中井飛馬がBMXレーシングU23年間王者に…女子は籔田寿衣が3位

BMXレーシング種目ワールドカップシリーズの最終戦となる第8戦が2021年10月31日にトルコのサカリアで開催され、男子U23カテゴリーで中井飛馬(日本体育大)が優勝し、シリーズタイトルを獲得した。また同カテゴリー女子の籔田寿衣(大阪体育大)がシリーズ3位となった。

第8戦を制した中井飛馬(中央) ©日本自転車競技連盟

10月末の2週にわたって開催されたワールドカップシリーズ第5〜8戦トルコ大会。日本チームは第5戦からU23カテゴリーで優勝2回を含む男女計5つの表彰台を獲得し、最終戦となる第8戦に臨んだ。

日本チームは負傷者などによるメンバー変更はなく、U23カテゴリーに男子2名、女子5名、そしてエリート女子には、東京オリンピック日本代表の畠山紗英(日本体育大)が参戦した。

籔田寿衣(左) ©日本自転車競技連盟

U23男子でシリーズ首位の中井が有終の美を飾る優勝

第5〜7戦では2位2回、4位1回を獲得している中井は、最終戦でも予選から安定した走りで決勝へ進出。決勝ではこれまでの3戦とは異なり、スタートから先頭に立って第1コーナーをトップで立ち上がった 第2コーナーで後続の選手の転倒もあり、終始独走状態でレースを進め1位でフィニッシュラインを通過。今シーズン第3、4戦に続く3勝目を挙げ、前日の第7戦終了時に確定していたシリーズランキングで1位を守り抜き、今シーズンより新設されたU23男子初代チャンピオンタイトルを日本へ持ち帰ることになった。

中井飛馬(左) ©日本自転車競技連盟

<中井飛馬 コメント>
悔しい展開のレースが続いていたのと、4連戦からの疲労も心配していたのですが、1日のペースをコントロールすることができ、最終戦を優勝で締めくくれたことはとてもうれしいです。 U23では、勝ち上がるためのプロセスやシリーズポイントのプレッシャーなど、新たな収穫を得られたシーズンとなりました。 この後はトレーニングの拠点としている米国に移動し、来シーズンに向けてもレベルアップに励んでいきます。最後に、コロナ禍の難しいシーズンを、フルにサポートいただいた皆さまに感謝しています。応援ありがとう ございました。

UCI BMXスーパークロスワールドカップU23総合優勝の中井飛馬(中央) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 男子 Under23>
優勝:中井飛馬(日本体育大)
2位:Gargaglia Giacomo(イタリア)
3位:Bogaert Mathijn(ベルギー)
25位:増田優一(大阪体育大)

中井飛馬が初代シリーズタイトルを獲得 ©日本自転車競技連盟

U23女子は藪田ら日本勢女子が存在感を見せつけた

日本チームは第6戦に優勝し、3大会連続で決勝進出していた丹野夏波(早稲田大)が準決勝で敗退してしまったが、優勝を含む2回の表彰台を獲得している籔田と、第5戦で決勝へ進出し た西村寧々花(Gan Trigger)の2名が決勝へ駒を進めた。決勝では籔田、西村ともにスタートで両脇の選手にブロックされ、後方から追い上げる展開となった。籔田は2つ順位を上げるが、表彰台には一歩届かず4位でフィニッシュ。西村は8位で大会を終えた。

籔田寿衣がUCI BMXスーパークロスワールドカップ女子U23シリーズ3位 ©日本自転車競技連盟

日本チーム女子は、今シーズン全8戦中4戦のみの参戦となったが、籔田がシリーズランキングで3位を獲得。丹野は6位、西村は10位となった。

<籔田寿衣 コメント>
最終戦の決勝では、連日の疲労から理想の展開とはならず表彰台を逃しましたが、今遠征の4戦で1年半取り組んできた成果を出すことができて満足しています。最後はシリーズポイントでも3位に入れたので、来シーズンはよりコンスタントなリザルトと、世界選手権大会でのパフォーマンスも視野に入れ、オフシーズンのトレーニングに取り組みたいと思います。たくさんの応援、サポートをいただきありがとうございました。

