フランスのどんな町でもそこに入ったところに看板が設置されているが、それがなぜか逆!? しかもそんな町がいたるところに出没した。だれがいったいなんの理由で? そして犯人は法律で罰せられないの?
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国の農業政策はやるべきことと逆に行われている
ツール・ド・フランス取材30年で初めて目撃した不思議な光景に出会った。フランスではそれぞれの町に入ったところに、白地に赤枠で町の名前を記した看板が必ず掲げられている。そしてその町を出るところには斜めの赤い線が追記された看板が必ずある。
2024年の滞在中に数カ所でその看板が上下逆に掲げられていた。そんなのはこれまで見たこともなかった。不思議に思って聞いてみると、第一次産業を主体とする地方の若手の農業従事者が、「国の政策はやるべきことと逆に行われている」という抗議の意思を示すためのものだという。
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SNSで逆さま看板は全国に一気に拡大していった
発端は2023年10月、フランス南西部の町の農業組合と若手農業家が抗議運動を始め、その後フランス全土とベルギーとスイスに広まった。フランス政府が農業分野において規制することが過剰なこと、その基準が適用されない海外生産物の不当競争、欧州の農業支援の支払い遅れ、牛肉と豚肉の輸入量を非難した。
農業界に影響を与えている政府の政策の矛した命令を描写するために、「私たちは逆立ちしている」というスローガンを掲げた。これらの行動を伝えるために町の看板を逆さまにした。ソーシャルネットワーク上ですぐにそれが広まった。
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法律ではだれかを危険にさらすことはないのでセーフ
政府による過剰な規制と農業の将来に対する真のビジョンの欠如を非難する農民たちの「うんざり」した感情を明確に表したものだ。「特に町の入口の標識だけを逆にしているだけで、安全にかかわる標識には手を加えていないので、危険はない」と抗議行動者の代表。
刑法では罰金1500ユーロから7万5000ユーロ、最長5年の懲役を含め、刑法のいくつかの条文が、これらの抗議行動に適用される可能性がある。ただし法律では他人の財産を破壊、損傷、危険にさらす行為を罰するもので、看板を逆さまにすることは該当しないようだ。
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フランスの大統領選挙は2027年4月までに行われる予定。マクロン大統領は任期満了となり、初当選を狙う人たちの激しい争いが2025年から徐々に動き出す。観光大国でありつつ、第一次産業の従事者が多いフランスにあって、坂出しした若手労働者の心をどうとらえていくかもポイントとなる。
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