【ツール・ド・フランス旅日記 episode13】聖地で目撃したツール・ド・フランスの実力

112回の歴史のなかでポーがステージとなるのはなんと76回目。でもポーには泊まりません。下道で40km離れたところにルルドがあって、世界中からキリスト教信者が集まるのでホテルにはこと欠きません。

ツール・ド・フランスのスタートとなるときはここがチームバスで埋まる

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ピレネーを見ながらお昼ごはん。稜線の向こうはスペイン

「人間の死」というものを意識せざるを得ない

第12ステージのゴール、オタカムは行政的にはルルド。毎年欠かさず通過するツールマレー峠も下山の渋滞に苦労するかもしれませんが、ルルドに宿を取ってあれば安心です。毎年のパリ宿泊は最終日の夜だけですが、ルルドには毎年2〜3泊はしているので、フランスで一番多く過ごしている町です。

カトリックの聖地であるルルドってどんなイメージがありますか? ろうそくを点して練り歩くミサが幻想的とか、一度は訪れてみたいピレネー山麓の観光名所とか。ボクにとってここは、自戒の町として毎年必ず訪れるようにしています。

ルルドの土産物店。聖母マリアをかたどった水入れなどが売られている

聖地ルルドはベルナデットという少女が不治の病を治すという奇跡の泉を発見した町です。以来、世界中から生死の境をさまよう人たちが、最後に神にすがるために訪れます。杖や車椅子なんてものではなく、ベッドで運び込まれる終末患者もいます。家族に病人がいる人は土産店で聖母マリアをかたどったペットボトルを買い、水をくんで遠い国まで運んでいきます。そのシーンは人生観が変わるほど衝撃的。健康でいることのありがたさを実感します。

ルルドは移民も多いのでイタリアやスペインなど多様なレストランが混在する

ここまでやるんだ?! ツール・ド・フランスの実力を見た

今年の第14ステージはポーをスタートしてルルドを通過します。ルルドもたまにスタート地点となることがあり、そのときに目撃したことがあまりにも想像を超えていて開いた口がふさがりませんでした。

世界中から信者が集まる聖地ですよ。ツール・ド・フランスのスタートの日、その象徴であるノートルダム・デュ・ロザリー教会の真正面にチームバスが問答無用で乗りつけたのには、驚きというよりも見事さを感じました。日本で言えば大相撲の土俵を自転車で乗り回すような感じです。ある意味で「ツール・ド・フランスってここまでやるんだ!」と、改めてその実力を再認識したのです。

夜のろうそく行列が始まった
2025ツール・ド・フランス第12ステージはピレネー ©A.S.O.

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