中東を舞台とした5日間のステージレース、ツアー・オブ・オマーンは2月14日に第4ステージが行われ、JCL TEAM UKYOの山本大喜が1分29秒遅れの36位でゴール。総合成績で34位から29位に浮上した。
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ツアー・オブ・オマーン第4ステージ、スタート地点は首都マスカットから120km離れた標高 500mの街。この日はレース最長の205kmのステージ、70kmを過ぎた地点からマスカットに向けて下り基調になるレイアウトだ。しかし、ラスト15kmからは海から再びそびえ立つ山中に入っていく上、終盤に山岳賞やスプリント賞が集中しているため長距離で体力を奪われた終盤にハードな展開が待ち受けた。
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そしてこの日はスプリント賞やゴール勝負で得られるボーナスタイムでも総合順位の逆転が可能な接戦により、レース展開がワールドツアーチームの出方で大きく変わってしまうことが懸念された。JCL TEAM UKYOは石橋学を先手に攻撃に出ることで展開を落ち着かせ、終盤の展開に山本と小石祐馬を温存する作戦でスタートに並んだ。
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午前10時15分、レースはスタートから動き出した。これまでと違うのは、プロトンを飛び出していく選手が総合上位圏外のワールドツアーチームのメンバーであるということ。この展開によりチェックするプロトンのスピードは高速化、最初の2時間を47km近いアベレージで進行していく。
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石橋、武山晃輔、岡篤志もアタックにチャレンジするが、ワールドツアーチームの追撃に飲み込まれてしまう。しかし状況が一転。最初のスプリントポイントを前に強烈なスピードでウノXのフレドリックが飛び出した。敢闘賞の総合成績で2位につけているフレドリックはプロトンの追撃を凌駕し走り続けた。
この展開に3名が加わると、100km地点を過ぎてようやく3分差のエスケープグループを構成。すでに下り基調となったコースにコフィディスやモビスターの牽引するプロトンは、エスケープグループと距離を読みながら終盤の戦いに備えた。
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JCL TEAM UKYOは補給をこまめに取り、山本と小石の風よけとなりながら終盤に備えた。スタートして4時間弱、先行との差は1分半。ゴールまで15kmの地点からの登り で一気にペースが上がった。ここで山本と小石、ベンジャミ・プラデスはメンバーのアシストを受けて前方で登りに入る。一気に絞られていくプロトン、逃げていた選手をキャッ チすると展開は激化。
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この展開に食らいつく山本も少し離れては下りで追いつくなどピークの状態だったが、なんとか耐え抜いてゴールスプリント目前にトップグループの中に入り込む。そして、一気に横に広がったスプリント合戦を制したのはUAEエミレーツのディエゴ・ウリッシ、本命の実力を見事に発揮した。
山本は36位でゴール。53秒遅れて小石、プラデスと続き、JCL TEAM UKYOはこのロングステージを全員が走り切った。第4ステージを終えて山本は総合成績を34位から29位にアップ、ターゲット通りの走りができた。
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翌日は最終ステージで、さらに激しい総合争いにどこまで順位を上げていけるかが大きな目標 となる。
「今日は前半から作戦通りメンバーが攻撃をかけましたが、展開が厳しく作戦通りにはいきませんでした」と山本。
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「しかし終盤の展開に向けてみんなが風よけになってくれたり、ボトルを運んでくれたり、前方へエスコートしてくれたりと僕らを優位に運んでくれました。登りではトップについていくのがギリギリの状態でしたが、下りでバイクが伸びてくれて最後はメイングループでゴールできました。体調もいいので明日も全力で頑張ります」
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「今日もみんなよくやってくれました。前半100kmが全くスピードが緩まないという展開でしたが、レース中にコミュニケーションをとれた連携で山本の総合順位を上げることにも貢献しました。レースだからこそチームが成長できる、どんどんいい状態になっています。明日も頑 張ります」と清水裕輔監督。
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