フランスで開催されているツール・デュ・ロワールエシェールは4月12日に第2ステージが行われた。今大会唯一の200km超えのステージは冷雨による過酷な条件下でのレースとなった。そんな中、キナンサイクリングは4選手がメイン集団でフィニッシュ。最上位は雨乞竜己の27位だった。椿大志はレース前半にリタイア。第3ステージ以降は4選手で臨むことになった。
スプリントによる勝負となった前日の第1ステージ。キナンも雨乞で勝負に出たが、最終盤で集団のいたるところで発生した落車により足止めを余儀なくされ、上位進出はかなわなかった。第2ステージは、そのリベンジに賭ける1日となる。コースはスタートからしばらくは平坦基調が続き、140km過ぎと150km過ぎにそれぞれ山岳ポイントが設定。最後はラ・フェルテアンボーの周回を約3周走ってフィニッシュする。第1ステージ同様にスプリント勝負となることが予想されていたが、天候やレース展開次第では定石通りとはならないことも大いに考えられる。キナン勢は引き続き逃げにトライしつつ、スプリント態勢となれば再度雨乞で勝負することを前夜のミーティングで確認した。
この日は早朝から雨が降り、スタート直後からは強さが増していった。また、気温が10度を下回る過酷なレースコンディション。その中でキナン勢は予定通り逃げにトライを繰り返した。しかしスタートから1時間は平均時速49kmとハイペース。集団全体が簡単に逃げを容認するムードではなかったこともあり、50km地点を目前にしてようやく9人の先行が許される。キナン勢はここに加わることができず、メイン集団内で次なる展開に備えることとなった。
スプリントを狙うチームを中心にコントロールされる集団は、逃げる選手たちを常に射程圏内にとらえながら走行。レースそのものは淡々と進行した。だが、キナン勢にとって痛手となる事態が発生。早いペースに対応できなかった椿がリタイアを決断。フランスのレースでの戦い方を知る選手を失うこととなった。4人になったキナン勢は、その後もメイン集団で走行。逃げグループは人数を減らしながら終盤の周回コースへ。ほどなくして集団も続いた。
キナン勢はここから雨乞のスプリントを狙い、ポジションを上げていきたいところだが、集団全体のペースアップと寒さとがたたり、集団中ほどに位置。集団は逃げを最終周回までに捕まえてスプリント態勢へと移る。雨乞もそれに合わせる形でポジションを前へと動かしていった。
雨乞は狙っていたスプリントに加わることはできなかったものの、集団前方を確保してフィニッシュラインを通過。チーム最上位となる27位。新城雄大が84位、中西健児が99位、塚本一樹が106位。いずれもメイン集団内でのステージを終えた。2日間を終えての総合では、84位の新城と108位の中西が主要選手と同タイム。翌日からの攻勢をうかがう。
翌13日に行われる第3ステージは、ドゥルエ(Droué)からバンドーム(Vendôme)までの178kmで争われる。前半と後半にそれぞれ1カ所ずつ山岳ポイントが設定され、終盤はバンドームの周回を約2周走ってフィニッシュ。周回コースは途中、短いながらも勾配8%の上りがあるほか、未舗装区間も登場。集団全体が活性化することは必至で、個人総合成績を視野に入れたレースが展開されるはずだ。今後4人でのレースとなるキナンとしては、逃げに加わるほか、集団内で好ポジションを確保し、レース全体の動きを見ながら勝負どころに備えることになる。
ツール・デュ・ロワールエシェール第2ステージ結果(200km)
1 アロイス・カンコフスキー(チェコ、エルコフ・アーサー サイクリングチーム) 4時間26分9秒
2 マシュー・ギブソン(イギリス、JLT・コンドール) +0秒
3 ヨヒム・アリエセン(オランダ、メテック・TKH コンチネンタルサイクリングチーム)
4 アルフダン・デデッケル(ベルギー、ロット・スーダルU23)
5 キャスパー・フォンフォルサク(デンマーク、チーム コロクイック)
6 パトリック・クラウセン(デンマーク、リワルセラミックスピードサイクリングチーム)
27 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
84 新城雄大(KINAN Cycling Team)
99 中西健児(KINAN Cycling Team)
106 塚本一樹(KINAN Cycling Team)
DNF 椿大志(KINAN Cycling Team)
個人総合時間
1 ヨヒム・アリエセン(オランダ、メテック・TKH コンチネンタルサイクリングチーム) 8時間49分1秒
2 アロイス・カンコフスキー(チェコ、エルコフ・アーサー サイクリングチーム) +0秒
3 レオナルド・ボニファツィオ(イタリア、AVC エクサンプロヴァンス)
4 マシュー・ギブソン(イギリス、JLT・コンドール) +4秒
5 レト・ミューラー(スイス、シャンベリーシクリズムフォルマシオン) +7秒
6 シーン・レイク(オーストラリア、ベネロン・スイスウェルネス サイクリングチーム)
84 新城雄大(KINAN Cycling Team)
108 中西健児(KINAN Cycling Team)
124 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +2分57秒
127 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +3分47秒
ポイント賞
1 ヨヒム・アリエセン(オランダ、メテック・TKH コンチネンタルサイクリングチーム) 21pts
山岳賞
1 ニコラ・プロドーム(フランス、シャンベリーシクリズムフォルマシオン) 8pts
ヤングライダー賞
1 マシュー・ギブソン(イギリス、JLT・コンドール) 8時間49分5秒
51 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +3分43秒
チーム総合
1 ロット・スーダルU23 26時間27分33秒
25 KINAN Cycling Team +2分47秒
椿大志のコメント
(3月の)ツール・ド・ランカウイ以降調子が下がる一方で、立て直せないままこの大会を迎えてしまった。とてもではないがレースに参加できるコンディションではなかったということ。前日第1ステージを走った時に、位置取りやスピードといったヨーロッパのレース特有の雰囲気を体が覚えていて、レースの空気を感じ取るといった部分を今後に向けた収穫にしたい。レースを通して若い選手によし悪しを都度伝えられなくなってしまったことは悔しいし、もどかしい。それでも、知りたいことや困っていることがあれば相談に乗りたいし、自分からも積極的に発言することでこの遠征の意義を見出していきたい。
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