小野寺慶51位、川口うらら23位…世界選手権男女のジュニアレース

UCIロード世界選手権インスブルック・チロル大会は5日目となる9月27日(木)、午前中にジュニア女子、午後にジュニア男子のロードレースが開催された。

ジュニア男子ロードの小野寺慶(左から2番目)  ©2018 JCF

ジュニア女子はラッテンベルグからスタートし、インスブルックの周回コースを1周回してフィニッシュラインに向かう70.8kmのレースで、MTBクロスカントリー・女子ジュニアのアジアチャンピオンである川口うらら(兵庫・龍野高)と全日本選手権ロードレース・女子ジュニア2位の中冨尚子(京都産業大)が出場した。スタートすると25km地点の登坂区間グナデンワルドで早くもレースは動き始めた。

勾配の厳しい登りの中腹で集団はいくつもの小集団に分裂され、川口は4番目の集団、約20番手ほどで山頂を通過し、その後の下り区間で形成された25名ほどの先頭集団に入ったが、一方の中冨はこの登りで大きく遅れてしまった。周回コースに入り、7.9kmの長い登坂区間で再び集団はペースアップ。最後は4選手によるゴールスプリントの展開となり、開催国オーストリアのローラ・スティッガーが優勝した。

ジュニア女子ロードを走る中冨尚子 ©2018 JCF

スティガーはMTBクロスカントリー世界選手権女子ジュニアカテゴリーで2連覇中。川口は4分7秒差の23位、中冨は15分46秒差の87位だった。川口は初めて出場する世界クラスのロードレースで、終盤までメイン集団に残る好成績を挙げた。

ジュニア男子は、クーフシュタインからスタートし、インスブルックの周回コースを2周回する131.8km。日本からはUCIネイションズカップでの遠征経験をもつ、日野泰静(愛媛・松山城南高)、馬越裕之(奈良・榛生昇陽高)、福田圭晃(神奈川・横浜高)、香山飛龍(神奈川・横浜高)、小野寺慶(ブラウ・ブリッツェン)の5名が出場。2年連続で世界選手権に出場する小野寺と好調な日野を軸に戦う作戦にてスタートした。

毎年、男子ジュニアカテゴリーでは多くの落車が発生しているが、2018年も中盤65km地点付近の登坂区間グナデンワルドまでに2つの大きな集団落車が発生。ナショナルチームも小野寺を除く4選手がいずれかの落車に巻き込まれ、小野寺も落車しなかったものの、指を負傷するトラブルに見舞われた。落車の影響もあり、グナデンワルドでは女子同様に集団は細分化。絶対的優勝候補のレムコ・エベネネプール(ベルギー)も落車により先頭から遅れて、山頂を通過した。

日本人選手は福田と小野寺が50番手ほどの小集団に残ったが、ほかの日本人選手はここで大きく遅れ、最終周回を前にリタイアとなった。後方から追い上げたエベネプールは、周回コースに入るとドイツの選手とともに先行をはじめ、その後、独走で優勝。個人タイムトライアルに続く、2冠達成となった。小野寺は遅れながらもベストを尽くして走り、日本チーム唯一の完走となる17分28秒差の51位でフィニッシュした。福田もあきらめずに走り続け、フィニッシュラインを越えたが、オーバータイムによりリタイア扱いとなった。

ジュニア男子ロードの日本代表選手  ©2018 JCF

柿木孝之コーチのコメント
ジュニア女子はいつも世界でどのくらい走れるかわからないなかでの参戦になるが、ヨーロッパのレースを走った経験のない川口選手は1つ目の登りで遅れず、先頭集団に入ることができてよかった。2つ目の登りでパワーの差で遅れてしまったが、しっかりと登り口で前にいることができた。今後が非常に楽しみな結果となった。中冨選手は位置どりで脚を使ってしまったが、日本にいたら勉強できないことで、今回初めて本当のロードレースを経験できた。今後、ロードレースで強くなるにはどうしたらいいか、考えるきっかけになると思う。
ジュニア男子は、今年多くのネイションズカップに遠征し、その結果、総合で11位、過去最高のポイントを獲得でき、チームカーも10番目だった。落車が起こることはわかっていたので、チームでまとまらず、リスク回避をしたが、2回の落車にほとんどの選手が巻き込まれたのはよくなかった。小野寺選手も落車しないものの、上りで一度止まって追いつくのに力を使ってしまった。世界選手権というのがどれだけ厳しいものか、他の国と比べて心の準備ができていなかったと感じている。強くなることに貪欲になることは、選手にとって一番肝心な部分だと思う。世界で戦う覚悟が他の国の選手と比べて足りていなかった。準備段階、気持ちの面で課題が残る結果だった。

