距離短縮の第7ステージでジョーゲンソン首位死守【パリ〜ニース】

第83回パリ〜ニースは3月15日、悪天候で距離短縮の109.5kmに変更されたニース〜オロン間で第7ステージが行われ、チューダープロサイクリングチームのマイケル・ストーラー(オーストラリア)が優勝。チームヴィスマ・リースアバイクのマッテオ・ジョーゲンソン(米国)が首位の座を守った。

マイヨジョーヌ・エ・ブランを守ったジョーゲンソン ©A.S.O. Billy Ceusters

距離が短縮されたパリ〜ニース第7ステージは、15人の逃げ集団が最大3分10秒の差をつけた。2021年に同様の状況でブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝を挙げているストーラーは、チームメイトのジュリアン・アラフィリップにサポートされ、パリ〜ニースで初優勝を果たした。

マイヨジョーヌ・エ・ブランを着用するジョーゲンソン ©A.S.O. Billy Ceusters

優勝候補のグループが1分遅れでゴールしたことにより、ストーラーは総合順位で13位から4位に順位を上げた。首位を守ったジョーゲンソンは総合2位フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に37秒のアドバンテージをもって最終ステージに挑むことになった。

2025パリ〜ニース第7ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters

チームメートのアラフィリップに感謝している

「勝ててよかった! とても寒かったけど、素晴らしい1日となった。2度の世界チャンピオン(チームメートのアラフィリップ)が逃げ集団で走るなんて、毎日あることではない。本当に感謝している」とストーラー。

「当初の計画では、実はジュリアンが逃げ切る予定だった。私としては、直感に従って行動し、マルコ・ハラーとともに、適切なタイミングで適切な場所にいた。私たちは堅実なグループで先頭に立っていた。そして、その溝を埋めるためにジュリアンがそこにいてくれたのは素晴らしいことだった。今日は無線を持っていなかったが、彼は稀に見る知性を持った選手だ。彼はチャンスを察知し、我々の勝利の鍵となった。この作品を完結することができて本当にうれしい。総合順位が上がったのもうれしいボーナスだが、ステージ優勝は本当に素晴らしい」

2025パリ〜ニース第7ステージを走るジョーゲンソン ©A.S.O. Billy Ceusters

最終ステージは緊張するが、すでに昨年経験している

「パリ〜ニースは決して終わらないということを私たちはよく知っている。最終日が終わるまでは! 今日のような日はいつもストレスがたまり、簡単ではない。昨日とはなんの関係もなかったとしても、状況は厳しかった」とジョーゲンソン。

「しかし、すべてはうまくいき、我々の知る限り、状況は制御下にあった。このリードは明日の勝利に十分だと思うが、同時に最終ステージがいかに緊張するものかも分かっている。同時に、この最後の段階をすでに経験していることは私にとって有利なことであり、私はこのことを自覚した上で自分自身を表現したい。そして自信がある」

2025パリ〜ニース第7ステージを走るマイケル・ストーラー ©A.S.O. Billy Ceusters
マイケル・ストーラーが2025パリ〜ニース第7ステージ優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters

第83回パリ〜ニース日程
3月9日 第1ステージ ル・ペレ・アンイヴリーヌ〜ル・ペレ・アンイヴリーヌ 156.1km
3月10日 第2ステージ モンテソン〜ベルガルド 183.9km
3月11日 第3ステージ シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニクール〜ヌヴェール 28.4km)チームタイムトライアル)
3月12日 第4ステージ ヴィシ〜ラ・ロジュ・デ・ガルド 163.4km
3月13日 第5ステージ サンジュスト・アンシュヴァレ〜ラ・コートサンタンドレ 203.3km
3月14日 第6ステージ サンジュスト・アンサンタルバン〜ベールレタン 209.8km
3月15日 第7ステージ ニース〜オロン 109.5km
3月16日 第8ステージ ニース〜ニース 119.9km
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ヴィンゲゴーが負傷で遅れ首位はチームメートのジョーゲンソンに【パリ〜ニース】

第83回パリ〜ニースは3月13日、サンジュスト・アンシュヴァレ〜ラ・コートサンタンドレ間の203.3kmで第5ステージが行われ、バーレーン・ヴィクトリアスのレニー・マルティネス(フランス)が優勝。首位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、チームヴィスマ・リースアバイク)が26秒遅れの16位と先頭から脱落。3秒遅れの3位に入ったチームメートのマッテオ・ジョーゲンソン(米国)に首位の座が移った。

レニー・マルティネスが2025パリ〜ニース第5ステージ優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters

