7月6日 第1ステージ ブリュッセル(ベルギー)

第106回大会の初日はほぼ平たんコースで開催され、瞬発力のあるスプリント系選手によるゴール勝負へ。ユンボ・ビスマのマイク・テウニッセン(オランダ)が写真判定となる僅差でボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)を制して初優勝した。総合成績でも首位に立ったテウニッセンは、オランダ選手として1989年のエリック・ブロイキンク以来30年ぶりというマイヨジョーヌを着用した。

テウニッセン(右から2人目)がゴール勝負を制した ©ASO Alex BROADWAY

まさかのアシスト役がチームの不運を救う

2019ツール・ド・フランス第1ステージ ©ASO Alex BROADWAY

前半戦におけるユンボ・ビスマのエースはディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)。鍛え抜かれた太ももを持つ強豪スプリンターだ。2017年に最終日のシャンゼリゼで区間初優勝して頭角を現した。さらに18年は区間2勝を挙げている。この日、ゴールまでに逃げていた選手をすべて吸収したチームは、フルーネウェーヘンのスプリントにすべてを託した。

ところが残り1.5kmで落車が発生し、フルーネウェーヘンがクラッシュしてしまう。

2019ツール・ド・フランス第1ステージでマイヨジョーヌを獲得したテウニッセン ©ASO Alex BROADWAY

「ディランが落車したとき、ボクたちの作戦は台なしになったと感じた」とテウニッセンはゴール後に語っている。
「彼が地面にたたきつけられたか確認できなかったけど、ボクはスプリントできる位置にいた。ゴール勝負をあまりしたことがなかったので、新鮮な気分だった」

アシスト役のテウニッセンがまさかの展開で代役エースとして勝負に挑み、百戦錬磨のサガンを数㌢の差で抑えた。勝利を手にしたテウニッセンは笑顔を見せたが、その心中は複雑だった。

「奇妙な1日になった。ディランのいるべき表彰台にボクが上ったことを彼が祝福してくれることを願っている」

2019ツール・ド・フランス第1ステージのミュール・ド・グラモン ©ASO Pauline BALLET

シクロクロスから転向してきた26歳。今季になってダンケルクの4日間レースで区間1勝を挙げているだけ。

「マイヨジョーヌを獲得したことをボク自身が理解するのはきっと数日かかるよ」とは言うが、翌ステージのチームタイムトライアルでマイヨジョーヌを守りたいという意気込みを見せた。チームメートにはタイムトライアルの元世界チャンピオンでアルトニー・マルティン(ドイツ)がいて、チームは第2ステージの最有力候補だからだ。

チームは5月のジロ・デ・イタリアでもプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)が初日から5日目まで首位に位置した。2016年のジロ・デ・イタリアで優勝争いを演じたステフェン・クライスバイク(オランダ)もいて、総合成績の上位をねらっている。

2019ツール・ド・フランス第1ステージでマイヨジョーヌを獲得したテウニッセン ©ASO Pauline BALLET

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)グレッグ・バンアベルマート(ベルギー、CCC)
□マイヨブラン(新人賞)カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

2019ツール・ド・フランス第1ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
ブリュッセルのグランプラス広場 ©Milo Profi
ブリュッセルのアトミウム ©www.atomium.be SOFAM Belgium Christophe Licoppe Befocus
ブリュッセルのコーケルベルグ地区 ©ベルギー・フランダース政府観光局
グラモンの壁
ブリュッセルのフォルスト公園 ©ベルギー・フランダース政府観光局
芸術の丘にあるアールヌーボーの建物、楽器博物館 ©Milo Profi
国王の執務室や迎賓館となっているブリュッセル王宮 ©Pieter Heremans
小便小僧 ©Pieter Heremans
歴史あるショッピングアーケード、ギャルリ・サンチュベール ©ベルギー・フランダース政府観光局

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Road toさいたまクリテリウムが9月21日に埼玉スタジアムで開催

さいたまスポーツコミッションは、さいたまクリテリウム当日の参加につながる一般参加型のライドイベント「Road toさいたまクリテリウム2019 in 埼玉スタジアム2〇〇2」の参加者募集を6月5日(水)12時から開始する。

藤田涼平がRoad toさいたまクリテリウムでトップタイムを記録し、本戦への出場権を獲得

埼玉スタジアム2〇〇2公園内にコースを特設し、個人タイムトライアルと複数人で参加するチームエンデューロの2種目を実施する。個人タイムトライアルは特設コース1周約2.6km、チームエンデューロは特設コース1周約2.1kmを周回する。

個人タイムトライアルの各カテゴリーの勝者は、さいたまクリテリウム大会当日に実施予定の個人タイムトライアルレースに招待される。また、チームエンデューロに参加したチームの中から抽選で「男子」カテゴリーの4チーム、「女子」「男女混成」「ファミリー」の各3チームを、さいたまクリテリウム大会当日に実施予定のオープニング走行または一般体験走行に招待。

