ファンアールトがゴール勝負でファンデルプールに敗北…シクロクロス世界選手権

ベルギーのワウト・ファンアールトは、オランダのホーヘルハイデで開催された2023 UCIシクロクロス世界選手権で地元オランダのマチュー・ファンデルプールとのゴール勝負に負けて2位になった。

シクロクロス世界選手権はファンアールト(左)とファンデルプールのマッチレース ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは、2014年のホーヘルハイデ、2016年のフースデンゾルデル、2017年のベルボー、2018年のファルケンブルグに続く4つ目の世界タイトル獲得ができなかった。

ライバルのファンデルプールは2015年、2019年、2020年、2021年に4つのエリート世界タイトルを獲得し、2012年と2013年に2つのジュニア世界タイトルを獲得している。今回もオランダのライバルであるファンデルプールとの一騎打ちとなった。

シクロクロス世界選手権は2022年のワールドチャンピオンである英国のトム・ピドコックがロードシーズンに照準を当てたため出場回避。レースはラルス・ファンデルハールがオランダ勢の前線に立ち、ファンデルプールを牽引。ファンアールトはそれに追従した。

ファンアールトがシクロクロス世界選手権を走る ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンデルプールとファンアールトは1周目には16秒飛び出し、ベルギーのゲルベン・カイパーズとマイケル・ファントーレンハウトがこれを追走するという展開に持ち込んだ。

3周目と4周目では完全に2選手の一騎打ちとなり。5周目にファンデルプールが板越えのセクションでわずかに優位に立つものの、両者は譲らず、さらに4周にわたって後続選手らに18 秒の差をつけて先頭を走り続けた。

ベルギーのワウト・ファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

ファンアールトは最終ラップの林間部を抜け、ファンデルプールが板越えで主導権を握る前に勝負に出た。ファンアールトがわずかにリードを取り、下り坂を下って最後のストレートに入ったが、ここでファンデルプールが力強くライバルを追い越して勝利した。3位にはベルギーのエリ・イーゼルビットが入った。

シクロクロス世界選手権で2位になったファンアールト ©Kristof Ramon / Red Bull Content Pool

28歳のファンアールトについて、5度目の世界チャンピオンになったファンデルプールは次のようにコメント。

「多くの人はシクロクロスレースで以前にも同じような勝負を見たことがあるよね。もう10年以上も彼との戦いは続いている。それはボクたちが書いている非常にクールな進行形の物語だ。でもここで終わりではない。まだロードシーズンがあり、必ずまたファンアールトと勝負することになるだろう」

シクロクロス世界選手権エリート男子の優勝者

2015マチュー・ファンデルプール
2016ワウト・ファンアールト
2017ワウト・ファンアールト
2018ワウト・ファンアールト
2019マチュー・ファンデルプール
2020マチュー・ファンデルプール
2021マチュー・ファンデルプール
2022トム・ピドコック
2023マチュー・ファンデルプール

世界チャンピオンのエベネプールがUAEツアーに参戦決定

世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が2月20日から26日まで開催されるUAEツアーに参戦することが決まった。同大会は中東で開催される唯一のUCIワールドツアーレース。

レムコ・エベネプール @woutbeel

UAEエミレーツに移籍した英国のアダム・イェーツも参戦。2016年には英国選手として初めてツール・ド・フランスで新人賞を獲得した。

アダム・イェーツ ©Photo Fizza

オーストラリアのカレブ・ユアンはUCIプロチームのロット・デスティニー(ベルギー)に所属。主催者推薦によりチームが出場できることになり、平坦ステージでの優勝を目指す。

カレブ・ユアン(右) ©Face Peeters

ボーラ・ハンスグローエのサム・ベネット(アイルランド)はスプリンター。2020ツール・ド・フランスではポイント賞を獲得している。

サム・ベネット

●UAEツアーのホームページ

UAEツアーは2月20〜26日開催…出場22チームが出揃う

UAEツアーが中東のアラブ首長国連邦で2月20日から26日まで開催され、UCIワールドツアーチーム16に加えて、主催者推薦枠としてUCIプロチームの4チームが加わった。

ポガチャルが2022UAEツアー第4ステージで優勝 ©LaPresse – Fabio Ferrari

2023 UCIワールドツアーチーム
AG2Rシトロエン(フランス)
アルペシン・ドゥクーニンク(ベルギー)
アスタナ・カザクスタン(カザフスタン)
バーレーンビクトリアス(バーレーン)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
EFエデュケーション・イージーポスト(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イネオスグレナディアーズ(英国)
アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ(ベルギー)
ユンボ・ビスマ(オランダ)
モビスター(スペイン)
スーダルクイックステップ(ベルギー)
DSM(オランダ)
ジェイコ・アルウラー(オーストラリア)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)

