KINAN AACA CUP第6戦は大久保陣が優勝…ホストチーム4戦ぶり勝利

KINAN Cycling Teamがホストを務める東海地区のサイクルロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」は、6月22日に今シーズンの第6戦を実施。最上級クラスの1-1カテゴリーは100kmで争われ、スプリント勝負を制した大久保陣が優勝。チームとしては第2戦以来となるシリーズ勝利を挙げた。

KINAN AACA CUP 2019 第6戦は大久保陣が優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

今節も主会場である長良川沿いの周回コースでの開催。従来の5.1kmのサーキットとは異なり、1周4kmのコースを設定。25周回でレースが行われた。今回はKINAN Cycling Teamから8選手が出走。ジャージカラーを白と紺に分け、実質2チーム編成で挑むことに。白チームは椿大志、大久保陣、雨乞竜己、中島康晴が、紺チームは福田真平、新城雄大、荒井佑太、さらに中西健児アカデミーコーチが久々のレースとして参戦することになった。

朝方の降雨で路面には水たまりが残るコースコンディションではあるものの、強い日差しが照り付ける中でのレーススタート。序盤から細かなアタックがかかったが、単独での飛び出しや強さに欠くもので逃げが決まるまでには至らない。

この状況が一変したのはスタートから20km過ぎ。12選手が集団から抜け出すことに成功し、そのまま先頭グループを形成。KINAN勢では白チームから椿と大久保、紺チームから福田と新城が加わる。メイン集団がこれらの動きを容認したことでレースは落ち着き、中盤までに先頭と集団との差は1分25秒まで開いた。

レースが後半に入りメイン集団がペースを上げると、力のあるメンバーをそろえている先頭グループもスピードアップ。すると、この流れに対応できない選手が徐々に脱落していき、残り5周回を迎える頃には先頭は8選手に絞られる。一方、メイン集団は残り15kmを切ろうかというタイミングで一気に崩壊。11選手が追走を試み、ここに白チームの雨乞と中島が合流。追走グループは人数を絞りながら前を目指し続け、残り2kmでついに先頭へジョイン。結果的に、これが優勝争いに加わる最終便となった。

緊迫感を増す中で迎えた最終周回。スプリントに勝負がゆだねられる中、残り300mで6選手が先行。先頭グループは縦に伸びた状態で最終コーナーへ突入。ここで完全な勝ちパターンに持ち込んだのは白チーム。中島、大久保の順でホームストレートを迎えると、最後はチーム内での争いとなり、フィニッシュライン手前でトップに立った大久保が今節の優勝を決めた。

回を重ねるごとにレベルが高まる今シリーズで、ホストチームながら思うように勝ち星を重ねられなかったが、4カ月ぶりの勝利はチームとして終始主導権を握ってレースを展開してのものに。間近に迫った全日本選手権に向け、手ごたえをつかむ一戦となった。

KINAN AACA CUP次節は7月6日、今回と同じ国営木曽三川公園長良川サービスセンターでの開催。「IRC tire presents KINAN AACA CUP Round 7」と銘打ち、井上ゴム工業の協賛のもと、IRCタイヤグッズや「BUCYO COFFEE」利用チケット(1000円相当)などが配布予定。レースでは、各カテゴリーに加えてチームタイムトライアルが実施される。(Text: 清水翠、Edit: 福光俊介)

大久保陣のコメント
「スプリンターが多く参加していたので、大きな集団でも、逃げ集団だとしても、スプリントで勝てたらと作戦立てしていた。メイン集団から追いついてきた中島選手が最終コーナーを先頭で入って走りやすくしてくれた。
ツール・ド・コリアで調子が良くなくチームに迷惑をかけたが、全日本選手権に向けて、ここで上がってきた感覚がある。期待していてください!」

中島康晴のコメント
「もう少し最後の人数を減らしてのスプリントが理想だったが、展開に応じて動くことはできた。最終的には大久保選手、もし大久保選手の脚がなかった場合には自分が勝てたらと思ってスプリントに挑んだ。最終コーナーを先頭で入ったのは、どちらが勝負することになっても良い位置で入らなくてはならないから。
もちろん自分で勝ちたいという思いはあるが、雨乞選手と一緒にブリッジをかけて先頭に追いついたり、チームとして動いて勝つことができた。全日本に向けていい足がかりになったと感じている」