ジュニア女子ロードを走る川口うらら(左から2番目)  ©2018 JCF

川口うららのコメント
世界の舞台でロードレースを走ったことがなかったので、どのくらい走れるかわからなかったけど、全力を尽くすことを目標にして走り、力を出し切ることができた。マウンテンバイクの世界選手権がシーズン最大の目標だったが、そこで100%の力を出せなかった悔しさがあった。もう一度、ロードレースで世界の舞台で戦わせてもらえる機会を得たので、リベンジするような気持ちで挑み、自分が納得できる走りができたので良かった。今回のチャンピオンはマウンテンバイクの世界チャンピオンでもあるので、マウンテンバイクとロードレース、両方やることで相乗効果があると思っている。しっかり両方の種目と向き合い、どちらも強くなりたい。

小野寺慶のコメント
集団の密度が高く、最初から前にいないといけないとわかっていた。中盤の登りで前にいられたが、強豪国のトレインに挟まれる形となり、転びかけて前にいた選手のホイールに手の指を挟んでしまった。そこで一瞬遅れていまい、急勾配のところで急いで戻ろうと脚を使ってしまった。追いついたが、そこからズルズルと後退してしまった。周回コースに入ってからは、指だけでなく、身体のバランスも崩れて腰も痛くて、うまく踏み込むことができず、力を出し切ることができなかった。一瞬の出来事で、レースを無駄にしてしまったのが悔しい。今シーズン通して登りを強化してきた。今回は力を出し切れなかったが、アンダーに上がる来年、再来年でさらに登りに強い選手になっていきたい。

●世界選手権ロード
9月23日(日)10:10 – 12:05 UCI女子チームタイムトライアル
9月23日(日)14:40 – 17:05 UCI男子チームタイムトライアル
9月24日(月)10:10 – 11:55 ジュニア女子個人タイムトライアル
9月24日(月)14:40 – 16:50 U23男子個人タイムトライアル
9月25日(火)10:10 – 12:40 ジュニア男子個人タイムトライアル
9月25日(火)14:40 – 16:50 エリート女子個人タイムトライアル
9月26日(水)14:10 – 17:10 エリート男子個人タイムトライアル
9月27日(木)09:10 – 11:15 ジュニア女子ロードレース
9月27日(木)14:40 – 18:15 ジュニア男子ロードレース
9月28日(金)12:10 – 16:50 U23男子ロードレース
9月29日(土)12:00 – 17:00 エリート女子ロードレース
9月30日(日)09:40 – 16:40 エリート男子ロードレース
日本との時差は7時間。上記の現地時間に7時間をプラスしてください。
(例=現地の16:40は日本の23:40)

ベルギーのレムコ・エベネプールが独走でジュニア男子ロードを制して二冠

オーストリアのチロル地方にあるインスブルックで開催されている世界選手権ロードは9月27日、ジュニア男子ロードが距離131.8kmで開催され、ベルギーのレムコ・エベネプールが2位に1分25秒差をつけて独走勝利。個人タイムトライアルとの2冠を達成した。

ジュニア男子でロードとタイムトライアルの2冠を遂げたレムコ・エベネプール © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

2位はドイツのマリウス・マイルホーファー、3位はイタリアのアレッサンドロ・ファンチェッル。

美しいチロル地方を走る © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto
レムコ・エベネプールがジュニア男子ロードでアタック 

「とてもハッピー。グナデンワルドの上りでクラッシュしたときは最悪だった。そこでおよそ2分の遅れを取った。すぐに再スタートして、下りで信じられない走りができた」とベネプール。
「ドイツの選手はふるい落とせると思った。ボクの走りについて来られなかったからね。どう知れば勝てるかは知っていた。クルヌ〜ブリュッセル〜クルヌで自転車を掲げてシーズンインしたから、今シーズンの終わりもそうしたかった。だからゴールでそれをした。タイトル2つを獲得するためにここに来たんだ。なんてシーズンになったんだ!」