Road toさいたまクリテリウム2019in埼玉スタジアム2〇〇2

Road toさいたまクリテリウムの女子クラスで優勝した田上萌々子

■主催 一般社団法人さいたまスポーツコミッション
■共催 さいたま市
■競技主管 一般社団法人埼玉県自転車競技連盟
■協力 埼玉県サイクリング協会、公益財団法人埼玉県公園緑地協会、Y’sRoad
■開催日 2019年9月21日(土)
■会場 埼玉スタジアム2〇〇2公園(埼玉県さいたま市緑区美園2-1)
■種目
①個人タイムトライアル
②チームエンデューロ
■募集期間 2019年6月5日(水)12:00~8月30日(金)12:00(先着)

■申込方法 さいたまクリテリウム大会公式ホームページより

7月10日 第5ステージ サンディエデボージュ〜コルマール

ポイント賞1位のマイヨベールを着用するボーラ・ハンスグローエのペテル・サガン(スロバキア)がゴール勝負を制し、今大会初優勝。大会通算12勝目を挙げた。総合1位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)は同タイムの同一集団でゴールし、首位のリーダージャージー、マイヨジョーヌを守った。

サガンが2019ツール・ド・フランスでまず1勝目 ©ASO Alex BROADWAY

サガンが7年ぶりに見せた超人ハルクポーズ

ヤンチャで、いかにも悪ガキっぽい雰囲気が人気のサガン。しかし幼少期からMTBで修得した自転車操縦技術、そして隠れたところで鍛錬する体幹の強さはピカイチ。やはりゴール勝負ではサガンの実力が抜きんでている。「キング・オブ・スプリンター」の称号であるマイヨベールは2012年から1年を除いて6回受賞。これは最多タイ記録だ。唯一2017年のみ逃しているが、これはゴールスプリント時に微妙な危険走行判定を受けて失格になったためだ。

サガンがいきなり頭角を現したのが2012年の第1ステージ。その年は破竹の勢いで3勝し、歯に衣着せぬコメントでにぎやかした。この日のガッツポーズは「超人ハルク」をマネしたもので、2012年にも見せた得意の雄姿。テレビ番組の主人公がいざというときになると緑色に変化することにちなんだという。

キャラバン隊がやって来た ©ASO Thomas MAHEUX

この日はドイツ国境に近いアルザス地方の丘陵地がコースで、前日に勝利したドゥークニンク・クイックステップのスプリンター、エリア・ビビアーニ(イタリア)ら純粋なスプリンターは途中で遅れていた。サガンの強さは起伏がちなコースでも先頭に位置して、最後のゴール勝負に加われることもある。

「勝利を目指して常に積極的に行かなくちゃいけない。平たん部分を含めてチームメートが完ぺきにコントロールしてくれた。だから最後にボクたちチームが目指していた勝利をつかむことができたんだ。まずはチームメートの働きに感謝したい」とサガン。

みんなこの日を待っていた! ©ASO Alex BROADWAY

かつては若気のいたりで、表彰式女性のお尻にタッチして問題に。事後に謝罪するという失態もあった。しかし3年連続で世界チャンピオンになると、人間としても成長。サインをもらうために出待ちをしている子どもたちの前に必ず立ち止まり、握手や写真を一緒に撮ったりする。

ポイント賞争いでは頭ひとつ飛び抜けている。最多記録更新となる7回目の受賞も夢ではない。

2019ツール・ド・フランス第5ステージ ©ASO Alex BROADWAY
ボージュ山系を走る ©ASO Alex BROADWAY

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)

2019ツール・ド・フランス第5ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
サンディエデボージュ、教会の中庭 ©Ville de Saint-Dié-des-Vosges
サンディエデボージュ盆地のながめ ©Ville de Saint-Dié-des-Vosges
サンディエデボージュ、ツールドラリベルテ ©Ville de Saint-Dié-des-Vosges
コルマール ©Office du Tourisme Colmar
コルマール ©CRTA Zvardon
コルマール ©Office du Tourisme Colmar

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第4ステージにもどる≪≪   ≫≫第6ステージにすすむ

7月9日 第4ステージ ランス〜ナンシー

ドゥークニンク・クイックステップのスプリンター、エリア・ビビアーニ(イタリア)が大集団によるゴール勝負を制して初優勝。チームはジュリアン・アラフィリップ(フランス)に続く2日連続のステージ優勝となり、さらに前日に首位に立ったアラフィリップがその座を守った。

2019ツール・ド・フランス第4ステージはランス大聖堂をスタート ©ASO Pauline-BALLET

ビビアーニ初優勝。マイヨジョーヌのアラフィリップも勝利をアシスト

フランス北東部のナンシーにはこれまで15回ゴールしているが、地元フランスの4勝を上回っているのが、5勝のイタリア勢だ。この町はイタリアから移民してきた人が多い。フランスの元サッカー選手ミシェル・プラティニもイタリア移民だが、国内リーグではこのナンシーでデビューしている。それだけにイタリア選手が頑張らないわけがない。

