2020東京五輪の新種目として採用されたBMXフリースタイル競技の「パーク」。20インチ車輪の自転車に乗り、人工セクションを使って宙返りするなど、いかに難易度の高い技を決めて高得点をたたき出すかなどで争われる。メダル獲得の期待がかかるのが中村輪夢(なかむらりむ)。17歳の注目選手だ。
一躍、世界の強豪選手の仲間入り
BMXフリースタイル・パークの五輪出場枠は男女とも9選手と狭き門だ。5月12日付けの国別世界ランキングで大枠が配分される。日本は現在5位で1枠獲得の圏内だが、6位以下に陥落しても開催国枠で救済される。つまり男女それぞれ1選手が出場することは確実だ。さらに日本自転車競技連盟が定める五輪代表選考基準を照らし合わせて判断すると、個人別世界ランキング4位の中村が男子の日本代表となるのは間違いない。
2002年2月9日生まれ。父が京都市でBMXショップを経営し、幼少期から競技を始めた。「輪夢」は自転車ホイールの「リム」から命名された。5歳で大会に初出場をすると、小学校高学年の頃にはキッズクラスにおいて全ての大会で優勝。中学生でプロ転向を果たした。2017年から積極的に海外主要大会を転戦。現在は世界の強豪としてメダルが手の届く位置まで成長した。しかも世界ランキング40位までに10代の選手は中村しかいない。それだけ急成長の存在だ。
ジャンプ中に縦回転のバックフリップ、横回転の「360」などに挑戦し、自転車だけを回転させるテールウィップやハンドルを回すバースピンなどを組み合わせて、高難度の技を連続的にくり出していく。審判団の採点基準は難易度と完成度を重視。難易度の高いトリックでも着地時に転んでしまうと20点減など細かくて規定されている。難易度の高いトリックをミスなく、どれだけメイクできるかがで勝敗が決まる種目である。
中村は2019年のUCI(国際自転車競技連合)ワールドカップ広島大会で準優勝。同年11月に中国・成都で開催されたBMXフリースタイル・パークのワールドカップ第3戦で優勝を果たし、全3戦の通算による年間総合でもシリーズチャンピオンを獲得した。
2019年11月末にシーズンが一段落したが、12月はじめにはオーストラリアに練習に向かった。
「ボクたちBMXフリースタイル選手は五輪を経験したことがないので、いろいろな五輪代表選手から話を聞きながら準備をしていきたい」と中村は意欲的だ。
ワールドカップランキングで1位になったので、この勢いで2020年に乗り込みたいといいつつ、「海外勢とはまだレベルの差があると感じています。もっとうまくなってさらなる成績を残したい。」とも冷静にコメントする。
「今は練習が楽しいです。これからの半年は毎日練習して世界のトップ選手と並ぶ位置まで向上したい。2019年に初めてワールドカップとXゲームズの表彰台に立てたけれど2位2回と1位1回。全部優勝できるように2020年は一生懸命やっていきたい」という。
「まだ出場できると決まったわけではない」と前置きした上で、東京五輪への思いも熱く語る。
「出るからには悔いのない走りをしたい。それができればメダル獲得という成績もついてくると信じています」
BMXの東京五輪競技場は有明に
BMXフリースタイル・パークは幅15m・奥行き25mを最小限に、どちらも60mを超えないフォールドに木製あるいはコンクリート製のさまざまなセクションを配置する。東京五輪の競技会場は江東区に新設される有明アーバンスポーツパーク。
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