突出した運動能力を疑問視…一酸化炭素吸入を制限するルール

自転車レースファンの間で、過去の記録を次々と塗り替えるサイクリストのパフォーマンスに関する疑問が浮上している。2024年に一酸化炭素吸入によるパフォーマンス向上という新手法が明るみに出て、レースを統括するUCI(国際自転車競技連合)がいよいよ規制に乗り出した。

ポガチャルとそれをマークするビンゲゴー ©A.S.O. Billy Ceusters

一酸化炭素を吸入するとヘモグロビン量が増えるので有酸素運動能力が向上する。ツール・ド・フランスで3度の総合優勝を達成しているタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)と2度のヨナス・ビンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)は、過去に高地トレーニングでの心肺機能向上効果を測る目的で一酸化炭素を吸入する再呼吸装置を使用したことを認めている。

一酸化炭素を「繰り返し」吸入することを禁止した

その反面、一般的に言われる一酸化炭素中毒で命を落とす場合もある。「禁止されていなければドーピングではない」という考え方で野ざらしにしていれば、アスリートとスポーツに対する信頼を著しく損なう。選手の健康と競技の公正さを守るために、UCIがルールを変更した。UCIは一酸化炭素を「繰り返し」吸入することを禁止したのだ。

この技術はWADA(世界アンチ・ドーピング機関)ではまだ禁止されていないが、UCIは国際的な独立機関に対し、競技中および競技外での一酸化炭素複数回吸入の弊害を明示するよう求めた。

「一酸化炭素を繰り返し吸入すると、頭痛や無気力、吐き気、めまい、混乱などの健康問題を引き起こす可能性がある」とUCIは言及している。「これらの症状は次第に悪化し、心拍リズムの問題や発作、麻痺、意識喪失に至ることもある」 禁止措置が施行される2月10日から、UCIは呼吸したガスを再利用して循環させるリブリーザー(循環呼吸装置)の使用規制を強化。今後、リブリーザーの使用は医療施設内に限られ、一酸化炭素吸入は1回のみ許可され、医療専門家の監督下で行われる。また、一酸化炭素吸入を用いてヘモグロビン量を測定する場合は、医療ファイルに記録する必要がある。

テニス界のドーピングが増加…2024年のスポーツ別・国別違反数

かつての自転車競技はドーピングの温床と言われたが、2024年はスポーツ別のドーピング件数は9番目であり、陸上競技や重量挙げには及ばない。特筆すべきは7番目に浮上したテニス界で衝撃的な話題がかけめぐったことだ。

2024年のスポーツ別・国別ドーピング件数

自転車レースでのアンチ・ドーピング団体が活動を始めて17年になるが、定期的にドーピング事情をリサーチして発表。その運動の効果により自転車レースでの問題は少なくなってきている。自転車界では、2023年よりも2024年のドーピング件数が少なく、その活動の成果が見られる。一方、他のスポーツではドーピング問題が深刻化している」と、パワーリフティング、レスリング、ラグビーなどでのドーピング事案が増加していることを指摘。

「MMA(総合格闘技)は、フランスで2020年に認可されて以降、ドーピング件数が増加している。この傾向はフランスと米国で特に顕著」と解説している。

テニス界の衝撃問題にも言及。世界ランキング1位のヤニック・シナーは、3月に禁止物質「クロステボル」(筋肉増強効果のある合成アナボリックスステロイド)の陽性反応が出たが、テニスの不正行為を監視する第三者機関(ITIA)によって無罪となった。た女子テニス世界ランキング2位のイガ・シフィオンテクも2024年9月にドーピング違反が発覚したが、微量な禁止物質「トリメタジジン(血管を広げて血流を良くする物質)」が時差ぼけを治す睡眠薬に混入したことが原因だと判明し、本人に重大な過失はなかったと認められた。

「ドーピングとの戦いが時には大変な仕事であり、多額の資金と、特にスポーツに関わるすべての人々(スポーツ協会、選手、連盟、イベント主催者)の団結を必要とする。スポーツ全体の信頼性は、不正行為者に対して妥協しない姿勢でなければならない。誰もがドーピングとの戦いに積極的になることを主張してほしい。これがこの戦いに勝つ方法だから」とアンチ・ドーピング団体。

山梨県中央市で春の訪れを感じる桃と桜のサイクリング2025

「桃と桜のサイクリング2025~リニアライドやまなし中央~」が山梨県中央市で2025年3月23日に開催される。参加費1万円で、エントリー受け付け中。

中央市役所を発着地点とし、YSKe-comシルクパーク、八代ふるさと公園、御坂農園グレープハウス、曽根丘陵公園にエイドステーションを設置して、甲府市、笛吹市を巡る。甲府盆地の眼下に広がる桃や桜の花を見ながら、適度なアップダウンを楽しめる全長約58kmのコースだ。

