沿道からの声援は私が一番大きかったのに…新谷仁美、日本記録更新できず

2024東京マラソンが3月3日、スタート時の天候が晴れ、気温9.6度、湿度22%、その後も気温はそれほど上がらないまずまずの気象条件下で開催され、日本記録の更新を狙った新谷仁美(積水化学)が日本勢女子トップながら2時間21分50秒の6位に終わった。

新谷仁美は30km以降ペースが落ちて日本記録更新はならなかった ©東京マラソン財団

今後も日本記録にこだわりを持ち続けたい(新谷仁美)

新谷は30km以降にペースが落ち、「結果が出なかった。それ以上もそれ以下もありません。」とゴール後に語った。

ゴール地点のメディアセンターで行われた公式記者会見で、その最後に現れた新谷は「普段サポートしてくれる方に私が返せるものは限られている。言葉ではなく目に見えるもの(日本新記録)で返したいという気持ちが常にあった」と言葉をつまらせながら語った。

新谷仁美は日本勢トップながら2時間21分50秒の6位 ©東京マラソン財団

沿道からの歓声はしっかりと本人に届いていた。「私が言うのもおかしいけど、すべての選手の中で私への歓声が一番大きかったと思う」。それが日本記録更新を期待する声援であることも理解し、その後押しに応えられなかったという悔しさも、レース後の涙の理由だった、

「日本記録というタイトルは形として残るし、ありがとうの言葉が伝わりやすいと思うので、今後もこだわりを持ち続けたい」

パリ五輪へのラストチャンスとなった東京マラソン ©東京マラソン財団

女子はストゥメ・アセファ・ケベデ(エチオピア)が日本国内最高記録となる2時間15分55秒で初優勝。「うれしい。ハーフまでは大会記録を破ることは考えていなかった」と予想外の結果に笑顔。

マラソン男子はベンソン・キプルト(ケニア)が優勝 ©東京マラソン財団

キプチョゲは「今日の教訓を明日への糧としていく」

男子は、ベンソン・キプルト(ケニア)が日本国内最高記録の2時間02分16秒で初優勝。「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」の大会はボストンマラソン2021、シカゴマラソン2022を制していて、これで3勝目。「コースレコードを出せたのはうれしい。幸せです。走りは本当に気持ちよかった」とコメントした。

ベンソン・キプルト(ケニア)が日本国内最高記録の2時間02分16秒で初優勝 ©東京マラソン財団

前世界記録保持者のエリウド・キプチョゲは20km手前で先頭集団から遅れた。「スポーツはいい日もあれば悪い日もある。今日は残念ながら悪い日だった。ただ言えるのは、毎日がクリスマスではないということだ。私たちは今日の教訓を明日への糧としていくまでです」とキプチョゲ。

東京の目抜き通りもこの日だけはランナー天国 ©東京マラソン財団
ゴールは大手町 ©東京マラソン財団

伊豆市の日本サイクルスポーツセンターでリモートワークする

静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで自転車トレーニングをしながらリモートワークできる環境が整備されつつある。日本サイクルスポーツセンター内にある自転車競技施設を利用し、自転車でのトレーニングとリモートワークを両立してもらうというもの。

日本サイクルスポーツセンターのワークスペースで練習の合間に仕事

伊豆市の自転車施設には、東京五輪の舞台になった伊豆ベロドロームと伊豆MTBコースがある。オリンピックレガシーも体感できるこれらフィールドをロードバイク、トラックバイク、マウンテンバイクで走り、その合間にリモートワークする。

伊豆MTBコース

東京都から参加したトライアスリートの西川美ゆきさんは、トレーニングメニューを持参しての参加。5kmロードコースではロードバイクでのトレーニングを積み、伊豆ベロドロームでは初めてトラックバイクで走行。2時間ほどでベロドローム内を自由に走行できるようになった。同行の村岸美由貴さんは伊豆MTBコースで初めてMTBに乗り、オリンピックで使われた天城越えセクションの一部を走った。

トライアスロンコーチに、さまざまな自転車スポーツを体感するのがいいと言われて参加したという西川さん、「初めてのことを経験できたのがよかったです。ピストバイクでベロドロームなんて考えたこともありませんでしたが、指導のおかげで恐怖心も和らいで、すごく楽しかったです」と参加の感想を語った。

トラック競技用自転車で体験走行

京都府から参加の今村有亨さんは、滋賀県の中野雄太さんとトラックバイクでのトレーニングに特化する形で参加。日本では数少ない世界競技規格の250mで走りの感覚を確かめた。

通常からトラックバイクを、京都の競輪場の走行会などで楽しんでいる中野さんは、「自分の住んでいるところは250mバンクはもちろんトラックもないので、こういう機会があるのはいいことです。伊豆ベロドロームは以前にも走行したことがありましたが、前よりもベロドロームの周回がスムーズになりました」と語った。

伊豆ベロドロームの250mバンクを走る

また、250m周長の国際競技基準のベロドロームでの走行は特殊だと語る今村さんは「これまでなら本番前の1回しか走れなかったんですが、今回は貸し切りのようなかたちで何回も前を引いてもらいながら3日間集中して走れたので、すごく成果があったと思います」と、伊豆ベロドロームでの練習の成果を語った。

参加者はそれぞれ、用意されたワークスペースで練習の合間に仕事を進め、充実した時間を過ごした。この自転車トレーニング・リモートワークは今後の開催も予定しているという。

●一般社団法人ふじのくにサイクルスポーツコミッションのホームページ

パリ〜ニース、ティレーノ~アドリアティコが相次いで開幕

2024ロードシーズンが3月になって本格化した。フランスのパリ〜ニースが3月3日から10日まで、イタリアのティレーノ~アドリアティコが3月4日から10日まで熱戦が繰り広げられる。どちらも中規模のステージレース。5月のジロ・デ・イタリアや夏のツール・ド・フランスで総合優勝をねらう実力選手も参加している。

