突如の横風は冷静になれば気づいたかも…2秒ペナルティで4位の室屋義秀

究極の三次元モータースポーツ、レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2018年シーズン第2戦の決勝が4月22日(日)にカンヌ(フランス)で開催された。マスタークラスのパイロット14人の中、ニコラ・イワノフ、フランソワ・ルボット、ミカエル・ブラジョーと最大派閥となる3選手を輩出しているのがフランスで、同国初開催のレッドブル・エアレース観戦にのべ8 万3000人以上が会場に詰めかけた。

レッドブル・エアレース第2戦カンヌ大会。ファイナル4のタイムを確認するマット・ホール(中央)。左は2位のマティアス・ドルダラー、右は4位の室屋義秀 © Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

開幕戦アブダビ大会を2位と好発進した室屋義秀は、カンヌ大会決勝前々日のフリープラクティス1回目を2位、2回目を3位、そして予選日に実施のフリープラクティス3回目を9位としながらも焦る様子はなく予選に突入。その予選では、1回目を57.103秒と2番手タイムを叩き出したかと思われましたが、最後のVTM(バーティカル・ターン・マニューバ)に入る直前のゲート15を通過中に上昇したことでインコレクト・レベル・フライングのペナルティ(2秒)が課されて59.103秒に。2回目のフライトは57秒456で6位とした。

予選日に観覧に来たマクラーレン時代の元チームメートのデビッド・クルサード(左)とミカ・ハッキネン(右)。中央は成層圏からのジャンプを成功させたフェリックス・バウムガートナー © Vincent Curutchet / Red Bull Content Pool

WRCチャンピオンに9度輝いたセバスチャン・ローブ(左)と同じくフランス人のニコラ・イワノフ(右) © Daniel Grund/Red Bull Content Pool

予選トップは開幕戦の優勝から好調を維持しているマイケル・グーリアン(米国)が57秒073を記録。0.5秒差をつけられた形になったが、予選後の室屋は「旋回時のGの強さやその他の要素などから考察すると、グーリアンは恐らくそこまで余裕があるわけではないと思うから、なんとかなると思います」と落ち着いた様子だった。

22日の決勝では、ラウンドオブ14の対ピート・マクロード(カナダ)戦で58秒015、ラウンドオブ8の対ミカ・ブラジョー(フランス)戦で57秒374 とギアを上げていき、開幕戦に続いてファイナル4に進出を決めた。ファイナル4の顔ぶれと出走の順番はマット・ホール(オーストラリア)、室屋、マティアス・ドルダラー(ドイツ)の2009年デビュー組と、翌2010年デビューのマルティン・ソンカ(チェコ)。一番手のホールが57秒692のタイムを出し、続く室屋はホールに対して1セクター目は0.04秒先行、第2セクターは0.67秒遅れ、後半で巻き返しという場面に。

フランスのファンのリクエストに応える室屋義秀 © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

ここで横風が突如吹いて機体の体勢が崩れ、それを修正したもののすでにゲート8に侵入していたためにインコレクト・レベル・フライング(水平ではない飛行)のペナルティ2秒が加算されてしまった。直前のファイナル8ではピート・マクロード(敗者復活)がそのゲートにヒットし、またフアン・ベラルデ(スペイン)も同じゲートで体勢を崩しているなど予兆があっただけに、室屋は「残ったスモークの跡や波の様子などで気がつけたかもしれない」とレース後にコメントした。

ファイナル4では続くドルダラーがホールのタイムを上回れず、最終出走となったソンカの出番だったが、前回のアブダビ大会でも発生したのと同様に、エンジンの回転数が規定値を超えたことが発覚して再び失格に。急きょラウンド8で58秒465とタイムが伸びずにソンカに負けたグーリアンが繰り上げで出走し、室屋のタイムを悠々と上回って3位となった。

レッドブル・エアレース、フランス初開催の舞台カンヌ © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

室屋義秀のフライト © Daniel Grund/Red Bull Content Pool

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