西村寧々花(Gan Trigger) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:rindjonc Lea(フランス)
2位:Petersone Vineta(ラトビア)
3位:Burford Thalya(スイス)
4位:籔田寿衣(大阪体育大)
8位:西村寧々花(Gan Trigger)
11位:丹野夏波(早稲田大)
18位:酒井亜樹(桃山学院教育大)
19位:野村凪沙(Ace Race Australia)

エリート女子の畠山紗英は苦難の五輪イヤーを終える

前日の第7戦に続き、今シーズン4大会目となる決勝進出を決めた畠山は、スタートで両サイドより挟まれてしまい、最下位からのスタートとなった。得意のジャンプセクションで2選手を抜かし、最終コーナーまでにもう1選手を交わして最終5位でゴールとなった。表彰台には届かなかったものの、自身最高位の3位に次ぐリザルトを残した。

畠山紗英(左) ©日本自転車競技連盟

<畠山紗英 コメント>
前日の第7戦に続き、強い気持ちを持って走る展開でレースに臨みました。結果としては5位と表彰台は届きませんでしたが、東京オリンピックでの怪我後初のレースだったので、自分のパフォーマンスと位置を確かめることができ、来シーズンに向けてもポジティブな課題を得ることができました。2021年は自身のレース人生で一番大きなシーズンでしたが、支えていただいた皆さんに感謝しています。一度日本に帰国し、まずは次なるシーズンへ向けての体制づくりに注力していきます。

畠山紗英 ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子エリート>
優勝:Smulders Laura(オランダ)
2位:Stancil Felicia(米国)
3位:Pajon Mariana(コロンビア)
5位:畠山紗英(日本体育大)

籔田寿衣がBMXスーパークロスワールドカップ第7戦U23初優勝

BMXレーシング種目のワールドカップシリーズ第7戦が10月30日にトルコのサカリアで開催され、女子U23カテゴリーの籔田寿衣(大阪体育大)が、自身初の優勝を果たした。

籔田寿衣(先頭)がBMXスーパークロスワールドカップ第7戦のU23クラスで初優勝 ©日本自転車競技連盟

前週からトルコのサカリアで開催されているワールドカップシリーズ後半戦。2週にわたって開催され、日 本チームは第5、6戦ではU23カテゴリーで優勝を含む男女計4つの表彰台を獲得し、いい流れで残り2戦に臨む形となった。

日本チームのメンバーは変わらず、U23カテゴリーに男子2選手、女子5選手、そしてエリート女子には、東京オリンピック日本代表の畠山紗英(日本体育大)が参戦した。

籔田寿衣(中央)が接戦を制した ©日本自転車競技連盟
BMXスーパークロスワールドカップ第7戦のU23クラスで初優勝した籔田寿衣(中央) ©日本自転車競技連盟

U23男子は中井飛馬のシリーズ総合1位が確定

第5、6戦同様に、参加者60名と今大会最大のクラスとなったU23 男子は、現在シリーズポイントをリードしている中井飛馬(日本体育大)が、前週に続き安定した走りで準決勝を1位で決勝へ進出。

先頭を走る中井飛馬。UCI BMXスーパークロスワールドカップ第7戦 ©日本自転車競技連盟

決勝は2位から追う展開となり、第2コーナーで先頭の選手の横に並ぶも、立ち上がりでの加速に苦しみ失速。ゴール直前でも順位を一つ落とし4位でフィニッシュした。これまで4戦連続で上った表彰台は逃したものの、シリーズポイントでは最終戦を残して1位が確定した。

<中井飛馬 コメント>
先週の第5、6戦からの改善点も含めて、いい流れで決勝まで進めましたが、決勝ではラインの判断ミスで先頭の選手を交わすことができず、悔しい1戦となりました。シリーズタイトルが確定して、一つプレッシャーは減りましたが、シーズン最終戦をベストな形で終えられるよう、最後まで集中を切らさずに挑みます。

