ヒマラヤの未踏峰プンギ挑む学生隊が現地に向けて出発

日本山岳会学生部プンギ遠征隊が2024年9月5日、ヒマラヤにある未踏峰「プンギ」に挑戦するため羽田国際空港を出発。シンガポール経由でネパールのカトマンズに向かった。

中沢将大、横道文哉、井之上巧磨、尾高涼哉、芦沢太陽。羽田空港にて

メンバーは、総隊長・井之上巧磨(青山学院大学体育会山岳部)、登攀隊長・尾高涼哉(東京大学運動会スキー山岳部)、装備全般・中沢将大(立教大学体育会山岳部)、渉外・会計・記録・横道文哉(立教大学体育会山岳部)、会計・芦沢太陽(中央大学山岳部)の5人。

プンギはネパールのアンナプルナ山域、ペリヒマール山群に属する標高6524mの未踏峰。同山には2022年秋に、日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊が南西尾根から初トライするが、6150mで敗退。未だその頂に立った者はいない。

遠征期間は2024年9月5日から10月31日までの58日間。5日目にカトマンズからキャラバンを開始。徐々に高度を上げていき15日目に標高4700mのBCへ。C1(5000m)、C2(5500m)、HC(6200m)を経て26日目にファーストアタックを計画している。

9月5日朝のシンガポール航空便で日本を離れる

【連載第5弾】ヒマラヤ未踏峰プンギ出発直前!隊員の近況報告と意気込み

ナマステ。PHUNGI遠征隊の芦沢太陽です。

夏の暑さも峠を越え、いよいよ出発の時が来ました。

ヒマラヤの未踏の頂に挑戦するという夢を抱いて大学山岳部の門を叩き、さまざまな山々を登って経験を重ねてきました。

夢はいつしか現実的な目標へと変わり、数々の訓練や試練を乗り越え、この瞬間を迎えることができるのは、自分自身の努力と応援していただいている方々のおかげです。

立教大学で団体装備の確認

自然の偉大さを再確認したい。感謝の気持ちを胸に

標高が上がるにつれて、厳しい環境が待ち受けていることは承知していますが、それでもなお挑戦する魅力がヒマラヤにはあります。この登山は、山岳部で培った経験と技術、自然の偉大さを再確認する最高の機会です。困難があっても、私たちは互いに励まし合い、無事に山頂に立つことを目標にしています。ここまで支えてくれた方々への感謝の気持ちを胸に、一歩一歩確実に前進していきます。

冒頭で意気込みを語らせていただきましたが、今回は出発前としては連載最後ということで隊員の近況報告をしていこうと思います!

プンギ遠征隊メンバー近況報告

井之上巧磨(総隊長・青山学院大学体育会山岳部4年)

夏の間は吉田ルートにて富士山ガイドのお仕事をずっとしていました。多くのツアーをガイドさせていただき、お客さんの挑戦をサポートしながら、自分自身も成長させていただきました。また週3、4ほどで富士山に登っていたため、3700mまでの順応も済み、コンディションは凄くいいです。いよいよ僕の長年の夢であり目標であった海外遠征が始まります。気合いを入れて頑張ります!

吉田ルート富士山ガイド中の井之上巧磨

●山梨県 富士山 吉田口八合目・太子舘のホームページ

尾高涼也(登攀隊長・東京大学運動会スキー山岳部4年)

夏の間はのんびり富士山で働き、合間でお鉢を走ったりしてトレーニングをしていました。

とりあえず、初めての遠征、楽しんで登って来たいと思います!

吉田ルートで富士山ガイド中の尾高涼哉

●山梨県 富士山 吉田口八合目・太子舘のホームページ

中沢将大(装備・立教大学体育会山岳部4年)

私は富士山頂上小屋で7月から8月にかけて、合計で4週間ほどアルバイトをしていました。

小屋の社長に1日のうち1時間、トレーニング時間を特別に設けてもらい、毎日のようにお鉢を走ったり、8号目まで下りて登り返したり、坂ダッシュしたりと、高所で動ける体を作ることができました。

朝は早く、大変なこともありますが、小屋にいると、富士山ガイドをしている井上と尾高がお店にお客さんを連れて来てくれることも多々あり、なんだか楽しく最後まで働くことができました。

山小屋勤務での休憩時間に見事な影富士と中沢将大

●富士山頂・山口屋のホームページ

横道文哉(渉外、会計・立教大学体育会山岳部4年)

8月の頭に無事、第一志望から内定を得ることができ、心置きなく遠征に集中することができるようになりました。内定後すぐに、北アルプス槍ヶ岳近くの殺生ヒュッテにて10日間ほどアルバイトをし、富士山勢には及びませんが、2800mでの順応もできました。

ここで未踏峰プンギにしっかりと立ち向かえる下地の最終調整ができたと思います。ここまで来られたご縁を大事に次の世代に続くような遠征ができるように全力で頑張りたいと思います!

殺生ヒュッテで勤務中の横道文哉(右)

●殺生ヒュッテ(中房温泉)のホームページ

芦沢太陽(保険、会計・中央大学学友会体育連盟山岳部3年)

この夏は都内の古書店でアルバイトをするかたわら、時間を見つけて富士山に登って高所順応をしたり、所属している山岳部の夏合宿で剱岳の登攀をしていました。

先日、出発前最後のアルバイトを終え、今は装備品の最終調整をしています。ネパールの街やヒマラヤの氷河など、実際のフィールドを想像しながらの準備は難しくも面白いです。

次につながる遠征にできるように、自分の体で体験する多くのことを日本に持ち帰ってきます。

高所順応のために登った富士山山頂での芦沢太陽

おわりに

出発が間近に迫り、気の引き締まる思いで準備を進めています。
帰国後はPRESSPORTSでの連載はもちろん、各地での報告会の開催や映像コンテンツの制作なども予定しています。
未踏峰PHUNGI(6524m)の初登頂を目指して、安全に最大限配慮しつつ隊員一同、精一杯頑張ります!応援よろしくお願いします!

隊員名簿

芦沢太陽 (あしざわたいよう)
役職:会計(保険、国内)
所属:中央大学山岳部(部内学年3年 主将)
実績:前穂北尾根(11月)、常念山脈蝶ヶ岳-燕岳(3月)、爺ヶ岳南尾根

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中沢将大、横道文哉、井之上巧磨、尾高涼哉、芦沢太陽。羽田空港にて