中村輪夢5連覇、内藤寧々2年ぶり2度目…全日本BMX選手権パーク

第7回全日本BMXフリースタイル選手権が9月17日までの4日間にわたって岡山県岡山市で開催され、BMXフリースタイル・パークで中村輪夢と内藤寧々が優勝した。

内藤寧々(左)と中村輪夢 ©Naoki Gaman/Japan Cycling Federation/JFBF

全日本BMXフリースタイル選手権は2023年でパークが7回目、フラットランドは5回目を迎え、2022年同様に岡山県岡山市の特設会場(パークは岡山市役所、フラットランドはイオンモール岡山・未来スクエア)で開催された。パークは終始晴天に恵まれた。

中村輪夢 ©Naoki Gaman/Japan Cycling Federation/JFBF

バーク男子エリートは中村輪夢が5連覇

パーク男子エリー決勝はその前日に行われた予選も含め、終始晴天の中で実施された。予選を勝ち上がった8名で行われた決勝では、大会4連覇中の中村が1本目のランをノーミスでこなしトップに立ち、その後若手が中村の出した90点台を狙うも届かず、中村は2本目のランを前に、大会5連覇、6度目の全日本タイトルを確定させた。

ウイニングランとなった2本目では、8月に開催された世界選手権で新技として披露した「バ ックフリップ・クワッドバースピン」などを成功させ、1本目のランを上回る94.60点を出し、日本一の走りを見せつけた。

中村輪夢 ©Naoki Gaman/Japan Cycling Federation/JFBF

2位には2本目のランで挽回した溝垣丈司、3位には小澤楓が入り表彰台を獲得した。

優勝の中村輪夢コメント
「連覇を重ねることでプレッシャーが増し、本大会でも緊張感を持った中での決勝となりました。決勝1本目では理想とする走りができず悔しさは残りますが、2本目のランには満足しています。世界選手権や今大会も、まだ完成度に課題が残っているため、メインの目標としている来年のパリオリンピックに向けて練習を重ね、東京オリンピックのリベンジを果たしたいです」

パーク男子エリート
優勝:中村輪夢 所属:WingArc 1st(94.60 点)
2位:溝垣丈司 所属:湘南工科大学附属高等学校(80.19 点)
3位:小澤楓 所属:岐阜第一高等学校 (80.00 点)

中村輪夢を中央に左が2位溝垣丈司(湘南工科大附属高)、右が3位小澤楓(岐阜第一高) ©Naoki Gaman/Japan Cycling Federation/JFBF

バーク女子エリートは出場選手全員が10代

次世代の若手選手でタイトル争いが行われたパーク女子エリートは、内藤寧々が1分間のルーティンをフルメイクさせ、2位に6点差をつけ日本チャンピオンを獲得した。内藤の全日本タイトル獲得は、2年ぶり2度目となる。

内藤寧々が2年ぶり2度目の優勝 ©Naoki Gaman/Japan Cycling Federation/JFBF

表彰台には、最年少の15歳でエントリーした山本結花と杉尾咲空が初エリートカテゴリーで の表彰台を獲得した。

優勝の内藤寧々コメント
「今は優勝できてうれしい気持ちでいっぱいです。練習走行では確認したい項目をまとめられず、少し焦りが残る中での決勝だったのですが、決勝では自分の予想を上回る得点を出すことができました。今後はさらなる国際大会での経験を積み、海外の大会でも表彰台を獲得したいです」

パーク女子エリート
優勝:内藤寧々 所属:第一学院高等学校(60.40 点)
2位:山本結花 所属:龍谷富山高等学校(54.40 点)
3位:杉尾咲空 所属:細田学園高等学校/AIRWALK (47.00 点)

内藤寧々を中央に左が2位山本結花(龍谷富山高)、右が3位杉尾咲空(細田学園高) ©Naoki Gaman/Japan Cycling Federation/JFBF