<大会結果 男子 Under23>
優勝:Bertagnoli Pietro (イタリア)
2位:Colsenet Mateo(フランス)
3位:Bogaert Mathijn(ベルギー)
4位:中井飛馬(日本体育大)
44位:増田優一(大阪体育大)

U23女子は第6戦の丹野夏波に続いて籔田が優勝

男子同様にメンバーは変わらず、日本から5選手を送り込んだU23女子クラス。今大会は第5戦で2位を獲得した籔田と、第6戦で優勝した丹野夏波(早稲田大)が決勝へ進出した。

決勝ではスタートを決めた籔田が第1コーナーに先頭で進入。立ち上がりで内側のラインから来た丹野が一瞬前に出るも、ジャンプセクションで再び籔田が先頭に立ち、丹野はジャンプセクションでのミスで順位を落とした。

先頭を走る籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟

最終コーナーを先頭で回った籔田は、フィニッシュラインで東京オリンピックラトビア代表の ペテロソンヌに並ばれて写真判定にもつれ込んだ。結果、0.008秒差で籔田が勝利、第6戦の丹野に続き、日本人2人目となるワールドカップ表彰台の頂点に立った。丹野は6位で決勝を終えた。

籔田寿衣がインタビューを受ける ©日本自転車競技連盟

<籔田寿衣 コメント>
第5戦でも表彰台を獲得できましたが、今日の決勝ではスタートからトップを走れ、さらに優勝という結果を残せてとてもうれしいです。 国内も含めて1年ぶりの優勝だったので、これまでのトレーニングの成果を実感でき、取り組みにも自信がつきました。 明日は最終戦が残っていますが、シリーズタイトルでも現在4位でトップ3を狙える位置にいるので、ベ ストを尽くしてきます。

BMXスーパークロスワールドカップ第7戦のU23クラスで初優勝した籔田寿衣(中央) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:籔田寿衣(大阪体育大)
2位:Petersone Vineta(ラトビア)
3位:Brindjonc Lea(フランス)
6位:丹野夏波(早稲田大)
10位:酒井亜樹(桃山学院教育大)
11位:西村寧々花(Gan Trigger)
18位:野村凪沙(Ace Race Australia)

畠山紗英は久々の決勝進出もエリート女子で8位

第5、6 戦は決勝に進めず悔しい結果となった畠山だったが、第7戦では準決勝を3位で通過し、第2戦イタリア大会以来の決勝進出となった。決勝では先頭集団で第1コーナーに進入したが、内側のラインから来た選手と接触し失速した。その後リズムを取り返すことができず、8位でフィニッシュした。

決勝に進出した畠山紗英。UCI BMXスーパークロスワールドカップ第7戦 ©日本自転車競技連盟

<畠山紗英 コメント>
先週の大会では悔しいレースが続き、今日までの数日間で細かい修正や戦略を変えてレースに入りました。スタートから最初のコーナーまでの距離が短く、インコースからのスタートが有利なコースレイアウトですが、今日はアウトコースから攻める戦略がうまくはまり、決勝まで進めたことは満足しています。 明日は今シーズン最後のレースですが、自分のパフォーマンスに集中し、自信をもって準備したいと思い ます。

<大会結果 女子 Under23>
優勝:Smulders Laura (オランダ)
2位:Stancil Felicia(米国)
3 位:Pajon Mariana(コロンビア)
8位:畠山紗英(日本体育大)