●キナンサイクリングのホームページ

ニュージーランド サイクルクラシックはルバ総合5位、最終Sは大久保陣8位

KINAN Cycling Teamの2019年初戦、ニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は、1月27日の第5ステージをもって閉幕。個人総合ではトマ・ルバが5位として、UCIポイント15点を獲得。また、このステージはスプリントでの争いとなり、大久保陣が8位でフィニッシュしている。

ニュージーランド サイクルクラシック第5ステージ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

23日に開幕した大会は、大久保や中島康晴がスプリントでステージ上位をうかがったほか、前日の第4ステージではトマが5位でフィニッシュ。総合争いが動くと見られたクイーンステージでまずまずの走りを見せ、チーム力を示してきた。

そしていよいよ最終日。第5ステージは、大会の拠点都市であるケンブリッジを発着点とする143.3km。スタート後、1周8kmの第1周回を8回まわり、進路をケンブリッジ方面へと戻しつつ同じく8kmの第2周回へ。ここも8周回して、ケンブリッジのフィニッシュ地点を目指す。平坦基調のステージに臨むにあたって、チームはトマの総合成績を確定させることを大前提としつつ、大会を通じて調子を上げてきた大久保を軸としたスプリントにもトライしていくことを確認した。

こうして始まったレースは、アタックが散発しつつも決定的な動きがないまま進行。KINAN勢は集団内に位置して序盤を過ごす。第1周回に入り、一時的に大人数が先行した際には中島が前方のチェックに動いたが、集団が容認することはなく再び一団に。スタートから50kmを迎えようかというタイミングで、ようやく4人の逃げが決まった。

以降も総合上位陣が絡む追走グループが形成されたが、リーダーチームのエヴォプロサイクリングを中心にメイン集団がレースをコントロール。先頭とのタイム差を2分15秒前後でキープし、第2周回でも着々と距離を消化していった。

この間、淡々とレースを進めたKINAN勢は、5人がまとまって展開。少しずつポジションを前へと上げていきながら、スプリント態勢を整えていった。

メイン集団は残り30kmを切ったあたりからスピードアップを図り、逃げる選手たちとのタイム差を縮めていく。完全に射程圏内へと捕らえ、やがて労せず吸収。勝負はスプリントにゆだねられた。

大久保での上位進出を狙うKINAN勢は、トマのポジションキープに始まり、山本大喜、新城雄大もリードアウトに加わる。そして中島の引き上げから大久保を加速させる構え。残り1kmは急斜面を下りながら最終の左コーナーへ。そして残り600mから一気に駆け上がり、フィニッシュへ飛び込む変則的なレイアウト。

このコース設定により集団前方が大混戦となる中、大久保は前方を押さえてスプリントを開始。最後はコンディションの差もありオーストラリア勢らの後塵を拝すも、8位とまとめてみせた。このほか、トマ、中島、新城と続き、しばらくして山本もフィニッシュラインを通過した。

これらの結果から、最終的にトマが前日からの個人総合5位を確定させた。UCIポイント15点をチームにもたらすとともに、シーズン初戦としてはまずまずの成果を収めた。シーズン初戦を終えた選手たちは一様に、長いシーズンを見越して調子を上げていくとともに、連携強化を図っていく必要性を実感。ニュージーランドでの5日間は収穫と課題を十二分に得た、刺激的なツアーとなった。

戦いを終えたチームは近日中に帰国し、トレーニングやイベント出演などをこなしていく予定。なお、次戦についても早い段階で公表できる見通しとなっている。

大久保陣

大久保陣のコメント
「スプリントまで持ち込むところは予定通りだったが、(変則レイアウトの)残り1kmは脚にきてしまっていた。目標としていた表彰台には届かなかったが、(8位に入った)第3ステージとは違った収穫が得られたので、さらに高めていきたい。
今大会はコンディション面で苦しんでしまい、スプリントにトライできたとはいえ表彰台に届かなかったあたりは反省点。まずは結果を出したい。チームの雰囲気がよく、どの選手も実力・経験ともに申し分ないので、その中でエーススプリンターを任せてもらえるよう取り組んでいきたい」

トマ・ルバのコメント
「個人総合5位という結果は悪くない。前日の上りにしても、チームで取り組んだスプリントにしても、日々状態は高まってきている。とはいえ、今日のステージも完ぺきとは言えないし、シーズン初めでもあるので今後のトレーニングで強化していきたい。個人的には春のレースでしっかり結果を残したいと考えている。次のレースを楽しみにしている」

