザクスタンのマーク・カベンディッシュ(英国)は途中で落車リタイア。今季限りで引退するため新記録は達成できなかった。

2023ツール・ド・フランス第8ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

ステージ優勝は英国の世界選手権を制したピーダスン

ピーダスンはカベンディッシュの母国英国で開催された2019世界選手権の覇者。

「だれもが尊敬する選手がこんな形で終幕を迎えるとは。引退レースを一緒に走ることになったらジャージを交換したい」とねぎらいの言葉を送った。

ステージ優勝のピーダスン ©A.S.O. Charly Lopez
2023ツール・ド・フランス第8ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第8ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

小さな町の快適ホテル…静かな家々のたたずまいと自然の香り

フランスに本格的な夏がやってきました。ツール・ド・フランスがフランスで迎える最初の週末とあって、高速道路のサービスエリアはたくさんの人が集まっています。だれもがツール・ド・フランスに興味があるわけでなく、家族との時間を思い思いに楽しんでいるという感じです。それが意外とオトナっぽくていいですね。

ホテルは別棟の新しい施設で気持ちよく過ごすことができた

この日はリモージュから北に35kmほど移動した小さな町へ。最後は幹線道路から外れ、その町だけを通る交通量の少ない道路へ。その道沿いにレストランがあって、テーブルの準備をしていた女の子に尋ねたら、ここがこの日の宿でした。

ホテルそのものは歴史があるものですが、裏に別館があり、チェーン系の最新ホテルとなっていました。レストランはおいしさで定評があるようで、テラス席は大にぎわい。店頭に掲げられたメニュー表をのぞくと、30ユーロと45ユーロのコースが目に付き、ホテルの主人に夕食はお断りして、朝食だけお願いしました。

最新のチェーン系は水回りなどもきれいで、とりわけ天井から蓮の花を逆さにしたようしてお湯が出てくるシャワーがとても気持ちいいのです。

午後10時ほどの町の中心部

夜になって町を散歩すると、石畳が美しく敷き詰められた広場は閑散としたもの。1つの窓から家族の喧騒が聞かれましたが、それ以外はとても落ち着いていました。

翌日の朝食はテラス席をすすめられたので、そこで食べていると雷雨に。汚くなったクルマがこれで洗われたかなと期待しましたが、あまり効果ありませんでした。

朝食はテラス席に限る

ツール・ド・フランスはこの日、伝説のピュイドドームへ。ホテルの主人に聞くと、ラスト4kmからは人立ち入りが禁止されているとのこと。優勝はバルデかなと言っていましたが、フランス選手は結果的にあまりよくなかったですね。

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【ツール・ド・フランス現場雑感】ボルドーなのにビール、レオンなのにパエリア

フィリプセン、最強スプリンター。ステージ3勝目を挙げる

第110回ツール・ド・フランスは7月7日、モンドマルサン〜ボルドー間の170kmで第7ステージが行われ、アルペシン・ドゥクーニンクのヤスパー・フィリプセン(ベルギー)が大集団のゴール勝負を制し、今大会3勝目、通算5勝目を挙げた。総合成績ではユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)が首位を守った。

ステージ優勝とマイヨベールのフィリプセン ©A.S.O. Pauline Ballet

カベンディッシュの勝利を願う人も多いが、ボクも負けられない

平坦ステージはスプリンターが優勝するチャンスで、大会最多勝利タイの34勝をマークしているアスタナ・カザクスタンのマーク・カベンディッシュ(英国)の単独最多記録が期待された。

カベンディッシュはステージ2位で大会最多記録34勝の更新はできなかった ©A.S.O. Pauline Ballet

しかし若いフィリプセンにゴール手前で逆転を喫して2位。今季限りでの引退を表明している38歳にとってはあとがない。フィリプセンも「カベンディッシュの勝利を願う人も多いが、ボクも負けられない」と苦肉のコメント。