丹野夏波がBMXワールドカップ第6戦U23で日本人女子初優勝

2021 UCI BMX スーパークロス ワールドカップ第6戦が10月24日にトルコのサカリアで開催され、女子U23カテゴリーで丹野夏波(早稲田大)が日本人初優勝。男子U23でも中井飛馬(日本体育大)が前日の第5戦に続いて2位になった。

BMXワールドカップ第6戦で優勝した丹野夏波(中央) ©日本自転車競技連盟

晴天のベストコースコンディションで開催された前日の第5戦から大きく変わり、終日雨天の中で第6戦が 開催された。滑りやすい路面状況下でクラッシュが相次いだが、日本チームは計4選手が決勝へ進出した。U23カテゴリーでは、第3戦と4戦で中井が優勝しているが、女子では丹野が初優勝を飾った。

丹野夏波がBMXワールドカップ第6戦を走る ©日本自転車競技連盟

Under23男子は中井が2日連続で2位

第5戦で2位に入っている中井は、準決勝を全体の3位で通過し決勝へ進出。前日同様に決勝ではスタートから先頭争いを繰り広げ、2番手からトップに立つチャンスを狙うも、先頭を行くスイスのエーバハードもミスのない走りで逃げ切り優勝。中井は惜しくも2日連続の2位となった。

中井飛馬(先頭) ©日本自転車競技連盟 

同クラスの増田優一(大阪体育大)は準決勝まで勝ち進むが、あと1人およばず全体の10位で第6戦を終えた。ワールドカップシリーズ6大会を終えて、現在中井はシリーズランキング1位をキープしている。

<中井飛馬 コメント>
決勝では前日同様の展開となり、抜かすタイミングを見ていましたが、堅いブロックに対応できず悔しいレースとなりました。しかし、悪天候の中でも勝ち進むプロセスを得られことは、今回U23クラスに参加する目的の1番の要素だったので、前日も含めてポジティブにとらえています。次週の第7−8戦では、現在リードしているシリーズタイトルを勝ち取るプレッシャーの中でもしっかりまとめられることを目標に挑みたいと思っています。

U23男子で2位になった中井飛馬(左) ©日本自転車競技連盟 

<大会結果 男子 Under23>
優勝:Aeberhard Loris(スイス)
2位:中井飛馬(日本体育大)
3位:Colsenet Mateo(フランス)
9位:増田優一(大阪体育大)

Under23女子で丹野が独走で初優勝

日本から参戦している全5名が準決勝まで勝ち進み、前日決勝へ進出した丹野と籔田寿衣(大阪体育大)に続いて、ジュニア日本チャンピオンの西村寧々花(Gan Trigger)が勝ち上がり、計3名 が決勝へ進出した。

612番が丹野夏波 ©日本自転車競技連盟

決勝は丹野と籔田が好スタートを決め、先頭争いで第1コーナーに進入。丹野は外側から抜け出し先頭で第1コーナーを立ち上がった。籔田は他の選手と接触し転倒、そこへ西村を含む3名が絡む形となった。レースは丹野の独走状態となり、日本人女子初となる優勝を獲得した。クラッシュから復帰した籔田と西村は、それぞれ4位と5位になった。

籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟 

<丹野夏波 コメント>
前日の決勝ではラインミスもあり勝ちきれなかったので、今日の決勝では攻める気持ちでトップを狙っていきました。後続の転倒にも助けられましたが、ジュニア以降国際大会では初の優勝となりうれしいです。昨年の東京オリンピック選考終了後から、気持ちの切り替えに苦戦しBMXに打ち込めない日々が続いて いましたが、今大会を目標に再挑戦して結果を出せたので、次週の第7−8戦も含めて自信を持って次に進 みたいと思います。

BMXワールドカップ第6戦で優勝した丹野夏波を中央に左が2位ブルフォール・タリヤ(スイス)、右が3位ブランジョン・ラー(フランス) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:丹野夏波(早稲田大)
2位:Burford Thalya(スイス)
3位:Brindjonc Lea(フランス)
4位:籔田寿衣(大阪体育大)
5位:西村寧々花(Gan Trigger)
9位:酒井亜樹(桃山学院教育大)
11位:野村凪沙(Ace Race Australia)