ヴィンゲゴーが転倒による手の負傷でペースダウン

この日は終盤に短いが壁のような激坂を出現。しかもゴールのノートルダム・ド・シエ礼拝堂への上りは18%だ。この一連の壁でパンチャー同士が戦った。レースは完全にひっくり返され、首位のヴィンゲゴーは途中で転倒して手を負傷。衰弱して先頭から脱落してしまう。総合3位のマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)も後退した。

前年の覇者ジョーゲンソンがリーダーの座を引き継ぎ、チームヴィスマ・リースアバイクとしてリーダージャージを守れるようにしたが、ゴール手前ではマルティネスを振り切ることができず、マルティネスは最後の100mで先頭に立って逃げ切った。マルティネスは初のワールドツアーレースで優勝し、総合5位に浮上した。 

2025パリ〜ニース第5ステージの出走サイン台に登場したヴィンゲゴー ©A.S.O. Billy Ceusters

総合10位よりもステージ優勝のほうが重要だ

「信じられないよ。チームは1日中素晴らしい仕事をし、最後の区間優勝争いでもすべてがうまくいった。 最後の150mでしたアタックしたいと思っていたが、先頭にはまだ3人残っていたので、うまくいくかどうかはわからなかったが、挑戦した」とマルティネス。

「大きな差をつけていることがわかりました。腕を挙げることができて、素晴らしい瞬間になった。昨日はステージ4位に終わってがっかりしたが、サッカーならボールをゴールに入れる必要があると自分に言い聞かせ、本当にうまくいった。

残念ながら昨日、サンティアゴ・ブイトラゴがレースを去ったため、私はリーダーとしての責任を負い、失敗しないように心がけていた。総合順位をすこしでも上げなければならなかったが、トップ10の座を確保することよりもステージ優勝のほうが重要だ」

2025パリ〜ニース第5ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters
2025パリ〜ニース第5ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters

「手を骨折したかも」とヴィンゲゴーに伝えられた

「私は個人的にとても強い気持ちを持っていたが、ヨナスに起こったことについては複雑な気持ちを抱いているのが事実。彼は転倒した後、私のところに来て、手を骨折したかもしれないと言った」とジョーゲンソン。

「彼はストレスを感じていて、この日のゴールではエースとしての役割を果たせると私に言ったが、この段階で彼はとても苦しんだ。だから最後の登りでボクはベストを尽くしたし、このような状況でもジャージを維持できたのはうれしい。我々はまだいい位置にいるので、最後まで1位と2位を維持できれば非常にいいだろう。私としては本当に気分がいいし、すべてがうまくコントロールできている」

ジョーゲンソンが2025パリ〜ニース第5ステージで首位に ©A.S.O. Billy Ceusters

第83回パリ〜ニース日程
3月9日 第1ステージ ル・ペレ・アンイヴリーヌ〜ル・ペレ・アンイヴリーヌ 156.1km
3月10日 第2ステージ モンテソン〜ベルガルド 183.9km
3月11日 第3ステージ シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニクール〜ヌヴェール 28.4km)チームタイムトライアル)
3月12日 第4ステージ ヴィシ〜ラ・ロジュ・デ・ガルド 163.4km
3月13日 第5ステージ サンジュスト・アンシュヴァレ〜ラ・コートサンタンドレ 203.3km
3月14日 第6ステージ サンジュスト・アンサンタルバン〜ベールレタン 209.8km
3月15日 第7ステージ ニース〜オロン 147.8km
3月16日 第8ステージ ニース〜ニース 119.9km
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ツール・ド・フランス初日でも採用されるチームタイムトライアル規定を解説

第83回パリ〜ニースは3月11日、シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニクール〜ヌヴェール間で第3ステージとして距離28.4kmのチームタイムトライアルが行われ、チームヴィスマ・リースアバイクのマッテオ・ジョーゲンソン(米国)が最後はチームの隊列から飛び出してトップタイムでゴール。同チームが第3ステージの優勝者となった。

パリ〜ニース第3ステージのチームタイムトライアルはヴィスマ・リースアバイクが優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters

ジョーゲンソンは前年の覇者。チームに第3ステージの優勝をもたらすとともに、この日の自分自身のフィニッシュタイムを前日までの成績に加えて全選手の中で最も所要時間が少なかったことで総合1位に。マイヨジョーヌ・エ・ブランはスーダル・クイックステップのティム・メルリール(ベルギー)から同選手に移った。

チームエースのヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)もジョーゲンソンのすぐ後ろ、タイム差なしでゴールし、自身の所要タイムの累計で総合2位に浮上した。首位ジョーゲンソンとのタイム差は6秒で、この6秒はジョーゲンソンが前日までに獲得したボータスタイムのもの。

