「鎌倉には来ないで」感染率が高い観光地鎌倉が悲痛な訴え

鎌倉市は人口あたりの新型コロナウイルス罹患率が神奈川県で一番高く、大阪府を上回っている。鎌倉市など神奈川県内沿岸部11市町の首長は4月22日、緊急事態宣言の発令中にもかかわらず観光客の混雑が激しさを増している状況を憂慮。新型コロナウイルスの感染拡大を防止することを目的として、「いまは観光に来ないでほしい」と宣言した。

北鎌倉駅からすぐに行ける円覚寺は拝観できなくなった(4月24日撮影)

ゴールデンウィークの混雑に生命をおびやかされるほどの危機感

大型連休を前にして鎌倉市は逗子市・葉山町とともに4月25日(土)、26日(日)の対応について協議し、海岸でのバーベキューなどの自粛要請をする。

4月25、26日の週末は引き続き多くの観光客が来訪することを想定できることから、海岸の利用の自粛(例:バーベキュー、テントやサンシェードの利用、その他集団で行うスポーツなど)のご協力をお願いする。そのために、各市町の海岸の巡視、注意活動を行う。

円覚寺(えんがくじ)は閉門されている
円覚寺の座禅会も当面中止
鎌倉五山の第一位建長寺。時間限定で伽藍には入場できる

また、日本サーフィン連盟湘南鎌倉支部と鎌倉市は、国の「緊急事態宣言」の発令を受け、海と海岸利用の自粛を求める。

「市民の感染リスクや精神的不安を少しでも軽減できるよう、ローカル、ビジターともに心ある行動とご理解ご協力をお願いいたします。今の私たちの行動が自分自身を、また自分の大切な人たち、そして社会を守ることにつながります。日本のサーフカルチャーを牽引してきた鎌倉、これからも新たな時代を築いてまいります。そのためにも今は#STAY HOME、そして、また鎌倉の海で会いましょう」

鶴岡八幡宮(4月24日撮影)
鶴岡八幡宮は門がないのでだれでも入場できるが人の姿はない(4月24日撮影)

「今は鎌倉への観光を控えるようお願いいたします。みなさまのご協力により、少しでも早く通常の生活が戻り、いつものような鎌倉観光ができるようになればと願っております」と、鎌倉市の松尾崇市長が鎌倉商工会議所の久保田陽彦会頭、鎌倉市観光協会の大森道明会長と連名で発信した。

若宮大路の三の鳥居から段葛を望む(4月24日撮影)

普段なら観光客でにぎわう小町通りもお店はほとんど閉まっている。また公共駐車場はすべて封鎖された。鎌倉観光は新型コロナウイルスが収束してから、のんびりいくのがオススメ。

普段は行楽客でごった返す小町通りだが、ほとんどの店舗が休業中(4月24日撮影)

●鎌倉市のホームページ

モンベルがアウトドア義援隊協力お願い…医療現場を支援

日本のアウトドアブランド、モンベルが新型コロナウイルス感染症対策を支援するため、アウトドア義援隊による援助金受け付けを開始した。

辰野勇代表自らがミシンを使って医療用防護服を試作する

東日本大震災、熊本地震、2019年の令和元年台風第19号災害の折にも、モンベルは一般に呼びかけて義援金を集めて被災者を支援した。今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、医療活動を行っている機関や感染抑制のため活動している各自治体保健所や役所などへの支援を実施する。

「できることから着手させていただきたく、ご協力をお願いいたします。今回の災害は国民のすべて、世界人類すべてが被災者です。しかし、被災者も互いにできることで助け合うしかありません」と同社。

モンベルはすでにスリーピングバッグカバーの素材、デュポン社製「タイベック」を使った防護服を製造し、大阪市にある住友病院へ届けた。また、災害時用に備蓄したレインウエアも医療現場に届ける予定だという。

●モンベルの詳細ホームページ

ESSが米国・欧州の医療従事者に1万4000アイウエアを提供

軍隊・警察・消防などの現場で愛用されている米国のアイウエアメーカー、ESSが新型コロナウイルスと立ち向かっている米国・欧州の医療従事者や初動対応者に1万4000セットの保護用アイウエアを提供した。

20年以上にわたり、ESSは戦場の最前線で男性と女性を守ることに専念してきたメーカーだ。現在、地球全体を揺さぶる新型コロナウイルスで前例のない敵に直面している。ESSは緊急の必要性を認識し、医療従事者、初動対応者、米国とヨーロッパでのこの新しい戦いの最前線にいる人々を支援するために、1万4000セットを超える保護眼鏡を寄付した。

