荘司ゆうがBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で初優勝

UCI BMXフリースタイルワールドカップ第2戦が5月17日から21 日にフランスのモンペリエで開催され、BMXフラットランド男子で荘司ゆうが初優勝。 2位が早川起生、佐々木元(鎌ケ谷巧業)が5位になった。

荘司ゆうがBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で初優勝 ©UCI

BMXフラットランドは強化指定選手の佐々木、早川、荘司、伊藤真人、中川きらら、川口朔来の6名が参戦。予選から全員が活躍を見せる中、決勝では荘司が力を発揮し、大会初優勝を飾った。

荘司ゆうがBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で初優勝 ©UCI

さらに男子・早川と女子・中川が準優勝、女子・川口が3位と、4名の日本人が表彰台に上がった。

早川起生がBMXフリースタイルワールドカップフランス大会で2位 ©UCI

BMXフリースタイル・パークは男子100名、女子38名のライダーが集まり大会が行われた。日本からは中村輪夢、溝垣丈司、小澤楓、寺林昌輝、内藤寧々が日本代表として派遣された。

大会は雨によりたび重なるスケジュール変更を行いながら開催された。 特に男子は、セミファイナルが急きょファイナルに変更となり、中村・溝垣・小澤の3名を含む24名で行われることになった。ジャンプランプのない特徴的なパークに苦戦しながらも、決勝では中村が攻め切り6位。

女子の内藤寧々は準決勝敗退となり、15位で大会を終えた。また、強化育成指定選手で、2022年国際大会ジュニアクラスで優勝経験のある松本翔海(14)、小澤美晴(14)もFISE Montpellierに参戦。今回はジュニアよりレベルが高いアマチュアクラスにエントリーしていたが、天候不良のため全日程がキャンセルとなった。

マクナルティ初V、アルミライルが首位を守って終盤戦へ…ジロ・デ・イタリア

第106回ジロ・デ・イタリアは5月21日、セレーニョ〜ベルガモ間の山岳区間195kmで第15ステージが行われ、UAEチームエミレーツのブランドン・マクナルティ(米国)がEFエデュケーション・イージーポストのベン・ヒーリー(アイルランド)とイスラエル・プレミアテックのマルコ・フリーゴ(イタリア)を抑えてグランツール初優勝。

フリーゴ、ヒーリー、マクナルティ。2023ジロ・デ・イタリア第15ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

総合成績では、前日に首位に立ったグルパマFDJのブルーノ・アルミライル(フランス)が32位でゴールしてマリアローザを守ったものの、総合2位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)ら有力選手に33秒詰め寄られた。

5月22日は大会2回目の休養日。23日から最終週が再開し、28日にローマでフィナーレを迎える。

2023ジロ・デ・イタリア第15ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

大会第2週の最後となる山岳ステージ

5月21日はアスタナ・カザクスタンチームのマーク・カヴェンディッシュ(英国)の38回目の誕生日でもあった。ツール・ド・フランスでは史上最多タイとなるステージ34勝と2011年・2021年ポイント賞を獲得しているが、ジロ・デ・イタリアでも2013年にポイント賞に輝き、区間通算16勝の実績を持つ。スタート前にはバースデーケーキがプレゼントされ、多くのカメラマンに囲まれた。

この日のコースはイタリアの自転車文化を牽引し続けるミラノにも近く、沿道にはコルナゴ一族がスマホを片手に陣取り、選手たちの走りを動画撮影してアップするなども。天気予報で心配された雨も収まり、久しぶりの陽光に恵まれて選手たちの半袖ジャージ姿も見られた。

この日のステージは区間勝利をねらう選手たちと、マリア・ローザを争う選手たちに分かれて2つのレースが同時展開された。翌日に2回目の休息日が設定されていて、これまで勝ち星をつかめていない選手たちが積極的に動いた。自らの成績のために自由を与えられ、フィニッシュを目指す17選手が第1集団を形成した。

