自転車専用通行帯と自転車ナビラインの違いが分かる?

首都圏の道路で「白い自転車マーク」や「青い矢印」が道路左端にペイントされているのを見かけるようになった。これは白が「自転車ナビマーク」、青が「自転車ナビライン」で、自転車の安全な通行を促すために警視庁や各県警が表示したものだ。ところがこれらは法律的には意味がなく、なかったものとして道路交通法が適用される。

自転車ナビライン

「自転車ナビマーク」と「自転車ナビライン」は、自転車の走行場所と方向を道路上に明示するために警視庁が表示したもの。導入したところでは自転車の逆走が減るなどで事故が減少したという効果も現れているという。東京五輪・パラリンピックに向けて2020年までに都内全域に整備する計画。これと同じような青い矢印は神奈川県などでも行われている。

この「自転車ナビライン」と似たものに「自転車専用通行帯」がある。同じ青色なので混同しやすいが、「自転車専用通行帯」は白いラインで囲われていることが多く、標識が掲げられているところもある(路面が青色でないところもある)。こちらは法令で定められた自転車通行レーンで、もちろん全国にある。例外はあるが、自転車がこの通行帯以外を走ることはできない。さらにクルマやバイクがこの通行帯を走った場合も法律違反となり、罰則が明記されている。

自転車専用通行帯

前出の「自転車ナビライン」は法定外表示で、この表示自体に通行を指定する意味はないのだという。自転車の安全な通行を促すための目安として警察が設置したもの。そのため通行方法は道路交通法または道路標識などの交通規制に従う必要がある。とはいっても自転車の逆走の禁止や、自転車が道路上のどの位置を走ればいいかの確認に役立つし、ドライバーも「ここは自転車も走るんだね」と認識するので、注意喚起にはなるはずだ。

横浜市で開催された横浜開港祭サイクルピクニックで、自転車愛好家が青い服を着て「自転車ナビライン」をたどる約5.5kmのサイクリングが行われるというのでかつて取材に行ってみたことがある。青の服は「自転車の走る位置はここです」とアピールするのがねらい。さらには道路を共有する者としてドライバーや歩行者などお互いをリスペクトし、親しみを持ちあえるようにと、マナーよく笑顔を見せながら楽しく走ろうと呼びかけられた。

自転車通行に関わる道路交通法が改正されたのは2014年。ところが依然としてルールを知らない、守らない自転車利用者による危険運転が社会問題化している。自転車通行のルールは意外と複雑で、すべての人が理解しているとは限らない。ならばそれを打破しようという目的がこのアピール走行会にはあったのだ。

事前に、リーダーを務める自転車愛好家を集めて模擬走行会を行い、コースを実走しながら安全を担保した走りを再確認した。ところが道路交通法どおりに走行すると現況との食い違いが生じることを痛感する。例えばクルマの左折レーンがあれば、自転車はその左端を直進することが法律で求められている。実際には左折の巻き込み事故になりやすく、だれもが危険を感じるはずだ。

道路交通法で定められた自転車通行と現在の道路事情がマッチせず、依然として事故発生が起こりかねない。混雑する道路を安全にかつ快適に自転車走行するためには、それぞれが交通ルールを守るとともに、クルマや歩行者の存在をリスペクトしながら、自転車乗り自身もリスペクトされるようなマナーをもって走行することが問題解決の糸口になる。

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