中東を舞台とした5日間のステージレース、ツアー・オブ・オマーンは最終日となる2月15日に第5ステージが行われ、JCL TEAM UKYOの山本大喜が6分07秒遅れの総合32位、小石祐馬が。7分57秒遅れの総合38位でフィニッシュした。
ツアー・オブ・オマーン第5ステージ。山脈の麓をスタートし、標高500m前後をアップダウンを繰り返す152.5km。ゴールまでの5.7kmは10%超えのクライムが続くレイアウト。JCL TEAM UKYOは第4ステージを終えてトップから2分4秒遅れの総合29位に山本。
最終日となるこの日、最後の山での走りが総合成績に大きな影響を与えることもあり、終盤 に至るまでの山本のポジションを守ることを最優先に考えた作戦でスタートに並んだ。
レースはスタートして間もなく、石橋学を含めた7名のエスケープが形成された。一気に2分のタイムギャップが開く。これはこのグループに総合を脅かす順位の選手がいないこと、コース後半に2度のスプリント賞が設置されていることもあり、僅差で総合優勝を争うリーダーチームとしては逃げを前半に容認して後半勝負に持ち込みたい思惑によるものだ。
こうして3分以上の差がつかないように続いたコントロールは終盤まで続くことになる。石橋を送り込んでいるJCL TEAM UKYOはこれで有利な状況となる。プロトン内で終盤に備え、補給やいいポジションをキープして山本をフォローした。
残り20km、エスケープグループは人数を減らし5名となるが、石橋も粘る。いよいよレースは終盤、コースは山岳へと進路を変え、6kmで600m登るヒルクライムに入った。麓で1分を切っていた差は途端に縮み、レースは振出しに戻った。
そして、総合上位のエース級の選手たちがレースの最前線に現れる。一気に14名に絞られたグループからも、さらに4名がスパートしたことで崩壊。ハイペースの厳しい登りにバラバラになり、各々の力が登りのポジションとなる。山本、小石も30位~40位のポジションで必死にペダルを踏み続ける。
そして、勝負は総合トップのモビスターのマッテオ・ヨルゲンソンと総合3位のマウリ・ファンセベナント(スーダル・クイックステップ)の一騎打ちに。10%強の登坂を駆け抜けトップでゴールに現れたのはファンセベナント。ゴールのボーナスタイムであわや逆転という展開だったが、ヨルゲンソンがゼロ秒差で後ろに付き切り、1秒差という僅差で総合リーダーの座を守った。
第3ステージ同様、続々とゴールに辿り着いた選手たちがバタバタと倒れていくなかに小石が現れた。順位はトップから3分43秒差の37位、そして山本もゴール、苦しみに空を仰ぎ力を出しつくした様子だった。
しばらくしてアシストを終えたメンバーたちに続き、この日130km以上逃げ続けた石橋もゴール。UCI 2-PROクラスのステージレースで全員完走を果たした。小石の好走の結果、総合40位以内に加算されるUCIポイントを2名が獲得し、JCL TEAM UKYOの今回の一つの目標を達成する結果となった。
全5ステージ 830kmのレースは1秒差で総合優勝が決まる熾烈な戦いとなった。サウジツアー、ツアー・オブ・オマーンを経験し確実に成長を遂げた選手たち。これから本格化するレースシーズンに大きな刺激を与えてくれた中東遠征となった。
「1戦1戦チームらしくなってきました。今日もみんなが守ってくれて、 最後もいい位置で山に入れました。日に日によくなる自分のコンディションに大きな期待を賭けて挑みましたが少し順位を落としてしまいました。小石が近くにいてくれたのは心強かったです。この力を次の レースにぶつけていきたいです」(山本)
「サウジツアーの不調から徐々に調子も上げてこれました。この経験を来年のこのレースに向けてまた準備し、いい結果を目指していきたいです」(小石)
「石橋の逃げはチームに有利な状況を作ってくれました。僕らコン チネンタルチームの戦い方をしっかりと大会に表現できたと思います。 厳しいレースの中で小石と山本がUCIポイントを獲得したことは大きな価値があると思っています」(清水裕輔監督)