UAEツアー第6ステージ ©LaPresse – Fabio Ferrari

UCIプロチーム(主催者推薦)
ロット・デスティニー(ベルギー)
イスラエル・プレミアテック(イスラエル)
グリーンプロジェクト・バルディアーニCSFファイザネ(イタリア)
チューダー(スイス)

2022UAEツアー第7ステージ、ポガチャルとそれを援護するアシスト陣 ©LaPresse – Fabio Ferrari

●UAEツアーのホームページ

オラクル・レッドブルレーシング2023年のF1新マシン発表

F1王者オラクル・レッドブルレーシングは2月3日、2023年型マシンRB19を米国ニューヨークで発表した。前年に引き続きマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスがドライバーに起用された。

©Arturo Holmes/Getty Images for Oracle Red Bull Racing // FIA / Getty Images / Red Bull Content Pool
オラクルレッドブル・レーシングが2月3日に米国ニューヨークで2023シーズンのマシン、RB19を発表した ©Mike Coppola/Getty Images for Oracle Red Bull Racing // FIA / Getty Images / Red Bull Content Pool
RB14のデザインモデルが英国のロンドンで公開された ©Red Bull Racing / Red Bull Content Pool

●レッドブルTVのライブ配信

JCL右京が想定外の存在感を示してサウジツアー5区間完走

サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは最終日となる2月3日に第5ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)のベンジャミ・プラディスが区間12位、岡篤志が13位に入った。

サウジツアー最終日のJCL右京 ©JCL

総合成績では6分7秒遅れの38位に山本

第5ステージ、ここまで総合でトップに立つのはモビスターのアルメイダ・ゲレイロ。この日はやや起伏が穏やかなコースではあるものの、総合時間でワールドツアーチームの2名が僅差に迫る状況に彼らの鋭い攻撃に対してシビアに反応をすることが予想された。

また今回はコースの後半に9kmの砂の浮いたダートセクションがあり、ペースアップなどでダ ートでのトラブルを回避したレースメイクをしてくる可能性もあった。JCL TEAM UKYOは、 トップチーム同士の駆け引きの隙間のタイミングを狙ってくる数名のエスケープに乗り、ゴー ルスプリントになる場合はレイモンド・クレダーや岡をエスコートしていく作戦で挑んだ。

サウジツアーを完走したJCL右京の6選手 ©JCL

レースはスタートしてから18km地点までは、アタックがなかなか決まらない展開で進行する。ここで抜け出しに成功したのはアクティブスプリント賞ジャージを着るウノXのマーカス・ハンセンを筆頭とした5名の選手。

ワールドツアーとプロツアーチームの選手たちで構成されたメンバーではあるが、ここに総合成績を揺るがす選手がいないことから、リーダーチームのモビスターは逃げを容認。マーカスはアクティブスプリントポイントを狙ってレースをリードし続けた。

サウジツアー第5ステージ ©JCL

一方、JCL TEAM UKYOはモビスターがコントロールするグループの中で次なる展開に備えるために、総合成績で39位につけている山本大喜を30番手で位置させて単騎でも動けるポジションをキープ。また、いざチームで動くときに入る場所も山本を前方に置くことで確保した。

時間が経過し、前方で逃げ続ける強力なエスケープグループはダート区間に入り30秒の差に迫らた。しかし、このセクター後に設けられたボーナスタイムの懸かったポイントを僅差の選手に取らせないためモビスターの絶妙なコントロールが続く。

サウジツアー第5ステージ ©JCL

ボーナスポイントを抜け、残り20kmになるといよいよレースはクライマックス。ラスト5kmを過ぎても続くエスケープに展開によっては逃げ切りも現実味を帯びた状況だったが、各チーム のスプリントトレインがゴールを目前に一挙に現れるとエスケープを吸収。ここで前方に位置する山本にプラデスと岡が合流すると他チームのトレインに乗りポジ ションアップを図った。

格上チームを相手に存在感を見せたJCL右京勢 ©JCL

しかし、最前列でのポジショニングに至らないため、プラデスと岡はワンテンポ早く400m近くから一気にスパートしゴール直前のポジションアップを狙った。ワールドクラスのスプリンターが最前列に並んだ大混戦を制したのはコフィディスのシモーネ・コンソーニ。そして、すぐ後ろで前方までポジションを伸ばしたプラデスと岡が12、13 位とゴールに飛び込んだ。