エリート女子は畠山が決勝を逃す

前日の第5戦ではあと一歩で決勝進出とならなかった畠山紗英(日本体育大)は、第6戦で決勝を目指した。準決勝では6位から追い上げる展開となり、第2コーナーで相手選手の内側ラインを狙うも、車体同士が接触してしまい失速。 決勝進出は逃し、12位となった。

畠山紗英 ©日本自転車競技連盟 

<畠山紗英 コメント>
午前中に行われた公式練習ではスタートもいい感触でレースに臨めました。しかし、準決勝では後方からの展開となってしまい、少し焦りから仕掛けるポイントも早まり思い通りの走りができませんでした。同会場で残り2戦残っているので、今大会からフィードバックを活かせる形で次戦に挑みます。

<大会結果 エリート女子>
優勝:Smulders Laura(オランダ)
2位:Stancil Felicia(米国)
3位:Claessens Zoe(スイス)
12位:畠山紗英(日本体育大)

UCI BMXワールドカップ第5戦U23で中井飛馬と籔田寿衣が2位

BMXレーシング種目のワールドカップシリーズ第5戦がトルコのサカリアで開催され、Under23カテゴリーの中井飛馬(日本体育大)、籔田寿衣(大阪体育大)がそれぞれ2位となり、表彰台に上った。

UCI BMXスーパークロスワールドカップ第5戦 U23カテゴリーで2位になった籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟

2021シーズンのワールドカップシリーズは、前半の4戦までが5月に終了し、東京オリンピックや世界選手権を終えて、後半戦となる第5〜8戦がトルコのサカリアで2週間にわたって開催される。

トルコでBMXレーシング種目の大会が開催されるのは初めてで、自国選手の出場はないものの、MTB種目の世界選手権大会を誘致するなど、自転車競技の盛んな都市となっている。

UCI BMXスーパークロスワールドカップ第5戦 U23カテゴリーで2位になった中井飛馬 ©日本自転車競技連盟

日本からはU23カテゴリーに第3〜4戦と2勝をあげている中井をはじめ、男子2名、女子5名、計7名のU23出場選手を派遣している。 2021シーズンより新設されたU23を活用し、2024年パリオリンピックと2028年ロスオリンピックへ向けた強化を狙いとしたものだ。

またエリートクラスには、東京オリンピックでの怪我から復帰した畠山紗英(日本体育大)が参戦した。

中井飛馬 ©日本自転車競技連盟

U23男子は中井が1位をねらうが惜敗

17カ国から61選手が参加したU23男子は、この大会ではエリートクラスを上回る参加者数とな り、各国の強化の中心がU23にシフトしていることが垣間見られる大会となった。前回大会にて優勝している中井は、予選ヒートから先頭を走り、準決勝こそ4位通過となったものの決勝へ進出。

決勝では好スタートを決め、最初のコーナーを2位で立ち上がり、先頭の選手を追走する展開に。幾度かチャンスをうかがうものの、0.379秒届かず2位でレースを終えた。 同クラスに参戦した増田優一(大阪体育大)は、予選ヒートを1位で通過したが、1/8 決勝で前走者のクラッシュに巻き込まれ、29位となった。

増田優一 ©日本自転車競技連盟

<中井飛馬コメント>
前回大会で優勝していたので、今大会でも上位狙う緊張感がありました。それに加え、前回のコロンビ ア大会では南米勢が中心でしたが、今回はヨーロッパ勢も多く参戦していたので、終始レベルの高いレー ス展開でした。

結果としては2位でしたが、課題としている決勝でのスタートにてトップタイムが出せたことなど、前回大会から半年間取り組んできた成果が見られたことに安堵の気持ちもあります。明日の第6戦は雨天が予想されるので、また第5戦と違った展開でも対応して、表彰台のトップに立つパ フォーマンスを出せるように準備します。

<大会結果 男子Under23>
優勝:Bertagnoli Pietro (イタリア)
2位:中井飛馬(日本体育大)
3位:Weiersmueller Tim(スイス)
29位:増田優一(大阪体育大)

