ツール・ド・フランス傘下のツアー・オブ・オマーンでJCL右京はチーム2位発進

ツール・ド・フランスを主催するASOが晩冬に中東で開催するステージレース、ツアー・オブ・オマーンが2月11日に開幕。日本登録のUCIチーム、JCL TEAM UKYOがサウジツアーマスカットクラシックに引き続いて参戦する。大会は15日までの全5区間。

JCL TEAM UKYOが参戦したツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

第1ステージはアルハズム城をスタートして下り基調にマスカット国際空港にゴールする147.5kmで行われた。途中、60kmと101km地点にスプリントポイント、92km地点に山岳ポイントが設けられ、ボーナスタイムや敢闘賞を狙った攻撃も予想された。JCL TEAM UKYOは前日のマスカットクラシックでの選手の疲労を考慮し、山本大喜の総合上位獲得、そしてこの第1ステージをスプリンターのレイモン・クレダーで勝負する作戦でスタートした。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

レースはスタート直後から3名の逃げが発生。トレンガヌのジェロイェン、ブルゴスBHのロドリゴ、オマーンナショナルチームのサイドのリードは最大で2分40秒まで開いた。プロトンがこの逃げを容認して距離を保っているため、JCL TEAM UKYOは後半に備えて待機。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

60km地点のスプリントポイントに向けて、アスタナとスーダル・クイックステップの牽引で一時差が縮まるが、各チームの思惑がズレたことで再びタイム差が戻る。92kmの山岳ポイントでプロトンとのギャップが40秒まで詰まるとトレンガヌのジェロイェンが独走に持ち込んだ。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

力強く踏み続ける走りで山岳をトップで抜けると、独走で再びタイム差を広げ始める。ここでプロトンはジェロイェンを吸収することで集団が活性化する展開を考慮し、終盤で吸収しスプリント勝負に持ち込む流れを組むことを選んだ。そして、いよいよレースがゴールへ近づくと各チームの熾烈なポジション争いが始まる。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux

ハイスピードの展開で、アスタナとUAEエミレーツのトレインが先頭付近で目立つ中、JCL TEAM UKYOも武山晃輔と石橋学でクレダーをいいポジションへエスコート。独走していたジェロイェンを吸収したプロトンは残り3km、海からの横風にプロトンは内陸に寄りながらトップスピードに。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©JCL TEAM UKYO

クレダーの前にはベンジャミ・プラデス、最終コーナー手前を岡篤志がアプローチするものの、ハイスピード下であちこちで接触、ブレーキングが起こり流れが混沌となる。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©JCL TEAM UKYO

あっという間にポジションを奪われる熾烈な展開に、クレダーが意を決して単騎でラスト500mの直線をトップ戦線に割って入ろうと試みた。しかし、徐々にスピードが届かなくなっていくクレダーをみて、瞬時に判断したプラデスと岡が個々にスプリントラインに車輪を差し込みゴールへもつれ込んだ。

ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux

結果、勝負を制したのはSoudal-QUICK STEPのティム・メルリール。JCL TEAM UKYOはプラデスが12位、岡が17位、クレダーが20位でフィニッシュ。チームとしては上位20名に3名を送り込む結果となったが、クレダーの勝負を叶えられなかったこともあり、レースを走り終えた選手たちは一様に悔しい表情。レースを終えて入念に修正点を話し合い、第2ステージへ希望を繋ぐ。

ツアー・オブ・オマーンに参戦したアスタナのマーク・カベンディッシュ ©A.S.O. Thomas Maheux
ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux
ツアー・オブ・オマーン第1ステージ ©A.S.O. Thomas Maheux
ティム・メルリールがツアー・オブ・オマーン第1ステージを制した ©A.S.O. Pauline Ballet