レムコ・エベネプールがジュニア男子ロードでアタック © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto
レムコ・エベネプールがジュニア男子ロード優勝 © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

●世界選手権ロード
9月23日(日)10:10 – 12:05 UCI女子チームタイムトライアル
9月23日(日)14:40 – 17:05 UCI男子チームタイムトライアル
9月24日(月)10:10 – 11:55 ジュニア女子個人タイムトライアル
9月24日(月)14:40 – 16:50 U23男子個人タイムトライアル
9月25日(火)10:10 – 12:40 ジュニア男子個人タイムトライアル
9月25日(火)14:40 – 16:50 エリート女子個人タイムトライアル
9月26日(水)14:10 – 17:10 エリート男子個人タイムトライアル
9月27日(木)09:10 – 11:15 ジュニア女子ロードレース
9月27日(木)14:40 – 18:15 ジュニア男子ロードレース
9月28日(金)12:10 – 16:50 U23男子ロードレース
9月29日(土)12:00 – 17:00 エリート女子ロードレース
9月30日(日)09:40 – 16:40 エリート男子ロードレース
日本との時差は7時間。上記の現地時間に7時間をプラスしてください。
(例=現地の16:40は日本の23:40)

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第2ステージはスプリントに絡んだグアルディオラが8位

キナンサイクリングが出場中のインターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ(International Tour de Banyuwangi Ijen、UCIアジアツアー2.2)は9月27日、第2ステージが行われた。今大会最長の179.3kmで争われたレースは集団スプリントによる勝負となり、サルバドール・グアルディオラが8位でフィニッシュ。個人総合上位につけるトマ・ルバ、山本元喜も集団内でフィニッシュし、順位をキープしている。

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第2ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会初日にして最初の山頂フィニッシュが設けられた前日の第1ステージはアタックの応酬となり、キナンも応戦。新城雄大が逃げに乗り、中盤からの展開の変化にはルバと山本も対応。ルバをステージ4位に送り込み、山本も6位とまとめた。続く第2ステージは、スタート以降進行方向を数度変えながら、大会拠点都市のバニュワンギを目指す。山岳ポイントが設けられておらず、今大会唯一の平坦ステージとなる。

レースは、アクチュアルスタートからアタックが頻発する状況が続く。最初の1時間は時速50kmに迫ろうかというハイペースとなり、キナン勢もライバルチームの動きを見ながらチェックに動く。60km地点を過ぎて、ようやく3人がアタックを決め、さらに3人が追走を開始。メイン集団はリーダーチームのセントジョージコンチネンタルがコントロールし、キナン勢5人もその後ろにポジションを構えた。

先頭では追走メンバーが合流し6人の逃げへと変化。メイン集団に対し最大で3分30秒差とするが、レース全体を通して主導権を握った集団が着々とタイム差を縮めていき、やがて射程圏へととらえる。フィニッシュまで残り30kmで5人を吸収し、その後残った1人もキャッチ。その間にメイン集団では数人のアタックが発生したが、ここはキナン勢も山本やルバが前方に位置して冷静に対処。レースを揺るがすような動きとはならなかった。

1つになったプロトンは、そのままバニュワンギ市内へ。市街地に設けられたフィニッシュに向けてスプリントねらいのチームがポジション争い。鋭角コーナーが連続するテクニカルなルートをクリアして、最後の直線へと向かう。

スプリント勝負となった最終局面で意地を見せたのはグアルディオラ。好ポジションから加速し、その勢いのまま上位争いへ。ステージ優勝こそならなかったが、8位でのフィニッシュ。集団内で落車が発生した関係で山本とルバが数秒遅れてフィニッシュラインを通過したが、残り3km以内でのトラブルに対する救済措置が適用され、トップと同タイム扱いとなっている。