左が2位になった中井飛馬 ©日本自転車競技連盟

U23女子は藪田が2位、予選トップの丹野夏波が5位

日本から初参戦となったU23女子は、国際経験の向上を目的に5名の選手を送り込んだ。5名のうち2名が決勝へ、2名が準決勝まで進出し、1年半以上ぶりの国際大会でいいスタートとなっ た。

先頭に立つ籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟

決勝では、予選からトップタイムで通過していた丹野夏波(早稲田大)が、決勝でも全体1位のスター トを決めるも、第1コーナーでの先頭争いで接触し失速してしまった。丹野は順位を落としたが、そのイン側から籔田が前に抜け出し、2位で第1コーナーを通過。終始順位を守りきり初のワールドカップ表彰台を獲得した。丹野は5位となった。

<籔田寿衣コメント>
2020年3月以降、海外でのレースに参戦できていなかったので、少し不安な気持ちもありましたが、また世界の大会へ戻ってこられたことに、高いモチベーションと感謝の気持ちでレースに臨みました。レースは長年目標としていたU23クラスだったので、初戦から表彰台を獲得できたことは、素直に嬉しい気持ちでいっぱいです。まだ残り3戦ありますが、今回の結果から自信を持って、今日を上回るいいレー スをしていきます。

丹野夏波(早稲田大)は5位 ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:Cingolani Francesca (アルゼンチン)
2位:籔田寿衣(大阪体育大)
3位:Brindjonc Lea(フランス)
5位:丹野夏波(早稲田大)
11位:酒井亜樹(桃山学院教育大)
14位:西村寧々花(Gan Trigger)
15位:野村凪沙(Ace Race Australia)

左が2位になった籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟

エリート女子

日本からは唯一の参戦となった畠山は、東京オリンピック後初の大会参戦であったが、予選、準々決勝と勝ち上がり、準決勝へ進出。準決勝はスタートで出遅れてしまったが、得意のジャンプセクションにて順位をあげ、5位で最終ストレートに進入した。最後のフィニッシュライン上では、準決勝通過圏内で前走する4位の選手に追いつき、ほぼ同着で写真判定となった。 しかし、わずか0.008秒届かず5位、準決勝敗退。 全体9位で第5戦を終えた。

畠山紗英(右) ©日本自転車競技連盟

<畠山紗英コメント>
東京オリンピックで負傷した肩の術後、短い調整期間ではありましたが、今回のトルコ大会への参戦を目標に準備してきました。 得意なジャンプセクションも多く、自分にとって有利なコースレイアウトでしたが、レースは苦しい展開が続き、気持ちの面で勝ちきれなかったと感じています。
明日の第6戦、そして来週の今シーズン最終戦では、今大会と東京大会での悔しさを忘れずに、決勝でのいいライディングを見せたいと思います。 応援ありがとうございました。

畠山紗英(2番目) ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子 Under23>
優勝:Stancil Felicia (アメリカ)
2位:Bartunkova Eliska(チェコ)
3位:Simpson Molly(カナダ)
9位:畠山紗英(日本体育大)

松下巽が3年ぶり2度目、酒井亜樹が初…全日本BMXレーシング

第38回全日本自転車競技選手権BMXレースが9月26日に新潟県上越市で開催され、エリート男子は松下巽(全日空商事)が3年ぶり2度目の、エリート女子は酒井亜樹(DEUX ROUES ELITE TEAM)が初の優勝を飾った。

酒井亜樹が丹野夏波を抑えて優勝 ©日本自転車競技連盟

38回目となるBMXレース種目の全日本自転車競技選手権が、上越市BMX場で2005年以来、16年ぶりに開催された。新型コロナウイルスにより全日本選手権の開催延期や開催地変更が続く中、国内自転車競技では9月19日に開催されたフリースタイル・パーク種目に続いて、2大会目となる全日本選手権開催となった。

