JCL右京が想定外の存在感を示してサウジツアー5区間完走

サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは最終日となる2月3日に第5ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)のベンジャミ・プラディスが区間12位、岡篤志が13位に入った。

サウジツアー最終日のJCL右京 ©JCL

総合成績では6分7秒遅れの38位に山本

第5ステージ、ここまで総合でトップに立つのはモビスターのアルメイダ・ゲレイロ。この日はやや起伏が穏やかなコースではあるものの、総合時間でワールドツアーチームの2名が僅差に迫る状況に彼らの鋭い攻撃に対してシビアに反応をすることが予想された。

また今回はコースの後半に9kmの砂の浮いたダートセクションがあり、ペースアップなどでダ ートでのトラブルを回避したレースメイクをしてくる可能性もあった。JCL TEAM UKYOは、 トップチーム同士の駆け引きの隙間のタイミングを狙ってくる数名のエスケープに乗り、ゴー ルスプリントになる場合はレイモンド・クレダーや岡をエスコートしていく作戦で挑んだ。

サウジツアーを完走したJCL右京の6選手 ©JCL

レースはスタートしてから18km地点までは、アタックがなかなか決まらない展開で進行する。ここで抜け出しに成功したのはアクティブスプリント賞ジャージを着るウノXのマーカス・ハンセンを筆頭とした5名の選手。

ワールドツアーとプロツアーチームの選手たちで構成されたメンバーではあるが、ここに総合成績を揺るがす選手がいないことから、リーダーチームのモビスターは逃げを容認。マーカスはアクティブスプリントポイントを狙ってレースをリードし続けた。

サウジツアー第5ステージ ©JCL

一方、JCL TEAM UKYOはモビスターがコントロールするグループの中で次なる展開に備えるために、総合成績で39位につけている山本大喜を30番手で位置させて単騎でも動けるポジションをキープ。また、いざチームで動くときに入る場所も山本を前方に置くことで確保した。

時間が経過し、前方で逃げ続ける強力なエスケープグループはダート区間に入り30秒の差に迫らた。しかし、このセクター後に設けられたボーナスタイムの懸かったポイントを僅差の選手に取らせないためモビスターの絶妙なコントロールが続く。

サウジツアー第5ステージ ©JCL

ボーナスポイントを抜け、残り20kmになるといよいよレースはクライマックス。ラスト5kmを過ぎても続くエスケープに展開によっては逃げ切りも現実味を帯びた状況だったが、各チーム のスプリントトレインがゴールを目前に一挙に現れるとエスケープを吸収。ここで前方に位置する山本にプラデスと岡が合流すると他チームのトレインに乗りポジ ションアップを図った。

格上チームを相手に存在感を見せたJCL右京勢 ©JCL

しかし、最前列でのポジショニングに至らないため、プラデスと岡はワンテンポ早く400m近くから一気にスパートしゴール直前のポジションアップを狙った。ワールドクラスのスプリンターが最前列に並んだ大混戦を制したのはコフィディスのシモーネ・コンソーニ。そして、すぐ後ろで前方までポジションを伸ばしたプラデスと岡が12、13 位とゴールに飛び込んだ。

厳しい自然環境の中で行われた5ステージ、総距離830kmのサウジツアー。個人総合優勝を遂げたアルメイダ・ゲレイロから遅れること6分7秒でゴールした山本を筆頭に、ワールドクラスのチームを相手に連日アタックし、ハイレベルなレース戦ったJCL TEAM UKYO。走り終えた選手たちの表情は充実感と安堵の混ざった表情がこぼれた。ここで経験したスピ ードを力に変えて、オマーンを舞台に行われる2連戦にチームは向かう。

サウジツアーを完走した選手を握手で迎える清水裕輔監督 ©JCL

「同じアジアツアーでもボクらがリードできるレースもあれば、こうして世界の強豪相手にいかに戦うかというレースもある。今回チーム初戦にしてこの高いスピードを味わい、ボクらができる戦い方で対抗した。チームとしての決意も高まったし、これからもっと前に進んでいけると感じられた5日間だった」と清水裕輔監督。

コメントを残す