パリ〜ニース第3ステージはチームタイムトライアル。国際レーシングサーキットをスタートした ©A.S.O. Billy Ceusters

新チームTTは先頭選手のゴールタイムで優劣…各選手の総合成績はそれぞれのゴールタイムを反映

チームタイムトライアルは1チームごとに全選手が一斉にスタートし、チームの4番目(大会の1チームあたりの出場選手数によって異なる)にフィニッシュラインを通過した選手の所要タイムでステージの着順が決められた。この4番目の選手と一緒にゴールしたチームメート全員がそのタイムを個人総合成績上で反映される。途中でチームの隊列から脱落した選手は各選手が実際に要した時間がそれぞれに反映された。

2023年のパリ〜ニースで新ルールのチームタイムトライアルが採用された。所属選手が一斉にスタートするのは同じだが、トップフィニッシュした選手の所要時間でステージ成績が決められる。つまりこのステージの優勝を狙う場合は、わずか1人だけでも最速タイムでゴールさせればいい。距離およそ25kmのコースで前半に長い距離を牽引する選手たち、中盤を担当する選手たちがいて、最後まで力を温存して独走になってから全力でゴールを目指す選手と分担作戦を練る。

一方、個人総合成績としては選手1人ひとりの所要時間を計算し、それを反映させることになった。これが大きな内容変更ポイントだ。総合優勝を狙う選手は独走で無駄に足を使いたくないので1番先にフィニッシュする役目を担うことはめったにない。それでも最後の最後まで1番手についていって可能な限りタイムロスせずにレースを終えたい。チームとしての戦略に影響する部分だ。

パリ〜ニース第3ステージのチームタイムトライアルを走るティム・メルリール(先頭から3人目) ©A.S.O. Billy Ceusters

どうしてチームタイムトライアルが新ルールになったか?

チームタイムトライアルの国際規定が一律変更されたのではなく、パリ〜ニースがレースを面白くするために導入したもの。面白ければ当然、主催者が同じツール・ド・フランスにも適用される。スペインのバルセルナで行われる2026年大会の第1ステージは距離19.7kmのチームタイムトライアルであり、この方式を採用することが決まっているようだ。

要はトラック種目のチームスプリントのように、1周目を先頭で走る選手、2周目を先頭で走る選手、そしてフィニッシュの計測ラインまで3周回を走る選手という役割分担が生じる。もちろん距離は25km前後と長距離になり、チームあたりの選手数も多くなるので戦略としては複雑となり、さらには全日程で争われる個人総合成績も絡んでくるのだから、このステージだけで見どころは満載。

パリ〜ニース第3ステージのチームタイムトライアル ©A.S.O. Billy Ceusters

優勝のヴィスマはアッフィニ発射台、カンペナールツ2段ロケット役

それではどうしてパリ〜ニースは新ルールを考えたのか? チームタイムトライアルはリタイア選手ができるだけ少ない大会序盤、ともすると初日に設定されるケースが多い。そしてこれまでは4番目の選手と一緒にゴールした選手全員に、個人総合成績の所要時間が割り振られるので、特定のチームが総合成績の上位を独占してしまうのだ。そして2位チームもまたずらりと続く。3位チームも。

パリ〜ニース第3ステージを制したヴィスマ・リースアバイクの作戦は、タイムトライアル欧州チャンピオンのエドアルド・アッフィニが前半に爆走。総合成績でどんなに遅れてもいいので、アッフィニはお役御免となって脱落する。中盤からは長い独走が得意なヴィクトル・カンペナールツがガンガン行った。ローテーションを多用して終盤までできるだけ多くの人数で走り、最後はトップタイムを目指してジョーゲンソンが最終ロケット。総合成績のためにヴィンゲゴーも行けるところまで一緒に行った。それが見事に的中した。

パリ〜ニース第3ステージのチームタイムトライアルはヴィスマ・リースアバイクが優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters

第83回パリ〜ニース日程
3月9日 第1ステージ ル・ペレ・アンイヴリーヌ〜ル・ペレ・アンイヴリーヌ 156.1km
3月10日 第2ステージ モンテソン〜ベルガルド 183.9km
3月11日 第3ステージ シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニクール〜ヌヴェール 28.4km)チームタイムトライアル)
3月12日 第4ステージ ヴィシ〜ラ・ロジュ・デ・ガルド 163.4km
3月13日 第5ステージ サンジュスト・アンシュヴァレ〜ラ・コートサンタンドレ 203.3km
3月14日 第6ステージ サンジュスト・アンサンタルバン〜ベールレタン 209.8km
3月15日 第7ステージ ニース〜オロン 147.8km
3月16日 第8ステージ ニース〜ニース 119.9km
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