石橋学がマスカットクラシックで140km単独エスケープ

ツアー・オブ・オマーンの前哨戦として、JCL TEAM UKYOがUCI1-1カテゴリーのワンデーレース、マスカットクラシックに参戦。石橋学が140kmにおよぶ単独の逃げを決めてトップチームや関係者からも評価された。

単独トップを走る石橋学 ©JCL TEAM UKYO

オマーンの首都マスカットをスタートし、80kmを過ぎてから10%強の急勾配の峠を5度越える山岳地帯に突入する。その山中は岩場を切通した激しいアップダウンとブラインドコーナーが連続する。オマーンに到着して最初のトレーニングでこのコースを下見したメンバーは、この難所を攻略するイメージをスタート前まで重ね続けたという。

マスカットクラシックに出定したJCL TEAM UKYO ©JCL TEAM UKYO

前週にサウジツアーを走った選手たち。ハイスピードや距離への順応は感触がつかめているので、今回はレース中もメンバー同士がよりコンタクトをして勝負へ挑めるチームワークを目指してスタートラインに並んだ。

アスタナのカベンディッシュ ©A.S.O. Pauline Ballet
石橋学が単独でトップを走る ©A.S.O. Thomas Maheux

優勝候補として名高いUAEエミレーツのディエゴ・ウリッシや、アスタナに移籍したマーク・カベンディッシュなどと肩を並べ173.7kmのロードレースはスタートした。

マスカットクラシックの補給地点 ©JCL TEAM UKYO

正式にスタートが切られて最初に攻撃に出たのは石橋。サウジツアー同様プロコンチネンタル・コンチネンタルチームを誘導するモーションだったが、本人の意図とは裏腹に単独でのエスケープとしてプロトンは容認。あっという間に開いた5分差、厳しい登りを前に石橋がどれだけリードを伸ばしていけるかがポイントになった。

石橋学が単独でやってきた ©JCL TEAM UKYO

気温も30度近くまで迫った午後13時半、85km地点の山岳の頂上にトップで現れた石橋。その差は13分と大きくリードする力走。ケルンファルマが先頭を固めて追い続けるプロトンは急勾配の登りに入ると分裂、下りで合流を繰り返す状態。

アルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス(ベルギー)が優勝 ©A.S.O. Thomas Maheux
アルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス(ベルギー)が優勝 ©JCL TEAM UKYO

その前方ではJCL TEAM UKYOのベンジャミ・プラデス、山本大喜、小石祐馬が残るなどハイペースのクライミングに対応。一方、石橋のリードは少しずつ差を埋められながらもなんと140km付近まで到達。レースの8割を単独で逃げ続けた。

マスカットクラシック ©JCL TEAM UKYO

やがてAG2Rラモンディアルが先頭を固めて急激に差を縮めて吸収すると、勝負は後半の山岳地帯へ。急坂で勝負がかかると途端に小さくなるプロトン。この展開の最前戦で戦うのは小石、ラスト20km付近での攻防をトップグループに食らいつく。

マスカットクラシック ©JCL TEAM UKYO

しかし、ここで取り残されたグループの後方をモビスターが追走に転じるとラスト数キロで先 行を吸収、レースを振り出しに戻した。そして目の前に現れた1km弱10%の上り坂、ゴールに向けた熾烈なペースアップの攻防にプラデスと山本が食らいつく。

マスカットクラシック優勝のビールマンスを中央に、左が2位ジョルディ・ワーロップ、右が3位アンドレア・ベンドラーメ

レースはクライマックス、峠を越えて大きく下った先の登り返しでいよいよゴールスプリントへ。30数名が一気に広がりスプリントを開始、大きく手を開きゴールを獲ったのはアルケア・サムシックのイエンセ・ビールマンス。このスプリントでJCL TEAM UKYOはプラデスがタイム差なしの32位、山本は少し遅れて39位でゴールした。この日逃げ続けた石橋は11分遅れて86位、メンバー全員が完走を果たした。