2023ツール・ド・フランス第7ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
チームメートに渡すボトルを背中に入れる ©A.S.O. Pauline Ballet
チームカーから補給を受けるビンゲゴーとクリストフ・ラポルト ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ビンゲゴーが第7ステージでもマイヨジョーヌを守った ©A.S.O. Pauline Ballet

ボルドーまで北上するとようやく日の長さを感じる

広大なフランスでは南下するほど日が短くなり、西に行くほど日の出が遅くて、日の入りが遅くなります。2023ツール・ド・フランスの序盤戦はスペインとフランス南西部だったので、朝7時になっても暗いのに違和感がありました。ようやくボルドーまで北上してきて、日が長くなりました。

ボルドーに真夏がやってきた

前日のピレネー2日目はコトレにゴール。プレスセンターはゴールの麓4km地点にあって、最終走者がそこを通過してしばらくして下山のためにクルマを走らせ始めたら、なんとすんなり宿のあるルルドまでほとんど渋滞なく、たどり着くことができました。

プレスセンターに着席する前にボルドーの赤ワインがプレゼントされた

巡礼地として知られるルルドのホテルはたいていフロントに人がいて、どんなに遅くなってもチェックインできますが、余裕で下山でき、そして夕食を一緒にしたいという取材仲間と中心部のベトナム料理屋に行くこともできたんです。

無料で自転車を預けられるコーナーがある

翌日は300kmほど北上して一路ボルドーへ。ボルドーそのものは市街地でも古い平屋や2階建ての民家が軒を連ねているんですが、郊外のシャトーは立派な石造りの門構えと建物。盆栽のように手入れされたブドウの木が丘の上まで広がっています。

ボルドーの伝統的な建造物がプレスセンター。ところが電波の状況が悪く仕事にならず

チョコレート色のガロンヌ川のほとりにあるプレスセンターでの仕事を早めに切り上げて、衛星都市にあるホテルへ。この日は2日に1回のお約束で飲まない日なんですが、ボクの部屋のドアを開けたらムール貝のレオン・ド・ブリュッセルが!

自分の部屋のドアを開けるとムール貝のチェーン店レオンが見えた

こんなチャンスはめったいないと夕食は歩いて2分ほどのレオンに。ボルドーなのにビール。レオンなのにスペインフェアやってるのでパエリア。

ボルドーなのにビール、レオンなのにパエリア

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【ツール・ド・フランス現場雑感】10人用の山小屋に6745円で泊まる

ポガチャルがアタックしてステージ10勝目…遅れたビンゲゴーはマイヨジョーヌ

第110回ツール・ド・フランスは7月6日、タルブ〜コトレ・カンバスク間の145kmで第6ステージが行われ、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)がユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)に24秒差をつけて今大会初優勝。大会通算10勝目。総合成績ではビンゲゴーが首位に立ち、これを25秒差で総合2位ポガチャルが追う展開となった。

ポガチャルがアタック。ビンゲゴーがこれを追えない ©A.S.O. Charly Lopez

荷物をまとめて帰ろうとしたが脚が回った(ポガチャル)

最後の上りで一騎打ちとなったビンゲゴーとポガチャル。残り2.8kmでポガチャルが勝負に出た。上りとは思えないスピードで一気に差をつけ、さらにじわじわと引き離す。2年ぶり3度目の総合優勝を目指す王者の走りだった。

2023ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

「上り坂でユンボ・ビスマ勢の速い走りに圧倒されたので、昨日のように調子が悪かったら荷物をまとめて帰ろうと思った。でも脚が回った。25秒遅れは絶好のタイム差だ。最終ステージまでし烈な戦いになるだろう」とポガチャル。

2023ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ファンアールトがビンゲゴーを牽引。ポガチャルもついていく ©A.S.O. Charly Lopez
2023ツール・ド・フランス第6ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
ポガチャル対ビンゲゴーの一騎打ち ©A.S.O. Charly Lopez