「ESSは、生命の保護に貢献しているすべてのヒーローに私たちのサポートを約束します。一緒にこれを倒すことができます!」とコメントしている。

ESSは世界中の軍隊、警察、消防などで愛用されている防護用アイウエアだ

●ESSのホームページ

鎌倉ハイキングコースの葛原岡・大仏間が7カ月ぶりに通行再開

2019年の台風被災で全面通行止めとなっていた鎌倉ハイキングコースは、メインルートとして人気がある葛原岡・大仏コースの一部が4月6日に通行再開となった。ただし浄智寺〜葛原岡神社は依然通行止めで、6月を目処に復旧工事を進めている。

北鎌倉駅前の看板にも「葛原岡神社〜大仏坂」は通行可とのお知らせ(2020年4月10日撮影)

2019年9月8日から9日にかけて首都圏を襲った台風15号の影響で、神奈川県鎌倉市にあるハイキングコースは壊滅的な被害を受けていた。

今回はメインルートの葛原岡・大仏コースの一部である「葛原岡神社〜大仏坂」間が通行再開となったが、北鎌倉駅から浄智寺の横を通って葛原岡に向かう「浄智寺〜葛原岡神社」間は通行止め。葛原岡神社にアクセスするには鎌倉駅から銭洗弁天あるいは化粧坂(けわいざか)を通って、北鎌倉駅から舗装路を通っていく必要がある。

横浜市との市境の尾根にある天園コースも依然通行止め。あじさいの咲く6月までにその他のコースも開通にこぎ着けたいという。祇園山コースは被害がひどく見込みが立っていない。

復旧の目途

【祇園山】 
大規模ながけ崩れや倒木により復旧の目途が立たず

【葛原岡・大仏】 
葛原岡~大仏…2020年4月に復旧
葛原岡~浄智寺…2020年6月に復旧予定

【天園】
今泉台4丁目~天園、今泉台6丁目公園~覚園寺…2020年6月に復旧予定
天園~瑞泉寺…2020年度以降に復旧予定

●鎌倉市観光協会のホームページ

葛原岡・大仏コース。2020年4月5日に撮影したときは通行止めの看板があったが、この翌日に開通したようだ

●これまでの関連ニュース
鎌倉の人気ハイキングコースが通行不可…復旧のめど立たず(2019年9月23日)
鎌倉のハイキングコースが台風19号でさらなる被災(2019年10月14日)
台風被災の鎌倉ハイキングコースは通行止め状態で越年(2019年12月28日)
鎌倉のハイキングコース復旧工事に市の補正予算3億円(2020年1月31日)
鎌倉ハイキングコース一部通行目処も侵入者で復旧に支障(2020年3月28日)

鎌倉ハイキングコース一部通行目処も侵入者で復旧に支障

2019年の台風被災で全面通行止めとなっていた鎌倉ハイキングコースは、4月1日からメインルートとして人気がある葛原岡・大仏コースだけ通行再開の目処が立った。一方で、天園コース、浄智寺〜葛原岡は依然通行止め。祇園山コースは被害がひどく見込みが立っていない。通行止めのロープをくぐって侵入する人があとを絶たず、本人が危険なだけではなく復旧作業に支障が生じている。

葛原岡から浄智寺に向かうコースは通行止め(2020年3月28日撮影)

市内のハイキングコースを管理している鎌倉市は、2019年12月の市議会定例会で1000万円の補正予算を計上。これまで明確にされてこなかったハイキングコースの土地所有者を割り出し、許可を得ての復旧・補修作業が行われていた。

災害から半年が経過すると、通行止めの立て看板やロープが風雨によって外れたか、あるいは人為的に切られたか、通行止めにも関わらずコースを往来する人が増えてきた。

鎌倉市観光協会のホームページには、「3月16日現在、ハイキングコースの一部通行再開に向け、葛原岡神社から大仏坂間の復旧作業を行っています。全面通行禁止とお知らせしていますが、侵入される方が後を絶たず、作業に支障をきたしています。復旧が想定よりも遅れる可能性がある上、大変危険ですので、通行禁止にご理解ご協力をお願いいたします」と掲載されている。

源氏山公園側から大仏ハイキングコースに向かう入口に通行止めの看板が1つある(2019年12月28日撮影)

復旧の目途

【祇園山】 
大規模ながけ崩れや倒木により復旧の目途が立たず

【葛原岡・大仏】 
葛原岡~大仏…2020年3月中に復旧予定
葛原岡~浄智寺…2020年6月に復旧予定

【天園】
今泉台4丁目~天園、今泉台6丁目公園~覚園寺…2020年6月に復旧予定
天園~瑞泉寺…2020年度以降に復旧予定

ハイキングコースはあじさいの咲く6月までにその他のコースも開通にこぎ着けたいというが、新型コロナウイルスによる影響も観光都市の鎌倉に暗い影を落としている。3月27日には松尾崇市長が「新型コロナウイルス感染拡大を抑えるために鎌倉観光はしばらく控えてほしい」とホームページで訴えている。鎌倉がもとのにぎわいを取り戻すのはもうしばらく先のことだ。