特徴的な5つのエイドステーションでは、中央市の特産品をはじめ、多彩な補給食でおもてなし。ゲストは地元在住の元ツール・ド・フランス出場選手・今中大介さん、ロードバイクでロングライドもこなすモデルの石垣美帆さん。

■開催日時
 2025年3月23日(日)
 午前8時30分~午後3時00分(予定)
■スタート・ゴール地点
 中央市役所(山梨県中央市臼井阿原301番地1)
■コース
 中央市、甲府市、笛吹市を巡る全長約58km
 ※レース形式ではなく、グループ走行によるお花見サイクリングイベント。
■参加資格
 中学生以上(中学生は保護者同伴)
■参加費
 10,000円
■募集定員
 400名(先着)

●桃と桜のサイクリング2025のホームページ

ピドコックがステージレースで初の総合優勝【アルウラー・ツアー】

サウジアラビアで1月28日に開幕した5日間のステージレース、2025アルウラー・ツアーは、最終日となる2月1日に第5ステージが行われ、大会2日目に首位に立ったQ36.5プロサイクリングチームのトム・ピドコック(英国)がそのまま逃げ切り、自身初のステージレース総合優勝を遂げた。

2025アルウラー・ツアー総合優勝のトム・ピドコック ©AlUla Tour Charly Lopez

第5ステージの優勝はピドコックをアシストしたマッテオ・モスケッティ(イタリア)。日本から参戦したJCLチーム右京は全5ステージで第1集団に選手を送り組む積極的な動きを見せ、この日もニコロ・ガリッボ(イタリア)が第1集団に加わった。

2025アルウラー・ツアー第5ステージで、首位ピドコックを牽引するチームメート ©AlUla Tour Pauline Ballet

最後はピドコックがスプリントのための牽引役に

サウジアラビアの乾燥地帯で行われた第5ステージは強風に悩まされることがあるが、まさにその通りになった。レース序盤からエシュロンと呼ばれる横風による集団の分断が発生し、リーダージャージを着るピドコックを守り抜きたいQ36.5プロサイクリングチームが警戒感を強めた。

レース前半の平均時速は50km。モスケッティを含む5選手がピドコックを牽引し、最後の1時間で先頭グループは35選手に絞り込まれた。チーム全体の強さを示すことになる。 

ゴールはラクダレースが開催されるキャメルカップトラックで、総合優勝を確実にしたピドコック自身が最後のスプリント勝負でリードアウトを開始し、モスケッティの勝利に貢献した。2024年7月のトレーニング中に激しい事故を起こしたモスケッティにとって非常に感動的な勝利となった。 

2025アルウラー・ツアー第5ステージ ©AlUla Tour Pauline Ballet

「信じられない。なんという1週間だったんだろう」とモスケッティはゴール直後に反応した。
「我々の目標はトムを安全に保つことだった。結局、我々が今週してあげたすべてのことをトムは報いてくれた。トムとチーム全員に感謝しなければならない。UAEエミレーツのモラノがスプリントを開始したとき、私はコース脇のバリアに非常に近かったが、いいスピードで通過し、最後の数mでモラノを追い抜いた。なんというスプリントだった。昨年は非常につらい時期を過ごしたが、今日は信じられない」(モスケッティ)

ピドコックは、風が総合順位のライバルたちに大打撃を与えた厳しい最終ステージを終えて胸をなでおろし、チームメイトを称賛した。

マッテオ・モスケッティがアルウラー・ツアー第5ステージ優勝 ©AlUla Tour Pauline Ballet

レッドブルが翼を与えてくれるように、Q36.5もそれを与えてくれた

「まるでおとぎ話のようで、ちょっと感傷的になってしまった。彼らにとってそれがどれだけ意味のあることか、そしてこのように締めくくることができたことは信じられない。今日、僕たちはチームとして走った。12月までどんな選手かを知らなかったし、1月に初めて会った選手もいた。そんな僕たちが一緒につかんだものは、ただただ信じられない」

ピドコックにとってキャリア通算8回目の優勝だが、エリート選手として総合優勝したのは初めてだ。 

「正直に言うと、この総合優勝は僕のキャリアにとって大きな一歩だ」とレース終了後にピドコックは語った。このレベルでリードを守るには集中力が必要だ。ワールドツアーではないし、たった5日間だが、どれだけ難しいかはわかっている。大きな一歩だ。今の気持ちをうまく表現できない。レッドブルが翼を与えてくれるような感じだが、Q36.5も翼を与えてくれる」