これまでの経験値が多少なりとも生かされている

ピレネーの山岳ステージ初日はゴールのラランスから関係車両は憲兵隊の誘導で宿泊地のポーまで35kmを隊列で北上していきます。観客も帰路を急ぐため混乱は必至で、そのためボクは北のポーへは向かわず、さらに奥深くのオービスク峠に向かうキャンプ場を予約しました。

ダイニングルームの階段を登っていくとベッドルームが2部屋。さらに別のベッドルームやシャワー4つ、トイレ3つがある

そのため渋滞にもあうことなく、ものの30分ほどで管理棟に到着。午後7時を過ぎても鍵のありかにたどり着けるように暗証番号をメールでもらっていましたが、やっぱり対人のほうが安心ですよね。そして案内されたのが、谷の一番奥にある大きなシャレ(山小屋)。そこまでは未舗装路の徒歩。キャスター付きのバッグが全く役に立たず、とりわけ翌朝の上りは途中で2回休んだほどです。

テーブル席にコンセントがなく、結局パソコン仕事はここでした

管理棟の前にはプールがありましたが、見ているだけで寒くなるほど周囲はしっとりとして心地よい程度の寒さに。ディナーも朝食も別料金でオーダーできましたが、いいお値段で、しかもキッチンもあるというので手持ちの食材で部屋飲みに。

レセプションから歩いて一番谷底にある山小屋をあてがわれ、荷物を運ぶのに息が切れた

二棟構造がひとつになった大きな山小屋です。ベッドルーム3部屋はすべて2階にあって、合計10人が宿泊できるようです。トイレは3カ所ほど、シャワーも3連繋がりのものとちょっと立派な別のものが1つ。フェイク暖炉もありました。

キッチンもあるのでレストランにはいかず、手持ちの食材でくつろぎながら部屋飲み

ホテルドットコムで決済した宿泊費は6745円。真冬の格好でテラスに出て、カウベルの音が風に流れて聞こえる中で歯ブラシ。フランスが地上の楽園と感じる瞬間です。ずっと滞在していたいですが、あと1時間で出ないと。

翌日のゴール後はオービスク峠を越えればすぐ。ヒツジにブロックされなければ大丈夫。できるだけ岩盤側を走って谷底を意識しないで運転することを心がけ、いちはやく到着。

プールはあるけど寒くて入れない
オービスク峠の東麓側は断崖絶壁
1kmごとに頂上までの距離・勾配値が表示されている
ツール・ド・フランスが初採用した4つの峠の一つ、オービスク

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【ツール・ド・フランス現場雑感】英国人夫婦がフランスで営む民宿

ヒンドレーがピレネー初日に独走…総合でも首位に

第110回ツール・ド・フランスは7月5日、ポー〜ラランス間の163kmで第5ステージが行われ、ボーラ・ハンスグローエのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)が残り20kmから独走して初優勝。総合成績でも首位に立った。

ヒンドレーが初優勝して総合でもトップに。2023ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

優勝候補ポガチャルがまさかの1分遅れ

ヒンドレーは2022年のジロ・デ・イタリアを制した実力者で、総合成績でも首位に立ち、一躍優勝争いの一角に。「初参戦でここまでできるとは考えていなかった。アタックは計画していなくて即興だった」とヒンドレー。

連覇を目指すユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴーは孤軍奮闘で追ったが、総合成績で47秒差をつけられた。UAEエミレーツのタデイ・ポガチャルはこの日1分38秒も遅れ、総合6位に後退。「イタリアの女子レースで自転車選手の彼女が転倒して、1分ロスしたことよりもショックだ」とポガチャル。

大会5日目にしてピレネーの本格的な山岳ステージが始まった ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
ヒンドレーがマイヨジョーヌ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