この中から抜け出したのがヒーリー、フリーゴ、マクナルティで、最後の山岳で三つ巴の戦いに展開していく。ヒーリーが単独になって山岳ポイントを越えると、マクナルティがこれに追いつき、フリーゴもそれに合流しようと必死でペダルを漕ぐ。

こういったコースを最も得意とするのはヒーリーだ。ヒーリーは何度もアタックをするが、マクナルティはその攻撃のひとつひとつに見事に反応した。勝負は2人の一騎打ちと見られたが、最後の最後にフリーゴが追いついた。フリーゴはその勢いでゴール勝負を先行して仕掛けるが、ヒーリーも追従。そして3番手の位置からスプリントしたマクナルティがフィニッシュラインのわずか手前で2選手を逆転してステージ優勝を飾った。

2023ジロ・デ・イタリア第15ステージは好天 ©Fabio Ferrari/LaPresse

マクナルティはグランツールでのステージ初優勝となるが、2022年はパリ〜ニース第5ステージで優勝していて、437日ぶりの勝利となった。2019年にはジロ・ディ・シシリアの第3ステージ勝利と総合優勝を勝ち取った実績がある。山岳に強く、ツール・ド・フランスでは2021年と2022年に出場し、アシスト役としてエースの動きをサポートしている。

米国勢としてのステージ優勝は15回目。初勝利はロン・キーフェルが1985年の第15ステージで勝っている。

「いい日だった。ようやく晴れたけど、アップダウンの多いハードなステージだった」とマクナルティ。

「ゴール勝負でも一生懸命レースをした。最後は意地の張り合いだった。ヒーリーは最後の長い登りでスパートを仕掛けたので、彼に追いついて勝てるかは自信がなかった」

後続のフリーゴに追いつかれないように、2人でローテーションし、石畳と短い登りでペースアップするヒーリーにマクナルティが食らいつく。何度も困難な状況になりながらも脱落しなかったのが勝利の要因だ。

「かなり苦しんだけど、スプリントするパワーは十分残っていた。ジロ・デ・イタリアでこれまでも何度か逃げのチャンスがあったが、今日は優勝するしかないと思っていた。沿道のファンがボクを励ましてくれた」

一方の総合優勝争いも最後の山岳で動きがあった。前日にマリア・ローザをグルパマ・エフデジのブルーノ・アルミライル(フランス)に譲ったゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)ら有力選手がマリア・ローザを突き放しにかかったのだ。

有力選手を含むこのメイン集団はレース中盤ですでに6分の差を第1集団につけられていた。マリア・ローザを獲得するために重要な第3週が始まる前に無理をすることなく、優勝候補を擁するチームは揃ってゴールラインを通過することがこの日の目標だった。

自転車レースが盛んな北イタリアを走る ©Fabio Ferrari/LaPresse

そういった状況の中で、1分41秒遅れの総合2位トーマス、1分43秒遅れの総合3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)らが最後の上りでペースアップすると、首位アルミライルは遅れ始めた。

「総合上位を目指す有力選手は、最後の登りで激しくレースをした。ボクは彼らに着いていくにはかなりの無理があることを知っていた。チームエースのティボー・ピノには、ボクが落ちても待たないようにと言っていた」とアルミライル。

「最後の坂でふるい落とされたが、最後まで全力を尽くした。大勢の群衆にあおられて感情に夢中にならないように集中した。あとはダウンヒルしてのフィニッシュなので1分40秒を失う可能性はほとんどないことはわかっていた」

23秒以内でつばぜり合いするログリッチ、アルメイダ、トーマスが石畳を走る ©Fabio Ferrari/LaPresse

アルミライルは結局ステージ32位でゴール。トーマスら有力選手に33秒詰め寄られたものの、この日はマリア・ローザを守った。ログリッチもトーマスから依然2秒遅れの位置で休息日を迎えることになった。まさに嵐の前の静けさだった。