クスがブエルタ・ア・エスパーニャ初優勝…ユンボ・ビスマ勢がグランツール全制覇

第78回ブエルタ・ア・エスパーニャは最終日となる2023年9月17日、サルスエラ競馬場〜マドリード間の101.5kmで第21ステージが行われ、ユンボ・ビスマのセップ・クス(米国)が初優勝した。総合2位はヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)、3位はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)でユンボ・ビスマが表彰台を独占。

ユンボ・ビスマはグランツール全制覇をモチーフにした特製ジャージを着用した ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

またログリッチは5月のジロ・デ・イタリア、ビンゲゴーは7月のツール・ド・フランス総合優勝者で、ユンボ・ビスマの所属選手がグランツール(三大ステージレース)で全勝。自転車競技史上初の快挙を達成した。

マドリードの最終ステージでグローブスが今大会3勝目 ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

最終ステージの勝者はカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)で、今大会3勝目、大会通算4勝目。ポイント賞を獲得した。

左からポイント賞のグローブス、新人賞のアユソ、総合優勝のクス、山岳賞のエベネプール ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

山岳賞はレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)。新人賞はフアン・アユソ(スペイン、UAEエミレーツ)。チーム賞はユンボ・ビスマ。

アシスト役だったクスが歴史に名を刻む総合優勝を手に入れた ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

たくさんの思い出と楽しい時間を過ごした(クス)

「今日はレース全体の中で最も苦しんだステージだったと思う。アングリルで苦しんだときよりも苦しんだ。だから今は終わってよかったと思っている。選手たちがアタックの準備をしているのを見たとき、速いステージになるだろうと感じていた」とクス。

チャンピオンバイクはサーベロ ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

「ブエルタ・ア・エスパーニャで勝ったからといって、ボクは何も変わらないと思っていた。ボクはこれからもボクだとね。でも全然違っていた。この勝利は人生を変えるようなものだ。たくさんの楽しい思い出とともにこの経験を振り返ると思う。まだ感情に沈み込んでいるので、かなり時間がかかると思う。

セップ・クス ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

さあ、盛大なお祝いだよ。家族、友人がここにいる。本当に素晴らしく特別なことになる。チームメートやスタッフと一緒に、ここまでの3週間の物語を語れることがうれしい。たくさんの思い出と楽しい時間を過ごしたからね」

マドリードの表彰台に登場したエベネプール ©Tommaso Pelagalli/SprintCyclingAgency©2023
総合トップスリー、左から2位ビンゲゴー、1位クス、3位ログリッチのシャンパンファイト ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023
チーム優勝も手中にしたユンボ・ビスマはチームスタッフも登壇して歓喜 ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)セップ・クス(米国、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨルナレス(山岳賞)レムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
□マイヨブランコ(新人賞)フアン・アユソ(スペイン、UAEエミレーツ)

ツール・ド・フランスのビンゲゴー、ブエルタ・ア・エスパーニャのクス、ジロ・デ・イタリアのログリッチ ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

第20ステージにもどる⏪

クスがブエルタ・ア・エスパーニャ初優勝に王手…ビンゲゴーとログリッチがアシスト役

第78回ブエルタ・ア・エスパーニャは2023年9月16日、マンザナレスエルレアル〜グアダラマ間の208kmで第20ステージが行われ、総合1位のセップ・クス(米国)がチームメートで同2位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)、3位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)と一緒にゴールし、初の総合優勝を確実にした。

クスをアシストするビンゲゴー(左)とログリッチ(右) ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

プリモシュとヨナスが仕事してくれるなんて想像できなかった(クス)

「とてもホッとしている。あともう少しだね。序盤は逃げた選手たちを完璧にコントロールできていた。ロベルト・ヘーシンクとディラン・ファンバーレがステージの90%を引っ張っていた」とクス。

セップ・クス。ツール・ド・フランスでの観客との接触で負傷した顔面の絆創膏もようやく外した ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

「長くて大変な1日だったけど、彼らが1日中そこにいてくれた。彼らには本当に脱帽だ。彼らは素晴らしかった。そして、アッティラ・バルテルが最後の上りでいてくれて、プリモシュ・ログリッチが最後の上りと平地で私のために多くの仕事をしてくれた。ヨナス・ビンゲゴーもそうだった。それは私が想像したこともなかったことだ。2人のチームメイトと一緒に山岳ステージの最後の1kmであんなにリラックスできたのはとても特別な瞬間だった。本当に素晴らしいよ。まだ実感できていない」