フランス渡航30年にしてこれぞオススメしたい民宿

前日にノガロサーキットでの仕事を切り上げて、30分ほどでたどり着いたのがこの日のお宿。日本で言ったら民宿で、アットホームな雰囲気が楽しめる人には最適です。ただし経営者との距離が近いのがよくある民宿の難点で、もっと放任してほしいという人には向いていないと思います。ところが…。

ヨーグルト、ジャム、パンは自家製

この日はそんな民宿とはちょっと違ったところでした。部屋代は一般的なホテルと比べたら安価ですが、「ディナーが食べたいときは24時間前までに連絡ください。プレートが3品で15ユーロ」という案内があったので、メールでディナーをオーダー。すぐに「もちろん」というレスが返ってきました。

この手の民宿はオーナーが見つけたとっておきの場所にあることが多く、たいてい路頭に迷います。ところが時代の進化で、宿泊予約サイトの地図をたたくと、Google マップが起動して、そこまで案内してくれます。なんていい時代になったんでしょう。

向こうに見えるのがピレネーだ

たどり着いたのはポツンと一軒宿。2部屋しか客室がなく、この日の宿泊はボクだけ。シャワーを浴びてからダイニングに行くと、それはもうおいしい匂いが充満。テーブルにはワインも用意されていて、これで前日のホテルの朝食と同じ値段とは。

この宿でよかったものは、経営者があまりしゃしゃり出てこず、ディナーをゆったり食べることができたこと。もちろん、就寝前に「世間話や伝達事と翌朝の朝食時間など」のお話はありましたが、お客さんのスタンスを尊重した接し方にとても好感を持ちました。

2023ツール・ド・フランス第5ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

そしてディナーが終わったあとは、ポツンと一軒宿は管理人の英国人夫婦がクルマで下山してしまったので、ボクだけのものになりました。

それでも会話したことをまとめると、夫婦で英国からフランスに移住してペンションを持ったとのことです。庭には食材になる植物を育てていて、朝食のヨーグルト、パン、ジャムは自家製です。英国のカベンディッシュがあと1勝してほしいとご主人。

この日はぐっすりと眠ることができ、朝のランニング練習はアップダウンの連続に手こずりましたが、シャワーを浴びておいしい朝食。10時までに手洗いの洗濯をして、ちょっとくつろいでから一路勝負どころのピレネーへ。まだ大会は始まったばかりなのに、山岳ステージ早くないですか?

トレックチームのメインスポンサーとなったリドル

この民宿はタルブの北にあるので、タルブ、ルルドともう30年も走り通したピレネー北麓の町々を通過していきます。ルルドのよく知った郊外型商業施設群でディスカウントスーパーのリドルへ。

リドルってフランスのドンキというイメージでしたが、30年の現地取材にして初めて入ったら大船グランシップのライフみたいな感じです。商品スキャンは机の上を転がすだけの超高速。こっちの人は大量買いしますが、列が長くならないのがうれしい。

ルルドとタルブを結ぶ街道にあるアデという町はいつも気になる

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【ツール・ド・フランス現場雑感】仕方なしの高額ホテルはやっぱり気持ちいい

フィリプセン2連勝…マイヨベールの獲得を宣言

第110回ツール・ド・フランスは7月4日、ダクス〜ノガロ間の182kmで第4ステージが行われ、アルペシン・ドゥクーニンクのヤスパー・フィリプセン(ベルギー)が大集団のゴール勝負を制し、2日連続で優勝。大会通算4勝目。

2023ツール・ド・フランス第4ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

フィリプセンはポイント賞でもトップに立ち、マイヨベールを着用することになった。

総合成績では、UAEエミレーツのアダム・イェーツが初日から4日連続で首位をキープしている。

マイヨジョーヌのアダム・イェーツ ©A.S.O. Charly Lopez

ポイント賞のマイヨベールを最終日まで守りたい(フィリプセン)

この日は同地にあるポール・アルマニャックサーキットがゴール。優勝したフィリプセンは「まるでレーシングドライバーになった気持ちだ」と好調ぶりに気分がいい。「昨日からこのステージは勝利を狙っていた」。