大会は半分を終了。キナンは、前日に引き続きルバが個人総合4位、山本が同6位をキープ。本格山岳となる残り2ステージで勝負をかける。

28日に行われる第3ステージは、RTHマロン(RTH Maron)からカンタール・ブパティ・バニュワンギまでの139.4km。中盤に3級山岳スンベルブル(Sumberbuluh)、さらにフィニッシュ前約30kmのところで3級山岳パケル(Pakel)を上る。特にパケルは頂上手前で最大勾配15%。舗装も粗く、これらの区間がレース展開に変化を与えるかが、大会全体の流れにも影響しそうだ。フィニッシュは第2ステージと同じ場所に設けられる。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第2ステージ(179.3km)結果
1 ノヴァルディアント・ジャマリディン(インドネシア、PGNロードサイクリングチーム) 4時間9分17秒
2 ゲオルギオス・ボウグラス(ギリシア、ニンシャスポーツロッテリー・リボールサイクリング) +0秒
3 ベルナルド・ヴァンアールト(インドネシア、ジャヴァ・パルティザンプロサイクリング)
4 アイマン・カヒャディ(インドネシア、チームサプラサイクリング)
5 ニック・ファンデルメール(オランダ、グローバルサイクリングチーム)
6 ジュン・ハジョン(韓国、ウジョンブサイクリングチーム)
8 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
23 山本元喜(KINAN Cycling Team)
24 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
38 新城雄大(KINAN Cycling Team)
80 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分35秒

個人総合時間賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 7時間51分27秒
2 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1分37秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分46秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +3分50秒
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +4分57秒
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5分1秒
20 新城雄大(KINAN Cycling Team) +10分52秒
71 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分39秒
77 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +16分23秒

ポイント賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 20pts
9 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 7pts
16 山本元喜(KINAN Cycling Team) 5pts
24 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 3pts

山岳賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 12pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 6pts
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 23時間40分10秒
3 KINAN Cycling Team +13分54秒

サルバドール・グアルディオラ

サルバドール・グアルディオラのコメント
路面の変化やクラッシュに注意をする必要はあったが、終始落ち着いて走ることができた。ステージ8位はスプリントでは全力を尽くした結果だ。チームの状態はよいと感じている。明日は重要なステージだし、その次の第4ステージも激しいレースになると思う。総合優勝を目指してチーム一丸となって戦いたい。

開催地出身でレース2回目のローラ・スティッガーがジュニア女子ロード優勝

オーストリアのチロル地方にあるインスブルックで開催されている世界選手権ロードは9月27日、ジュニア女子ロードが距離70.8kmで開催され、オーストリアのローラ・スティッガーがゴールスプリント勝負で、フランスのマリー・ルネ、カナダのシモンヌ・ボワラールを制して初優勝した。

ジュニア女子ロードで優勝したローラ・スティッガー © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

「ホームタウンで勝てるなんて信じられない。沿道に立って私を応援してくれた人たちに感謝したい」と優勝のスティッガー。
「もうギリギリの勝負だった。ゴールスプリントで私の脚は燃え尽きていたから。今朝は私に勝てるチャンスがあるなんてまったく考えられなかった。だって私にとって2度目のロードレースだったから。ただ楽しもうと思っていた。でもいまは世界チャンピオン。信じられない!」

世界選手権ジュニア女子ロード © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto
ローラ・スティッガーがジュニア女子ロードで積極的な走りを見せる © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto
ジュニア女子ロードで優勝したローラ・スティッガーを中央に、左が2位マリー・ルネ、右が3位シモンヌ・ボワラール © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

●世界選手権ロード
9月23日(日)10:10 – 12:05 UCI女子チームタイムトライアル
9月23日(日)14:40 – 17:05 UCI男子チームタイムトライアル
9月24日(月)10:10 – 11:55 ジュニア女子個人タイムトライアル
9月24日(月)14:40 – 16:50 U23男子個人タイムトライアル
9月25日(火)10:10 – 12:40 ジュニア男子個人タイムトライアル
9月25日(火)14:40 – 16:50 エリート女子個人タイムトライアル
9月26日(水)14:10 – 17:10 エリート男子個人タイムトライアル
9月27日(木)09:10 – 11:15 ジュニア女子ロードレース
9月27日(木)14:40 – 18:15 ジュニア男子ロードレース
9月28日(金)12:10 – 16:50 U23男子ロードレース
9月29日(土)12:00 – 17:00 エリート女子ロードレース
9月30日(日)09:40 – 16:40 エリート男子ロードレース
日本との時差は7時間。上記の現地時間に7時間をプラスしてください。
(例=現地の16:40は日本の23:40)

ロードレース出場は2回目だったというローラ・スティッガーがジュニア女子ロードで世界チャンピオンに © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