「マリア・ローザ最初の日は特別だった。多くの選手がこの日のボクが置かれた状況を体験したいと思っている。チームメートに守られてなんとかジャージを保持することができた。第3週は非常に複雑になることもわかっている。火曜日以降は、優勝候補の間で大きな戦いがあり、素晴らしい光景が展開されるだろうね」(アルミライル)

山岳賞はエオーロ・コメタのダヴィデ・バイス(イタリア)がトップを守った。ヤング・ライダー賞はUAEチームエミレーツのジョアン・アルメイダ(ポルトガル)で、総合成績でも1分30秒遅れの4位につけている。

マクナルティがヒーリーとフリーゴを制して2023ジロ・デ・イタリア第15ステージ優勝 ©LaPresse

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は29分44秒遅れの117位でゴール。総合成績は3時間09分02秒遅れの130位。ジョナサン・ミラン(イタリア)のポイント賞1位の座と、チーム成績1位に大きく貢献する走りを続けている。

5月22日は大会2回目の休養日。23日から最終週が再開し、28日にローマでフィナーレを迎える。

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

ブルーノ・アルミライルがマリアローザを守った ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

第14ステージにもどる≪≪   ≫≫第16ステージにすすむ

サドルバッグが背負えるようになると輪行が格段にラクになる

R250の新商品として防水サドルバッグが発売されたが、改良に次ぐ改良を加えた輪行マイスターの自信作は輪行する際にはシートポストから取り外して背中に担げるというアイデア。日本人に合うサイズ感も追及している。

R250 防水サドルバッグ2 ハイブリッド ラージ グレー/ブラック

R250 防水サドルバッグ2 ハイブリッド ラージ グレー/ブラック

溶着された防水タイプなので、雨でも安心サドルバッグ 輪行中はバックパックにも変身

R250の防水サドルバッグシリーズの日本人向けラージサイズ。身長165cm以下の人が乗るロードバイクでも取り付けられる大型サドルバッグとして開発された。それ以上の身長にも対応。

独自の防水コーティングされたファブリック素材を、縫製ではなく溶着することで防水を実現している。糸による縫製を行わず、素材を重ね合わせて溶着させる独自の技術だという。防水のレベルは、IPX6(暴噴流に対して保護。)相当。

輪行中はバックパックにも変身。ショルダーストラップを1本だけにすれば、ワンショルダータイプにもなる。

R250 防水サドルバッグ2は背負える

サドルレール用バックルはロック付き(デュラフレックス製)。ロックなしに比べて緩みにくくなった。型くずれしにくいように、芯材を多く使用。内側には中身が見やすいように黄色い生地を採用。ちょうど芯材が入っている部分だ。

開口部はロールトップバックルなので、ジッパーが壊れるといった心配はない。両サイドのR250ロゴと、後部のリフレクターテープは再帰反射タイプ。夜間車のライトに反応して光る。

シートポストとサドルのレールに取り付けする。ペダリング時に太ももの裏側が当たりにくいように、前側は細くデザイン。開口部は上向きに巻いても、下向きに巻いてもリフレクターとテールライト取り付け用クリップが出るデザイン。

ウインドブレーカーなど軽いものをちょっと引っかけておくことのできる、バンジーコード付き。エアロシートポストにも対応するように、シートポスト用ベルトは長短2種類が付属。

サイズ 横(上から見て)5.5~22cm×長さ(前後)33~43cm×高さ11~13cm ロールアップを開いた状態の長さは50cm ロールアップの幅は38cm
サドルのレールの下から後輪までの長さが13cm以上が取り付けられる目安。簡易泥除けにもなる。

容量:5~7L
素材:600D/TPU
重量:370g (ショルダーストラップ40gは別)
販売価格:12,100円(税込)