2025アルウラー・ツアー総合優勝のトム・ピドコック ©AlUla Tour Charly Lopez

2025アルウラー・ツアー
【第1ステージ】山本大喜ファーストアタック、メルリールが制して首位に
【第2ステージ】ピドコック難関コース制覇…危険な下りでレース中断も
【第3ステージ】チーム右京3日連続の先行…最後はメルリールが2勝目
【第4ステージ】ピドコック2勝目…小石祐馬が再びアタック

2025アルウラー・ツアー ©AlUla Tour Charly Lopez

第4ステージでピドコック2勝目…小石祐馬再びアタック【アルウラー・ツアー】

サウジアラビアで開催中の2025アルウラー・ツアーは1月31日に第4ステージが行われ、第2ステージを制して首位に立っているQ36.5プロサイクリングチームのトム・ピドコック(英国)が優勝。その座を守り、総合優勝に前進した。

ピドコックがステージ2勝目をあげ、アルウラー・ツアー総合優勝に王手 ©AlUla Tour Charly Lopez

日本勢はこの日もJCLチーム右京の小石祐馬が第1集団に加わって、その存在感を示した。

アルウラー・ツアー第4ステージはガラス貼りの建造物の前をスタート ©AlUla Tour Charly Lopez

ピドコックはゴールまでの上りの途中で集団を抜け出し、ゴールまでの非常に長い直線で向かい風が吹いたにもかかわらず逃げ切った。アラン・ハザリー(ジェイコ・アルウラー)とライナー・ケップリンガー(バーレーン・ヴィクトリアス)に12秒の差をつけてゴールし、残り1ステージを残して総合2位に29秒差をつけた。

アルウラー・ツアー第4ステージでも小石祐馬が先頭集団に加わった ©AlUla Tour Pauline Ballet
2025アルウラー・ツアー第4ステージ
2025アルウラー・ツアー第4ステージの高低図
アルウラー・ツアー第4ステージ ©AlUla Tour Charly Lopez
日本チャンピオンの小林海も苦戦 ©AlUla Tour Pauline Ballet

2025アルウラー・ツアー第5ステージ(2月1日)

2025アルウラー・ツアー第5ステージ
2025アルウラー・ツアー第5ステージの高低図

2025アルウラー・ツアー
【第1ステージ】山本大喜ファーストアタック、メルリールが制して首位に
【第2ステージ】ピドコック難関コース制覇…危険な下りでレース中断も
【第3ステージ】チーム右京3日連続の先行…最後はメルリールが2勝目

トレック完成車を買うと5000円分のアクセサリーをプレゼント

トレック・ジャパンは2月1日から4月20日までの期間、自転車成約で5000円分のアクセサリーをプレゼントする新生活応援キャンペーンを開催。TREK / Bontrager製品の中からライト、鍵、ヘルメットなど必要なパーツ&アクセサリーを自由に選べる。

Domane AL 4 Gen 4

キッズバイク、セール品、非在庫のProject Oneバイクを除く全てのモデルが対象。クロスバイク、ロードバイク、MTB、e-bikeなど好きなバイクと始める新生活に活用したい。超過分は差額を支払えばいい。セールやキャンペーンとの併用不可。詳しくは最寄りのストアで確認を。

新生活応援キャンペーン 概要
期間:2025年2月1日(土)〜4月20日(日)
実施店舗:全国のトレック正規販売店・トレック公式オンラインストア
特典:バイク成約で5000円分のアクセサリープレゼント

■おすすめモデル

FX 2 Gen 4
¥99,000
特徴:トレック一番人気の定番クロスバイク。軽いアルミフレームと油圧ディスクブレーキの高い制動力で、通勤・通学・フィットネスと、幅広いシーンで活躍する。

Marlin+ 6

Marlin 5 Gen 3
¥99,990
特徴:初めてのトレイルバイクに最適な一台。ラックとキックスタンド用のマウントを備え、通勤・通学にも使える多才なマウンテンバイク。

Domane AL 4 Gen 4
¥255,000
特徴:太めのタイヤクリアランスと高い快適性で、ロングライドから通勤、グラベルまで幅広く活躍する万能アルミバイク。

Marlin+ 6
¥429,000
特徴:トレイルをパワフルに駆け上がるe-MTB。Boschの自然なペダルアシストとフロントスペンション、Shimano CUES 9速ドライブトレインがライダーを最高に楽しいライドへ誘う。