大久保陣を8位へと送り込み連携強化…ニュージーランドサイクルクラシック第3S

KINAN Cycling Teamが参戦しているニュージーランドサイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は1月25日に第3ステージを実施。152kmで争われ、チームはスプリントを託された大久保陣が最上位の8位でフィニッシュ。個人総合成績では、中島康晴が11位につけている。

ニュージーランドサイクルクラシック第3ステージ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会は中盤戦へと突入。第1ステージで椿大志をリタイアで失ったものの、続く第2ステージではトマ・ルバが再三のアタックで見せ場を作った。中島は2日連続でスプリントに臨み、上位戦線に存在感を表している。

第3ステージは、テ・アワムトゥを発着するコース設定で、おおよそ8の字を描くようなルート。中盤にこのステージ唯一となる山岳ポイントを含む丘越えが待ち受け、いずれも距離が短いながらも5%前後の勾配の上りが断続的に登場。ここまではスタートからのアタック合戦が長く続く傾向にあるほか、風が強い区間だと集団が分断する場面が多い。そこに細かなアップダウンが加わって、選手たちの力を試すことになる。終盤は細かな上下はありつつもおおむね平坦基調。KINAN Cycling Teamとしてもスプリントはもとより、効果的な逃げや決定的なアタックにはしっかり対応していく姿勢で臨んだ。

レースはまず、30km地点までに5人の逃げグループが形成される。リアルスタート直後からのアタック合戦には新城雄大も加わったが、逃げに加わることはなくKINAN勢5選手はいずれもメイン集団に待機。逃げが決まって以降は、スプリントでのステージ争いに持ち込みたいチームとともに、集団前方で隊列を組んでレースを進める。

流れが一時的に変化したのは、63.6km地点に設定された山岳ポイントを目指しての上り。メイン集団のペースが上がり、先行する5人とのタイム差は一気に縮まる。山岳ポイントは逃げメンバーが確保するも、ほどなくして集団が吸収。代わって2選手が飛び出し、集団に対してリードを奪っていった。

KINAN勢はここも動じず、スプリンターチームとともに集団前方でレースを展開。逃げとメイン集団との差は最大で約3分となったが、フィニッシュまでの残り距離が40kmを切ったあたりからタイム差は縮小。集団有利の情勢となっていった。

勢いに勝ったメイン集団は、残り10kmを目前に逃げていた選手たちをキャッチ。スプリント勝負に向けて各チームが陣形を整えていく。KINAN勢は調子を上げてきた大久保でフィニッシュを狙っていくことに。トマの引き上げで好位置を確保し、他のメンバーもリードアウトに加わっていった。

残り700mで最終コーナーを抜け、フィニッシュへ向かっての上り基調。前方から加速した大久保はトップまでは届かずも上位戦線で勝負して8位。役割を果たした他のメンバーも、きっちりと走り終えている。

この大会で初めてスプリントを託された大久保だったが、アシスト陣との連携でまずは堅実にトップ10圏内で終えてみせた。最終局面へ持ち込むまでのリードアウトにまだまだ可能性は残されている印象で、残るステージも含めてスプリント連携の精度を高めていくことを目指す。

第3ステージまでを終えての総合では、中島が11位につけるほか、上位陣に近いタイム差で山本大喜が41位、トマも45位で続いている。

大会はいよいよ佳境を迎える。143.8kmで争われる第4ステージは、マウンガカワ・ヒルの頂上フィニッシュが待ち受ける。スタートから70kmを過ぎると次々と急坂が控え、107.3km地点で1回目のマウンガカワ・ヒルを登頂。そこから約36kmの周回コースを走り、最後は再びマウンガカワ・ヒルへ。最後の3kmは高度にして200m以上を一気に駆け上がる。総合成績を占ううえで大きなポイントになるクイーンステージ。KINAN Cycling Teamは好調のトマでの総合ジャンプアップを最大のミッションとしながら、中島や山本でも上位進出を狙っていく。

大久保陣

大久保陣のコメント
「第1、第2ステージとコンディション的に苦しんだが、徐々によくなってきて、みんなのサポートにも助けられながら今日はスプリントに臨むことができた。結果が出なかったことは残念だったが、長いシーズンを見据えながらスプリントまでの流れを固めていきたい。第5ステージでスプリントのチャンスが再びめぐってくると思うので、まずはそこまでに可能な範囲で修正していきたい。
個人的には調子はまだまだだが、強いチームの一員として走らせてもらっている以上、結果を出して信頼を得ていく必要があることは分かっている。スプリントに限らず、上りの厳しいステージでもアシストとして貢献できるよう走っていきたい」