スプリント王の称号であるポイント賞の緑ジャージ、マイヨベールも獲得し、「今大会はこのジャージを最後まで守り抜くのが最大の目標になる」と語った。

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イェーツ(英国、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第4ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランス第4ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
2023ツール・ド・フランス第4ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

リゾートホテルを利用する協賛会社グループはいいなあ

大会3日目の午後にようやくフランス入りしたツール・ド・フランス。その日は黎明期からの伝統地であるバイヨンヌがゴール。レースが終わったあとは、一般客がなだれ込んだチームバス駐車場所の道路を慎重に運転しながら脱出。この日の宿は大西洋に近いリゾート地ということもあり、リゾートっぽい湖畔に面した三つ星のホテル過ごすことになりました。

朝食は1日の活力。フランスはやっぱりバターがおいしい

すでにコフィディス社の一行が到着していて、そのうちに赤いオフィシャルカーの隊列も到着。首脳陣も泊まるような、このあたりでは立派なホテルのようでした。

ツール・ド・フランス取材の場合、ホテルに到着したらシャワーを浴びて、レストランに繰り出して、疲れて寝ちゃうという生活なので、ホテルの施設を利用するヒマもありません。ベッドがあればいいじゃんと考えていた時代もあって、高いお金を払ってまでいいホテルを確保する必要がどれだけあるのか。この日のホテルもスパがありましたが、まったく興味がなく、そして水着を持ってきていません。

2023ツール・ド・フランス第4ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

周辺に安価なホテルが確保できないときは、高くてもアクセスのいいホテルのほうが疲れないし、やっぱり設備がいいと気持ちいいですよね。近年は計画的にいいホテルを予約してストレスを解消するようにしています。

アンドレ・ダリガード(右)とベルナール・テブネ

ホテルは湖畔に面してテラスのソファ席などがあり、コフィディス社チームがピアノを引いたり、ビールを飲んだりしてくつろいでいました。彼らはスタート地点のビラージュで関係会社やその町の偉い人をアテンドするために帯同しているグループ。安ホテルを転々としている広告キャラバン隊とは異なり、優雅な23日間を送っています。

ダックスのビラージュは闘牛場の横だ

ホテルには2つのレストランが併設されていましたが、部屋で軽く飲食して、すぐに休息。翌朝6時には起きて湖畔をランニング。欧州入りしてちょっと身体に脂肪がついたような気がしますが、ランは快調です。シャワーを浴びてからしっかりと朝食。料金は2400円もしますが、朝こそいっぱい食べないと。

スペインのサンフィルミン祭りの日にスペイン選手やチームが着用する赤いバンダナ

そしてゴールのノガロへ。闘牛場の横にビラージュがあり、町の人たちがおそろいの赤いバンダナを首に巻いて歓迎してくれました。

アルマニャック地方のフロックドガスコーニュは食前酒。そしてガチョウのパテ

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【ツール・ド・フランス現場雑感】バルが多いスペインではなかなか食事にありつけない

フィリプセンがスプリント初戦V…イェーツが首位堅持

第110回ツール・ド・フランスは7月3日、スペインのアモレビエタ・エチャノからフランスのバイヨンヌまでの187.5kmで第3ステージが行われ、アルペシン・ドゥクーニンクのヤスパー・フィリプセン(ベルギー)が大集団のゴール勝負を制し、2022年の2勝に続く大会通算3勝目を挙げた。

フィリプセンがツール・ド・フランス第3ステージ優勝 ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績ではUAEエミレーツのアダム・イェーツ(英国)が首位を難なく守った。

2023ツール・ド・フランス第3ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

みんな筋肉がフレッシュなので難しい戦いだった(フィリプセン)

スペインで開幕した23日間のレースは、この日のステージ後半にフランス入り。平坦なコースとあって、スプリント力のある選手が優勝を狙ってゴール前で一気に活性化。チームの牽引役を利用してフィリプセンがトップでゴールした。