サウジツアーに引き続いての中東レース ©JCL TEAM UKYO

サイクルモードライド大阪2023の出展ブランドと会場マップ公開

サイクルモードライド大阪2023が3月4日~5日に大阪・万博記念公園で開催されるが、その出展ブランドと会場マップが公開された。国内外の有名自転車関連ブランドが大阪に集結する。

自転車をより楽しめる企画コーナーもあって、公式サイトでチェックできる。サイクルモードと言えばアップダウンのある長い試乗コースが定評あり、人気ブランドの最新バイクを思う存分体験することができる。人気のマウンテンバイクなどオフロード車を楽しめるオフロード専用試乗コースもあり、オンロード、未舗装路どちらもカバーする大満足の試乗エリアが万博記念公園に登場する。

今後の情報公開はSNSやサイクルモード公式ホームページでアップデートされていく。

お得な前売り券販売開始

前売り券の販売を開始した。当日会場で購入するよりもお得に購入が可能。前売り券は入場日別オンラインチケットのみの販売となる。詳細は公式サイトを確認。

▼チケット情報(全て税込み・公園入園料260円含む)
1.前売券:1,000円
※4日(土)、5日(日)券あり ※オンライン限定で販売

2.当日券:1,300円
※オンラインもしくは当日会場でも購入可能

▼無料入場について
中学生以下=学生証(中学生のみ)、公園入園料80円が必要
2022年度チームキープレフト会員=会員証と免許証などの本人確認用証明書(別途公園入園料が必要)

●サイクルモードライド大阪2023の出展ブランド

シクロクロス世界選手権で小川咲絵23位、柚木伸元39位、

オランダのホーヘルハイデで2月3日から5日まで開催された2023 UCIシクロクロス世界選手権で日本代表選手が参戦。エリート女子で小川咲絵(AX cyclocross team)が23位で完走した。監督は三船雅彦。

2023シクロクロス世界選手権のジャパンチーム

小川は足切りとなる周回遅れを免れてファイナルラップに入り、6分41秒遅れの23位で完走。 女子エリートレースでの日本人選手完走は2018年以来。同クラスはオランダ勢が1位から3位までの表彰台を独占した。

U23男子の柚木伸元(三重・朝明高)は39位、副島達海(大阪産業大)は40位でともにフルラップを走ってゴールした。

男子U23で追走をする柚木伸元

U23女子の石田唯(早稲田大)はフルラップを完走して、2020年大会(ジュニア31位)に続く2度目の完走。大蔵こころ(早稲田大)は完走できず順位としては32位。

エリート男子の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)はレース序盤の落車の影響もあり、必死の追走もかなわずラップアウト。順位としては35位。

ベルギービールウィークエンド2023は全国6会場で開催へ

ベルギービールの多様性を、それにマッチした食事とともに楽しみ尽くす都会派イベント、ベルギービールウィークエンドは、2023年に全国6会場での開催されることになり、その日程と開催会場が発表された。 

ベルギービールウィークエンド2023のスケジュールは、下記6会場。前売りチケット、ビールやフードのラインナップ、ライブ情報などの詳細は近日公開予定という。

Toyosu

東京都・サイタブリア ベイパーク
4月14日(金)〜 4月16日(日)
4月21日(金)〜 4月23日(日)

Nagoya

名古屋市・久屋大通公園
エディオン久屋広場・エンゼル広場
4月27日(木)〜 5月7日(日)

Yokohama

横浜市・山下公園
5月18日(木)〜 5月21日(日)

Osaka

大阪市中央公会堂前
中之島公園
5月24日(水)〜 5月28日(日)

Roppongi

東京都・六本木ヒルズアリーナ
9月14日(木)〜 9月18日(月・祝)

Shinjuku

東京都・新宿住友ビル三角広場
12月6日(水)〜 12月10日(日)

●ベルギービールウィークエンドのホームページ

自転車利用者のヘルメット着用努力義務が4月1日から全国で施行

改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から全国で自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化される。かぶらなくても違反ではないが、不幸な交通事故死や後遺障害を回避できる可能性が高くなるのでおすすめしたい。自転車用ヘルメットを初めて購入するときのポイント、正しい着用方法などを紹介。

ツール・ド・フランス出場経験のある今中さんもヘルメット着用をすすめる

着用しなくても罰則はない。そもそも一般自転車に似合わない!?