R250 防水トップチューブバッグ2 ハイブリッド レギュラー グレー/ブラック

走行中にさっと中身を取り出せる、便利ポケット。ロードバイクにフィットする細さが人気

R250 防水トップチューブバッグ2 ハイブリッド レギュラー グレー/ブラック

2023年5月にモデルチェンジ。ダボ穴にも対応するハイブリッドタイプに進化した。フォークコラムへの取り付けをフロート構造にすることで、ハンドルリングに影響を受けないトップチューブバッグになった。ベルトの取り付けが独特。トップチューブとステム(フォークコラム)に取り付ける。スマホや補給食等を入れるのに便利。

独自の防水コーティングされたファブリック素材を、縫製ではなく溶着することで完全防水を実現。糸による縫製を行わず、素材を重ね合わせて溶着させる独自の技術。

フォークコラムの角度にピッタリ沿うオリジナルデザイン。さらに、コラムスペーサーへの取り付けには、ベルトを2本にすることでバッグの揺れを抑えた。スペーサーを付けずにステムを一番下まで下げている場合は、上側のベルトは外すこともできる。上面が平らなトップチューブにも、丸いトップチューブにも安定するように、底の硬さとベルクロの形状を工夫。

止水ジッパーを使用しているので、少しの雨なら大丈夫。ジッパーの取っ手は指を入れるだけで引っ張ることのできるタイプ。特に冬のグローブで便利。予備バッテリーを入れたときに便利な、コードを通す穴も。最初に穴が開いていない場合は、溝に沿ってカッターで切り込みを入れればいい。

両サイドのR250ロゴはリフレクター素材。夜間車などからの視認性は抜群。全体に芯材を仕込んでいるので、型崩れがしにくい。内側の生地が黄色なので、中身が見えやすい。使い勝手を考えると、中の仕切りはあえてない。

ダボ穴付きトップチューブに取り付ける場合は、バッグの底側のベルクロは使用せず。ダボ穴の位置は、キャノンデールとジャイアントを基準。一部メーカー・年式・モデルによっては異なる場合がある。ダボ穴ボルトは附属しない。ボトルケージ用ボルトと同じ5mmピッチのボルトだが、頭部形状は丸キャップ頭が出っ張らないのでおすすめ。

R250の防水サドルバッグ2と防水トップチューブバッグ2

素材:ポリエステルタスロン、ポリエステル100% 裏面PUコーティング
サイズ:長さ210mm x 高さ100~70mm x 幅40mm
重量:105g
カラー:杢グレー/ブラック
販売価格:4,950円(税込)

デンツ2勝目、アルミライルがまさかのマリアローザ…ジロ・デ・イタリア14S

第106回ジロ・デ・イタリアは5月20日、スイスのシエッレからイタリアのカッサーノマニャーゴまでの193kmで第14ステージが行われ、ボーラ・ハンスグローエのニコ・デンツ(ドイツ)が少人数のゴール勝負を制し、第12ステージに続く大会2勝目を挙げた。

ブルーノ・アルミライルがマリアローザ ©Massimo Paolone/LaPresse

首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)を含むメイン集団は21分11秒も遅れ、ステージ勝利を目指して先行していたグルパマFDJのブルーノ・アルミライル(フランス)が一躍首位に立った。トーマスとの差は1分41秒。

2023ジロ・デ・イタリア第14ステージ ©LaPresse

悪天候で我慢のレースが続く第106回ジロ・デ・イタリア。レースはボーラ・ハンスグローエのニコ・デンツ(ドイツ)が少人数のゴール勝負を制し、第12ステージに続く今大会2勝目を挙げた。一方、首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)を含むメイン集団は21分11秒も遅れ、ステージ勝利を目指して先行していたグルパマ・エフデジのブルーノ・アルミライル(フランス)が一躍首位に立った。

総合2位となったトーマスとの差は1分41秒。総合3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は1分43秒。大会中盤で、総合優勝を目指す戦いが新たな局面を迎えたのは確かだ。