ローハン・デニスが世界選手権エリート男子タイムトライアル優勝

オーストラリアのローハン・デニスが9月26日にオーストリアのインスブルックで行われた世界選手権エリート男子タイムトライアルで優勝した。距離52.1kmを1時間03分02秒57で走破。平均時速は49.585km。

世界選手権エリート男子タイムトライアルを制したローハン・デニス © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

2位はオランダのトム・デュムランで1分21秒09遅れ。3位はベルギーのビクトル・カンペナールツで1分21秒62遅れ。

「アメイジングな気分だ。サポートカーの中にいるブラッドリー・マクジーがずっと指示してくれて、ボクを落ち着かせてくれた。チームタイムトライアルでのトム・デュムランのワット数は分かっていたから、勝てるはずだったが、とにかくゴールするまでは確信が持てなかった」と新チャンピオンのデニス。
「感謝を伝えたい人はたくさんいるけど、まずは妻に。彼女はいま家にいて幸せな気分になっていると思う。夢がかなった。世界チャンピオンはジュニア時代から追い求めていた。年代別でも頂点に立ったことがなかったからね。来年は虹色のアルカンシエルを着てタイムトライアルを楽しみたい」

世界選手権エリート男子タイムトライアル。ローハン・デニスを中央に左が2位トム・デュムラン、右が3位ビクトル・カンペナールツ © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

●世界選手権ロード
9月23日(日)10:10 – 12:05 UCI女子チームタイムトライアル
9月23日(日)14:40 – 17:05 UCI男子チームタイムトライアル
9月24日(月)10:10 – 11:55 ジュニア女子個人タイムトライアル
9月24日(月)14:40 – 16:50 U23男子個人タイムトライアル
9月25日(火)10:10 – 12:40 ジュニア男子個人タイムトライアル
9月25日(火)14:40 – 16:50 エリート女子個人タイムトライアル
9月26日(水)14:10 – 17:10 エリート男子個人タイムトライアル
9月27日(木)09:10 – 11:15 ジュニア女子ロードレース
9月27日(木)14:40 – 18:15 ジュニア男子ロードレース
9月28日(金)12:10 – 16:50 U23男子ロードレース
9月29日(土)12:00 – 17:00 エリート女子ロードレース
9月30日(日)09:40 – 16:40 エリート男子ロードレース
日本との時差は7時間。上記の現地時間に7時間をプラスしてください。
(例=現地の16:40は日本の23:40)

トマ・ルバがツール・ド・バニュワンギ・イジェン第1ステージで4位

インドネシア・東ジャワ州を舞台とする4日間のステージレース、インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ(International Tour de Banyuwangi Ijen、UCIアジアツアー2.2)が9月26日に開幕。153.1kmで争われる第1ステージから山頂フィニッシュが設けられ、キナンサイクリングはトマ・ルバが4位でフィニッシュ。レースを通して激しいアタックの応酬となったが、総合上位進出に向けて足場を固めている。

ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第1ステージはトマ・ルバ(後方)が4位 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

9月中旬から同国への遠征を行っているキナンは、この大会へは3年連続出場。2016年の個人総合優勝を筆頭に、確実に総合上位を押さえてきている。2018年はタイトル奪還と、UCIアジアツアーポイントの獲得をテーマに臨む。メンバーはルバのほか、山本元喜、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラ、新城雄大の5選手。

この大会の最大の特徴は、UCIアジアツアー屈指の山岳ステージレースであるところ。2018年は第1ステージと、最終日の第4ステージが山頂フィニッシュに設定されている。特に第4ステージは、鋼青色の炎で知られるイジェン山を上る。平均勾配13%、部分的に20%程度の急坂区間もあり、総合成績を左右する可能性が高い。また、第2、第3ステージもアップダウンに富み、大会を通して登坂力とスピードが試される。4日間の総距離は599km。

第1ステージは、大会の拠点都市であるバニュワンギを出発し、しばし南下。中盤から折り返すようにして北上すると、内陸の山岳地帯へと入っていく。最後は平均勾配6%の2級山岳ロウォ・バユの頂上にフィニッシュする。