自転車レースの選手やサイクリング愛好家なら乗車時にヘルメットを着用するのはあたりまえ。軽量で通気性のいいスポーツタイプを愛用しているので、長時間かぶっていても快適だ。ところが町中を見る限り、通勤や買い物時に自転車を利用する人の多くはヘルメットなし。かぶらない理由として、着用しなくても罰則はないし、そもそも一般自転車に似合わないという意見が多い。

これまでも、保護者として13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないという規則はあった。子供乗せに座らせるときもキッズヘルメットをかぶらせることはかなり定着している。そのほうが安全であることを親として感じているからだ。今回の法改正は、だったら自転車に乗るすべての人がヘルメットをかぶることで、致命的な頭部損傷を回避し、命を守ろうというものだ。

スポーツモデルは軽量で通気性がいい

警視庁交通総務課のホームページによれば、自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に致命傷を負っているという。また、ヘルメットの着用状況による致死率では、着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較すると約2.3倍も高いという。今回の法改正は着用努力義務のため罰則などはないが、警察庁は大人も含めて着用を習慣化することで事故による被害を最小限に抑えていきたいとしている。

ヘルメットはもともと米国で普及が始まり、トライアスロンレースなどで着用が義務化された。欧州ではなかなか浸透しなかったが、五輪金メダリストのファビオ・カサルテッリが1995ツール・ド・フランスの下り坂でクラッシュ。ヘルメットなしの頭部を打ちつけて即死したことを契機に国際規定として着用義務化された。

国内最大手のヘルメットメーカー、カブトのカジュアルモデル

欧州では、一般道を自転車で走る市民がヘルメットをかぶっているとは現在も言い難い。ただしクルマとの接触機会が少ない道路構造整備をすることで事故を抑えようという政策が功を奏している。ところが日本、とりわけ東京などの大都会ではクルマと自転車などが同じ車線上でひしめき合う状態。これでは事故は必然的に起こるわけで、そのときにヘルメットの有無で生死が分かれることも簡単に想像できる。

おでこが露出しないように目深(まぶか)に着用することで頭部や顔面が守られる

自分だけは大丈夫と思う過信が最も危険

日本人プロとしてツール・ド・フランスに初出場した今中大介さんは、「自分だけは安全だというおごりがあったらダメ」という。また「ヘルメットは自分に適したサイズを正しく装着することも大事だ」とアドバイス。

購入時には試着してみて、自分の頭に合ったサイズを選ぶ。廉価モデルは1サイズ展開も多いが、調整ベルトが内装されるなどフィットさせる機能があるものを最低限選びたい。あごひもは指2本が入る程度のゆとりでしっかりと締める。きちんと締めていないと地面に倒れる前に頭部から外れてしまうので着用の意味がない。

また不注意で落としてしまうと、衝撃を緩和させる内部形状が損傷し、いざというときに機能しない。経年劣化などで使用限度は3年ほど。無傷でも新しいものに買い替えたい。

海外からも続々と個性的なヘルメットが入荷されている

自転車用ヘルメットはスポーツバイクには似合うが、ママチャリと呼ばれる一般用自転車にマッチしないと言われた。それでも近年は通勤・通学に使えるカジュアルモデルや、普段着に合うファッショブルなモデルもラインナップされる。ヘルメットを覆う帽子タイプのカバーも安価で用意されている。レース用ヘルメットは3万円前後するが、街乗り用なら5000円から1万円、キッズ用はさらに安い。