スタート地点となったシエルはスイスのヴァレー州にあって、味の首都とも呼ばれる。ラクレットチーズとワインが名産。山岳ステージにカテゴライズされていないが、そびえ立つ山々に囲まれたシンプロン峠(パッソ・デル・センピオーネ)が56.6km地点にあり、標高は2004mもある。この峠をパスして20km下るとイタリアに入る。このあたりにはミラノ大聖堂の建設資材として使われたカンドグリア大理石の採石場もある。

このスタート地点のシエルは穏やかな陽光が降り注いだが、天候は次第に悪化。シンプロン峠ではみぞれ混じりの雨になり、選手たちはこの日もレインウエアを着込んでの走りを余儀なくされた。ときおり出現するトンネルがつかの間の骨休めとなるほどだ。

シンプロン峠は1級山岳に指定され、この上りで29選手が第1集団を形成する。この中にデンツとアルミライルも加わっていた。

前日にグルパマ・エフデジのティボー・ピノに山岳賞ジャージを奪われたエオーロ・コメタのダヴィデ・バイス(イタリア)も29選手の中にいた。バイスは1着通過で40ポイントを獲得。この日の山岳ポイントはこの峠だけで、トータルでバイスが144点となり、114点のティボー・ピノを逆転。わずか1日で山岳賞ジャージを奪い返した。

これに対するメイン集団は29選手の逃げを容認した。18分37秒遅れの総合23位に位置するアルミライルが最上位で、ある程度のタイム差は問題ないと判断したからだ。アルミライルはピノのアシスト役で、バイスに山岳賞の高得点を奪われないように動くことも任務だった。結局はアルミライルはシンプロン峠を2位通過したが、アルミライルが逃げ集団に加わったことがゴール時に思わぬ局面を生むことになる。

メイン集団の動きのなさを知った先行29選手は冷たい雨が降り続けるダウンヒルでも積極的に展開する。ステージ優勝を目指しての過酷なサバイバルレースに発展した。

2023ジロ・デ・イタリア第14ステージ ©Marco Alpozzi/LaPresse

EFエデュケーション・イージーポストのアルベルト・ベッティオル(イタリア)がステージ勝利を目指して仕掛けた。それがつぶされるとアンテルマルシェ・サーカス・ワンティのローレンス・レックス(ベルギー)が単独アタック。アルペシン・ドゥクーニンクのステファノ・オルダーニ(イタリア)、スーダル・クイックステップのダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)、トレック・セガフレードのトムス・スクインシュ(ラトビア)がジョインして、先頭は4人となる。残された選手たちは追いかけたいが、冷たい雨と意志の不統一でなかなか足並みが揃わず。

ゴールのカッサーノ・マニャーゴは、18世紀のヴィラオリバやヴィラブッタファヴァ、百屋根の城、ローマ時代後期にまでさかのぼり、町のシンボルであるサンマウリツィオの塔などの貴族の邸宅で知られる街だ。市街地に突入したのはオルダーニ、バッレリーニ、スクインシュの3人。残り1kmで背後からようやく追走グループがやってきた。

ステージ勝利を懸けた戦いは、追走した選手らの中で積極的に戦闘を走り、好調さを見せつけたデンツだった。2日前の第12ステージでも、トレック・セガフレードのトムス・スクインシュ(ラトビア)とイスラエル・プレミアテックのセバスチャン・バーウィック(オーストラリア)を制してグランツール初優勝したデンツが消耗戦を再び制したのだ。

「この2つの勝利のどちらが難しかったかはわからない。第12ステージはクレイジーだった。グランツールのステージ優勝をずっと夢見ていて、それを実現できた。そして今日は再びそれができたのだから、まだ雲の中にいる気持ちだ」とデンツ。