序盤からステージ優勝を目指した選手らが先行したが、有力スプリンターを擁するチームが逃がすわけはない。ゴールまでの残り距離を把握しながら徐々に差を詰めていき、終盤にすべての選手を吸収した。こうなれば瞬発力のあるスプリンターがいて、それをけん引するアシスト陣がいるチームが主導権を握る。

マイヨジョーヌのアラフィリップ ©ASO Pauline-BALLET
2019ツール・ド・フランス第4ステージで逃げ続ける3選手 ©ASO Pauline-BALLET

抜きんでた力を発揮したのはドゥークニンク・クイックステップだ。残り1kmからは首位のマイヨジョーヌを着るアラフィリップがけん引役を引き受けた。さらに2人のアシストがハイペースで引っ張り、ビビアーニが最も得意とする残り180mから一気にスパートし、アヌシーでイタリア勢の6勝目を記録した。

ビビアーニはジロ・デ・イタリア5勝、ブエルタ・ア・エスパーニャ3勝を誇るトップスプリンターだが、ツール・ド・フランスには2014年しか出場していない。2015年から2017年はスカイ(現イネオス)に所属していて、メンバーはクリストファー・フルームを総合優勝させるためのアシスト選手が選ばれたので、ビビアーニに出場機会はなく、これが初勝利となった。2018年に現チームに移籍したのが成功の引き金となった。

ビビアーニ(右から2人目)がツール・ド・フランス初優勝 ©ASO Pauline-BALLET

「今年最大の目標が達成できた。第1ステージで勝利を逃したけど、昨日アラフィリップが勝ってくれてチームに勢いがついた。これでミッションがコンプリートできたと感じている」

これで三大大会全制覇。もともとリオ五輪トラック競技の金メダリストで、2020年東京五輪ではトラックに復帰することも計画されている。

ステージ優勝のビビアーニ(左)マイヨジョーヌのアラフィリップ ©ASO Alex-BROADWAY
2019ツール・ド・フランス第4ステージ ©ASO Alex-BROADWAY

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥークニンク・クイックステップ)
マイヨベール(ポイント賞)ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
□マイヨブラン(新人賞)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ビスマ)

2019ツール・ド・フランス第4ステージのコースマップ(クリックすると拡大します)
ランスの大聖堂 © Cyrille Beudot
ランス近郊ヴェルゼネ © Cyrille Beudot
ランス、シャンパーニュ・メゾンのテタンジェ ©Carmen Moya
ナンシーの街、夜の風景 ©Regine Datin
ナンシーのカリエール広場 ©Regine Datin
ナンシーのスタニスラス広場 ©Regine Datin

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第3ステージにもどる≪≪   ≫≫ 第5ステージにすすむ

ツール・ド・フランスを記念した特別ホイールセット発売

アメアスポーツジャパンのMAVICは、2019年7月に106回大会を迎えるツール・ド・フランスの開幕を記念して、ステージよりインスパイアされたデザインのホイール3モデル、SPECIAL EDITION WHEELSETSを2019年6月4日(火)より発売する。

今回の大会はマイヨ・ジョーヌの誕生100年とツール・ド・フランスで5勝しているエディ・メルクスの初優勝から50年を祝う106回大会となり、2019年7月6日にメルクスの故郷ベルギーの首都ブリュッセルで開幕。大会史上前例のない、標高2000m越えの頂上ゴールが3ステージ含まれた過酷な山岳コース、この3ステージにちなんで、3つのフィールド、3種類のリム高、3つのグラフィック、3つの勝利と“3”にこだわったコレクションになっている。

3つのグラフィックが用意される

COMETE PRO CARBON

コメット。新しいUSTロードチューブレステクノロジーが特徴である最新のエアロホイールシステムにより、抵抗を最小限に抑えることで転がりを速める

◆デザインコンセプト
スプリンターより切望された、第106回ツールドフランスのステージよりインスパイア。ユニークなグラフィックのこのスペシャルエディションは2019ツール・ド・フランスのルートにおける最速ステージを記念。

COSMIC PRO CARBON

コスミック。新しい45mmリム高の形状とチューブレステクノロジーによって、このオールラウンドホイールはどのような地形でもパフォーマンスを促進

◆デザインコンセプト
第106回ツールドフランスのパンチのある起伏の厳しいステージよりインスパイア。ユニークなグラフィックのこのスペシャルエディションは2019ツール・ド・フランスが訪れた場所で最も象徴的な土地を記念。

KSYRIUM PRO CARBON

キシリウム。軽量カーボンホイールで、登りやコーナーを速く駆け抜け、同時にUSTの性能を備える

◆デザインコンセプト
第106回ツールドフランスの神話に出てくるような山岳ステージよりインスパイア。ユニークなグラフィックのこのスペシャルエディションは2019ツール・ド・フランスにおける山岳である山中の道を通るルートを記念。

●マビックの日本語ホームページ