プールス(右)がエベネプールを制して優勝。コボの薬物使用で繰り上がり勝利となった2011年第15ステージ以来の2勝目 ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

プールスが今度はリアルなステージ勝利

この日は最後の山岳レースとなり、山岳賞トップのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らが第1集団を形成。最後はバーレーンビクトリアスのワウト・プールス(オランダ)が抜け出し、猛追したエベネプールから間一髪で逃げ切った。

プールスは2011ブエルタ・ア・エスパーニャの第15ステージで2位だったが、このステージの勝者で総合1位でフィニッシュしたスペインのコボが、不正薬物使用で失格になったことで記録上の繰り上がり優勝。それ以来の勝利となった。

だれもがセップ・クスの活躍を喜んだ ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023
総合優勝を確実にする第20ステージのスタート前のクス ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
真紅のマイヨロホを着用するクス ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
総合優勝を確実にしてビンゲゴー(右)と喜びを共有するクス ©Tommaso Pelagalli/SprintCyclingAgency©2023

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)セップ・クス(米国、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨルナレス(山岳賞)レムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
□マイヨブランコ(新人賞)フアン・アユソ(スペイン、UAEエミレーツ)

セップ・クスが総合2位ビンゲゴー(左)、同3位ログリッチ(右)に祝福されながらゴール ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

第19ステージにもどる⏪    ⏩第21ステージにすすむ

ダイネーゼがジロ・デ・イタリアに続く区間優勝【ブエルタ・ア・エスパーニャ】

第78回ブエルタ・ア・エスパーニャは2023年9月15日、バニェザ〜イスカル間の177.5kmで第19ステージが行われ、DSMのアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)がゴール勝負を制した。2022年と2023年のジロ・デ・イタリアに続く、グランツール3勝目を挙げた。

ダイネーゼが2023ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージで優勝 ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

総合1位のセップ・クス(米国)はチームメートらとゴールし、リーダージャージのマイヨロホを維持。総合優勝に前進した。

2023ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
ルイ・オリベイラ。不吉な数字とされる13 は片側を逆にすると災難を免れるという言い伝えがある ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
2023ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023
総合優勝に向けてクスがチームメートらと言葉をかわしながら走る ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
ポイント賞のカーデン・グローブスはゴール直前の落車でスプリント争いに加われなかった ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)セップ・クス(米国、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨルナレス(山岳賞)レムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
□マイヨブランコ(新人賞)フアン・アユソ(スペイン、UAEエミレーツ)

横風を受けた集団では後続選手が風下に位置する ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

第18ステージにもどる⏪    ⏩第20ステージにすすむ

秋冬用ウエアは吸汗性と肌触りのいい快適ジャージで

国内最大手のサイクルウエアメーカー、パールイズミが2023年秋冬新商品として「サーモ ジャージ」を発売した。

サーモ ジャージは、フラットな生地表面とエンボス加工を施した2種類の生地表面を持つ素材サーモドレスネオを組み合わせて、シンプルながらもデザイン性を高めた15℃前後の気温に適した長袖ジャージ。吸汗速乾性に優れたソフトな肌触りの裏起毛素材が、秋冬のライドを快適にサポート。

サーモ ジャージ / 3200-BL

【 カラー 】 8. ブラック 9. フォグ 10. ダルブルー 11.ターマック
【 価 格 】 14,850 円(税込)
【 サ イ ズ 】 M, L, XL
【商品特徴】 □ 10cmあきファスナー付き3バックポケット

サーモ ジャージ / W3200-BL

【 カラー 】 1. ネービー 2. フォグ 3. ターマック
【 価 格 】 14,850 円(税込)
【 サ イ ズ 】 S, M, L, XL ※XLはネービーのみ
【商品特徴】 □ 10cmあきファスナー付き3バックポケット