関係者・運営スタッフを含む全参加者に対するPCR検査実施など、2020年以上に感染拡大予防対策を施した会場で2021年のチャンピオンが決定した。

BMXレーシングの全日本チャンピオン。左から松下巽、酒井亜樹、西村寧々花、坂望加 ©日本自転車競技連盟

男子エリートはベテランの松下が2回目の優勝

あいにくの降雨により、近年まれに見る荒れたコースコンディションでの開催となった。決勝は全15名から予選を勝ち上がった7名で行われ、7名中5名が転倒する波乱の中、松下が2018年以来となる2度目の全日本タイトルを獲得した。

2位には自身初の全日本表彰台となる菊池雄(SMITH OPTICS)が入り、松下同様にベテラン勢の活躍が目立った大会となった。

松下巽を中央に左が2位菊池雄、右が3位深川匠 ©日本自転車競技連盟

「厳しいコンディションの中でのレースでしたが、調子もよかったので結果的に優勝としてタイトルを獲得できたことはうれしい」と松下。
「悪天候の中でも終始レースを盛り上げる演出に後押しされ、今大会の開催実現に感謝している」

女子エリートは酒井亜樹が丹野夏波を制す

女子はエリートとジュニアが混走で開催された。2020年大会では2位となった酒井が、前年覇者である丹野夏波(早稲田大)を抑え、自身初のエリート全日本タイトルを獲得した。酒井は2018年にジュニアタイトルを獲得している。

酒井亜樹が初の全日本チャンピオンに ©日本自転車競技連盟

「全日本は特別な大会なので、優勝はとてもうれしい」と酒井。

{昨年2位だった悔しさから練習を頑張ってきたので、エリートでのタイトルを獲得できて自信にもつながった。もっともっと上を目指して、国際大会でも活躍できるようトレーニングに励みたい」

坂望加が男子ジュニアで優勝

男子ジュニアは5名のエントリーのため、3レースの合計ポイントで争われた。全レースで転倒者が多発する展開が続いた中、2020年に2位を獲得している坂望加(Factory Answer)が1位・2位・2位とコンスタントにまとめ、ジュニアチャンピオンに輝いた。

「昨年は2位でタイトルを逃したので、レースはしっかり走りをまとめてチャンピオンジャージを獲得できてうれしいです。来年からはエリートクラスなので、そこでも勝負ができるように、準備を積んでいきたい」

坂望加が男子ジュニアでトップを走る ©日本自転車競技連盟

西村寧々花、昇格した女子ジュニアでも実力を発揮

女子ジュニアは3名のエントリーで、エリートと混走で実施された。チャレンジカテゴリーで2015年から負けがない西村寧々花(GAN TRIGGER)が、2021年はジュニアカテゴリーへ上がり、決勝ではエリートと混走の中でも全体で3位に入り、ジュニアチャンピオンとなった。

「憧れであったチャンピオンジャージの獲得はとてもうれしい。慣れない雨レースでプレッシャーもあったが、決勝では自分の走りをまとめることができた。これからも連覇を伸ばしていきたい」

女子ジュニア優勝の西村寧々花(右)。左が2位野村凪沙 ©日本自転車競技連盟

男子エリート
優勝:松下巽(全日空商事)
2位:菊池雄(SMITH OPTICS)
3位:深川匠(NoLogo Racing Japan)

女子エリート
優勝:酒井亜樹(DEUX ROUES ELITE TEAM)
2位:丹野夏波(早稲田大)
3位:瀬古遥加(iRC TIRE)

男子ジュニア
優勝:坂望加(Factory Answer)
2位:長島凌(Pure japan)
3位:早川敦哉(NoLogo Racing Japan)

女子ジュニア
優勝:西村寧々花(GAN TRIGGER)
2位:野村凪沙(Ace Race Australia)
3位:岡本彩桜(バンピーパス)