「フィニッシュラインを越えたとき、ステージ優勝を予期していなかったので、何が起こっているのか不思議な感じだった。総合成績で上位を目指すリーダーをサポートするために参戦して、2つのステージ優勝を果たすことになった。それは計画していたことではなかった」

ニコ・デンツがステージ2勝目 ©Massimo Paolone/LaPresse

総合優勝争いではこの大会の新局面を迎えた。第1集団に加わり、53秒遅れの区間15位でゴールしたアルミライルが首位に躍り出ることになったのだ。

「まさか自分がマリア・ローザにたどり着くとは想像もしていなかった。それは特別なものだ。しかし、今日はステージ優勝を目指して逃げ切ろうと考えていた」とアルミライル。

一躍スターになったアルミライルは29歳のベテラン選手としてチームのアシスト役として走ってきた。2017年に現在のチームに練習生として加入し、グルパマ・エフデジ一筋のフランス人だ。タイムトライアルに強く、今大会の第9ステージでは5番目のタイムを記録している。エヴェネプール、トーマス、ゲイガンハート、そしてタイムトライアルのスペシャリストであるシュテファン・キュング(スイス)に続く好記録で、6位のログリッチよりも速かった。

「マリア・ローザがボクのキャリアを変えるかどうかはわからない。しかし、現実的に考えると、ボクはアシスト役のままで、再びティボー・ピノのために働いていく。彼には最終的なトップ10に入るチャンスがあるけど、ボクはそうではない。彼はまだステージに勝ちたいと思っている。明日は山頂フィニッシュではないので、次の休息日までまだマリア・ローザを持っているかもしれないが、総合優勝を争う有力グループと最後の上りを走りたい」

フランス選手がマリア・ローザを獲得するのは21世紀で初めてのことだという。1999年にローラン・ジャラベールが獲得して以来の快挙だった。

「それは知らなかった。ボクはイタリア語の単語をもうすこし学ばなければならない。ガールフレンドはイタリア人なんだけど」

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也はこの日もポイント賞首位のジョナサン・ミラン(イタリア)をサポートしながらメイン集団のなかの81位でゴール。総合成績は2時間46分44秒遅れの131位。頼もしいキャプテン格として着実に日々のステージをこなしている。

ダヴィデ・バイスがわずか1日で山岳賞ジャージを奪還 ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

第13ステージにもどる≪≪   ≫≫第15ステージにすすむ

悪天候でコース短縮の第13Sはルビオがピノを制す…ジロ・デ・イタリア

第106回ジロ・デ・イタリアは悪天候によりクロワ・デ・クール峠の山麓からクランモンタナまでの74.6kmにコース短縮されて第13ステージが行われ、モビスターチームのエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア)がグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)を制して初優勝した。

スイス・アルプスを走る第13ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

首位のゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)はマリアローザを守った。総合優勝争いをする2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)との差は依然として2秒。

マリアローザのトーマスとそれをマークするログリッチ ©Fabio Ferrari/LaPresse

コロナ罹患というむごい仕打ちのあとに待っていたのは大自然の脅威だった…。選手たちは立ちはだかる幾多の困難を乗り越えてゴールとなる首都ローマまで走り続けてなくてはいけないのか? 第106回ジロ・デ・イタリアは悪天候に見舞われた5月19日、クロワ・デ・クール峠の山麓からクラン・モンタナまでの74.6kmにコース短縮された第13ステージが行われた。

ボルゴフランコ・ディヴレアをスタートし、アルプスの国境を越えてスイスまで走る予定だった第13ステージは大会中盤の大きな勝負どころとされていた。ところが大会最高峰の標高2469mに位置するグランド・サン・ベルナルド峠が想定外の大雪と雪崩の危険性があるとして、主催者は5月16日、本来の峠まで登らずにアルプスを貫通するトンネルを通過するルートに変更することを余儀なくされた。