●これまでの関連ニュース
鎌倉の人気ハイキングコースが通行不可…復旧のめど立たず(2019年9月23日)
鎌倉のハイキングコースが台風19号でさらなる被災(2019年10月14日)
台風被災の鎌倉ハイキングコースは通行止め状態で越年(2019年12月28日)
鎌倉のハイキングコース復旧工事に市の補正予算3億円(2020年1月31日)

台風の爪痕はいたるところに。撮影は鎌倉市の台峰

●鎌倉市観光協会のホームページ

台風被災の鎌倉ハイキングコースは通行止め状態で越年

神奈川県鎌倉市内にあるすべてのハイキングコースは、2019年9月8日から9日にかけて首都圏を襲った台風15号、10月14日に襲来した台風19号によって倒木や土砂崩れが相次いだ。市内のハイキングコースは壊滅的な被害を受け、2019年末になっても通行止めとなっている。

源氏山公園側から大仏ハイキングコースに向かう入口に通行止めの看板が1つある(2019年12月28日撮影)

現状は鎌倉市内すべてのルートが通行禁止

鎌倉市観光協会が2019年11月29日に掲載した「ハイキングコース被害状況」によると、祇園山葛原岡・大仏天園 という市内にある3つのコースは倒木などにより通行できない箇所が多く、大変危険な状態のため通行禁止となっている。

葛原岡・大仏ハイキングコース
横倒しになった巨木を避けるルートが自然とついてきた(2019年12月28日撮影)

鎌倉市によると補正予算を計上し、一部ルートは2020年6月までの通行再開を目指している。倒木の撤去や土砂の補修は相次いだ台風発生以来、生活道路を優先してきたので、ハイキングコースはほぼ手つかずの状態。ハイキングコースの復旧はこれからで、あじさいの時期となる6月には一部を再開させる計画。観光客の減少を避けたいという思いが鎌倉市にとってもあるようだ。

大船と北鎌倉の途中にある台峰は倒木の撤去が進み通行可(2019年12月28日撮影)

鎌倉市が観光スポットとして紹介している3つの人気ハイキングコースだが、その多くは市の所有地ではなく、民有地であることも復旧を阻んでいるという。市有地と民有地の境界が長年にわたって明確にされてこなかったことで、市としても民有地の倒木撤去や土砂補修に着手できないという事情があるという。

源氏山公園(2019年12月28日撮影)

―復旧の目途について―

【祇園山】 
大規模ながけ崩れや倒木により復旧の目途は立っていない

【葛原岡・大仏】 
葛原岡~大仏…2020年3月中に復旧予定
葛原岡~浄智寺…2020年6月に復旧予定

【天園】
今泉台4丁目~天園、今泉台6丁目公園~覚園寺…2020年6月に復旧予定
天園~瑞泉寺…2020年度以降に復旧予定

台風で折れた幹がいつ落下してくるか分からない状態(2019年12月28日撮影)

各ハイキングコースのルートを地図上で確認する

【参考】北鎌倉から源氏山公園、高徳院方面へハイキングコースう回ルートはこちら

葛原岡・大仏ハイキングコースの長谷側入口はかつてあった規制ロープが外れていた(2019年12月28日撮影)

【正月でも安全に上れる鎌倉のハイキングコース】

2019年から2020年へと年が変わる年末年始に鎌倉のハイキングコースを訪れるなら以下の3コースが安全。地図をクリックするとGarminサイトに公開されたコースデータに飛び、GPSデバイスにコースを転送して道案内してもらうことも可能。

正月気分いっぱいの神社から真っ白い富士山も

●葛原岡神社
出発地=JR大船駅
距離=3.57km 獲得標高=109m 所要時間=1時間

クリックするとGarminのコース公開ページに飛びます

南は伊豆大島、北はスカイツリーも見える!

●六国見山
出発地=JR横須賀線・北鎌倉駅(下りホーム大船寄りの臨時改札利用)
距離=1.30km 獲得標高=110m 所要時間=30分

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広大な緑地には相模湾や富士山が見えるスポットも

●鎌倉広町緑地
出発地=江ノ電・腰越駅
距離=1.79km 獲得標高=58m 所要時間=45分

クリックするとGarminのコース公開ページに飛びます
鎌倉市の南西にある広町緑地も一部通行止めのルートがある(2019年12月28日撮影)