榊原爽と畠山紗英…大親友でライバルが東京五輪BMXで再会

SAYAとSAEは1999年生まれの同級生。毎年開催されるBMX世界選手権では日本代表として、年齢別クラスで2人のどちらかが世界チャンピオンになってきた。ライバルだけど仲良し。SAYAこと榊原爽(さや)はその後、オーストラリア国籍を取得。SAEこと畠山紗英(さえ)は日本の第一人者に。2人は2020東京五輪BMXレーシングでそれぞれの国の代表選手として再会した。

榊原爽(左) © Jarno Schurgers / Red Bull Content Pool 畠山紗英(右) © Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool

2人のどちらかが世界タイトルを獲得してきた幼少期

BMX世界選手権には16歳までの年齢別にカテゴリーが設定される。17歳からジュニア、そして19歳になる年からエリートというチャンピオンシップカテゴリーになるが、日本勢は年齢別カテゴリーでは常に世界の頂点を争っている強豪国だ。2008年に日本代表として参戦した榊原が世界選手権初優勝。畠山が2009、2011、2012年と同タイトルを獲得。榊原は2010年に2勝目、さらに2013年から2015年まで3連覇。つまりこの年代の女子クラスでは日本勢がタイトルをほぼ獲得してきた。その黄金世代が21〜22歳となって東京五輪を迎えたのである。

ショートフィルム撮影のためドレス姿で走る榊原 © Andy Green / Red Bull Content Pool

榊原は父が英国人で母が日本人。生まれたのはオーストラリアのゴールドコーストだが、2歳の時から6年ほど東京都府中市に住んでいた。兄の魁(かい)がBMXをしていて、それを追いかけるように楽しみ始めた。

 17歳になる前に国籍を決める必要がありました。兄は国を挙げてスポーツ選手を支援するオーストラリアを選んでいて、私もオーストラリアに決めました」

スタートダッシュで攻める畠山(右) © Jarno Schurgers / Red Bull Content Pool

万全のサポートを受けられるハイパフォーマンスチームはBMX選手として男女各2人という狭き門にもかかわらず、兄妹はともに選抜された。残念ながら魁がレース中に重傷を負い現在もリハビリを続けているが、榊原は兄のためにも頑張ると五輪代表の座を射止めた。2018年にはワールドカップ初優勝。東京五輪での金メダル候補と言われるまで実力を伸ばしてきた。

「BMXを始めたのは日本なので、その場所に戻って五輪選手として走れるのってすごいストーリー。畠山ちゃんは5歳からずっと友達でありライバルなので、東京五輪で対決するのが楽しみです」

榊原爽と兄の魁(右) © Brett Hemmings / Red Bull Content Pool

2019年10月に五輪会場となる有明アーバンスポーツパークで開催されたテスト大会を制したのは榊原だ。しかし畠山も負けていない。2020年はシーズン開幕直前に手の骨折。国際大会に参戦できず、その後コロナ禍となった。地元の神奈川県寒川町に建設されたスタートゲートで、在学する日本体育大と日本自転車競技連盟が連携して動作解析。新しい練習方法も取り入れた。コロナの状況に応じて拠点をスイス、フランス、スペインと移しながら、練習に打ち込んだ。5月のワールドカップシリーズでは日本人初となる3位に。

「あまりライバルと言う意識を持ったことはないですが、あげるとすれば同世代で戦ってきたメンバーを意識する」とSAE。

榊原と畠山が出場するBMXレーシングは有明アーバンスポーツパークで7月29日に予選、30日に決勝レースが行われた。畠山は予選の最初のレースで落車負傷し、翌日の準決勝に進出できず。榊原は準決勝で敗れ、9位という成績。それぞれの五輪初出場が終了し、また新たな目標に向かって仕切り直しすることになる。

オーストラリア代表の榊原爽 © Jarno Schurgers / Red Bull Content Pool

 ◆榊原爽(さかきばらさや) 1999年8月23日、オーストラリア・ゴールドコースト生まれ。身長17cm。五輪初出場

畠山紗英 © Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool

 ◆畠山紗英(はたけやまさえ) 1999年6月7日、神奈川県生まれ。身長162cm。日本女子選手として五輪初出場