その時点で距離は当初の207kmから199kmになった。グランド・サン・ベルナルド峠がカットされたことで、特別賞が懸けられる大会最高峰のチマコッピは第19ステージのゴール、トレ・チーメ・ディ・ラヴァレドに変更されることになった。

イタリア側の悪天候により距離が短縮された第13ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

アルプス山脈のグランド・サン・ベルナルド峠は今大会の注目どころだった。スイスとイタリアの国境にあり、日本の地図帳には「大サンベルナール峠」と表記されたりする。近くのフランス・イタリア国境には「小サンベルナール峠」も存在する。英語読みするとセントバーナードで、峠の修道院で飼われていた遭難救助犬があまりにも有名である。

ジロ・デ・イタリアは2019年も第16ステージのコース一部を悪天候予報によって変更している。標高2618mで、大会の最高峰チマコッピに指定されていたガヴィア峠を迂回したのである。

ジロ・デ・イタリアの山岳ステージはツール・ド・フランスのそれとは違う。バカンス時期の7月に開催されるツール・ド・フランスに対して、ジロ・デ・イタリアが行われる5月はまだまだ夏に遠い。天候が崩れれば標高の高いところは雪が降るのは当たり前だ。

1988年に米国選手として初優勝したアンディ・ハンプステンは女性のようにきゃしゃなボディをした伏兵だったが、雪に見舞われたガヴィア峠で逃げて総合1位に躍り出た。1989年に優勝したフランスのローラン・フィニョンは天気予報をみて翌日の難関区間が雪で中止になることを見込んでいて、その前日に勝負を仕掛けてマリアローザを獲得した。翌日は予想通りに荒天で中止になり、ものの見事に総合優勝を決めたのである。

まさにイタリア北部の修羅場。標高2500m超の山岳で繰り広げられる死闘。選手もそうだが、観客もときに命がけだ。主催者によれば、この悪天候にも関わらず、沿道には熱心なファンが陣取っていたという。

第13ステージはトンネル通過のコースに変更されてスタートすることになったが、さらなる猛威が押し寄せる。とりわけイタリア側の悪天候を考慮してコミッセール団が異常気象プロトコルを適用。さらに距離を短縮して選手の要望に応える決定をした。最終的にクロワ・デ・クール峠の麓に全選手が車両で移動してリスタート。ゴールのグラン・モンタナを目指す事態になった。

ピノ、セペダ、ルビオが抜け出した ©Fabio Ferrari/LaPresse

午後2時59分に135選手がル・シャブルという小さな町をスタート。トレック・セガフレードのマッズ・ピーダスン(デンマーク)だけがスタートしなかった。

悪天候による距離短縮で記憶に残るのは1996ツール・ド・フランスだ。フランス領内からアルプス国境を越えてイタリアのセストリエーレに向かうスタージは、降雪により2度もスタートをやり直した。選手たちはその都度チームカーに乗って冠雪した峠を越え、レースは残り40km地点からやり直した。ここで逃げたのがビャルネ・リース(デンマーク)で、最終的にそのステージで稼ぎ出したタイム差で総合優勝している。

しかし今回はマリアローザのゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)とわずか2秒差で追うユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)らの総合優勝争いに影響は与えなかった。動いたのは第6ステージまで山岳賞ジャージを着用していたグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)だ。

ピノがアタックするとモビスターチームのエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア)、EFエデュケーション・イージーポストのジェフェルソン・セペダ(エクアドル)が追従。ピノが何度もアタックするが、2人の南米出身ヒルクライマーを突き放せなかった。セペダがピノに食らいつき、ルビオが最後尾で体力を温存した。

ピノらの逃げグループが最初の山岳で先行したとき、トーマスらのイネオス・グレナディアーズ勢は落ち着いていたという。ベン・スウィフトとパヴェル・シヴァコフがペースを握り、逃げグループとの差をキープした。