●パールイズミのホームページ

スーパードメスティック、セップ・クスが覚醒の時を迎える

ユンボ・ビスマの29歳、セップ・クス(米国)が一躍脚光を浴びている。チームエースのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)やヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)のアシスト役としてグランツール(三大ステージレース)にはなくてはならない存在だ。

ツール・ド・フランスでセップ・クスがビンゲゴーをアシストする ©A.S.O. Charly Lopez

グランツール11回出場で、エースが総合優勝したのは6回

5月のジロ・デ・イタリア、7月のツール・ド・フランスとともにグランツールと呼ばれるブエルタ・ア・エスパーニャが8月26日から9月17日まで開催されている。クスのチームには2年ぶり4度目の栄冠を目指すログリッチがいて、さらにツール・ド・フランス2連覇中のビンゲゴーもメンバーに加わった。

セップ・クスが2019ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージで優勝 ©Photogómez Sport

クスの役割はアシストかと誰もが思ったに違いない。

優勝請負人。グランツールにアシスト役として11回出場して、チームエースを総合優勝に導いたのはなんと6回。アシスト役はドメスティックとも言われるが、クスの称号はスーパードメスティックだ。勝負どころの山岳ステージでエースを力強く牽引し、ライバルたちの奇襲作戦を封じ込める。時としてその強さは総合優勝を果たすエースもかなわない。

米国コロラド州のデュランゴ出身。2018年にプロデビューして以来現チームでひたむきに走る。2019年は前年に引き続いてブエルタ・ア・エスパーニャに出場し、ログリッチの総合優勝に貢献するとともに区間1勝をあげた。初出場の2020ツール・ド・フランスでは最終日前日に逆転されて2位となったログリッチの走りを支えた。

2022ブエルタ・ア・エスパーニャ初日、ユンボ・ビスマがチームタイムトライアルを制し、セップ・クスがシャンパンをまき振るう ©Charly López

さらに2020、2021年のブエルタ・ア・エスパーニャでもログリッチの優勝に貢献。2022、2023ツール・ド・フランスではもう1人のエース、ビンゲゴーの連覇を支えた。そして今季のジロ・デ・イタリアでもログリッチの初優勝のお膳立てをした。

レムコ・エベネプールが圧勝した2022年のブエルタ・ア・エスパーニャで、クスは途中リタイアを余儀なくされ、アシストをなくしたログリッチが失速。クスなくしてチームは総合優勝を狙えないほど、重要な役割を果たしていることを印象づけた。

総合優勝争いに影響しない平坦ステージでは常に大集団の後方でゴールして体力温存。勝負のかかる山岳ステージでもボトル運びや中盤までのペースメークはチームメートに任せる。有力選手のバトルが始まる最後の上り坂でいよいよクスが前方に上がってくる。ここからが仕事だ。

2023ブエルタ・ア・エスパーニャ、アシストとしてグランツール全出場のクスが4年ぶりのステージ優勝 ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

勝ちたいけどボクがエースだったら結果が伴わないかも

ライバルチームのエースをふるい落としてしまうほどの走力を持ちながら、どうして総合優勝を狙わないのか? クスは「精神的にも期待の重みがかかっていないほうがいい走りができるから」と語る。「もちろん勝ちたいけど、チームの求めていることを遂行するために所属しているんだ。もしボクがエースとなったら最終結果は違ったものになるかもしれない」

米国は欧州と比べると自転車レース後進国だった。1981年にジョナサン・ボイヤーがツール・ド・フランス初出場を決めてようやく認知された。次第にグレッグ・レモンらの有力選手が同大会で活躍。しかし7連覇したランス・アームストロングは薬物使用で全成績抹消。米国でのロード熱は一気に冷めてしまい、クスの功績も母国でなかなか報じられない。

2023ブエルタ・ア・エスパーニャ、29歳の誕生日をスタート前に祝福されるクス ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

クスは2023ブエルタ・ア・エスパーニャでグランツール5大会連続出場となった。1選手が同一シーズンに3連戦するのは4年ぶりの記録。そしていま、大会は思わぬ展開となって最終局面を迎えている。