291kmの世界最長距離で争われたイタリアが誇るクラシックレース、ミラノ〜サンレモでNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの初山翔が逃げ、マルコ・カノラが15位でフィニッシュした。© Luca Bettini/BettiniPhoto
3月17日に開催された第109回目のミラノ〜サンレモは冷たい雨に見舞われたが、ミラノのスフォルツェスコ城前から、18のUCIプロチームに加え、NIPPO・ヴィーニファンティーニを含むワイルドカードを獲得した7つのプロコンチネンタルチームの合計174選手が291km先のサンレモを目指してスタートを切った。
スタート直後に初山を含む9人の先頭集団が形成された。9選手の内訳はイスラエルサイクリングアカデミーとバルディアーニCSFが2選手ずつ、ウィリエールトリエスティーナ、ノボノルディスク、ガスプロム・ルスベロのプロコンチネンタルチーム、そしてUCIプロチームのUAEエミレーツから各1選手が先頭集団に入った。
先頭集団は最大で7分近いタイム差を奪ったが、中盤に組み込まれる標高532mのトルキーノ峠でメイン集団がペースアップし、タイム差が1分半ほどに縮まる。しかしその後、海沿いの平坦区間に出るとタイム差は再び広がり始め、一時は5分強まで広がった。
メイン集団をコントロールするのはスカイ、ボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズら。またサンレモに近づくにつれて天候も回復し、太陽と青い海が姿を現した。そしてタイム差は徐々に減っていき、起伏が始まる残り50km地点では2分ほどに。
残り40km地点の起伏区間カポベルタで後続集団がペースアップし、先頭集団も加速。逃げていた9選手のうち初山を含む5選手が脱落し、メイン集団へと戻った。先頭は4選手となり、しばらく先行を続けたが、その後吸収。メイン集団もペースを上げて残り30km地点のチプレッサを越え、最後の勝負どころ、残り5km地点のポッジオへ向けてペースアップするなか、残り10km地点では優勝経験者であるディメンションデータのマーク・カベンデッシュ(英国)がクラッシュ。
ポッジオではいくつものアタックがかかり、そのなかからバーレーン・メリダのビンツェンツォ・ニーバリ(イタリア)が鋭いアタックで先行。得意の下りも利用して単独で集団からリードを奪った。ニーバリを猛追する集団の人数はどんどん減っていったが、18人となったメイン集団はニーバリにわずかに届かず、同タイム扱いとなる僅差でニーバリが逃げ切り優勝。そしてイタリアのプロコンチネンタルチームとしては唯一カノラがメイン集団に残り、15位でフィニッシュした。チームワークも機能し、カノラは2017年の20位から順位を5つあげ、世界のトップ選手相手に大健闘した。
逃げに乗った初山は後方集団でのフィニッシュとなり、トップから15分3秒差の150位で初出場となるミラノ〜サンレモを走破。今回の優勝タイムは7時間18分43秒だった。
© Roberto Bettini/BettiniPhoto
初山翔
初山翔のコメント
チームからの指示は逃げに乗ること。チームにとってもシーズン前半の最大目標レースだったので、スタート前は正直緊張した。求められたレースで逃げに乗ることはたやすいことではない。ましては大舞台。だからこそ逃げに乗れたことに正直安堵した。
300kmにわたるロングレースで完全なるラインレースにも関わらず、観客が常に途切れずにいたのは驚きだった。TVの視聴率がどのくらいなのかは知らないが、世界中の人々に自分を、チームを見てもらえたことがうれしい。なによりチームやチームスポンサーに自分の走りを喜んでもらえたことに喜びを感じている。
できれば、逃げの最後の1人として残りたかったが、全力を尽くした結果であり、時おり降る土砂降りの雨による寒さが自分に悪影響を与えた思う。最大の大舞台でいいレースができたとは思うが、まだ3月。この調子で常に前進し続けたい。
マリオ・マンゾーニ監督
マリオ・マンゾーニ監督のコメント
チームはカノラが一つでも上のリザルトでフィニッシュできるよう(勝利することも夢見ながら)、とても高いモチベーションをもって参戦した。初山かダミアノ・チーマを逃げに乗せ、最後のポッジオの登りではチーム全員がカノラの近くで、彼のために走ることがチームのオーダーだった。初山の走りは完璧なもので、逃げに入り、その後も全力で走りきった。自分が大好きなスタイルだ。カノラもよかったが、最後あと少しの力があればさらによかった。しかし彼は今後さらに強くなるだろう。2018年はチームにとっていいレースだったが、もしトップ10の結果を残すことができれば、完璧で素晴らしいミラノ〜サンレモになったと思う。あとわずかに届かなかったのが残念だ。
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