レースは、アクチュアルスタートからアタックが散発。キナン勢もメイン集団前方に位置し、激しい出入りに対応する。そして、30km地点を目前としたタイミングで変化が生まれる。8人が集団から抜け出すと、ここにキナン勢からは新城が加わる。有力チームがいずれも選手を送り込んだ形となった強力な逃げグループは、スタートから60kmを過ぎるころにはメイン集団に対して5分以上のリードを得る。

一度は先頭の8人を見送ったメイン集団だったが、60km地点を過ぎたポイントに設けられたフィードゾーンをきっかけに数人がアタック。これにキナンからはルバがチェックに動く。さらに山本も続き、複数の追走グループが形成。ときを同じくして先頭でも2選手が飛び出し、新城は第2グループに位置して前を追うこととなる。

快調に飛ばす先頭の2人に対し、追走はめまぐるしく選手が入れ替わり、アタックと吸収とを繰り返す。キナン勢は新城らのグループにルバが合流。ともにローテーションに入り、ペースアップを試みながら進んでいく。さらにその後ろでは山本らのグループも追い上げ、ロウォ・バユの上りを前に新城とルバに合流した。

先頭とのタイム差を縮めたい追走グループは、新城と山本が懸命にペースメイク。上りに入って絞り込みが始まると、総合争いのライバルと見られる選手の動きをルバがチェックする。

結果的に、中盤から飛び出した選手がともに逃げていた選手を振り切って、独走勝利。単独追走した選手をはさんで、ルバたちのグループはステージ3位争いへ。ライバルの先着こそ許したものの、トップとは3分38秒差の4位でフィニッシュ。今後の厳しい山岳ステージで勝負することとなる選手をマークしながら、ステージを終えている。

アシストとしても貢献した山本も終盤まで追い込み、ステージ6位を確保。逃げでレースを構築した新城のほか、グアルディオラ、ガルシアもこのステージを走り切っている。

個人総合は、おおむねフィニッシュ順位が反映され、ルバが4位、山本が6位に位置。次のステージ以降は、チームとしてこの2人のポジションアップを意識していくこととなる。

27日に行われる第2ステージは、スタシウン・カリバル(Stasiun Kalibaru)からカンタール・ブパティ・バニュワンギまでの179.3km。今大会の最長ステージとなる。スタートから中盤までは長い下り基調となり、そこから山岳にカテゴライズされない登坂が約20km続く。終盤は細かなアップダウンを経て、バニュワンギ市街地でフィニッシュを迎える。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第1ステージ(153.1km)結果
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 3時間42分22秒
2 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1分35秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分38秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +4分45秒
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +4分49秒
21 新城雄大(KINAN Cycling Team) +10分40秒
75 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分23秒
77 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分36秒

個人総合時間賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 3時間42分10秒
2 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1分37秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +3分46秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +3分50秒
5 ジェシー・イワート(オーストラリア、チームサプラサイクリング) +4分57秒
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5分1秒
21 新城雄大(KINAN Cycling Team) +10分52秒
75 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分39秒
77 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +13分48秒

ポイント賞
1 マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 19pts
5 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 7pts
7 山本元喜(KINAN Cycling Team) 5pts

山岳賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 12pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 6pts
6 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2pts

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 11時間12分19秒
3 KINAN Cycling Team +13分54秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
(前戦の)ツール・ド・シアクで強さを見せたセントジョージコンチネンタルの選手たちが、今回もスマートな走りを見せていた。われわれは少しミスがあって、私ひとりが力のあるチームの数人に対応しないといけない時間帯もあった。この結果を受け止めて、次の戦術をみんなで話し合いたい。
まだレースは終わっていないし、総合で上位に入るという目標は続いている。第2ステージ以降もチャンスを見ながらアタックしていきたい・

新城雄大

新城雄大のコメント
序盤は大人数のアタックをチェックすることを心がけて走った。逃げが決まったのは、今後ライバルになるであろうチームの動きに合わせたことによるもの。中盤で2選手が飛び出したときは、他の選手をマークしていたときで、逆サイドから行かれてしまった形だった。
トマが後ろから合流して以降もアタックが多くて、飛び出そうとする選手に対応していたが、結果的にセントジョージコンチネンタルの選手を追いきれなかった。
今日は自分の読みの甘さもあって、逃げを許すことになってしまった。第2ステージも逃げをねらいながら、チームの総合成績につながる走りをしたい。