【ツール・ド・フランス旅日記 episode18】悪魔の棲む山、いまは自転車パラダイス

休息日を使ってカルカッソンヌから第16ステージのゴール、モンヴァントゥーまで50kmのところに移動しました。小さな町の真ん中でバーとレストランをやっているお店の併設ホテルです。空気は完全にプロヴァンス。風が強いとアルプスの気配を感じます。

レストランもサイクリストでいっぱい

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朝日が出たばかりのローヌ川沿いを走る

フランスのパン屋さんは早朝から焼きたてを販売

朝のランコースはローヌ川。スイスを源流としてレマン湖を経由して地中海に注ぐ河川で、その長さは800km以上あります。今日走ったのはその一部。8kmくらいですかね。

早朝からオープンするブランジュリーに、町の人たちが焼きたてバゲットなどを買いに来る
こぶりなバゲットは1.45ユーロだった

ホテルの部屋にコーヒーマシンがありカプセルもいっぱいあるので、朝食を頼まず、近くのブランジュリーでバゲット。スーパーだと0.5ユーロから売っていますが、朝6時にオープンする専門店の焼きたてにはかないません。小さいサイズで1.45ユーロ。

ロードバイクからeバイクまでウェブで自分に適したモデルが簡単に予約できる

フランスで程度のいい高級ロードが気軽にレンタルできる

この日は余裕の出勤で、悪魔の棲む山モンヴァントゥーへ。頂上にプレスセンターが設置されていたのは20年前までで、それ以降は山を降りてきたところにあるマロセーヌのどこかに設置されます。

スポーツバイクのレンタル店にはおみやげにちょうどいいウエアなども販売されている
モンヴァントゥーのネームを入れたサイクリングウエアがズラリ

ホテルを出発してからすぐに、決して間違うわけがないモンヴァントゥーが見えました。モンサンミッシェルは10km先から見えますが、モンヴァントゥーは40km先から眺望できます。頂上の測候所も確認できます。ひんやりした風が吹いていて、日陰にいると寒いです。

モンヴァントゥーの麓にあるマロセーヌは本当に小さな町ですが、ピナレロ・ドグマのデュラエース仕様をはじめとして高級スポーツバイクがレンタルできます。サイズもメーカーが作っているものはほぼ揃っています。ペダルタイプの指定やヘルメットは無料。日本のジャイアントやスペシャライズド・エスコンフィールドのような感じで、ネットで自分に適した自転車が簡単に予約できるのです。

スポーツバイクレンタル店は複数あって、アクセサリーもいっぱいある

モンヴァントゥーはいまや悪魔がいるどころじゃなくて、世界のサイクリングパラダイスです! 複数のチェーン店があってベドワンやカルパントラにも出店しています。その手軽さと言ったら、日本の空港までの自転車移送の労力やコストを考えたら愛車を持っていかなくてもいいのでは。

モンヴァントゥーは最後のこのコーナーがきつい ©A.S.O.

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感想(1件)

プロバンスはオンもオフもサイクリングが満喫できるパラダイス

2021ツール・ド・フランス第11ステージは、いかにもプロバンスらしい風景が続くボークリューズ県。真っ白の単独峰モンバントゥーがある。

悪魔の棲む山モンバントゥー

このエリアは舗装路だけでなく、MTBコースが整備され、モンバントゥー、ダンテルドモンミライユなど、ボークリューズ山脈を行くコースがいくつもある。電動マウンテンバイクのレンタルショップも充実。家族連れの気楽なサイクリングから本格的なロードサイクル、MTBまで、タイプ別にいろいろなコースやレンタル業者を紹介するサイトもある。

モンバントゥー周辺をサイクリング ©HOCQUEL A – VPA

自転車巡りにうってつけスポットを厳選

約1800km。これは自転車愛好家がボークリューズにある、すべての難易度を合わせて41の自転車ルートすべてを制覇した場合の走行距離だ。自転車ルート「ビアブネッシア(Via Venaissia)」からダンテルドモンミライユの山並みをめで、オリーブオイルの搾油所を見つけたり、のんびりとぶどう畑を横切ったり、自転車ルート「カバロン(Cavalon)」を通ってリュベロンを散策したり。

©HOCQUEL A – VPA

もっと激しく(やる気全開で)走りたいなら、マウンテンバイクでボークリューズを横断するレース「Grande Traversée de Vaucluse à VTT」に使われたルートにチャレンジしてみよう。のどかな景色のかぐわしい空気をめいっぱい吸い込んで全身に行き渡らせれば、心も満たされ、かつてこの地を治めていた教皇たちの気分になれる。

モンバントゥーの下山路。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回下る

フォンテーヌ・ド・ボークリューズからプティット・ブニーズへ(21km)


エメラルド色の急流、ソルグ川は、フォンテーヌ・ド・ボークリューズ(Fontaine de Vaucluse)で湧き出し「小ベニス」とも呼ばれるイルドラソルグ(Isle sur la Sorgue)へと流れている。川と運河の流れに沿って造られた街には、毎週末300人もの古物商・骨董商たちが集まり、日曜には大規模なプロバンスの朝市が開かれる。自転車周遊ルートは街から川を源泉までさかのぼり、大きな果樹園や野菜畑へと抜けていく。

ラベンダーと古城 ©Alain-MAIGRE/La Drôme Tourisme
モンバントゥーの東麓。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回上る

自転車で巡るオークルの小道(15km ~ 51km)

リュベロンのオークルの小道( les Ocres )は、ルシヨン(Roussillon)からリュストレル(Rustrel)まで続く。かつて黄土色顔料の原料となる土を採掘していた場所は、赤色、朱色、黄色、黄金色とこの土地ならではのカラフルな景観を見せてくれる。

村々を結ぶ絵画のように閑静な小道はループに結ばれ、自転車ルートをどちらの方向から巡ってもこの景色に出会うことができる。

モンバントゥーは健脚サイクリストでいっぱい

ベゾンラロメーヌ周辺を走る(42km)

ワイン好きならご存知、ケランヌ(Cairanne)とラストー(Rasteau のコート・デュ・ローヌのワイン畑を走る自転車散歩。古代・中世の遺跡が多く残るベゾンラロメーヌ(Vaison-laRomaine)を出発すると、自転車ルートはダンテルドモンミライユとモンバントゥーの山々を望む小道へと続き、ワインを作る村々を見つけることができる。

プロバンスの下界を臨む

ラベンダーの世界で(33km)

モンバントゥーの東、バルドソー(Val de Sault)は、石灰質の地層が昔ながらのたたずまいの村々を取り囲んでいる。村にはアーティストや職人たちが多く暮らしている。ラベンダー畑におおわわれたバルドソーは、澄んだ空気、景色の明度が並外れて高いことで知られている。

ボークリューズで採れるラベンダーとラバンディンの大半はソーが産地。道すがら、蒸留所、ヌガー工房、蜂蜜工房を訪ねてみよう。

モンバントゥー西麓からのアプローチ。2021ツール・ド・フランスではこのルートを2回下る

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