「いいペースに乗ることができて、楽に走ることができた。ここからアタックするのは容易ではなかったはずだ」とマリアローザのトーマス。

「ログリッチはおそらく私にあと数日間マリアローザを着させておく作戦だと思う。アタックに出るのは来週だと感じた」

最後の上りで残存させたエネルギー勝負になった3選手。冷静だったのはルビオだ。上りだけでなく切れ味の鋭いラストスパートに自信があり、攻撃する適切な瞬間を確認するために最後の1kmのコース状況をチームカーの監督に聞いていたという。

「ピノとセペダは最強のように感じたので、それを上回るために賢く走ることに徹した」というルビオが最後にピノを制して初優勝した。ピノはステージ優勝できなかったが、第6ステージ以来の山岳賞ジャージを獲得した。

ルビオはUAEツアー第3ステージの山岳ジェベルジャイスに続くプロレース2勝目。U23カテゴリーでは2018年と2019年のU23ジロ・デ・イタリアでステージ2勝を挙げている。

ルビオがピノを置き去りにして第13ステージ優勝 ©Marco Alpozzi/LaPresse

今回のレースではチーム内でアシストとして働き、そして逃げを与えられた大事な日となった。「悪天候で大変だったが、続けなければならなかった」というルビオ。

「とりわけピノがとても強いのは知っていた。彼とフィニッシュまで一緒に行き、戦術的にいいプレーをする必要があった」

2017年からイタリアを拠点として走っているルビオはここで多くのことを学んだ。今大会では総合成績の上位を目指していたが、雨のステージで立ち止まらなければならず、大集団から遅れてタイムを失った。だからこの日はステージ優勝を狙った。

「素晴らしい1日だった。ジロ・デ・イタリアでの初勝利。ステージ優勝できるとは思っていなかったので、実感を持つには時間がかかりそうだ。今後数年間で総合優勝争いできる方法を見つけたいと思う」とルビオ。

総合成績ではトーマスが首位を守り、マリアローザを手放さず。これで4日目のリーダージャージ獲得となり、英国勢としてはマーク・カヴェンディッシュに並んで歴代2位タイ。トップはサイモン・イェーツの13日だ。

「ステージは短縮されたが、結局のところ、いいレースだった」と首位を守ったトーマス。「ゴールへの2番目の登りは厳しかった。グランツールには長いステージが多いが、この日は短くて激しいステージになった。最後の上りは向かい風になって、ライバルの攻撃に備えていたが、誰もアタックしなかった。ログリッチはボクがマリアローザを堅持して喜んでいるだろう」(トーマス)

山岳賞を獲得したピノ ©Marco Alpozzi/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

第12ステージにもどる≪≪   ≫≫第14ステージにすすむ

プロ選手と一緒に佐渡島一周を走るスペシャルチャレンジ開催

サイクルボールスペシャルチャレンジ DAY サドイチ 2023が7月2日に開催される。サイクリングアプリ「ツール・ド」を使い、プロチーム「宇都宮ブリッツェン」「那須ブラーゼン」「さいたまディレーブ」の選手と交流しながらサドイチと呼ばれる佐渡島一周を楽しめる。

佐渡市が主催、全国各地でサイクルツーリズム事業(=自転車・サイクリングを活用した観光振興事業)を展開する一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンが運営。2022年に続くスペシャルイベント。

サイクルボール スペシャルチャレンジ DAY サドイチ 2023
開催日:2023年7月2日(日)
申し込み締め切り:2023年6月21日(水)
集合場所:あいぽーと佐渡(新潟県佐渡市両津夷 384-11)
走行形式:フリーライド形式
コース:サドイチ大佐渡一周コース(130km)
定員:100名(先着)
参加費:2000円(昼食、軽食、保険料を含む)
主催:佐渡市
共催:一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパン、NPO法人サードフィールドさど
事務局:ツール・ド・ニッポン事務局

●サイクルボール スペシャルチャレンジDAYサドイチ2023のホームページ