2024パリ〜ニース第1ステージ ©A.S.O. Billy Ceusters

ビスマ・リースアバイクはティレーノ~アドリアティコにヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)を出場させた。ボーラ・ハンスグローエは同レースでジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)を走らせた。

アユソがティレーノ~アドリアティコ第1ステージ優勝 ©Fabio Ferrari/LaPresse

またボーラ・ハンスグローエは今季から獲得したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)をパリ〜ニースに起用。同レースにはレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)も参加し、シーズン序盤の足慣らしとする。

フィリッポ・ガンナは1秒遅れの2位 ©Fabio Ferrari/LaPresse
フアン・アユソ ©LaPresse
オラフ・コーイが2024パリ〜ニース第1ステージ優勝 ©A.S.O. Billy Ceusters
ボーラ・ハンスグローエのプリモシュ・ログリッチ ©A.S.O. Billy Ceusters
ジャイ・ヒンドレー ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

ティレーノ~アドリアティコが3月4日開幕…ビンゲゴー、ヒンドレー出場

第59回ティレーノ~アドリアティコが3月4日にイタリアで開幕。10日までの7日間にわたって熱戦が繰り広げられる。ビスマ・リースアバイクはヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)、ボーラ・ハンスグローエはジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)が総合優勝をねらう。

フィリッポ・ガンナ、ティム・メルリエ、テイオ・ゲイガンハート、ヨナス・ビンゲゴー、ジャイ・ヒンドレー、リチャル・カラパス ©Fabio Ferrari/LaPresse

「2年前のティレーノ〜アドリアティコで2位になったので、今年は優勝争いができることを願っている。長い1週間レースにはライバルがたくさんいる。僕らはできる限りのことをするが、それが十分かどうか最後に見ることになるだろう」とビンゲゴー。

©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

「いつものようにここに来ることができてとてもうれしい。毎年このレースに戻ってくるのが大好きだ。常に超ハイレベルで、今年後半の大きな目標への足がかりにしたい。この1週間、とてもタフなレースになるだろう」とヒンドレー。

ヨナス・ビンゲゴー(左)とフィリッポ・ガンナ ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse
ジャイ・ヒンドレー ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

世界チャンピオンのコペッキーがストラーデビアンケ女子レース優勝

第10回ストラーデビアンケウイミンが3月2日にイタリアのトスカーナ州シエナを発着とする137kmで開催され、SDワークスのロッテ・コペッキー(ベルギー)が優勝した。2位は4秒遅れでエリーザ・ロンゴボルギーニ(リドル・トレック)。

ストラーデビアンケをアルカンシエルのジャージで走るコペッキー ©Marco Alpozzi/Lapresse
男女同日開催のストラーデビアンケ。写真は女子レース ©Marco Alpozzi/Lapresse
ストラーデビアンケを制したコペッキー ©Lapresse
コペッキーが3位のチームメート、デミ・フォレリングと勝利を祝う ©Gian Mattia D’Alberto/Lapresse
ストラーデビアンケ優勝のコペッキー。左が2位ロンゴボルギーニ、右が3位フォレリング ©Gian Mattia D’Alberto/Lapresse
ストラーデビアンケを制した世界チャンピオンのコペッキー ©Gian Mattia D’Alberto/Lapresse
ロッテ・コペッキーがストラーデビアンケ優勝 ©Gian Mattia D’Alberto/Lapresse

タデイ・ポガチャルがストラーデビアンケで80kmの独走優勝

第18回ストラーデビアンケが3月2日にイタリアのトスカーナ州シエナを発着とする215kmで開催され、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が80kmを独走して、2年ぶり2度目の優勝を果たした。2位は2分44秒遅れでトムス・スクインシュ(リドル・トレック)。

タデイ・ポガチャルがトスカーナのシエナにゴール ©Marco Alpozzi/Lapresse

ポガチャルはモニュメント6勝目

ポガチャルはモニュメントと呼ばれる1日開催の伝統レースで、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ、ロンド・ファン・フランデレンを各1勝、イルロンバルディアを3勝していて、今回の勝利で6勝目となる。ポガチャルの次戦は3月16日のミラノ〜サンレモ。

未舗装路を走るストラーデビアンケ ©Fabio Ferrari/Lapresse

「レースはスタートから本当に速く、優勝候補が絞り込まれた。誰も予想していなかったと思う。コンディションは本当に厳しく、グループには多くのリソースが残っていなくなった。未舗装区間のサンテマリーではも見えなかったので、全力で走った」とポガチャル。

独走するタデイ・ポガチャル ©Fabio Ferrari/LaPresse

「長くなることはわかっていたが、ギャップがあることもわかっていた。シーズン初戦はいつも精神的にタフだ。でも私は冬の間、本当にいい準備ができた。どのレースがモニュメントに分類されかのルールはよく知らないが、ストラーデビアンケには独自の魅力がある。世界で最も人気があり、美しいレースのひとつだ」

イタリアの春のレースとして定着したストラーデビアンケ ©Fabio Ferrari/Lapresse
タデイ・ポガチャルがストラーデビアンケで80kmの独走優勝 ©POOL LucaBettini/LaPresse
タデイ・ポガチャルがトスカーナのシエナにゴール ©Lapresse
ポガチャルがシエナの上り坂をクリア ©Massimo Paolone/Lapresse
優勝のポガチャル、2位トムス・スクインシュ、3位マキシム・ファンヒルス ©Gian MAttia D’Alberto/LaPresse)