自転車産業界の多様な分野での活躍を目指して学ぶ東京サイクルデザイン専門学校。最終学年となる3年生が渋谷や青山界わいを女性が走行するのにちょうどいい自転車を作った。意外と坂が多いエリア。自転車に乗り慣れていない女性。6グループに分かれた学生はすべて男子。他クラスや系列校の女子にヒアリングしながらオンリーワンの自転車をプロデュースした。
入学時からコロナ禍にほんろうされた学生たちがアイデアを競う
社会で役に立つ自転車を作ろう。自転車のことを専門に学ぶ学生たちが授業で得た知識の集大成としてオリジナルの1台を作るプロジェクト。今回で3回目となるが、入学時からコロナ禍にほんろうされた3年生が頑張った。
与えられたテーマは同校のキャンパスがある渋谷・青山界わいで乗る女性。まずは女子学生へのヒアリングを行い、それをもとにコンセプトを設定し、実際のデザインを考える。強度や乗りやすさ、機動力と安全性、荷物の運搬能力、女性が求めるものなどあらゆる要素が課題として浮かび上がり、時に意見が衝突しながらもゴールを目指した。
渋谷と青山はその名の通り、谷あり山ありの地形だ。名前のついた坂だけで40もある。脚力のない女性が自転車をこぐ際には電動アシストとパワーが必要。4〜5人で編成された6グループすべてが太陽誘電の開発した回生充電ユニットを採用。つまり電動アシスト自転車となった。
各グループはBGMを乗せたプロモーションビデオを制作するなどで完成した自転車を発表。ものづくり企業にも負けない組織力を発揮した。同校の就職率は98.5%。「自転車の世界で働きたい」という夢を実現し、蓄積した知識と経験を携えて業界に新しい風を吹き込む人材になるはずだ。
休日のカフェを巡り、公園で一息つくモデル
グループごとに開発自転車のコンセプトを発表。休日のカフェを巡り、公園で一息つくためのモデル。前カゴ内に折りたたみ椅子が入っていて、テーブルとなる後ろ荷台はスタンドで自立させた時に水平になるという設計。
いわゆる社用車だが、渋谷のOL向けのアイデアを搭載
渋谷で会社勤めする女性社員が郵便の投かんなどで社外に出たときに使用するイメージ。金属プレートに覆われた部分に荷物が入る。
料理を運ぶ前カゴはハンドルを切っても動かないという設計
フードデリバリーの配達員が使用する自転車。リュックを置く前カゴはフレームに固定されるのでハンドルを切っても動かない仕様に。アップライトな乗車姿勢も安心。
前後バランスがよく、スカートの女性でも安心走行
スカートでも乗れるデリバリー用自転車。長時間勤務でも疲れないように荷物は後ろカゴに積載し、前後バランスを取った。
アアクセサリーのようなデザインとカラーリングで女性向けに
女性が身につけるアクセサリーをイメージした会社用自転車。細身のデザインで、またぎやすい低床フレームを採用した。
渋谷の路地でも足がすぐつくので安定走行できるモデル
雑貨屋巡りが楽しくなるというコンセプトの電動アシストキックボード。乗り慣れていない女性でも渋谷の狭い路地を走りやすくなるように設計。撮影場所は同校の中庭
コンセントからの充電なしでサイクルする電動アシスト自転車の登場も現実味
各グループが採用したのは太陽誘電の回生充電ユニット。下り坂のブレーキで発生するエネルギーを利用して走行中に充電する。将来的にはコンセントからの充電なしでサイクルする電動アシスト自転車を目指して改良を続けているもの。
夢物語かと思って同社回生システム開発部の橋詰貴雄さんに話を聞くと、「自転車はペダルを踏むという原動力があるので、実現可能です」と自信満々。
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