【ツール・ド・フランス旅日記 episode19】フランスのホテルで悲喜こもごも

ルート・オ・ソレイル(太陽への道)という愛称を持つA7高速。陽光輝く地中海に向かうイメージですが、今回は北上。つまりパリを目指します。でも進行方向にパリの標識が出ません。リヨンとかはあるのですが、まだまだ遠いんですね。明日から2日間はアルプスなので、それを乗り越えてからが最後の正念場です。

警備にあたる地元警察官も記念のセルフィーを撮るなどうれしそう

🇫🇷関連記事🇫🇷
【ツール・ド・フランス第17S】ミランが残り少ないスプリント勝負で勝利
Tour de France 2025特集サイト・トップページ

フランスに700泊した経験は悲喜こもごも

A7と並行して走るN7国道には駆け出し時代に苦労した思い出しかありません。オランジュ、モンテリマール、ヴァランス。街道筋のさびれたホテルに飛び込んで、空き部屋があってホッとしたのもつかの間、シャワーのお湯が出ないで男のコなのに泣き崩れました。

これがF1ホテル。朝食なしで70ユーロなのでそんなに安くない

そしてツール・ド・フランスは第17ステージとしてA7沿いのステキなコースを設定してくれました。前日はアコーホテルグループにあって最低ランクのホテルF1に。取材を始めたころはチェーン系なので予約しやすく利用していましたが、トイレ・シャワー共同で、ベタベタの床と蒸気が溜まった狭い空間でパンツを履くのが不快で。

10年ほど前からタオルも部屋にないので、自分のものを持っている必要がある

今はフランス人がそうしているのでタオルを腰に巻いて部屋に戻ります。タオルは部屋についていないので自分のものを持ち歩く必要があり、これがちょっと小さいんですよね。大変だった時代を再確認するために、最後に1泊だけお世話になりました♪

コード番号で部屋を開ける。夜中にトイレに行ったときにこれを持って出ないとアウト!

F1に泊まったもう一つの理由は第17ステージのスタート地点がすぐであること。朝のランで走りに行って、駐車位置や退出路の動線を確認。注意しないといけないのはホテルがあまりにも近いと進路がブロックされて結局大きく迂回しないと入れないことがよくあります。当初はプレスアバン(選手の出発より先にコースインする取材車)に置くつもりでしたが、オーコース(コースインしないで迂回路利用)がスムーズだと変更。そのとおりになって楽な気分でゴールに到着しました。

ホテルから出たところのロンポワンが関係車両以外進入禁止地点になっていた

ツール・ド・フランスに慣れない町の悲喜こもごも

第17ステージのスタート地点は初めての招致に成功したボレーヌ。待ちに待ったツール・ド・フランスなので、町をあげての準備態勢。前日の迂回路だったので見ていたんですが、A.S.O.からあらかじめ各種表示看板をもらっていたようで、町の人たちがそれなりに検討して掲示してありました。

早朝からスタート地点の中心街は道路封鎖

でも本職のツール・ド・フランス帯同者はそれが意に召さないようで、すべて引きはがして貼り直し。まあボクが見てもちょっと違和感がある掲示だったので仕方ないです。それが必要な人が誰で、その結果としてスムーズに動けるようになるのが最優先なので。

初めてツール・ド・フランスを迎えたヴォークルーズ県のボレーヌ

フランスはロンポワン(環状交差点)ばかりなので看板表示が独特です。説明が難しいんですが、日本の道路だったらそこにその方向で看板をつけないよなというところに設置します。そしてボクたち関係者は看板を見つけるとホントに安心します。Y字路や枝道に入るときは看板に絶妙な傾斜がつけられて、こっちに行けと指示。まさにプロフェッショナルです。意図を瞬時に読み取って先に進む必要もあります。

サイクリングツアーのバイクカーゴ
自転車を固定できるようになっている牽引カーゴの内部

ホテルは勝手知り尽くしたチェーン系だと遅くなっても安心ですが、ワクワク感はありません。ホテル予約サイトではいろんなタイプが選択できて、人生の中でも多くの経験をさせてもらいましたが、最近はシャンブルドット(民宿)がいいなあと。かつては探すのが大変で、家に着いたら疲れているのにフランス語会話教室になってしまい。

でもGPSでとんでもないところにある家まで着ける。コロナ禍で変わったのか、経営者が絶妙な距離を取ってリスペクトしてくれます。F1ではなくシャンブルドット、おすすめです。

スタート地点のヴィラージュで朝ごはん
2025ツール・ド・フランス第17ステージ ©A.S.O.

講談社現代新書ツール・ド・フランスは電子書籍で発売中!

ツール・ド・フランス110年の歴史を簡単に知るのに最適。ご利用の電書版で気軽に購入できます。880円。

ツール・ド・フランス【電子書籍】[ 山口和幸 ]

価格:880円
(2025/2/12 14:25時点)
感想(1件)