2019ツール・ド・フランスのコースが10月25日、フランスのパリ国際会議場で発表された。第106回大会は7月6日に隣国ベルギーのブリュッセルで開幕。大会3日目にフランス入りし、反時計回りに一周。前半が中央山塊、中盤がピレネー、後半がアルプスとなる。
2019年は大会最多の5勝を誇るベルギーの英雄エディ・メルクスの大会1勝目からちょうど50年の節目となる。また2019年は総合成績の首位選手が着用する黄色のリーダージャージ、マイヨジョーヌが制定された1919年から100年となる記念の大会。
●2019ツール・ド・フランスのコース
7月6日 第1ステージ ブリュッセル(ベルギー) 194.5km
7月7日 第2ステージ ブリュッセル 27.6km(チームタイムトライアル)
7月8日 第3ステージ バンシュ(ベルギー)〜エペルネ 215km★
7月9日 第4ステージ ランス〜ナンシー 213.5km
7月10日 第5ステージ サンディエデボージュ〜コルマール 175.5km★
7月11日 第6ステージ ミュルーズ〜ラプランシュ・デ・ベルフィーユ 160.5km★★★
7月12日 第7ステージ ベルフォール〜シャロンシュルソーヌ 230km
7月13日 第8ステージ マコン〜サンテティエンヌ 200km★
7月14日 第9ステージ サンテティエンヌ〜ブリウド 170.5km★
7月15日 第10ステージ サンフルール〜アルビ 217.5km
7月16日 休日
7月17日 第11ステージ アルビ〜トゥールーズ 167km
7月18日 第12ステージ トゥールーズ〜バニェールドビゴール 209.5km★★
7月19日 第13ステージ ポー〜ポー 27.2km(個人タイムトライアル)
7月20日 第14ステージ タルブ〜ツールマレー 117.5km★★★
7月21日 第15ステージ リムー〜フォワ 185km★★
7月22日 休日
7月23日 第16ステージ ニーム〜ニーム 177km
7月24日 第17ステージ ポンデュガール〜ガップ 200km★
7月25日 第18ステージ アンブリュン〜バロワール 208km★★★
7月26日 第19ステージ サンジャンドモリエンヌ〜ティーニュ 126.5km★★★
7月27日 第20ステージ アルベールビル〜バルトランス 130km★★★
7月28日 第21ステージ ランブイエ〜パリ・シャンゼリゼ 128km
距離は2019年6月に最終的なものに修正
★は難易度
2019ツール・ド・フランスのポイント
●イズラン峠 Col de l’Izeran (Alpes)
標高2770mのイズラン峠はクルマが越えられる峠としてはアルプス最高峰。ゴール地点は中継車両が駐車する広大なスペースが必要なので、イズラン峠にゴールが設定されたことはなく、過去の大会ではすべてコース途中に通過。山岳カテゴリーは超級。
今中大介が日本人プロとして初出場した1996年は、第9ステージの勝負どころとしてイズラン峠越えが設定されていたが、寒波の襲来で季節外れの冠雪。選手は車両で峠を越え、距離を短縮してスタート。ところがその先のガリビエ峠も通行不能となり、ゴールまでわずか46kmという地点からレースが再々スタート。この常識外れのステージでアタックを成功させたビャルネ・リースが優勝。総合成績でも首位に立ち、そのときのアドバンテージを利して最終的に総合優勝した。
●ラプランシュ・デ・ベルフィーユ La planche des belles filles
ボージュ山地の国立公園内にあるスキーリゾート。かつてはラプランシュという炭鉱があり、その山の上にスキーで滑れる場所を作った。2019年で4度目のツール・ド・フランス登場となるが、2012年、2014年、2017年と常に大会前半の最初の山岳として登場し、すべてこのラプランシュ・デ・ベルフィーユの表彰台でマイヨジョーヌを着た選手が総合優勝している。
2012年の第7ステージでは、ブラッドリー・ウィギンスのアシスト役だったクリストファー・フルームが初優勝。フルームがスパートしたのは残り300mで、それまでは献身的にウィギンスをけん引していたので、ウィギンスが首位に浮上し、マイヨジョーヌを獲得している。
2014年の第10ステージのときはビンチェンツォ・ニーバリが優勝し、マイヨジョーヌを獲得。ウィギンスもニーバリもそのままパリまで首位を死守している。
2017年の第5ステージはファビオ・アルーが優勝。フルームはわずかに遅れたものの、ここでチームメートのゲラント・トーマスからマイヨジョーヌを譲り受けた。その後いったんはアルーに首位を譲るが、最終的に総合優勝したのはフルームだ。
●ツールマレー峠 Col du Tourmalet (Pyrénées)
ツール・ド・フランスを世界最高峰の自転車レースとする転機となったのが、ピレネーにある標高2114mのツールマレー峠を採用したこと。1910年の第8回大会で当時の常識をはるかに超える4つの峠が設定された。その中で最過酷なのがツールマレー峠だ。周囲は針のように屹立した山岳が取り囲み、真夏でも天候が崩れれば降雪する。そんな過酷な条件が勝負どころとして定着し、大観衆が沿道を埋め尽くすようになった。ツールマレーはピレネーの重要な拠点であり、毎年のように登場することも人気の秘けつ。
普段はヒツジの鳴き声や牛の鈴が風に乗って聞こえてくるだけの美しい原野だ。1913年にフレームを欠損したウジェーヌ・クリストフが鍛冶屋に飛び込んで溶接したという集落サントマリー・ド・カンパンは東麓側に16.5km下ったところにある。
●プラダルビス Prat D’Albis (Pyrénées)
ピレネー山麓のアリエージュ県にある台地。標高1211mで、美しい大自然に囲まれ、ハイキングなどのアウトドアスポーツが盛ん。フォワからアクセスする。
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