厳しい自然環境の中で行われた5ステージ、総距離830kmのサウジツアー。個人総合優勝を遂げたアルメイダ・ゲレイロから遅れること6分7秒でゴールした山本を筆頭に、ワールドクラスのチームを相手に連日アタックし、ハイレベルなレース戦ったJCL TEAM UKYO。走り終えた選手たちの表情は充実感と安堵の混ざった表情がこぼれた。ここで経験したスピ ードを力に変えて、オマーンを舞台に行われる2連戦にチームは向かう。

サウジツアーを完走した選手を握手で迎える清水裕輔監督 ©JCL

「同じアジアツアーでもボクらがリードできるレースもあれば、こうして世界の強豪相手にいかに戦うかというレースもある。今回チーム初戦にしてこの高いスピードを味わい、ボクらができる戦い方で対抗した。チームとしての決意も高まったし、これからもっと前に進んでいけると感じられた5日間だった」と清水裕輔監督。

サウジツアーは強豪が勝負に出る…山本大喜が食らいつく

サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは2月2日に第4ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)の山本大喜が最後の山岳でも食らいつき、総合成績を39位にアップさせた。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

第4ステージ、天気が北風に変わったこの日は正午近くになっても肌寒さを感じる気候となる。いよいよ残るステージも2日、総合トップのジョナサン・ミラン(バーレーンビクトリアス)から20秒以内に21名のライダーが上位にひしめいているだけに、どのチームも重要なステ ージととらえているようだ。

サウジツアー第4ステージのスタート前にミーティング ©JCL

コースは特徴的で、60kmの大周回を約2周半し、レースのクライマックスはラスト10km付近から。上りのピークにスプリント賞を設置した残り2.8km、平均12%・最大17%の急勾配があり、そこからゴールまでは吹きさらしの風を受け続ける平地レイアウトだ。

サウジツアーの総合優勝を左右するコースプロファイル、JCL TEAM UKYOは総合上位の可能性がある山本がどこまで食らいつけるか、そしてクライム能力の高いベンジャミ・プラデスの活躍に期待してレースはスタートした。

JCL右京のロードバイクはファクター ©JCL

連日序盤からロングエスケープを打ち続けているJCL TEAM UKYO。この日もチャンスがあれば飛び出す作戦で機を狙った。しかし、序盤はワールドツアーチームがアタックを繰り返す緊張状態が続く展開。

岡篤志もチャンスを狙って飛び出したが、同調するワールドツアーの選手たちの強烈なスピードにプロトンにバックしてしまう。20km地点までアタックの応酬が続いたのち、この日のアタックを決めたのは総合成績で1分差につけているQ36.5のニコラス・ズコウスキーを含む4名。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

高いスピードで逃げ続ける彼らを警戒して総合リーダーのジョナサン・ミランを擁するバーレーンビクトリアスがプロトンを牽引。2分の差をキープして先行を捉えつつ、他チームの攻撃を受けない距離を保った。この絶妙なコントロールにより、勝負の登りに入る直前にエスケープグループをキャッチ。登りに向け一気に各チームが先頭に押し寄せた。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

岡は山本をうまくエスコートして不利なポジションから回避させ、上りの前にいいポジションに位置させる流れを作る。急勾配の山場へ各チームのアシスト勢が道を開くと、いよいよ本命の選手たちの勝負を賭けた戦いが始まった。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

トップとの差は埋められない差ではない…山本大喜

一気に絞られたトップグループの後方にはプラデス、そして15mほど後ろには数名で山本も渾身の力で粘る。山頂へ向け、2022年のジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得しているモビスター のアルメイダ・ゲレイロが強烈なペースを作り出した。これに続いた選手はワールドツアーチームの3名のみ。そのまま後方とは20秒の差を保ちゴールへ突き進む。

サウジツアー第4ステージを走る岡篤志 ©JCL

山本は第4パックの5名で必死のペダリング、差を最小限に抑える。ゴールはゲレイロが先着し優勝。山本は2分20秒離されたが総合順位を上げる健闘をみせてゴール。

「前日の逃げで刺激が入り、今朝は、これはイケるかもしれないという前向きな体調でした」と山本。
「登りはチームメイトのプラデスが見える位置でクリアして持てる力を全てゴールへの向かい風に走りました。トップとの差はこの先力をつけていけば埋められない差ではない。自分の 目指すモノが確実に見えてきました」

サウジツアー第4ステージ ©JCL

「ワールドツアーチームが序盤から主導権を握る展開に苦しめられましたが、プラデスと山本が勝負どころの登りをいい位置でクリアできました」と清水裕輔監督。
「レース後に山本の前向きなコメントを聞いて、このレースで新たなモチベーションを得たことがチームとしてどれだけポジティブであるかと感じています」

サウジツアー第4ステージ ©JCL