「最初のスプリントはとても緊張する。みんな筋肉がフィレッシュなので難しい戦いだった。全員が全力を出し、そこから抜け出せたのだから自信になる」とフィリプセン。

2023ツール・ド・フランス第3ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)アダム・イェーツ(英国、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)ビクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

山岳賞のニールソン・ポーレス(左)とローラン・ピションが先頭を走る ©A.S.O. Charly Lopez

最後かもしれないスペインの晩餐は海の幸限定で

スペイン滞在3日目。2日間は宿泊先の町全体が大騒ぎとなった夏祭りがあって、外に食べに行くのは巻き込まれる可能性があると判断。日本から持ってきた賞味期限目前の非常食と、スペインのスーパーで買ったスペインワインやチーズなどで部屋飲みしていました。

スペインはバルという飲み屋が多く、そこに入って教えてもらったプラザ(中央広場)のレストランで

スペイン最後の夜はペンシオンと呼ばれるアパートへ。フロントがなく、玄関ドアが閉まっているのでそこに貼ってある管理人の電話に国際コールしてアパート前に来てもらうというやつです。この日はゴールのサンセバスティアンから20km弱のアンドアンという衛星都市で、明るいうちに着いたのであまり焦りはありませんでした。

ペンシオンと呼ばれるタイプの狭い宿泊施設。それでも騒音に悩まされず、グッスリ

焦ったのは管理のマダムが来てから。「私のパソコンにはあなたの予約は入っていない」とのこと。「いや、ホテルドットコムで予約されているんですけど」という会話をお互いの翻訳ソフトを介してやり取りをして、なんとか新しくて清潔だけど極めて狭い部屋を確保しました。

でも重要なのは、安眠できそうな静寂を確保できたこと。ようやく寝不足が解消されるはずです。

スペインで過ごすのも、この先のキャリアのなかで機会はないかもしれないので、最後だけはレストランでしっかりと楽しむことに決めていました。できれば学生時代の終わりに欧州旅行した時、スペイン北西端のラ・コルーニャで食べたシーフード系がいいなとか。

大西洋岸を走った第3ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

今回のスペインでの最初で最後のディナー。まずはGoogleマップで繁華街を探し、地図上でナイフ&フォークのマークが付いたお店へ。ところがどうも雰囲気が違います。すでに入店しているお客さんは飲み物しか手にしていない。スペインのこういったバルはいわゆる飲み屋で、カウンターにサンドウィッチのつまみがある程度なんですね。

バルのお兄さんとなかなか通じない会話をしたあとに、親切なことに飲食を提供するお店の場所を教えてくれました。こうして教会の横、プラザと呼ばれる広場に面したレストランのテラス席に落ち着いてメニューを広げてみると…。当然ながらスペイン語が全くわかりません。

フランスに戻ってのランチはこんな感じ

ここは契約しているポケトークで写真を撮れば、そのまま画面に日本語が表示されるという手段に。ところが現実はそううまくいかず、表示された日本語がほとんど意味わからないレベル。結局はカタコトの言語力で念願のお魚を注文しました。

ツール・ド・フランスは単なるスポーツじゃないという証明

今回初めての外食で気分をよくして、狭いけど清潔な部屋でグッスリ。まずまずの疲労回復で翌朝を迎え、朝のランニングトレーニングで昨夜のレストランをマーキングしておきました。この町はもう来ないと思うけど、Garminアプリを振り返れば記憶がよみがえりますからね。

ランニングをしてみると町の地形がよくわかります。この町は崖の上に集落が作られているんですね。第2ステージの中盤に通過した町ですが、急坂を上って中心街を訪れ、さらに急坂を下ってゴールを目指す。これこそが単なるスポーツじゃないという証明です。

たまにはリゾートホテルで。ツール・ド・フランス首脳陣も同宿だった

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