クルマも洗うのだから自転車だってラバージュ(洗車)する。そんな時代になった。ケミカルとジェット水流を使った豪快なラバージュはツール・ド・フランスなどの現場で見かけたが、それをやってくれる自転車店も増えている。ロード&トラック日本代表チームメカニックを務めている高橋優平さんにラバージュしてもらった。
ツール・ド・フランスの現場テクが日本上陸
自転車だって洗ってほしい。自分でこの作業をする際は、ディグリーザーとよばれる脱脂剤や潤滑剤、フレームに塗布するワックスなどを購入してやる。ところが庭やガレージなど水洗いできる環境がないとやりにくい。おまけに、なにも考えずにアワアワにして、水で吹き飛ばせばいいというわけでもない。回転軸に塗布したグリスを水で流してしまったりするからだ。だから迷わずプロに任せるのがベスト。
高橋さんが自転車メンテナンスショップとして2019年末にオープンさせたリンボサイクリングでも、整備メニューの1つとしてラバージュがある。汚れた愛車を持ち込めば30分できれいに仕上げてくれる。実際の作業時間はわずか20分。ナショナルチームの合宿や遠征先で代表選手の機材を毎日整備してきたプロだからできる離れ業だ。
自転車を洗うという作業はツール・ド・フランスをはじめとした本場ロードレースではあたりまえのシーンだ。従来型の自転車店ではやらないが、欧州を知る高橋さんらプロメカニックが導入し、一般の人向けにメニュー化した。大阪府には、イタリアを拠点としたチームでメカニックを務めてきた福井響さんが自転車の洗車専門店「ラバッジョ」をオープンしたほど。福井さんが西の雄なら、東の横綱が高橋さんということになる。
あっという間にピカピカ
ラバージュの作業工程はいたってシンプル。持ち込まれた自転車のサイクルコンピューターやライト、携帯ポンプなどの小物を外す。電動変速システム搭載の自転車でもバッテリーなどはそのままでも問題ないという。
高橋さんはまず、厨房用シンクを改造した洗車台にフレームを固定し、ディグリーザーでチェーンやギア、クランクシャフトの油汚れをハケを巧みに使って落とす。水洗いしてから台所用の一般的な中性洗剤を泡状に活性させて吹きつけていく。
「ディグリーザーを使ってもうっすらと被膜が残るので中性洗剤で取ってあげるんです」と高橋さん。
さらに別のスポンジを手に取り、フレームを洗浄していく。続いて車輪。特に後輪のフリーホイールと呼ばれる多層ギヤ部分は汚れが落ちにくいが、ギヤの隙間まであっという間にきれいに。
「洗っている最中にパーツの緩みやタイヤの傷を発見したりすることもよくあります」
最後はエアコンプレッサーで水をはじき飛ばし、駆動パーツの軸部分に注油。フレームもワックスで仕上げてくれる。代表メカニックだけにその作業はすばやく正確だ。
「自転車もわが子のようにかわいがってほしい。汚れが気になったら気軽に来てください。イベント参加前にきれいにするのもいいと思います」
料金は税込み3000円。作業の専門性を考えると割安感があるが、来店のきっかけ作りとしてあえて価格設定を抑えているという。
Limbo Cycling(リンボサイクリング)
ロードとトラック日本代表チームメカニックを務めている高橋優平さんの自転車整備店。「自分のものを大切にしてほしいからメンテナンス屋を選んだ」という。定期整備や特殊パーツ交換など、自転車のタイプを問わず一手に引き受ける。ラバージュは作業時間30分で要予約。
住所=埼玉県戸田市下前2-12-9
●Limbo Cyclingのホームページ