2選手が観客席に飛び込む事故…UCIトラック・チャンピオンズリーグ女子ケイリン

12月7日夜に英国ロンドンのリーバレー自転車パークで行われたUCIトラック・チャンピオンズリーグで、女子ケイリンに出場していた2選手がフェンスを越えて観客席に突っ込み、4人の観客が負傷。大会は最終戦だったが、その後の種目を中止。総合優勝者が確定していないが、主催者が消化できなかった種目を再設定するかは未定。

アクシデントは女子ケイリンレース1回戦で起こった。英国のケイティ・マーシャンとドイツのアレッサカトリオナ・プロプスターが接触し、フェンスに激突した後に観客席に飛び込んだ。不穏な沈黙に包まれる中、難を逃れた4選手はゴールしたが、審判はこのレースを無効にし、その後のレースも中止した。

マーシャンは前腕を骨折したが、プロプスターと4人の観客に大きなケガはなかったという。

英国のケイティ・マーシャン

日本選手の出場はなし…シーズン4年目を迎えたトラックシリーズ

UCIトラック・チャンピオンズリーグは男女別に短距離クラスと中距離クラスで1位を目指す全5回のシリーズ戦で、2024年で4年目の開催。今季は橋本英也がエントリーしたものの出場はなく、この日の最終戦も日本選手は参加していなかった。

負傷したマーシャンは会場でトラックメディカルチームから迅速な治療を受けた後、英国自転車連盟の医師に付き添われて病院に。レントゲン写真で右前腕の橈骨と尺骨の骨折、および2本の指の脱臼が明らかになった。マーシャンは元気で、医療チームから優れたケアを受けた。

プロプスターと、この事故に巻き込まれた観客は治療を受けた後、会場を退場したという。

「選手と影響を受けたすべての観客の迅速な回復を願っています。また、医療スタッフの迅速な対応と継続的な支援に感謝申し上げます。すべての関係者と緊密に協力してインシデントを検討し、適切な措置を講じていきます」と主催者。

UCIトラックチャンピオンズリーグ終幕…4人の覇者が決定

全5戦で行われたUCIトラックチャンピオンズリーグは、12月4日に英国のロンドンで最終戦が行われ、男女のスプリント系、男女のエンデュランス系でシリーズ総合優勝者が決まった。同リーグは2021年に始まり、今季は2シーズン目。

UCIトラックチャンピオンズリーグ第5戦 ©Will Palmer/SWpix.com

男子スプリントはオーストラリアのマチュー・リチャードソン、女子スプリントはフランスのマチルド・グロ、男子エンデュランスはスイスのクラウディオ・イムホフ、女子エンデュランスは米国のジェニファー・バレンテが総合優勝した。優勝賞金はそれぞれ約400万円。

第5戦ロンドン大会で地元英国勢が声援に応える ©Will Palmer/SWpix.com

シリーズは11月12日、スペインのマジョルカ島パルマで開幕し、4週間で5戦を一気に行う。同19日にドイツのベルリン、26日にフランスのパリと転戦。最後の2戦は12月2日と3日にロンドンで行われた。(日本時間はすべて翌日)

UCIトラックチャンピオンズリーグ

すべて室内250mバンクで開催され、金曜開催の第4戦を除いて土曜日の深夜に行われる。照明や音楽を駆使して会場を盛り上げる。自転車競技の国際統括団体であるUCI(国際自転車競技連合)がトラックレースの人気を高めるために仕掛けたイベントだ。

選手との距離の近さが魅力 ©Will Palmer/SWpix.com

出場選手は世界チャンピオンと世界ランキングの上位者が招待され、全5戦を戦って獲得したポイントによって最終成績を争うというもの。男子スプリント系18選手、女子スプリント系18選手、男子エンデュランス系18選手、女子エンデュランス系18選手で、総勢72選手だ。

ケイリンのモーターペーサーにメッセージが

短距離のスプリント系はスプリントとケイリンの2種目、中距離のエンデュランス系はスクラッチとエリミネーションの2種目を行う。どちらも観戦していて優劣が目で見てわかる競技が採用された。

第1戦はスペインのマジョルカ島で行われた ©Simon Wilkinson/SWpix.com

日本からは女子エンデュランス系に内野艶和が出場して16位、男子スプリント系に中野慎詞が出場して11位だった。

©Alex Whitehead/SWpix.com

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